時刻は既に11時を回っている頃、廃工場で戦闘が繰り広げられていた。
3体の怪人に向かってケルベロスクローを振るうウィッシュ。
「キィィィーーーーー!!」
鳥のような怪人が吹き飛ばされる。
ウィッシュに追撃をさせぬため、一角の怪人が角から光線を放ち攻撃する。
これを4連続バク転で回避する。その先にはパンダの怪人が待ち受けていた。
「っく!」
『奴ら、やりよるな。』
今までのウィッシュの戦いはタイマンだった。
その為、多数の敵と戦う経験を持ち合わせておらず苦戦を強いられている。
「ぐぉぉぉ!!」
突撃してきたパンダの怪人を受け流し、ベルト右側のスイッチを操作し、
イネインスイッチを二回押す事で必殺の体制に入る。
〈ケルベロス・イネインチャージ!〉 〈ケルベロスザンパー〉
イネインエネルギーが濃度が高くなり黒色に変色した、ケルベロスクローを振り下ろす。
「はぁ。」
「ぐぉぉぉ!?」
爆発を起こし、パンダの怪人を撃破する。
「ガァァァーーー!!!」
仲間がやられた怒りからか、先程よりも強力な光線を放つ。
それを転がる事で何とか回避するウィッシュ。
起き上がりざまにイネインスイッチを二回し、飛び上がり急降下キックを放つ。
「はぁぁ!」
その攻撃は第三者の攻撃によって不発に終わる。
変身が解け、地面の上を転がる夢とケルス。そこにコロクが近づいてくる。
『大丈夫か、夢!』
「・・・・うん。」
「まさか、噂の正義のヒーロー様の正体がこんなガキだったとわな!」
声が聞こえた方向に視線を向ける夢。
そこに居たのは、背丈が大きな鍛えられた肉体を持つ金髪の青年。
足元には、どことなくケルスを思わせる黒猫の機会がたたずんでいた。
「貴方は、一体?」
「俺?俺は田倉 ゴウ《たくら ごう》。スラム育ちのハーフだ!
こいつ、【シーケット】の適合者。お前風に名乗るのなら・・・」
ゴウがシーケットと呼ぶ黒猫に視線を向ける。
それにこたえるかのようにシーケットが変形していき、黒色のベルトに変わる。
それを腰に当てる事で帯が巻かれる。ベルト上部のレバーを倒すことで音声が鳴り響く。
〈change〉
次の瞬間、
「仮面ライダー・・・ブロークン。」
白いボディの上から青のラインに、腰には落ち着いた金色のローブ。
何処となく猫を思わせる頭部は複眼を青く輝かせている。
その姿は人々を救い・導く、英雄の様あり、夢の思う仮面ライダー像にも当てはまる。
『気を付けろ夢・・・』
『あのグローブから、ソルト結晶の反応が出てる。』
「どういう事。」
コロクとケルスからの警告に言葉を返す夢。
その疑問に答えたのはブロークンだった。
「簡単さ、お前らの言うソルト結晶を使ったシステムそれが、ブロークンなのさ!
まぁ、代償は安くないが俺には関係ねえ。戦おうぜ!仮面ライダーウィッシュ!!」
「・・・願いは戦闘ってところ。」
「そーいう事だ。」
「変身。」
〈チェンジ・ウィッシュ! アミナス!〉
無表情の少年と陽気の青年・黒のライダーと白のライダー・・・
相反する二人の戦いの火蓋がいま、落とされた!
「はぁぁぁぁ!!」
「っふ!」
ブロークンの拳を受け流し、蹴りをで攻撃するウィッシュ。
ウィッシュの攻撃はガードされ、エルボーを喰らう。
そこから二人の攻防は激しさを増す。
しかしながら戦局はブロークンの方が有利だった!
ウィッシュ事夢は今まで、ウィッシュの持つパワーでのごり押し戦闘スタイルで勝ってきた。
それに対してブロークン事ゴウは、対人戦をくぐり抜けてきた経験と型を生かした戦い方。
素の状態での戦闘力の差が決定的なモノとなっていたのだ。
それでも夢がゴウに喰らいつけていけているのは、
人知を凌駕している異形との戦闘をしてきたゆえの物だろう。
ブロークンの蹴りをバク宙で距離を取りながら躱す。
その光景にブロークンが驚く。
「結構、アクロバティックなガキ事・・・」
それを横目にベルト右の顔を閉じるように操作し、イネインスイッチを二回押す。
「必殺技か!?」
〈ケルベロス・イネインチャージ!〉 〈ケルベロスザンパー〉
黒色のケルベロステールを斬撃光輪として放つ!
それは真っ直ぐとブロークンに向かって・・・・・・
「なに!?」
「ガァァァーーー!?」
行かずに通り過ぎ、一角の怪人を撃破する。
「やってくれるねぇ!?」
『っな!』
その光景を見たブロークンが高速でウィッシュの前に移動し、蹴り飛ばす。
「しらける事しやがって!」
「キィィィーーーーー!!」
不貞腐れたブロークンが呟く中、鳥の怪物がブロークンの横に降り立つ。
何とか立ち上がり、戦闘態勢を取るウィッシュ。
「私の作品の数々は、気に入ってもらえましたかな?ヒーロー君?」
そこにDr.ケトルの声が響き渡る。
「Dr.ケトル・・・ホログラム?」
ウィッシュとブロークンが視線を向けて先には、Dr.ケトルのホログラムが浮き上がってた。
「ザッツライト!正解だ!」
「作品ってどういう事?」
「君が戦った3体の怪物は私の作り出した、人造の人型生命体でねぇ~
あ!【ビーストリネット】って言うんでけどね。それと、ブロークンのシステムも私が、
君の戦闘データを解析して作り上げた物なんだ!」
『どうやって、ウィッシュの戦闘データを!!』
Dr.ケトル言葉に珍しくコロクが言葉を荒げる。
「ふ~む・・・君達は最近おかしなモノと戦った記憶はあるかね?」
『おかしなモノ?流暢に言葉を喋るソルト怪人とは、戦ったぞ。』
『おい、犬こっろそれは・・・・まさか!?』
ケルスの言葉を否定しようとしたその時、有る一説がコロクの頭の中に浮かび上がる。
「そのまさかさ!ゴウ君、アレを【フキナガシフウチョウ・ビーストリネット】に。」
「りょ~かい。まぁ、せいぜい頑張れよ!」
ブロークンは懐から取り出したソルト結晶のケースを壊し、
ソルト結晶をビーストリネット与える。するとビーストリネットは巨大な影へと変貌を遂げる。
撤退するブロークンの姿を横目に、一瞬だけ紫色に光らせ神甲虫を召喚する。
『どうする気なんだ、夢?』
「取り合えず、戦う。ほとっく訳にも行かないし。」
神甲虫にまたがり、モニターに映るバイクのボタンをタップする。
〈テンタティブロード!〉
半透明の道が出来上がり、その上を走行する事で、
飛行する【フキナガシフウチョウ・ビーストリネットソルト】を追いかける。
『夢!』
〈ガトリングシュート〉
ケルスの言葉を聞きながら、複数のイナゴが描かれたボタンをタップする。
すると神甲虫からイナゴ型の光弾が次々と発射される。
しかし周り効いておらず、ビーストリネットソルトは町中に向けて飛ぶ。
「・・・なら。」
今度は、バッタのボタンをタップする。
〈神虫・イネインチャージ!〉
緑色のオーラに包まれた神甲虫を操り、ビーストリネットソルトに突撃する。
「ギィィィーーーーー!!」
1本の羽飾りを破壊するも、ビーストリネットソルトが、
怒りの咆哮と共にウィッシュに突っ込んでくる。
「っく。」
当たる直前で、テンタティブロードの時間制限が来たため、地上に墜落する形で回避に成功する。
しかしウィッシュいや、夢の左手にかなりの負荷がかかってしまう。
「ギィィィィーーー!!」
気にする暇まなく突撃し、ウィッシュをクチバシで捕らえる。
「・・・ケルス、ごめん。」
『え?』
何とか動く左腕で、ベルトの左側の顔を操作する事でスイッチを押す。
『ゆ、夢・・・ダメだ‥…』
〈デンジャラス!〉
夢の使用としている事を察したケルスが、声を震わせる。
関係無しにと、ベルトから危険を示す言葉が流れる。
『夢のやつ!』
神甲虫の傍にいたコロクもまた、異常を察知していた。
イネインスイッチを二回押すことで、必殺の一撃が繰り出される!
〈ウィッシュ・デス・バースト!!〉
その日、人々は紫に光る