月明りが照らす夜の風紫町を、白く長い髪を靡かせながら走る。
僕の目の前を飛んでいた【リア】が、その場で止まる。
『反応をロストか・・・』
『またかよぉ!』
僕の横を飛んでいたコロクが、リアの行動を察して呟く。
ケルスの言う通り反応をロストしたのは、今日が初めてじゃない。
「・・・帰るよ。」
リアックフォンことリアを回収し、帰宅路につく。
僕が退院したぐらいに、ある事件が起きた。博物館の展示物の盗難だ。
最初は昔、この街で活動していた女怪盗・【怪盗ルナ】の仕業だと言われていた。
しかし、警察の調査によると怪盗ルナの模倣犯だと確定した。
怪盗ルナとは、1900年代ごろから活躍している怪盗。
ある時突然、姿を消した。その盗み方は、いまだに解明されてない。
なぜ最初に彼女の仕業かと言われいたのかと言うと、当時、怪盗ルナの残していた、
盗みましたカード?・・・が展示品が展示していた場所に置かれていたからだ。
それだけなら、僕達は動かない。
怪盗ルナの模倣犯が現れたと思われる時間、微弱なソルト怪人の反応が出ているのだ。
それも、直ぐに消える。最初は気のせいだと思っていたけど、
模倣犯の過激化が進むにつれ、反応もどんどん強くなっていった。
ここまで、説明すれば分かるだろうか?
僕達が追っているのは、怪盗ルナの模倣犯。ソルト結晶を最大に活用している、怪盗怪人だ。
コロクが言うには、ソルト怪人から自力で元に戻るのは理論上可能らしい。
天文学的な可能性の話だけれども・・・ 現に、可能にした人物がいるのは事実。
けど、予告カード的な物を
警察でも捕まえられないとなると、素人の僕らはどうした物か・・・
アレでもコレでも無いっと考えながら歩いていると、家の裏口に辿り着いた。
時刻は午後10時前。いつもより早いけど、家の中に入ろう・・・・
「っ!こ、子供? d」
「・・・・・・・・・」
一度、裏口の扉を閉め深呼吸をし、再び開ける。
「「・・・・・」」
そこにはワインレッドのメイド服を着た、二十歳手前ぐらいの女性が居た。
取り合えず・・・・・・運命は、僕の事が嫌いらしい。
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「初めまして。私は日向 玲《ひなた れい》と申します。」
「僕に対して、かしこまったら駄目だよ。」
裏口付近を掃除していたらしい新人のメイドが、僕に自己紹介をしてくる。
「紫吹 夢。一応、紫吹家の長男。でも、僕に関わると良くて減給・・・最悪クビだよ。」
「え、え~っと・・・理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「・・・単純、お母様に嫌われているから。ほら、僕ってアルビノで感情無いから。」
自室に戻りながら、新人メイドの日向さんに自分の事を説明する。
「っと言う訳だから、もう裏口付近の掃除を無くていいし、僕に関わらなくていいから。」
「・・・分かりました。」
しばらく考え込んだ後、返事をする日向さん。
「夢坊ちゃまの専属メイドとして、頑張らせてもらいます!」
「は?」
「私、元々社会体験の一環でやって来ましたので、給料とか興味ありませんので。」
「・・・・・・・」
開いた口が塞がらないって、こういう事を言うんだ。
・・・・これが、彼女との出会いだった。
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あれから、三日過ぎた。
いまだに、ソルト怪人の影も形もつかめずにいる。今日も成果を得られずに、帰宅する。
「お帰りなさいませ。」
あの日の宣言通り、僕の専属メイドとして働いている、日向さん。
「・・・・・・今日も、怪盗探しですか?」
「まぁね。」
彼女には、怪盗ルナの模倣犯を探している事が既にバレてたりする。
「そんなに、探さなくても良いと思いますよ。」
「どういう事?」
「この屋敷には、価値あるものがたくさん有りますから。」
「?」
価値ある者?そんなの・・・・
「あっ。お母さんの宝石コレクション。」
今生のお母さんは、お父さんが働いて稼いだお金を、神楽のコスプレ服に使うか、
自身が集めている宝石につぎ込んでいる。
灯台下暗し。あんまり関わりが無いからか、すっかり忘れていた。
「ありがとう、日向さん。」
「いえいえ。」
明日は土曜日だし、待ち伏せしてみるか。
待って、何でお母さんが宝石集めてるのを新人の日向さんが知っているのだろう?
・・・まぁ、良いか。
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と言う訳で、今日一日家の中で待機していた。
結果、11時を超えようとしている。まぁ、そんな簡単には行かないって事か・・・
明日も早いし、寝よう。
『夢!どうやら、来たみたいだ。』
・・・・タイミング悪い。
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月明りが照らす、紫吹家の中庭。
そこに、今回の関連事件の犯人だと思われる、
リスのようなソルト怪人が、宝石箱を持っていた。
「・・・・・・・」
日向さんの予想は見事にあったのは、良かったけど・・・
「もう、やめにしなよ。私の偽物を名乗って、何がしたいの?」
「・・・・・・・」
予想した日向さんが、ソルト怪人に声をかけている。
その様子を窓を少し開けて見聞きしている僕達。
「何か、言ってよ!」
「うるさい!!お前には、関係ない!」
「ッ!」
今までのソルト怪人と違い、その言葉には感情が込められていた。
ソルト怪人は日向さんを押し倒し、屋根へと跳び上がる。
「日向さん!」
「・・・夢、くん。見てたよね。」
力なくその場に座り、話を続ける日向さん。
「私、怪盗ルナの偽物を見つける為にこの屋敷にメイドとしてきたの。
最初は、ダメダメなメイドを演じて、自由に動こうと思っていた。
だから、自称夢君の専属メイドとしてこの屋敷にいたの。それなに・・・
夜遅くまで調査している夢君を見て、気が付いたら・・・・・・・助言しちゃってた。
本当は、私一人で片付けなきゃいけない事なのに・・・」
「・・・お疲れ様。後は、仮面ライダーの仕事だ。」
〈男の仕事は、8割が決断。そこから先はオマケみたいな物。〉だったっけ?
「夢君?」
「だから、後は任せてよ。本物さん。」
それだけ言い残すと僕は、神甲虫を始めて自分の意思で召喚する。
「ケルス。」
『おっしゃ!やってやるで!』
「変身。」
ケルスが変形したウィッシュドライバーを装着し、イネインスイッチを押す。
紫色のエネルギーが僕を包み、仮面ライダーへと姿を変える。
「神甲虫、行くよ。」
〈テンタティブロード!〉
イネインエネルギーで出来た、一時的な半透明の道・テンタティブロードが生成される。
その上を走り、ソルト怪人を追いかける。
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モモンガのように滑空をするソルト怪人。
それを紫がかった半透明の道を走るバイクで追いかける。
「しつこい!」
顔をこちらに向けた、モモンガソルト怪人が口から光弾を放つ。
テンタティブロードの道が曲がり、その道を通る事で光弾を回避する。
神甲虫に内蔵してあるオーバーテーブルによるAIが自動で回避したのだ。
「しつこいのは、お互い様。」
神甲虫の座席を踏み台に跳び、モモンガソルト怪人の両足にしがみ付く。
二人はもつれ合いながら、地面へと落下する。
「くっ。滅茶苦茶な奴だ・・・」
「貴方は、その願いと一緒でここで止める。」
普段と同じく感情がこもっていない、それでも力強く感じる言葉と共に、
拳や蹴りのラッシュでモモンガソルト怪人を追い詰める。
「ま、待て!これをやるから、見逃してくれ。」
そう言ってお腹の袋から取り出すのは、先程盗み出した宝石箱。
「この中身を売れば、数億ゲットしたのと同じだ。だから、頼む!」
『す、数億!?』
「要らない。」
ケルスが驚きの声を上げるん中、イネインスイッチを二回押す夢。
〈イネッシュストライク!〉
「うぁぁぁーーーーー!!!」
紫色のエネルギーを右足に纏い、飛び蹴りを放つ!
ウィッシュのライダーキックが、モモンガソルト怪人を撃破する。
「・・・コロク、縛る紐と毛布出して。」
『ほい。・・・良いのか、夢?』
コロクから受け取った紐で、モモンガソルト怪人の素体の人間を縛り始める。
作業の最中にコロクが、夢に話しかける。
「なにが?」
『あの宝石は、お前のいk』
「分かってる。だから良いの。家族に愛されて無いのは、知ってるし。」
コロクの言葉を遮り、自身の考えを述べる。
犯人を安全かつ、目立つところに運び、モーフをかける。
最後に綺麗とは言えない字で、模倣犯であること記載したメモを
飛ばないように置き、この場を去っていく。
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部屋を照らす光源もなければ、喚起をする為の換気扇。
更には窓も無く、人が生活してるとは思えない部屋。
そんな部屋に置かれた?ボロボロのソファーに、
これまたボロボロの毛布に身を包んだ子供が寝ていた。
『夢は一人じゃない!俺やコロク、春菜達が居る。』
「・・・・・・」
ケルスの今にも泣きそうな言葉が脳内をかけめぐりながら、虚無を見つめる夢。
時刻は朝の4時だ。
「・・・・・・・・・・・」
ハイライトを失った目が、天井を見つめる。
『ゆっ!』
『よせ、犬っころ。』
そんな夢の様子を物陰から、心配そうに見つめる三つの影がある。
『けど!あのままだと、夢が廃人に!』
『それでも、俺達には何も出来ない。』
コロクの言葉に同意するかのように、リアが頷くような動作をとる。
その時、コンコンコンコンと、4回ノックする音が聞こえてくる。
「失礼します。夢坊ちゃま、恐縮ですが、私の私用に付き合ってもらえ無いでしょうか?」
「・・・・・・・・うん。」
入って来た人物・日向 玲の言葉に弱々しく、返事を返す。
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夢たちがやって来たのは、墓地だった。
日向家のお墓の前で、祈っている私服姿の玲。
「すいません。お待たせしちゃって。」
「ううん、気にしないで。」
「此処には、私のおばあちゃん・・・怪盗ルナが眠っているんです。」
「・・・」
目を瞑り、ゆっくりと語り始める玲。
「厳しいおばあちゃんでしたけど、私は好きでした。
おばあちゃん・怪盗ルナは、私の憧れだったんです。
だから、怪盗ルナの偽物が現れった知って我慢できなくて・・・」
「日向さん・・・・・」
玲の目には、涙が溜まり始めていた。
「色々頑張りましたけど・・・私、何もできませんでした。
だから夢君、偽物を懲らしめてくれてありがとうね。」
「・・・どういたしまして。」
「それとこれからもよろしくね。私、正式に夢君の専属メイドになったから。」
「!・・・・うん、よろしく。」
この時の夢は、少しだけ体が軽くなった気がしていた。
「まず手始めに、風紫町の皆さんが不老不死なってもらいます。」
『こいつら、ソルトじゃない!? 気を付けろ夢!!』
「私の作品の数々は、気に入ってもらえましたかな?ヒーロー君?」
「近づくと撃つぞ!」
「やってみろ。」
「貴方は、一体?」
「仮面ライダー・・・ブロークン!」
「仮面ライダーだから、戦う。 理由なんて後か勝手に出来るらしいから。」
「お前の