「・・・」
ぼーっと、天井を見つめている。 左腕は器具に固定されており、
現在はふかふかのベットに寝ころんでいる。
「・・・・・・」
視線を横に向けると、部屋は薄暗く、明かりはカーテンの隙間から差し込む月明りのみ。
しばらく天井を見つめていたためか、目が順応し、物の区別がつく。
ベットの右横には
テレビの近くには、リアックフォンやケルス・コロクがスリープ状態で置いてある。
「・・・・・・・・・」
左側には動かないように固定された左腕があり、その向こう側にはスライド式のドア。
現在着ているのは、色までは判断付かないけど、普段着る事の無い清潔なパジャマ。
「・・・病室?」
ここでようやく、自分の状況を思い出す。
相馬君(の執事)によって普通車に乗せれた僕。その運転手が相馬君(+僕)を誘拐。
廃工場に連れられて、運転手がソルト結晶にふれソルト怪人に変貌。
色々あって、ソルト怪人の攻撃により左腕を骨折。ウィッシュに変身し、勝利を収める。
その後、気絶した・・・ややこしい。
「・・・寝よ。」
取り合えず、おやすみ。
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翌日、僕が起きた事によりかるい診察を受けて、自分の状態を聞いた。
しばらく入院して、リハビリをしないといけないらしい。
「・・・」
この病院は、最近多発する未確認生命体(ソルト怪人)による事件の被害者が入院している。
バットソルト怪人に吸血され、血が足りてない患者。
スパイダーソルト怪人により、重症を負った
カラスソルト怪人の爆発する羽により、顔半分をやけど傷を負っている男子高校生。
老若男女問わず様々な人が、今も普通の暮らしに戻れずに苦しんでいる。
「・・・っ!」
患者の様子を見ながら廊下を歩いていると、右腕を失った患者と目が合う。
その目が『どうして、助けてくれなかった!』っと、訴えているように見えた。
思わず目を背けると今度は、死体安置所(霊安室)に運ばれていく、死体と目が合う。
その顔には覚えがあり、僕が変身する前に血を吸われていた男性だ。
『お前が早く変身していたら、助かったのに!!』と言われている気がして
・・・・・・・・気づいたら走っていた。
人間じゃ太刀打ちできないソルト怪人。その被害は、医療崩壊寸前にまで陥ってた。
僕があの時、早く変身して戦い始めていたら、寝ていなければ、
変身するを
看護師の注意の声が聞こえないほど、珍しくパニックになっていた。
けれど、自分で気づくはずもなく、淡々と考えが頭の中をかけめぐる。
命を守る。その事の難しさ・大変さを、僕は知った気でいた。
心のどこかで背けてきた事実。それを目の当たりし、途轍もない恐怖を感じていた。
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『夢ぇ~ どうしたん?』
「・・・!」
『泣いているし、寒いって訳じゃないだろ?』
気が付いたら、僕に当てられた個室の病室で、掛け布団にくるまって震えていた。
そんな僕の肩に乗り、困惑しながらも声をかけてくるケルス。
ティッシュで僕の涙を拭きながら、質問してくるコロク。
普段、感情を感じなれない僕だけど一度感じると、一つの感情に支配される。
コンコンコン!
『やば!』
扉をノックする音が聞こえ、あわてて床頭台の上に移動するコロク達。
「入るぞ。」
一言、断りをいれ病室に入ってくる。入って来たのは、厳つい顔をした男性だった。
「・・・」
男性は夢の状態を見ると、夢の肩に手を置く。
「っ!」
ビックっと体が一瞬震えあがり、ぎこちなく顔を男性に向ける。
「・・・」
「・・・・お、お父様?」
無言で夢を見つめる男性のは、紫吹 平野(へいや)。
夢の父親で、紫吹家の大黒柱だ。
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「すぅー、はぁ~・・・」
「・・・落ち着いたか。」
「・・・はい。」
夢が落ち着くまで、見つめていた平野が真顔のまま声をかける。
「例の怪人に襲われたそうだな。」
「はい。」
目元が赤く膨れている夢も、真顔・・・虚無顔で答える。
「お前の状態は、さっき医師から聞いた。手術費や入院費は気にするな。」
「ありがとうございます。」
親子とは思えないほど、他人行儀な会話を進めていく。
「俺は仕事に戻る、お前は腕を早く直せ。」
「はい。」
冷たい目を向ける父親に対して、感情が消えた目を少年は向けていた。