いろいろガバガバ設定ですがそこはご勘弁を
サンキンガル王国の地下には秘密の部屋がある。
その部屋の床には巨大な魔法陣が描かれており、今まさに勇者召喚の儀式が執り行われていたのだ。
ただこの勇者召喚の儀式は酷く断片的なものでありそれらを何とか召喚できる形に突貫で無理やり整え完成させたのである。
適当な仕様書から短納期でシステムを構築するプログラマーを連想させると分かりやすいかもしれない、それだけ王国の情勢は逼迫していたのだ。
そしてその国難に対抗すべく異世界から2名のえりすぐりの者を勇者として召喚すべく儀式は執り行われた。
そしてついに今、勇者が召喚されようとしていた。
魔法陣が眩しく輝き始めその光が二つに分かれると
そこには二人の男にそれぞれ抱き着いたりしがみ付いたりしている同じ年頃の男女数名が現れた
「おお、召喚されし勇者よ・・・ってちょっと待って、二人と聞いたいたのだがこれはどういうことだ?」
魔法陣の前に立っていた一人が混乱したように話しかけてきた
「・・・どういうことって・・・こっちの方が知りたいのだが・・・おい、葉山、こういう時はお前の出番だろ」
「俺が知るかよ!・・・幻覚か?そんなに飲んだ覚えは・・・」
比企谷と葉山も混乱気味である。
「将軍、本来この金髪の男と目つきの悪い男だけを召喚するはずだったのですが、どうやらこの二人に回りの人間が予想以上にくっ付いていたので・・・」
魔法陣を囲んでいた魔術師の一人が進言している。
「それで一緒に召喚されたというのか!?」
将軍と言われた初老の男は呆れ顔だ
「しかし将軍、魔力の注入の術式は作動しているようなので、勇者としての力は存分にあるかと・・・」
「・・・そうか・・・あーでは、ゴホン、そなたたち、まず事情を説明するので名前を教えて下さらぬか?」
と将軍は比企谷達へと向き直るのだが
「人に名前を聞く前にまず自分から名乗るのが礼儀ではなくて?」
ようやく落ち着きを取り戻したのかいつもの調子の雪ノ下
「ちょっ!ゆきのん!まずいって!なんかやばい雰囲気じゃん!」
あせる由比ヶ浜だが三浦も雪ノ下に同意の模様
「あんさーあーしら気持ちよく飲んでたんだけど?それが何?ここどこ?サッサと帰して欲しいんですけど?」
二人の態度に将軍は高笑い
「これは豪気!そこの後ろでおろおろしてる男よりもこの二人の方がよっぽど勇者らしい!」
「え?なに?俺ら勇者?何それ?ってか雪ノ下、危ないって!おまえちょっと下がって?お願い」
「一体何が何やら・・・優美子落ち着いて!」
比企谷と葉山は雪ノ下と三浦の態度に戦々恐々としている始末
「まーよいわ、私はホワイトという、この国で将軍をやっておるな」
ホワイト将軍はそう言いうと比企谷達にも自己紹介させ召喚した事情を説明し始めた。
「今この国は色々問題を抱えておってな、特に魔物の被害で危機的状況なのだ、王国の兵を出してはいるが魔物が強力すぎて太刀打ちできん、隣国が攻めてくる気配もあれば魔王復活の話も出ていてな、そこで異世界の勇者に助けを借りようと勇者召喚の儀式をしたのだが・・・」
「なんとなく事情は分りましたが何故俺達が?」
と葉山
「・・・勇者を召喚する際に膨大な魔力によって超人的な肉体と魔力を得ることができるがそれだけでは駄目だ、強いリーダーシップと知略に長けた者が必要となる」
「ちょっと待て、リーダーシップって葉山の事か?でも知略に長けたって、俺そんなに頭良くないのだが、むしろ葉山よりも劣るまである」
と否定する比企谷だが、後ろでクスクスと笑う雪ノ下達
「ブフー、確かにおにいちゃんは知略というか悪知恵って感じだよね~」
「確かに八幡は人より発想がちょっと違うっていうか・・・ああ!ゴメン!これって悪い意味じゃなくってね?」
「ちょっと戸塚まで・・・繊細な俺の心ちょっと傷ついたんですけど・・・」
とワイワイやっていると慌てた様子で文官らしき男が部屋に飛び込んできた。
「将軍!大変です!儀式に大量の魔力が使用されたとのことで国内全体の魔力もかなり薄くなっているとのことです!魔力を使用する魔道具が一時使用不能となり現在王都は大混乱です!」
それを聞き呆れて叫ぶホワイト将軍
「だから止めておけと国王様に進言したんじゃ!未だによくわかってない儀式を無理やり突貫でやるからこんなことに、以前上手くいったのは偶然だとあれほど・・・」
それを聞いて違和感を感じる比企谷と葉山
「え?何?以前って?俺たち以外にも召喚された人いるの?」
「どういうことだ?まさかさっきの説明は方便で俺たちを生贄にとか?」
「ありえるわね、かつてのスペインやイギリスがやったことを考えると・・・比企谷くん、もし奴隷に落とされるのだったらその時は一緒に・・・」
「・・・君たちなんか物騒な事をしゃべっているが誤解があるな」
気を取り直したホワイト将軍がこちらに向き直ると説明を始めた
「国難に対して本来は王子を筆頭に異世界からの勇者を補佐として魔物へ立ち向かう予定だったのだよ、しかし王子が召喚に対して変な要望を出してきてな、それに沿って召喚したんだが召喚された者が毎回王子とトラブルになってだな・・・こちらが全面的に悪いのだが体面上お咎めなしにも出来ず、仕方がないのでそれなりに金を握らせて城から出て行ってもらってたのだよ」
「・・・ちょっとその王子大丈夫なの?」
と不安そうな比企谷
「国王からお叱りを受けて今城に軟禁状態だが、この間勝手にここに入って術式をいじっていたのじゃ、君たちがまとめて召喚されたのもそのせいかもしれぬ」
と事情を説明
「そうそう、この世界は自分の情報を明確に知ることが出来るのだよ、勇者となったお主等は相当な能力を持っているはずだ、意識を集中して自分の情報を見ようとすれば見れるはずじゃ、やってみよ」
そういえばと将軍は言葉を続ける
「ただし、今国内の魔力が低下しておるので他人のステータスは見れんのじゃ、だから自己申告で頼む、鯖読んでも意味ないのでな、きちんと報告してくれ」
そう言われ早速試す比企谷達
「へぇー、あたしはレベル1?体力が5000?魔力が25000?それから・・・」
と嬉々としてステータスを読む由比ヶ浜
「わたしもレベル1ね・・・体力が・・・200!?・・・魔力が20000・・・素早さが15000・・・」
体力と魔力が由比ヶ浜に負けたのでちょっと悔しそうな雪ノ下だったが他は概ね上だった模様、他の人も大体が得意な分野が1万や2万越えと言った感じで各々の役割が割り振られている感じだ
「俺は・・・おい、なんか全部80000なんだが・・・」
「俺なんて88100だよ・・・」
「フフフ、比企谷くんは八幡だから8万なのかしら?」
「隼人はハヤトだから88100?笑えるし」
「あんま笑えないがまあいいんじゃね?」
「・・・やれやれだな」
呆れ顔の比企谷と葉山、これより彼らは城にて勇者としての訓練を受けることとなった。
ホワイト将軍は城にて比企谷達の訓練計画や装備等の手配などの雑務を淡々とこなし、あとは城の兵士に任せた後帰路についていた。
そしてその途中で変な男を発見する
「何故!異世界なのに!なんでチートハーレムにならぬのだ!・・・あのー我と冒険しませんか?」
「はぁ?ちょっとなんですか!ナンパ?結構です!」
妙な服装の男が道行く女性に声をかけては嘆いている。
その為回りを歩く人はそんな彼を避けるようにして通り過ぎていく。
ホワイト将軍はハテと首を傾げた、この男の恰好は今日召喚した人たちと似たような感じだったからだ。
将軍は声をかけようと近づくが、近づいてわかるその服装の珍妙さ、季節はそこそこ温かいのにロングコート、手には指抜きグローブである、そして我は我はと実に尊大な物言い、なにか底知れぬ才能を感じたがどう考えても気のせいにしか感じなかったので忘れることにした。
話しかけてもチートだハーレム王だとかスマホ持ってるから異世界スマホだのとイマイチ要領を得ない、でも明らかに異世界人のようであり、あまりにも目立つのでめんどくさくなり自分の邸宅へと連れて帰ることにした。
将軍邸にて
「とりあえず楽にするとよい、腹がすいているようなら食事を持ってこさせるが?」
そういうとものすごい勢いで首を縦に振っている、どうやら一日何も食べずにひたすらナンパしていたらしい。
ただ食事をメイドに持ってこさせたらまたも大騒ぎである、どうもメイドを見たことが無いのかあるのか分らないがひたすら喜んでいるようだ
「・・・まあ、食べながらでいいから話を聞いてくれ、わしの方ではお前さんの事情はある程度予想できる、お前さんは異世界から来たのだな?」
「そう!我こそは剣豪将軍材木座義輝!異世界より召喚されし者なり!」
骨付き肉を片手に高らかに宣言する様は滑稽を通り越してすがすがしさ感じられる有様である
「・・・ま、まあ理解が早くて助かるわしはホワイト一応この国で将軍をやっておる、お主と同じじゃな」
そのセリフに顔が真っ青になり口に含んだものを吹き出してしまう材木座
「しょ、将軍様!?本物!たた大変申し訳ありませぬ!我、いや僕はただの一般人でして将軍というのは名前が僕の世界の過去の将軍と同じだから・・・ああ!よくわかりませんよね!大変もうしわけありません!!身分を偽ったことは反省しますので死刑だけはご勘弁を!!!!」
ソファーから床にジャンピング土下座をかます材木座
過去の封建社会と同様に身分詐称はこの世界でも重罪である。
「いやまあ・・・そうかしこまらなくても・・・戯言程度で死刑も何もありゃせんが」
将軍はまたもあきれ顔
「ほんでおぬしの名前は材木座義輝というのか、長い名前だな、材木座と呼べばいいのか?」
「ははぁー、将軍様の好きに呼んでいただいて結構でございます」
平伏しっぱなしの材木座であったが普通に座るように即されると食事の続きを開始する
「それで勇者召喚の儀式が行われたんじゃがのぅ、これが酷い状態でやった物だから2人召喚するつもりだったのが全部で9人ほど召喚してしまってのぅ、おかげで今この国の魔力が無くなってしまって大騒ぎよ」
「え?勇者召喚の儀式って?我は?勇者じゃないの?」
「メインで召喚した者はハヤマとヒキガヤといったかの?ハヤマの方は聡明そうだがヒキガヤの方は狡猾そうでなかなかの傑物のようだな、女性らは気が強い上に美人で賢そうな者ばかりだし、まさに勇者一行と言った感じか」
「やはり八幡と葉山殿が!気が強いというのは氷の女王と獄炎の女王のことであろう・・・やはりそうか・・・だとすると我も・・・」
ブツブツ言い始める材木座
「なんじゃ知り合いか、でもまあたぶんお前さんはちがうんじゃないか?巻き込まれただけであろう」
実際材木座は後から吸い込まれた訳である
「でも我も勇者かもしれぬであろう?だって異世界召喚ときたらチートでハーレムで・・・」
「そんじゃ確かめてみるか?」
ホワイト将軍はそう言うと自分の情報を見る方法を教える
「今我は完全に理解した!、いでよ!ステータス!オープン!」
大見得を切って大袈裟なポーズをとる材木座
「騒々しい奴じゃな・・・」
呆れ顔の将軍に材木座は興奮気味にステータスを読み上げる
「なんか点滅したりして読みにくいが・・・では我の華麗なる能力!まずレベルは1!」
「まあそうじゃな」
「体力と魔力!2.00e+8!」
「は?」
「力!1.5e+8!」
「ちょっと待ておぬし」
将軍が意気揚々と読み上げる材木座にストップをかける
「そのイーってなんじゃ?」
「イーはeであるが・・・」
「全く分からんな、まあそれは置いといて、後ろの+何某は加護によるボーナスポイントかのう?多分」
「ボーナス?しかし我この数字の書き方見たことあるような無いような・・・」
首をひねる材木座だったが
「うーむ、今国内の魔力が低下しておって、他人のステータスは見れんのじゃ」
困惑気味の将軍
「それに表示が点滅したりしているのだろう?普通はそうはならん、多分おぬしは変な風に召喚されたからその影響であろう、そのeとやらを取っ払うと体力と魔力が12か、一般人より下だな、子供レベルだ」
結局材木座他のステータスも似たり寄ったりだった。
材木座は骨付き肉を持ったまま呆然としている
「この世界一般人は50ぐらい、兵士で100~1000程度かのう、ちなみにハチマンのステータスは全部80000でハヤマは88100であった。
他の者は概ね得意分野が数万越え、それ以外でも1000は超えているようだったな、一人だけ一部のステータスが3桁の者がいたが・・・」
「そ、そんなぁ・・・ずるいよ!!」
愕然となった材木座はがっくりと肩を落とす
「ま、まあなんじゃ、とりあえず今後のことについて相談しようか」
一般人以下のステータスである、嫌な予感しかしない材木座
「あの・・・では元の世界に・・・」
「すまんが元の世界に返したくても方法が分らん」
「では・・・責任取って我を養ってくれるとか・・・」
「責任を取れというならおぬしの首をはねて墓に埋めるか、いなかったことにすれば責任もなにも無いからな」
その言葉に青くなる材木座
「冗談じゃよ、まあかの者たちと知り合いならそれも悪くあるまい、大体その格好に言動だと怪しげな外国人や不審者として牢屋にぶち込まれる可能性があるからな、そういうことが無いようにわしの方でいろいろ手配しておく、とりあえずこの世界に慣れるまで城で働いてみてはどうだ?」
「・・・もう帰りたい・・・」
そういうわけで材木座の異世界生活が始まるのだった。