ビーストリネット____元々は災害時、人や機械でのレスキュー・救助活動が困難な時、
代わりに救助活動を行う人工生命体として研究され始めた。
人に忠実で害のない生命体。それがDr.ケトルが目指したものだったの。
しかしと言うか、当然と言うべきか、人工的に新たな種(命)を作り出すことに倫理的に、
そして現状の兵器を超えるスペックを持つモノに対しての反対の意見が多数で、研究は凍結。
それと同時に科学者の肩書を失ったわ。
その後やさぐれていた彼は未知なる鉱石・ソルト結晶を発見。
独自に研究を開始。その研究データを基に一体の戦闘用ビーストリネットを開発。
予想スペックなら【イッカク】【パンダ】【フキナガシフウチョウ】よりも強力だった。
けど実際には作戦に投入されることは無く、プロトタイプの3体が導入されたの。
ちょっと脱線しちゃったわね。要するにさっきの怪人は【ゴリラ・ビーストリネット】よ。
それにしてもまさか、残ってたなんて思いもしなかった…‥‥
『私が話せるのはここまでよ。具体的な対策まではさすがに、何とも言えない。』
「ううん。気にしないで。」
あの戦いの後、気絶した僕を岡川刑事が発見・保護してくれた。
僕が目を覚ましたのはゴリラ
刑事さん達に礼を言いテントを出た僕たちは、適当な場所で話し合っている。
『‥‥‥なぁ、夢。』
「何?」
無い知恵を頑張って振り絞ってるとコロクが突然、声をかけてきた。
『ウィッシュシステムは、対ソルト結晶用として急遽作られたものなんだ。
正直言って、ビーストリネットの相手は荷が重い。』
「うん。」
『かと言って、シーケットの変身システムはオススメ出来ない。
…‥‥それはウィッシュシステムも同じか‥…』
苦笑い気味に言葉を紡ぐコロク。人間の僕よりも人間らしいぐさに何も言えなくなる。
『夢は大人びてると言ってもまだまだ、子どもだ。ソルト結晶の事件を終えた今、
戦わずに周りと同じように逃げてもいい。今回の相手はそれぐらいヤバいんだ。』
見た目は小学生だけど中身は高校卒業済み、なんて思いながら言葉を発していく。
「コロクの言う事は分かるよ。でも僕は知ってしまったから‥‥‥」
思い浮かべるのはいつかの病院。そこで苦しむ患者。
「それに、僕は仮面ライダーだから。」
仮面ライダーが放送されて無い子の世界で、この言葉の重さはちゃんと理化したつもりでいる。
僕の憧れた彼らなら、こんな時ども立ち上がり、人々のために戦うはず。
だから、自発的に名乗ってる僕も立ち上がるだけ。
『‥‥分かった。けど、死ぬなよ。』
「うん。」
2回目の死なんて味わいたくないしね。その言葉を発しそうになって口を閉じる。
さぁ、行こう。今を守るための戦いに!
____________________________________________
火の手が燃え上がる夜の街中、異形の怪物が暴れてる。
そこアルビノ少年が無表情ながらも、確かな覚悟を持った目をして怪物と向かい合う。
「グオォォォォ」
その少年・夢をみた、怪物・ゴリラBRはドラミングと咆哮を上げる。
その様子はまるで、夢の登場を喜んでいるかのように。
「ケルス、行くよ。」
『よっしゃー!おいら達のそこ時から見てやる!!』
夢の声に応え、ケルベルスのロボットが言葉を上げる。ケルスはその場で跳び上がり、
押しが折りたたまれ左右の口はサイドパーツへと変化する。
決して小さくないウィッシュドライバーを片手で持ち、腰に当てる。
「変身。」
頭部にあるボタンを押す。するとベルトの正面の顔が中央にある赤い宝石に噛みつく。
すると夢の身体を紫色の闇が包みこみ、その姿を作り替えていく。
〈チェンジ・ウィッシュ! アミナス!〉
闇が晴れるとそこには複眼を赤く輝かせたウィッシュの姿があった。
「ニクス。」
『夢君、行っちゃいましょう♪』
夢に愛称で呼ばれご機嫌な蒼色の鳥、いや不死鳥のロボットが飛んでくる。
ニクスもまた変形し、夢の手元に来る。右側の顔を開きスリットを露出させる。
そのスリットにニクスをセット、折りたたまれていた羽が開き、
ケルベロスが加える中央の宝石に向かって飛翔する不死鳥の構図になる。
〈イレーズ!〉
音声が鳴り響いた後、足元から徐々に蒼い炎がアミナスの装甲を燃やしていき、
ついにはウィッシュが炎の渦に飲み込まれる。次第に炎は新たな装甲へと変化。
残った炎を手で振り払い、全貌が明らかとなる。
「はぁ。」
地を駆けゴリラBRに接近。そのスピードは装甲が少ない分、アルミナスよりも早くなってる。
「グオォォォォ!」
ゴリラBRの攻撃を紙一重でよけ、舞のような連続攻撃を仕掛けていく。
頭上を回転しながら飛び越え、着地と共に回し蹴り。攻撃を受け流し、その勢いのまま鉄拳。
連続で放たれる蹴りを連続バク転で回避。一つ一つの動きがきめ細かく、他者を魅了する。
「グオォォォォ!!!!」
やられぱなっしのゴリラBRでは無く、いったん距離を取り口から光線を放つ!
『う、嘘~~!?』
『やべっ!』
お調子者の二人の焦りの声を聞きながら背中の翼を展開、飛び上がる。
「うん?」
違和感を感じ左足を見ると本来曲がらない方へと曲がっていた。
どうやら無茶に跳び上がりすぎたようだ。
「グオォォォォ!」
だが、それを気にしてる暇も無く、咆哮を上げるゴリラBRを警戒も込めて見つめる。
それと同時に右足は蒼い炎に燃やされる。炎が晴れるとそこには正常な右足があった。
この現象こそイレーズフォームの能力の一つ、超回復。装甲が少なく、
一つ一つの受けるダメージが大きいからこそ、長時間継続させるための能力なのだ。
「はぁ、たぁ。」
そしてこの能力を使いこなせるが夢の長所であり、短所であるのだ。
夢間掛けて放たれる光線を次々と回避していく。
しかし、休みなく打たれるため中々反撃の糸口が見えずにいた。
(一瞬だ。一瞬だけでも隙があれば‥…)
慣れない空中飛行のせいか、はたまた本人の意思とは違い、無意識に焦り始めた為か、
古銭に当たる頻度が上がっていき、その度に怪我が治っていく。
「グ、グオォ?」
その時、数発の弾丸がゴリラBR命中する。その後持つ続けざまに伝ガンが命中する。
(…‥‥!?)
夢が発砲音が聞こえる方に視線を向けると、強化された視界で警察官らの姿を確認する。
そしてゴリラBRは蚊を鬱陶しく感じるように、意識を警官に向ける。
(今だ。)
その一瞬の瞬間、ベルトのニクスを押し込む。
〈ポエニクス・イネインチャージ!〉
徐々に蒼い炎・イネインフレアに包まれていく。
そんな中、イネインスイッチを二回押し、両腕を広げ体制を整える。
〈ポエニクスドライブ!〉
全身を覆いつくイネインフレアは不死鳥の形となり、そのまま最高速度でゴリラBRに突撃する。
「グオ!?グオォォォォォーーーーーー!!」
ゴリラBRが気づいた時には眼前に迫っておりそのまま、大爆発を起こす。
「「「「‥……………………」」」」
警官達に無言の時間が流れる中、黒煙の中から無傷姿を現すウィッシュ。
「‥…ふぅ~」
「「やったーーーー!!」」
その姿に警官はそれぞれ喜びの声をあげる。その声を背にウィッシュは夜空へと消えていく。
「‥………………‥‥」
その為か?この場に居た全員が戦いを見ていた第三者に気づくことは無かった。
____________________________________________
とある場所。そこではモニターを見ながら会話する影があった。
「さすが、Dr.ケトル最高傑作。この技術が有れば計画は完遂する。」
他の者たちと違い、椅子に座る男性が言葉をこぼす。
「ですが、風紫町には仮面ライダーなるモノが居ます。」
そこに歩のみの男性が不安要素を言う。
「そんなのヒーローごっこをしているあまちゃん。私達の敵ではないわ。」
枯れ木の弱気な発言に、自信満々の女性が発言する。
「仮面ライダー。彼に関する資料は全て消されていた。くれぐれも用心してくれ。」
「「ハ!」」
椅子に座る男性の言葉に、膝をつき返事をする連中。
「【ゼロ計画】開始。」