汚い子供を拾ったので虐待する事にした(鬼滅の刃)   作:つヴぁるnet

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ネタにネタをぶち込む虐待


第2話

やぁ諸君。

 

今日も虐待に励んでるかい?

 

僕こそ鬼殺のヤベーヤツだ。

 

 

…っと、違う。 もう『僕』と言うのは鱗滝先生の弟子入りをした時にやめたはずだ。 鬼を知らなかった頃よりも強くなるため、皆が尊敬する兄弟子を見習って『俺』と名乗るようにした。

 

だが未だに名乗りもしなければまだ語りもしない奴がいる。 それは金銭を宙に投げ、とある男から奪い取った子娘の事だ。 その小娘を頂いてからここ2週間が経過したが未だに喋ることはない。しかしその小娘が苦しむ感情はよく伝わる。 だが苦痛に追い込まれたその声を出させるまで虐待の手は緩まない。 例え「やめて」と声に出しても緩ますつもりもないがな。 むしろ緩ませるのはその涙腺だ。 無表情な顔で耐えてるつもりだろうが、小娘のこころは苦しいと叫びたがっている。 それでも我慢するならどこまでもすれば良い。 こちらは終わりなき虐待を施し続け、終わりなど訪れる事ない虐待に耐えれる筈は無いだろう。

 

しかしこの小娘、不思議なことに座布団の上からちっとも動かない。 だがそうする理由を自分は知っている。 この小娘は何もしない、何もできないと弱者を振舞っている…が、残念だがバレバレだ。 何せこの小娘は朝から夜までこちらをずっと眺めている。 視界から遮られた壁越しでもこちらの居場所を分かってるのか正確にその方向に視線を送る。 どうやら透視する力が高いのだろう。 小娘はその力を隠してるつもりだが…馬鹿な奴だ。 あまりにも露骨にやり過ぎたせいで簡単に手札を晒してしまったな? お陰でこちらの弱点を暴こうとしてるのは丸わかりだ。 どうせ無表情な仮面の内側にはギラギラとした笑みが隠されているのだろう。

 

しかしこちらとしては反撃してくれるのは歓迎だ。 多少なり抵抗してくれないと面白く無い。 しかし反撃するからには、反撃される覚悟がある者だけ。 文句は言えないな。 それでも弱点を暴こうとしたいならなら透視でも何でもご自由にすれば良い。

しかしチラチラと見る以上に落ち着かない小娘だ。

そうかい…

そんなに見たけりゃ見せてやるよ。

 

 

 

「!」

 

 

 

取り出したのはふっくらした茶色のモノ。

 

 

 

「!!」

 

 

 

残念、それは私のお稲荷さんだ。

 

 

小娘のは用意したこっちだ。

 

 

え?

先程のお稲荷さんは何だって?

 

そりゃ昼ごはんに作った手作りのお稲荷以外に何があると言うのだろうか。

 

変な事を聞く。

 

それよりもこの手作り巨大お稲荷さんだが、小娘のような小さな口の中にこれが入るかな? これだけ大きなお稲荷は10回に分けて食べなければ無理だろう。 その上大きなお稲荷さんを二つ用意した。 しかも味付けを甘いお稲荷さんにしたから甘たるくて食べるのは相当苦痛だろう。

 

そうとも、食事も虐待の一つにする。 その事を教えてくれた皆が尊敬する兄弟子を真似をする。 躊躇うな。 流石に小娘の前では見せやしないが、行き詰りそうになった時は、猫の手でも猫の呼吸でも借りたくなる気持ちを押し込んで皆の手本となる兄弟子を思い出す。 虐待の鮮度を保ち、その手を緩めさせない。 その一つとして今回の虐待に使用した大きなお稲荷さんだ。 我ながら会心の出来だ。 存分に苦しみながらお昼ご飯を過ごすと良い。

 

 

「……」

 

 

無心になってパクパクと食べていく。 くくっ、泣きたくてたまらないだろうに。 しかしそれを許されない状況下で可哀想な奴だ。 追い込んだと言うのは自分だと言うのに。 だからと言ってその無表情に固めた仮面を剥がしてしまえば二度とこちらに勝てないだろう。 勝たせる気は無いが、剥がれてしまえばおしまいだ。 だからどこまでも耐えれば良い。 その時が来るまでじっくりと施そう。

 

鬼よりも恐ろしい絶望を味合わせよう。

 

 

なんの事だって?

 

 

 

 

 

無論、虐待に決まっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___ぷつん、と音が切れてから時間がだった。

 

人は慣れるモノで、そんな自分に慣れた。

 

…糸が切れたから何もしない。

 

 

何かをできたい。

 

いや、出来るはずもない。

 

 

伝えたい。

 

いや、伝えれるはずもない。

 

 

糸が切れてるから。

 

 

けど、少しでも揺れ動かそうとする糸を彼は指先に巻きつけて、私を感じ取る。

 

歩きたい。 でも歩こうとできない。

 

足はあるのに動かせない。

 

 

「カナヲ、こっちにおいで……じゃないな。 立ってこっちに来るんだ」

 

 

彼に言われると私の足は立ち上がり、彼の元まで歩く。 そして両脇から抱えられ、胡座をかく彼の足の中に収まると、机の前には食べ物の八つ橋とお茶が用意してあった。

 

 

「カナヲ、一緒に食べよう……じゃないな、一緒に食べなさい」

 

 

彼に言われると私の手は八つ橋に手が伸びて、食べる。 柔らかくて甘い味。 美味しい…と、言葉を出せない。 でも彼は「話しなさい」「答えなさい」とは絶対に言わず、私からなんとか動かせた目の動きで美味しい事を訴えると「そうだね」と共感してくれる。

 

彼が「○○しなさい」と言うのは厳しくしたいからでは無く、むしろそのように振る舞いたくない気持ちを抱えている。 しかしそれを押し込んでそのように言うのは、そう言ってくれなければ私は何も出来ないから。 だから彼にそんな振る舞いをさせていた。

 

 

 

「…………さ…ぃ」

 

 

「!? ……カナヲ…?」

 

 

 

 

 

ごめんなさい。

 

 

ごめんなさい。

 

 

ごめんなさい。

 

 

そう言いたいのに言えない。

 

 

なんでかな…

 

 

どうしてかな…

 

 

何も感じない、何もできない、何もやりたくない…そんな私だったのにどうしてかな、こんなにも伝えたいと揺れている。 けれど切れた糸で伝えるなんて出来っこない。 そんな自分が嫌になる。

 

 

 

「……カナヲ、俺はどうやら"俺から"カナヲに強要させるのは苦手みたい。 だから、これを使うことにした」

 

 

「?」

 

 

銅貨……の隣にある狐のお面。

 

彼はそれを付ける。

 

 

「俺はこれを付けてる間は喋らない、そして自分から外さない」

 

 

どう言うこと?

 

喋らない?

 

それはすぐにわかった。

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

彼は何も喋らない。

 

彼は何も告げない。

 

彼は何も教えない。

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

 

何も起こさない。

 

ひたすらに…まるで植物みたいに。

 

呼吸だけしか聞こえない。

 

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

 

いやだ…

 

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

嫌だ…いやだ…

 

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

こんなの嫌だ。

 

嫌だ嫌だ…嫌だッ。

 

やめて、お願い、私を動かして、お願い。

 

お願い、喋ってよ、お願い、辛いの、お願い。

 

嫌だよ、お願い、不安だよ、お願い。

 

何かして、お願い、怖いの、お願いだから。

 

嫌だ、嫌だ。 お願い、狐さん、お願いです。

 

 

お願いッ……お願いッ!

 

 

それを外して…外して…ください!

 

 

 

「っ………だ…め…」

 

 

「!」

 

 

 

手が伸びた。 彼の顎の下に手のひらが伸び、狐のお面を掴んで……外した。

 

 

 

「…ぃ……ゃ…だ」

 

 

「……嫌?」

 

 

「…ぃ……や…だ」

 

 

「…嫌なんだ?」

 

 

「い…や……だ…っ」

 

 

「そうか。 ならカナヲが嫌なら付けるのはやめよう」

 

 

「!」

 

 

「だってちゃんと『嫌だと』気持ちが言ったからね? なら答えてないとダメだよな」

 

 

「ぁ…ぁ、ぁぁ…」

 

 

「ほら、喋れるじゃないか、カナヲ」

 

 

 

彼は狐のお面を机の上に置き、私の頭を撫でて笑う。

 

 

 

「カナヲ、人は心が原動力だ。 気持ちを生かすのは大人になっても辛い事だけど、でもその小さな口で呼吸してる限り言葉を出す力は絶えない」

 

 

「……」

 

 

「嫌だと言えたその気持ちを忘れないで。 君はたしかに生きていたんだから」

 

 

「…………」

 

 

 

「ね?」

 

 

 

「………____________うん」

 

 

 

 

荒療治。

 

そんな言葉が当てはまるけど…

 

私を生かそうとした彼の気持ちは痛いほどに伝わった。

 

 

頬に流れた一粒の雫が……あったかい。

 

 

そんな私を見ていた、狐のお面は笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は富岡義勇。

 

鱗滝先生の弟子であり、そして狐のお面…と言うより、やや猫のようなお面を被っている兄弟子から模擬戦に付き合ってもらっている。

 

その横ではもう一人の兄弟子が稲荷を齧りながら割れた岩の上で模擬戦を眺めていた。

 

 

 

「猫ノ呼吸・壱ノ型『蛇螺蚝(じゃらし)』」

 

 

偽物と本命が混ざり合う斬撃。 剣筋を良く見切り、本命の攻撃を討ち払う必要がある。 甘い攻撃は容易くあしらわれ、手痛い反撃を受けてしまう。

 

 

「水の呼吸ッ!」

 

 

兄弟子(3番目の弟子)が弟弟子の為に開発した、目に対して剣を追いつかせるための訓練技。 それを俺は『漆ノ型・雫波紋突き』で本命の一撃を弾きながら、偽物の斬撃を波紋でかき消した。

 

 

 

「いい判断! それなら…」

 

 

「!」

 

 

「猫の呼吸・参ノ型『真視暗(まっしぐら)』」

 

 

視界を埋める様な大きく真っ直ぐな斬撃。 わかりやすいくらいの回避か反撃の二択。 だが回避は大きく。 また反撃も大きく起こさなければならない。 躊躇を捨てた判断と瞬発的な筋肉の動きを心掛けさせるために兄弟子が開発した訓練技。

 

錆兎なら、反撃をするだろう。

 

当然、俺も同じだ…!

 

強烈な一撃には、強烈な一撃を…!

 

 

 

「肆ノ型・打ち潮!」

 

 

技と技のぶつかり合い。 しかし筋力の差で俺の方が少し押し負ける。 だが距離を開けすぎず打ち込む、ひたすらに。

 

 

 

「ッ、水の呼吸!」

 

 

いつまでも反撃する精神ではダメだ。

 

こちらからも攻撃を行う!

 

下段の攻撃を跳んで回避しながら息を吸い…

 

 

 

「弐ノ型・水車!」

 

 

「猫の呼吸、弐ノ型『猫車(ねこぐるま)』」

 

 

やはり技の出が早い…! 水車と同じ要領で攻撃する猫車。 鋭いと言うより柔らかい斬撃だが、ただの攻撃から咄嗟に放たれる全集中による呼吸の技。 攻撃後に少し隙ができる技だが、猫車の対応に遅れてしまえば好機は失われる。 大技の警戒心が試される兄弟子が開発した訓練技…

 

 

 

「後ろだぞ、義勇」

 

「!!??」

 

 

音を立てずに移動する足捌きの一つ『猫脚(ねこあし)』でいつのまにか背後に剣を構えていた兄弟子。 いや、驚いてる場合じゃない。 猫脚から放たれるこの状態は間違いなく来る!

 

 

「猫の呼吸・肆ノ型『火鉢(ひばち)』」

 

「水の呼吸・陸ノ型・ねじれ渦!」

 

 

斬撃の渦に囲う広範囲の技。 一つ一つの威力は小さいが猫脚の動きから放たれる攻撃は敵の居場所を掴ませない。 この攻撃を見破るには斬撃の流れを掴むこと。 そして防ぐ事。

 

集中力と洞察力を絶やさないために兄弟子が開発した訓練技…

 

それをねじれ渦で抵抗する!

 

 

 

「猫の無呼吸! 猫パンチ!」

 

「ぐえっ」

 

 

 

「いや、蹴ってるし」

 

 

割れた岩の上で模擬戦を眺めていた方の兄弟子がツッコミを入れる。 しかも無呼吸。 つまりただの格闘を叩き込まれたらしい。 剣では無いとは言え油断した…

 

なんか納得いかない気がするが負けは負けだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「義勇、先ほどの模擬戦から見せてもらったが、微々たるモノだが剣先がズレていた。 …左腕怪我してるな?」

 

 

「!……なんで分かった?」

 

 

「目が良いから…と、言えればカッコイイけど、兄弟子が義勇の荒い所をトコトン炙り出してくれたから分かりやすかった。 流石、猫の呼吸だ。 第三者からも分かるような剣の打ち合いを見せてくれる」

 

 

「そうか(やはりあの人はすごい。 自分は強くないと自負していると言ってたが、今回の模擬戦でやはり偉大な人である事は理解できた。 それでも俺たちが強くなってくれることを第一に願ってくれる優しい人に感謝の言葉が尽きない。 今日の模擬戦を糧にして、次はあの人に一泡吹かせれるように)斬ってやる」

 

 

「言葉抜けすぎで物騒だぞ、義勇」

 

 

「?? そんな事は無い」

 

 

「本当か? そんな言葉遣いで大丈夫か?」

 

 

「(大丈夫だ)問題ない」

 

 

「神は言っている、ここで修正する定めと」

 

 

「(あなたは分かるから問題)ないです」

 

 

「問題ありありなんだよなぁ……まったく、左腕の怪我を治す前にまずはお前の言葉足らずを治せ………無いよな、うん。 まったく、まだ奏愛(カナヲ)の方が何とか出来たよ、俺は」

 

 

「?」

 

 

 

何を言ってるのかわからないし、俺は嫌われて無いから問題無いとしてそれはともかく、隠してたつもりの左腕の怪我だったがこの兄弟子もよく見ている。 錆兎は分からなかったのに。 だがこの人は誰よりも目が良いから隠し事は無理だ。 それに口下手で言葉足らずな俺の言葉も理解してくれる。 あと自分でも言葉足らずなのは自覚してるから俺は嫌われてない。

 

 

 

「とりあえず、腕の怪我を見て軽く修正…の、前に昼ご飯にしよう。 鱗滝先生が鮭大根を作ってくれている」

 

 

「!」

 

 

 

兄弟子が集まるといつも鱗滝先生は鮭大根を作ってくれる。 兄弟子の集まりに感謝して山を降りた。

 

 

鬼に脅かされる世の中だが、ひとときの平和と鮭大根を噛み締めた。

 

よく味が染みわたっている。

 

 




やりますねぇ(恍惚)


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