【旧版】仮面ライダーウィッシュ   作:火野ミライ

3 / 35
第3話.クリスマスプレゼントはトラウマ⁉

今日は冬休みの初日、12月24日。 クリスマスイブだ。

僕には、何にも関係ない。 今日も家には居られずに、ケルスと東屋で過ごしてる。

 

「おぉ~い!」

 

最近聞きなれた声が聞こえ、振り向く。

 

「先輩。」

 

「奇遇だね、こんな所で。」

 

黒髪黒めのザ・日本人の容姿を持つ一つ上の先輩。

小波 春菜、保健室で出会ってから良くさせてもらっている。

 

「って! 膝の上に置いてあるのは、クリスマスプレゼント?」

 

どうやら、ケルスをおもちゃだと思っているみたい。 そう思ってくれた方が楽だな・・・

 

「うん。」

 

「そっか~。 所で・・・その服、寒く無いの?」

 

僕の今の服装はセーラー服。 セーラー服と言っても、水兵の方だけど。

なぜ、こんなのがあるかと言うと、神楽の趣味がコスプレだから。

そして飽き性なのでマイブームが過ぎたら、コスプレ服を捨てるからそれを僕が着ている。

 

「寒さ、感じない。」

 

「夢君って、冬でも半袖のタイプか・・・」

 

違う、先天性無痛無汗症なだけ。

 

【先天性無痛無汗症】

痛みを感じ無い、全身の温痛覚消失などがある。

知らず知らずのうちに舌を噛み切る事もあるのだとか(Wikipedia参照)

 

僕の場合、重症だけど生活に問題ないらしい。まぁ、前世の感覚で動いているからだろう。

でも、感じるのと感じないでは色々と違う。 服による温度管理が出来ないなど、色々。

小波先輩には、話さなくてもいいか。

 

「あ、そうだ! 今日クリスマスパーティーするんだけど、夢君も来ない? 泊まりで!」

 

・・・家に居るより、ましな気がする。

 

____________________________________________

 

先輩の言葉に甘える事にした。

 

「夢君が来てくれて、嬉しいよ。

 友達はみんな、それぞれの家でやるって来てくれなくてね~」

 

小学生だとそれが普通のような・・・ この考え古い?

今はケルスを抱きかかえて、先輩の案内のもと先輩宅に向かっている。

 

「そう言えばなぜ、先輩は僕と関わるの?」

 

今ふと思った事を尋ねてみる。

 

「私さ、絶対音感って奴なの。」

 

【絶対音感】

音に対して記憶を基づいて絶対的に認識する能力。音程まで分かるらしい。(Wikipedia参照)

 

「私、前に怪物に誘拐されそうになったの。 でも、私を助けてくれた人がいたの。

 それでね、まだお礼が言えてないの。」

 

「・・・何が言いたいの。」

 

「その人の声、保健室で聞く生徒の声だったんだよね。 そう、夢君の声だった。

 君が、赤目の人じゃないの?」

 

「っ!」

 

この子、凄い。 本当に年下なの?

 

クリスマスソングが聞こえる街通りの中、たたずむ僕。 先輩は僕の返答を静かに待つ。

太陽は雲に遮られ、人工の光が僕らを照らす。 同じ通りにはクリスマスを満喫する人達(カップル)が。

 

「邪魔だ!」

 

「きゃ!」

 

「「えっ。」」

 

返答に悩む僕の耳に、男性の馬頭と女性の悲鳴が聞こえる。

どうやら、男性が高校生ぐらいの女性を突き飛ばしたようだ。

 

「大丈夫か。 おい! 一体なんだよ。 俺達は普通に歩いていただろうが!」

 

「イチャイチャするなら、外でするな! 家の中でやりやがれ!」

 

彼氏と思われる男性(こちらも高校生ぐらい)が女性に手を伸ばし、

立ち上がらせたあと、突き飛ばした男性に詰め寄る。

 

「リア充なんて、爆発シヤガレェーーー!!」

 

うん?後半の方おかしかった気が・・・

なんて思っていたら、男性が虹色の神秘的な光に包まれ、黒い鳥の怪物になった。

 

「うわぁ!」

 

「キャァァーーーー!!」

 

高校生ぐらいの男性が蹴り飛ばされる。 その光景を見ていた人達が我先にと逃げ始める。

そんな中、バードソルト怪人いや、【カラスソルト怪人】が翼から羽を放ち、

クリスマスの飾りつけを爆破していく。

 

「夢君、逃げよ!」

 

突然の出来事で固まていた先輩が僕の腕を掴んで来た。 その目に涙を浮かべて。

まぁ、普通は怖いと思うよな。

 

「先輩、正解。」

 

「えっ?」

 

無意識に呟いた言葉。 それが先輩の反応へか、それとも先ほどの質問へか。

僕にも分からないけど・・・ 僕が戦って涙を流す人が減るのならば・・・

 

「だから、行くよ。 戦いに。」

 

「待ってよ。 あんなのと戦ったら死んじゃうよ!」

 

「大丈夫。」

 

こういう時、笑えたら良いだろうけど出来ないから、

先輩の腕をそっと引き剥がし、ソルト怪人を視界に入れる。

 

「ケルス。」

 

『いいんだな。』

 

ケルスの問いに、頷きで答える。 それを見たケルスはベルトに変形し、僕の手元へ。

ウィッシュドライバーを腰に当てる。

 

「変身。」

 

イネインスイッチを右手の手のひらで押す。

僕の体は、仮面ライダーウィッシュへと変化していく。

 

「夢君、頑張ってね。」

 

先輩の声援を受けながら、カラスソルト怪人に向かって走り出す。

 

「はぁ。」

 

「グェ!」

 

近づいてすぐに拳で攻撃する。 いきなりの事で対応できなかったソルト怪人は、

吹き飛ばされ、顔面から地面にぶつかる。

 

「邪魔スルナラ、オ前モ、爆発シロ!!」

 

奴は翼から羽を飛ばしてくる。 何とか躱すも、爆風で吹き飛ばされる。

 

「っく。」

 

相手は遠距離攻撃主体。 だったら、ひたすら近づく。

両肩のショルダーフェイスの瞳が輝き、

ケルスの【アニマルモード】時にある稲妻のような螺旋状のライン【イネインドライブ】が輝く。

両腕にかぎ爪状の紫色のエネルギー【イネインエネルギー】を、

纏いカラスソルト怪人に突っ込む。

 

「ク、来ルナ!」

 

羽をかぎ爪で弾きながら、着実に距離を詰め、切り裂く。

 

「クッソ!」

 

「ッ!」

 

カラスソルト怪人は羽を煙幕に使い、空ら飛ぶことで逃走する。

両翼は、飾りじゃ無かった。 さて、どうやって追いかけよう?

 

『大変な事になってるな、夢。』

 

後ろから声をかけられ、振り向く。

そこに居たのは、しばらく会ってなかったデビル型自立ガジェット。

 

「コロク。」

 

『おっと、今はソルト怪人が、先決だ。 こいつを使え!』

 

コロクの持つトライデントから小さな光がゆっくりと移動する。

光は徐々に大きくなり、ある乗り物に変わる。

 

「・・・バイク。」

 

何処か虫を思わせるヘッドパーツに、左右合わせて8本のラインが描かれている。

 

『こいつは、厄災の中でも(ゆめ)を守るバイク型サポートガジェット。【神甲虫(じんかんちゅう)】だ!』

 

バイクか・・・ あの日の事を後悔してないけど・・・

やっぱり、怖い。 自身の感情が感知しにくいけど、一つだけ感知できるものがあった。

それが、バイクへのトラウマ。

 

それは紫吹 夢になって、始めてバイクを目にしたその日から症状が出始めた。

最初は、涙目になる。 次は無意識のうちに涙を流す。

その次は震えが止まらなくなり、今では過呼吸を起こすほど。

 

医者はPTSD近い症状を起こしていると言っていた。

 

【心的外傷後ストレス障害(PTSD)】

過去に体験した恐怖体験(トラウマ)から来る、ストレス障害。(Wikipedia参照)

 

僕の場合は前世の事故だから、医者からすれば原因不明何だろう。

 

『夢?』

 

『おい!どうしたんだよ、夢!』

 

ケルス達の声が遠くに感じる。 でも、乗って追いかけないと。

ブランクがあるとは言え、乗れるはずだ。 何とか身体を動かし、無理にハンドルを握る。

 

「っぐ!」

 

『コロク、夢のバイタルが異常だ!』

 

『・・・バイタルが! 夢の奴、バイクに嫌な思い出でもあるのか。』

 

ソルト怪人と戦ってる方がまだ楽だ。 ダメだ、意識がぁ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---怖いなんて言ってられない。---

 

知っている誰かの声がクリアに聞こえる。 でも、誰だっけ?

知っているけど、知人の声じゃない? 前世の知人の声でもない。

 

---仮面ライダーを動かす力、俺に足りなかったのは、勇気だ!---

 

・・・っ! そっかテレビ・・・いや、スクリーンで聞いた声なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『夢のバイタルが戻った!』

 

気が付いたら、体調は元に戻っていた。 きっと、彼のように克服できたんだ。

 

『大丈夫か、夢!』

 

コロクが僕の複眼()を覗きながら聞いている。 どことなく、しおらしい。

 

「大丈夫。」

 

ソルト怪人から明日を守れるのは、僕、紫吹 夢(仮面ライダーウィッシュ)しか居ないのだから。

 

____________________________________________

 

「ナニ!? 追イツイテ来ヤガッタ!」

 

空を異形の影が何かから逃げるように飛ぶ。

 

「貴方を止める。」

 

異形の影を追って、特徴的なバイクにまたがり追いかける影。

 

「クルナ!」

 

異形の影、カラスソルト怪人は翼から羽を放つ。

 

「防ぎきれる?」

 

バイクに乗る影、ウィッシュは自身が乗るマシーンに語り掛ける。

その声に応えるように、ヘッドライトが淡く光る。

 

「よし。 行くよ。」

 

神甲虫のハンドルを握り直す。 そのまま、羽に突っ込んでいく。

 

「ヤッタカ!」

 

爆炎の中から、八つのラインを光らせる神甲虫が前方に半透明の障壁を張った状態で出てくる。

障壁を消したと同時に、車が走る道路へと合流する。

 

「何だ、アレ!」

 

「クッ!」

 

車があってもお構いなしに、空爆攻撃を仕掛けるソルト怪人!

 

「うわぁ!」

 

電柱や看板にあたり爆発を起こす羽を見て、車に乗る人達は恐怖する。

そして羽の一つが、車に当たるコースに。

ドライバーが諦めたその時、車の上空で羽が爆発する。

 

『よっしゃ! このまま行くぞ、夢!』

 

アミナスブレイズを遠距離で放った、攻撃で車を羽から守ったのだ。

再び、銀色のラインを光らせる神甲虫。 そのまま速度を上げ、車を羽から守るように動く。

羽が当たる瞬間、イネインエネルギーで出来た障壁

【イネインブロッカー】がウィッシュを車を爆発から守る。

 

「決める。」

 

バイクごと大ジャンプし、カラスソルト怪人に近づく。

神甲虫のモニターにある、バッタのマークをタッチ。

 

〈神虫・イネインチャージ!〉

 

銀色のラインから、紫色の光がソルト怪人を拘束する。

 

「ナンダ、コレ!」

 

ソルト怪人が困惑している間に、バイクのマークをタッチする。

 

〈テンタティブロード!〉

 

半透明の道がソルト怪人に向けて生成される。 その道の上を神甲虫が走る。

甲虫のような体を持ち八本の肢を持つ、

バイクと同じ緑色のイネインエネルギーを纏い敵に突っ込む!

敵を拘束し、エネルギーを纏ったバイクで突っ込む必殺の一撃。

【イネインブレイク】がカラスソルト怪人を撃破する!

 

「よっと。」

 

ソルト怪人となった人を空中で回収し、地面に降ろす。

戦いが終わった時には、空から白い雪が降り注いでいた。

 

____________________________________________

 

「「「『『乾杯!!』』」」」

 

「・・・乾杯。」

 

()()は小波家で夕食をご馳走になってる。 そう、ケルスとコロクも一緒に・・・

不思議の一つも二つもあるって、事でそんなに驚いて無いらしい。

何でも先輩の両親は旅好きで、色んな場所を一緒に巡っているうちに恋仲になったとか。

それでも、なじみすぎ・・・

 

「夢君も、ジャンジャン食べていってくれ!」

 

「はい・・・。」

 

普段、必要最低限しか食べないからそんなに食べれないけどね。

それと先輩には、ウィッシュの事は秘密にしてもらった。

別世界の最先端技術(人体の影響は未解明)らしいし。

まぁ現状、僕しか使えないシステムなんだけどね。

後、コロクの調べ物については、後日ゆっくり聞くことにした。

 

・・・だって今は、紫吹 夢の初めてのパーティーを楽しもうと思うから。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。