風紫町付近にある採石場でぶつかり合う影が3つ。
1つは蒼色の炎を両腕に纏うイレーズフォームのウィッシュ。残る2つはクモザルに似た二体のモンスター。過去に取り逃がした怪人と戦闘を繰り広げていた!
その辺に積み上がっていた石を次々をウィッシュへと投げつけてくるモンスターズ。
それら一つ一つを紙一重で躱しながら、ベルトのニクスを取り外し、アクーラをセットする。
〈シュナイデン!〉
ベルトとから音声が響き割った瞬間、ウィッシュの頭上から滝のようにイネインマリンが降り注ぎ、イレーズの鎧や羽をまるで火事を消化するかのごとく消してゆき、その上に新たな装甲が装着された。
「は。」
両腕に装着された3枚刃【ファンティングブレード】を振るい、迫りくる岩を切り裂きながら前進!ベルト右側のケルベロスの顔を操作。
〈マリン・イネインチャージ!〉
ファンティングブレードにイネインマリンが纏わり、月明かりにより赤く輝く。
片方のモンスターに近づき胴体を切り裂き、モンスターは絶命する。
〈ウィッシュザンパー!〉
ベルトから必殺名が鳴り響く中、残るもう一体に迫りアームカッターを振るう。
その一撃を俊敏に回避したモンスターはウィッシュの頭上を飛び越え、相方の死骸を抱え砕石場から去って行く。近くに待機させていた神甲虫にまたがり、モンスターを追いかけるが闇世の中に消えていき、センサーの範囲外にまで逃走。
『また逃げられたぁぁーーーーー!!』
『‥‥うるさ‥‥』
逃走を許したことによるケルスの叫びが森の中にこだまし、必然的に至近距離に聞くことになったアクーラは対照的に静かに呟く。ベルトを操作し、変身を解除した夢の元にコロクとニクスが近づいてくる。
『ま~た、逃げられちゃいましたね。』
『しかしどうする、奴ら既にイレーズフォームの三次元的な動きに対応し、装甲が薄い事に気づいてた上での動きになっていた。次に戦う時はシュナイデンフォームの装甲の分厚さ、それによる速度低下なども学習しているかも知れないぞ。』
『流石に今の一瞬で、そこまで分析はされないだろ!な、ニクス!』
『ケルスパイセン、それフラグです♪』
じゃれ合い始めたケルスとニクスを眼中にも入れずに夢の肩へと乗るアクーラ。
反対側の肩にはコロクが浮遊する。
『あいつらの学習能力から考えて、対策されても可笑しくないはずだ。』
『いや、既に対応してる。』
先程の戦い。本来の想定なら、イレーズフォームのスピードで彼らの俊敏さに対応し、空からの一撃で決めるつもりでいた。しかしながら前回、警察の発表会場での戦闘で彼らはイレーズフォームの長所と短所を学習していたた、ウィッシュの短所を的確に攻めてきていた。更には元々、相性が悪いシュナイデンの動きを少しの間味蓼家で対応して見せたのだ。
クモザル似のモンスター学習能力は人間に数倍もあると考えてよさそうだろう。
「イレーズで
まるで駄菓子を買いに行く子供の様にサラッと呟かれた一言。
その言葉を聞き一名(匹?個?)を除き、じゃれ合っていたケルス達は固まったように夢を見つめる。その様子に疑問を持つ事すらなく、ゆっくりと歩を進め下山し始める夢。
生きているけど、感情を持たない夢。
生きていないけど、感情もつケルス達。
その小さくて大きな違いが、彼らの違って位はいけない歯車が違っているのかもしれない…………