姉とは本当にいいものだ。15年ほどの人生でこれほど一緒にいて楽しいと思える人は正直いない。そんな俺の姉たちはいろいろと魅力がある。すべて言ってもいいのだが、自分がちゃんとした言葉で表現できるか自信がないので、敢えて短く説明させてもらおう。
姉の1人陽乃こと、陽姉は明るくて社交的、誰にでも好かれるような人間である。しかし、そんな姉でも嫌なことだったり、納得のいかないことはあるらしく、そんなときは俺に愚痴ることもある。その表情と普段の究極人間とのギャップは俺しか今のところ感じることのできないもので、そんな素顔は一際可愛らしく見えてくる(少年ぽい自分が言えることではないが)
もう1人の姉の雪乃こと、雪姉は陽姉とは対称的で大人しい性格で常に落ち着いてて、クールな印象である。でも以外にも熱いところがあったり、猫やパンさんに対してはめちゃくちゃ情熱的になる。何度俺も魅力について語られたものか。だが、そのときの嬉しそうに語る姿はもう可愛らしくてこっちの脳味噌がとろけそうなほどである。
結論。何が言いたいか。姉とは正義であるということだ。
4月のある日の晩、どういうわけだか、俺はアパートのリビングで正座させられていた。そのアパートの主は雪姉である。
「星斗、なんでこんなことをしたのかしら?」
普通の男の子なら怯んでしまいそうな目で睨みながら雪姉が言う。
「なんでって、弟が姉の家に行くことの何が悪いんだよ」
「駄目とは言ってないでしょう。ただ一言電話してもらえないかしら? 姉とはいえ、女の子の部屋なのよ?」
確かにそれは一理ある。
「それは悪かったよ。でも、そこまで怒ることはないだろ?」
「怒ったというよりは驚いたのよ。普段自分しかいないはずの部屋に男の子がいるんだから。それで、何しに来たのよ?」
「いや、最近、家の中が居心地がどうも悪くて。ということでしばらくこちらに住まわせてもらおうかなと」
雪姉はため息をついた。
「家事とかはどうするのよ。あなた、ちゃんとできるの?」
自慢ではないが、俺も一応雪ノ下家によってあらゆることを仕込まれている。
「少しはできるよ。そりゃ雪姉や陽姉ほどうまくはできないけどさ。それでもそこそこはできるさ」
「だからといって、いつまでもここに置いておくのは……」
なんだかいろいろ迷っている。あと一押しか。
「雪姉が嫌ならすぐ出ていくよ。でもさ、万が一病気とかになったら、心配でさ……」
ここで俺は陽姉の教えてくれた必殺技、上目遣いをしてみた。自分で言うのは変だが、この幼い姿にプラス弟というステータスを使えば雪姉はイチコロだ。ん? あざといって? 違う。これは弟の生存戦略と呼んでくれ。
「……仕方ないわね。しばらくの間だけよ」
雪姉は短くそう言って自室へ戻っていった。何かとつけて言い返さないあたり、雪姉としてもまんざらではないのかもしれない。なんだかんだ、雪姉もたいがいシスコン、ブラコンだしな。
そんな中、俺は思い出した。そういや、自分の寝る部屋がないな。まあ、リビングで寝れば済む話だが。雪姉がどうにかしてくれるかもしれないな。あの人は俺にはすごい甘いところがあるから、案外部屋に入れてくれたりもするかもしれない。そんなことを考えてしまう辺り自分もかなり姉に依存してると言えるが。
でも、俺がこうなってしまったのもある意味仕方ないと思う。2人の姉があんな、女性としても姉としても超一流なら弟が甘えたがるのはもはや自然の摂理だ。だから、気持ち悪くて生理的にキツいドシスコン野郎と言われても甘んじて受け入れよう。いや、将来できるかもしれない彼女さんにだけはそれを言われるのは心底辛い。
つまり今俺が言いたいのは俺の青春ラブコメは姉を中心に回っているということだ。
これはなんと言うべきか……。感想や評価、お気に入り登録などいただければ嬉しいです。よろしくお願いします。