「装備をかっこいいのにしたい!あと魔法の特訓も!」
「はぁ?」
毎日角ウサギ討伐の依頼をこなしていたわけだが狩りの最中に唐突に材木座が叫ぶ、一週間ほど依頼をこなしていた為お金だけは結構な額になっていた。
因みにレベルも上がっており全員20程度である。
「そうだね、魔物との闘いにも慣れてきたし今後この街から離れること考えるとね」
と川崎も同意し早速装備と魔導書を探すことになった。
武器屋にて
「沙希先輩スタイルいいから何着ても似合いますねー!次はこの装備はどうですか?」
「ちょっといろは!遊びに来たんじゃ・・・」
「いいじゃないですかー、ちょっとは遊び心があってもー」
と女二人がキャッキャしている脇で材木座は新しい装備を身に着けている
「見よ!これを!これぞ黒い剣士!狂戦士の甲冑!」
一色と川崎が見ると真っ黒な装備に身を包んでる材木座がいた。
「うゎーいかにもって感じですねー」
呆れ顔の一色
「ふん!そしてこれよ!これぞドラゴン殺し!」
とやけにでかい大剣を構える
「・・・それは剣というにはあまりにも大きすぎた、大きく、分厚く、重く、して大雑把すぎた。それはまさに鉄塊だった・・・」
ぶつぶつ言いながらうっとりと大剣を見つめる材木座
「大きすぎておおざっぱすぎるのは義輝先輩じゃないんですか?とにかく私たちの前でそれ振り回さないでくださいね?ステータスが二桁の義輝先輩?」
「あんたステータスやばいんだから、んなでかい剣逆に危ないんじゃないか?」
川崎も呆れ顔だ
「ムフフフ、これ意外と軽いのよ!大剣なのに片手でも持てる!お手軽!」
「そんな張りぼて意味が無くないですかー?」
「いいのだ!店主!この黒の剣士の装備一式くれ!」
「え?それ買うの?いいけど、お代はこんだけだ・・・」
「よし!お主等も新しい装備を買ったか?」
「まあね」
「わたしはこれでいいですけど、義輝先輩それちょっと邪魔です」
「なに!?この剣の良さがわからぬとはな!」
川崎は金属製の手甲と脛当てに変更、一色はダガーから小剣にし、モーニングスターもより凶悪なフレイルへ変更、服装もよりいい生地を使った服とマントに変えた。
わいわいいいつつ武器屋をあとにする材木座達を見送る店主はボソッとつぶやく
「あの剣ただの金属製の看板なのに、あいつ武器屋でもやるつもりか?」
早速買った武器を試す三人、一色も川崎も新しい武器に満足気であるが材木座はと言うと
「むん!」
角ウサギに向かって大剣を振り下ろすとウサギを貫通して地面まで剣がめり込む
「義輝、あんたその剣重すぎなんじゃないの?地面にめり込んでるじゃん」
と呆れ顔の川崎だが
「ふ、ふん!この剣の切れ味が良すぎるのよ!見よ!岩まで真っ二つ!」
と岩石に向かって振り降ろすと剣が岩にめり込む
「ちょっと危なくないですか?」
「選ばれし者の剣であるからな!やはりこれを選んで正解であった!」
うっとりした目で大剣を見つめる材木座だが、これは本当に剣の形をした看板で切れ味は全くない、しかし材木座の膨大な魔力が剣に流れ、常時攻撃力アップの魔法をかけているのと同じ状態になっているのだ。
ただの鉄の塊なのに攻撃力だけは名刀レベルになっているのである。
無論それに気が付かない材木座、嬉々として大剣を振り回し一色と川崎からやれやれといった目で見られるのであった。
そして魔導書も買い込み早速魔法の特訓も始めることにした。
「フム、やはり我は風・・・自由な風の魔法を会得するのがよいな!」
そう言いペラペラと魔導書をめくる
「えー義輝先輩って見るからに土っぽくないですかー?風だと沙希先輩の方が向いてるっていうかー」
「んもう!一色殿!水を刺さないで欲しいでござる!」
とは言うが色々見ると投石の魔法というのがある模様、鍛えれば巨大な岩を大量に降らせることが出来るらしい
「・・・もしやこれを極めると伝説の『メテオ』を習得できるやもしれぬ!一色殿!おぬしのおかげで開眼した!我は投石の魔法を極めようと思うでござる!」
「・・・そ、そうですか」
「うむ!あとよく考えると我も回復魔法を覚えたほうが良いかもしれぬな!回復役は多いに越したことはない!」
「あたしはどうしよっかなー」
三人は魔導書から魔法を選び攻撃魔法の練習を始める
「ゆけ!ファンネル!」
材木座がパチンと指を弾くと複数の石が宙に浮きまっすぐに飛んでいく
「ムホホ!これはいい!我もニュータイプ?」
そういうと石をバンバン飛ばしていく
「アイスストーム!」
「ウインドカッター!」
一色も川崎も魔法の練習をするのだが連発しすぎた為あっという間に魔力が付きてしまう
「あれ?もう魔力切れちゃいました」
「あたしも・・・」
「はぽぽん、こういう時は定番の魔法があるはずであるが・・・」
材木座は魔導書をパラパラとめくる
「うむ!あった!魔力転送!ふむ・・・第八位の魔導書が必須とあるな・・・となまだ我の魔法スキルでは難しいのか・・・ウム!二人ともしばし待たれよ!」
そう言うと材木座は自分で考えたかっこいいポーズをとりつつ投石魔法を連発する
「ムッフッフ、この華麗な魔法捌きにきっと二人もメロメロであろう!」
材木座はちらっと見ると二人は全く材木座を見ていない
「えー沙希さんもっと肌出した方がいいですって!わたしみたくショートパンツにしてみませんか」
「それはちょっと・・・あたし格闘専門だから肌に傷とかつくと・・・」
「沙希殿の生足・・・いや、そうじゃなくて、ちょっとは我のこと見てくれても・・・」
と少し悲しくなる材木座であった。
そんな感じでひたすら投石の魔法を連発すること半日、ようやく第八位の魔導書を契約できるようになる。
「フム、やはりRPGのように延々と同じ事を繰り返すと良いみたいだな、しかしちょろいものよ!あっという間に第八位まで使えるようになったわい!」
通常こんなに早くスキルは上がらない、勇者として召喚された比企谷や葉山ですらスキルを一つあげるのに集中訓練をしても一週間はかかっている。
しかしまともな戦闘をしてこなかった一色、川崎からすると何がおかしいのか理解できていなかった。
そもそも材木座自体がおかしいので色々相殺されているというのもある。
早速第八位の魔導書を購入した材木座
「フムフム・・・あった!これだ!いくぞ!マナトランスファー!」
材木座が叫ぶと一気に大量の魔力が一色と川崎に流れ込む
「ひゃん!」
「うっ!」
喘ぎ声を挙げる二人
「だ、大丈夫でござるか・・・?」
「大丈夫・・・ちょっと衝撃が強すぎただけです・・・」
「おかげで魔力は満タンみたい」
と二人も魔法の練習を再び続行することにした。
この魔力転送、材木座が発動させると相手の許容量を超えた魔力を強引に注入してしまうのだ、その為無理やり魔力の最大値を引き揚げるという効果が発生してしまった。
そんなことは露知らず魔力転送される度に少しずつ魔力量が増える二人。
「そう言えば攻撃スキルなんかもあるとかっこいいと思うのだが、おぬしらなんか持っておるのか?」
材木座は相変わらず投石魔法を繰り出していたのだがだんだん飽きてきている模様。
「わたしは盗賊スキルも持ってますんでスカウトとか、鍵の開錠スキルとか、あとはモンスターの持っている物を見れたりとかで戦闘には直接関係ないですね」
と一色
「あたしは格闘スキルしかないからね、基本的に空手とあんまり変わらないけど・・・」
と川崎はふと思いつく
「義輝、そこの岩に背中付けて立ってみて?」
川崎は材木座を大きい岩にぴったりくっつけるように立たせた。
「いい?絶対に動かないで?」
と川崎は拳を握り気を溜める
「はぁー・・・」
「あ、あの・・・沙希殿?なんか怖いんですが・・・」
「いいから動かない!動くと死ぬよ!」
「ひぃ!」
悲鳴を上げて直立する材木座に、目をつむり集中している川崎、数秒後カッと目を見開くと
「奥義!通し!」
川崎が材木座に飛び掛かかり拳を材木座の腹にめり込ませたとたん、轟音とともに材木座の背後の岩にひびが入る
「ひぃ!」
「一応これがスキルらしいスキルかな?相手の背後の物だけ破壊する技だよ」
「すっごーい!沙希先輩かっこいいですー」
と川崎に抱き着く一色
「やっぱ沙希先輩素敵ですね」
「ちょっといろは・・・」
「う・・・確かに痛くない・・・ちょっと怖かったけどかっこいい!我も使いたい!この剣でな!」
と背中に背負った大剣を振り回す
「いやこれ格闘用のスキルだし・・・」
「良いのだ!あと一色殿のスカウトスキルも教えてくれ!」
「別にいいですけど・・・何でですか?そんなに頻繁には使わないと思いうんですが」
「我がステータス二桁ってこと忘れてないか?いち早く強いモンスターを察知して逃げるのよ!」
ぐっと握りこぶしを握って力説する姿に呆れる一色と川崎
ともあれ二人とも魔法の練習に飽きてきたこともあり材木座にスキルの練習をすることになる、材木座の膨大な魔力のおかげかスキルを難なく習得
「義輝先輩ステータス二桁なのになんで覚えるのが早いんですかー?わたしこのスキル覚えるのに結構面倒だったんですけどー?」
「それより通しのスキルがなんで後ろの物だけ斬るのになってんの?なんで剣が前の物を素通りすんの?あんた色々おかしくない?」
与えた打撃をそのまま後ろに通してしまう通しのスキル、しかし材木座の膨大な魔力により障害を素通りし任意の物だけを斬る技に変化してしまったのだ。
しかしそこは材木座、細かいことは気にしない。
「ふ!吾輩は秘めたる能力を無限大に持っているのでな!このぐらいは朝飯前よ!」
こんな調子なので川崎もやれやれと細かいことは気にしなくなっていた。
「んじゃせめてイグニッションをまともに使えるようにしてくださいよー」
「いくらやっても小さくならぬだ」
と材木座はイグニッションと唱える
「だからその大きいジェット噴射みたいなのを小さくなるよう念じるとかすればいいんじゃないですか?」
「ほむん、そう言えば出すタイミングややり方を考えてばかりで出しながら念じたことは無かったな」
爆音で吹き出す光り輝く炎は吹き出してるだけ物凄い熱量、その状態で材木座は念じる
「もっと細く、小さく・・・ウムムムム!」
目を閉じ念じ続けると光り輝く炎は徐々に細くなっていく
「へーやれば出来るじゃん」
感心している川崎だったが炎は細くなるにつれ長さを増し、吹き出している音がどんどん甲高く、色も青く変色していく
「・・・ちょっとやばくないですか・・・」
そしてピーという音甲高い音とともに青いビーム状に変化する炎
「あ!これ知ってます!シン〇ジラのアレですよ!義輝先輩!これやばいですって!」
「は?」
甲高い音に材木座は目を開けると目の前にはビーム状の炎
「え?なにこれ?え?ちょっと・・・」
驚いた材木座が手を振り回すと近くの木々は真っ二つに切断され爆散、岩も真っ二つに割れ爆散、手を少し降ろすと直線状に伸びた炎は大地に深く潜り込み、溶岩が吹き出す
「義輝!やめて!」
「義輝先輩!ストップです!」
気が付くと材木座の周辺は溶けて溶岩状になった岩石や一瞬で黒焦げになった林、大地からは溶岩が吹き出して地獄絵図となっていた
「どうすんですかこれ・・・」
「あとでウォーターを使って全部流すなりよ・・・」
「水蒸気爆発とかするんじゃないの?」
「離れた所からやります・・・」
このめちゃめちゃになった場所には材木座達は二度と近寄らなかったのだが、しばらくの後、材木座がやらかした場所を発見した冒険者よりドラゴンが近くに降りた跡があると大騒ぎになる、ちょうど近くの村がドラゴンに襲われ壊滅したこともあって、討伐隊を編成すべきと世論が紛糾することになったのである。
次の日材木座はさらなる魔法の特訓に着手する
「時に一色殿?回復魔法はどうやって鍛えればよいのでおじゃるか?」
「怪我した人がいないと使えないですからねー、そうだ!義輝先輩!ちょっと沙希先輩に思いっきり殴られてください!」
「おぬし!我を殺す気か!しかし確かに怪我人が必要であるな・・・」
「そう言えば近くの村がドラゴンに襲われたからその復興作業の依頼もギルドにあったような?」
と川崎
「復興!成程!きっとけが人も多いやもしれぬ!早速行くなり!」
「ちょっと!まって!まずギルドに!」
と川崎が叫ぶも材木座は全く聞かずそのまま走って行ってしまった。
「これはひどい」
村は建物が殆ど焼けておりけが人はゴザの上に並べられて重傷者から順番に回復魔法をかけてもらっているようだがどう見ても人手が足りない
材木座は建物の側に座り込んでいる老人へと近づく
「ご老人!さてはどこか具合が悪いのであろう!我に任せよ!」
と回復魔法をかける
「特訓に強力してくれた俺である!これを食べるとよい、我は練習が出来、そなたは見返りとして食料を得る、まさにWIN-WINの関係である!」
そういうとアイテムボックスに大量に保管していた保存食を取り出し渡しその場を立ち去る。
「重傷者は専門の者に任せればよかろう!ほら一色殿も訓練である!沙希殿は食い物を渡すのだ!」
「へいへい」
だるそうな顔の一色だが回復魔法をかける時は表情が一変
「大丈夫ですかー痛くないですか?今回復魔法かけてあげますからね?」
そんな感じでは回復魔法をかけては食料を渡す、それを繰り返してた。
ドラゴンに襲われて壊滅状態になった村では噂が立つようになった。
黒の剣士とそのお付きの美少女が怪我を癒してくれたと、そして皆が回復し勇者へ感謝をしようとしたがいつのまにかいなくなっていたという。
黒の剣士と美少女、きっと噂に聞くサンキンガル王国へ召喚された勇者達のことではないかということだった。
サンキンガル城内にて
「はっくしょん!」
「ヒッキーどしたの?風邪?」
「だれか比企谷くんの噂をしているのでしょう、そんな真っ黒い恰好しているんですものね」
「おにいちゃん、まだ中二病が抜けないの?」
「僕はかっこいいと思うけど、葉山君は真っ白だから対称的でいいと思うよ」
「分かってくれるのは戸塚だけだ、戸塚、結婚しよう?」
奇しくも比企谷も材木座と思考は似通ってたらしく黒の剣士こと某キ〇トの真似をした恰好をしていたのであった。
「だからギルドの依頼を受けてから行けばよかったのに」
川崎が呆れ顔でギルドの受付嬢へ食ってかかっている材木座をたしなめる
「だって!あんだけの人を回復させたのに!なんで我らがやったことになってないの?」
「ですから、サンキンガル王国の黒の剣士こと八幡様達がいらしてくれたと言っていますよね?現地の冒険者の話でも裏が取れています」
「いや!だからそれは・・・うぁーん沙希殿ー」
「くっつくな!お前が悪い!」
「そうですね、さりげなくセクハラしないでください義輝先輩」
結局材木座達の報酬は無し、回復魔法の能力が著しく向上しただけとなった。