【旧版】仮面ライダーウィッシュ   作:火野ミライ

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Chapter.6

「・・・・・」

 

ボーっと、天井を見つめる。前にもこんな事あった気がする。

体を起こし、すぐそばに置かれていたリアを起動。時間を確認。

 

時間は6時ちょいすぎ。あと、2時間も無い。

 

「お目覚めになりましたか、夢様。」

 

部屋の入り口から声が聞こえ視線を向けると、いつかあった執事が居た。

この人がいると言う事はここは、風紫町内にある天羽家の別荘だろう。

 

「君は、もう戦わなくて良いんじゃ無いか?」

 

起き上がろうとした僕に声をかけてくる人物。天羽 相馬君、天羽家の坊ちゃまで、

僕が仮面ライダーであること知っている人物の一人だ。相馬君は自身の手を僕の手に重ねる。

 

「君はよく頑張った。こんな細い手で、その白い肌には目立ちすぎる赤い血を流し、

 直ぐにでも消えそうなくらい小さな君が、途轍もなく大きく力強い強敵たちと戦ってきた。

 そして、いくつもの命を救ってきた。だからもう、戦わないで良い。

 この街から一緒に逃げよう。それで専属メイドや仲間と共に家に来い。

 そうすれば、毎日の食事・新しい服・ 病院で定期的に診察だって出来るようになる。

 だから、俺家に・・・・・天羽家の一員になるだ。」

 

この子は本当に小学3年生なのだろうか?確かに天羽家の情報網はかなりのものだ。

だから相馬君が本気で、『紫吹 夢』と言う少年について調べると、

『リーム』と言う少女で隠された紫吹家の闇なんてすぐに暴かれるだろう。

家は風祀神社関連で、今の地位まで登った見せかけなのだから、由緒正しき天羽家には敵わない。

 

それに相馬君の言ってる事は『紫吹 夢』的にも、『リーム』的にも悪くはないけど…………

 

「ごめん。そして、ありがとう。」

 

「っ!」

 

相馬君の息を引くのが耳に入ってくる。仮に相馬君の意見を受け入れたのなら、

『リーム』はもう必要なくなるし、『紫吹 夢』は適切な治療を受けることも可能だろうし、

虐待は受けない・毎日ベットで寝れる・衣食住の整った夢のような環境で過ごせるのだろう。

運命に嫌われているのに、不幸に包まれた現状。それとサヨナラ、ハッピーエンドだ。

けれどそれは、今の僕では喉から手が出る状況であり、選んじゃいけない事だと思う。

今、風紫町を守れるのは、第三の僕『仮面ライダーウィッシュ』だけなのだから。

 

「行かなきゃ、いけないから。」

 

包帯に包まれ素肌が見てない両腕を支えに、ベットから降りる。

視界が悪い、多分血が足りてない。物との距離感が分かりづらい、左目の眼帯のせい。

窓からの日の光がキツイ、今日が晴天だからか。壁に体をぶつける、足がもつれただけ。

何かが目にかかる、頭部に巻かれた包帯がズレた。口の中に液体が溜まった、血だった。

 

「どうして!」

 

相馬君の叫び声を聞き、後ろに振り返る。俯いていて表情は分からない。

ただ、その体を激しく揺らし、力強く拳を握っていた。

 

「どうして夢君は、この街を守る!君は、警察のようにこの街に残って戦う義務なんて無い!!」

 

確かに、義務や使命なんて無い。何なら、紫吹家を出ること自体にも異議はない。

 

「仮面ライダーだから。」

 

涙をこらえている相馬君の目を見て話す。

 

「仮面ライダーだから、戦う。 理由なんて後から勝手に出来るらしいから。」

 

仮面ライダーに憧れ、命を落とした僕。そんな僕が仮面ライダーとして戦ってる。

守れなかった者や、傷ついた者。間に合わなかったじゃ、すまされない。

だからせめて、彼らの暮らしたこの街を、家族の帰る場所だけは・・・・・

きっとこれから何度も悩みに苦しむのかもしれない。それでも!

 

「相馬君達は、この街から逃げて。」

 

「・・・Dr.ケトルの居場所は、君の仲間たちに伝えてある。勝ってこい、親友。」

 

相馬君の言葉に頷き返し、部屋の外。そして屋敷の外へ出ようとドアノブを掴もうとした瞬間、

後ろから聞きなれた声が聞こえてくる。振り返るとそこには予想どうり、彼女が居た。

 

「夢君。・・・いいえ。夢お坊ちゃま、これを。」

 

僕の専属メイドは手渡しで日焼け止めクリームを渡してくる。

・・・正直、素肌は包帯で隠れているので要らない。

日向さんに返そうとして、手で拒んできた。

 

「今の私にはこれしかできません。ですから、気持ちだけでもお願いします。」

 

「・・・・ありがとう。」

 

深々とお辞儀をする彼女。そんなに言われたら、受けるしか選択肢ないじゃん。

クリームをポケットに入れ、今度こそ屋敷を出る。

そこには、神甲虫の上に座る二つの影があった。

 

『『「・・・・・・・・・・・」』』

 

ケルスとコロクは、僕に視線を向けるだけ。そして僕も何も言わず、只々見つめる。

覚悟は珍しく届きそうだった幸運・・・いや、普通を蹴り倒した時点で決まっていた。

後悔はするかもしれないし、何ならした後。だから後は、進むだけ。

だから力を貸せ、地獄の番犬に悪魔。

 

『『・・・・・』』

 

「ありがとう・・・・・」

 

僕の意思をくみ取った彼らは、僕の傍へとやって来る。今日は感謝の言葉を口に出してばかりだ…

ケルスはウィッシュドライバーに変形し腰に装着。コロクは、僕の肩に座る。

僕自身は神甲虫の座席にまたがり、モニターに映るヘルメットのボタンをタップ。

すると自動調節された緑色のヘルメットが召喚される。それを被りハンドルを握る。

心臓はバクバクするし、背中はゾクゾクしてる。・・・気がするが無視。

 

ゴーストタウンとなった風紫町内で、バイクを走らせる。

・・・と言っても、神甲虫のAIによる自動走行。僕らは捕まっているだけ。

走ってる車も無いし、時間も無いので信号も無視。良い子は守ろうね。

 

「・・・・変身。」

 

片手だけハンドルから手を離し、イネインスイッチを押す。

 

〈チェンジ・ウィッシュ!〉

 

紫の光が僕を包み込むかのように飲み込む。

 

〈アミナス!〉

 

身長が成人男性ぐらいへと変わり、全身の皮膚は強化されている。

複眼色は変身する前と同じく、赤く輝いている。

 

____________________________________________

 

「無駄無駄ぁ!」

 

大きなアンテナが付いた建物の前で、ブロークンと警察が戦闘をしていた。

いや、その光景はただの弱い者いじめ。警察側が圧倒的に不利だった。

それでも彼らは譲れない物の為に、攻撃の手を緩めない。

 

「いい加減ウザいな。消えろ。」

 

冷たく呟かれた一言。その一言に警官たちは身構える。

ブロークンが動き出そうとした瞬間、バイクの音が周囲に響き渡る。

その場の全員が視線を向けると、昆虫を思わす緑のバイクにまたがるウィッシュの姿が!

 

「来たか!」

 

高鳴る感情を隠しもしない、聖騎士のような白の仮面ライダー

 

「決着、つけようか。」

 

バイクから降り感情を感じさせず要件を言う、暗黒騎士のような黒の仮面ライダー

 

「「・・・・・」」

 

ウィッシュとブロークンの第二ラウンドは、合図も無く始まった。

攻防の最中ウィッシュはブロークンの肩を掴み、建物内へと壁を突き破りながら入って行く。

 

「頑張ってください、ウィッシュさん。」

 

その様子を岡川 雄一をはじめとする警官が見守っていた。

 

 

 

 

 

 

to be continued

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