私は一体何を見せられているんだろう。
いのりもろたんもどうしてしまったんだ?
私が運営からもらったクッキーを渡したからなのか……?
それとも――いつものように遅刻をしたからなのか?
「ねぇ、いりのくん。ろたおに……その綺麗なお顔、見せてごらん?」
「ろ、ろたおくんッ!? は、恥ずかしいよ……」
談話室の扉を開けて中に入ったら、いのりの向かいのソファから身を乗り出しているろたんが、いのりの手首を捕まえて顔を近づけてる。今にもチューしそうな距離なんだけど……
というか、どういう状況なんだ!?
「いりのくん。恥ずかしがってる顔も、とってもかわいいよ」
「ハティちゃんも見てるのに!? ちょ、ちょっとろたおくん!」
私の目の前で、ろたんがいのりに詰め寄ってる!
いのりは私の嫁なんだぞ!
「ろたん! いのりは私の嫁なん――」
「ハティちゃん。ちょっと黙っててくれる? ろたお、今いりのくんとお話するのに忙しいの」
その言葉と同時に、ろたんがいのり肩を抱き寄せ、いのりの顔をろたんの目前に固定した。
わ、私はどうすればいい!?
「ねぇ、いりのくん。ろたお、言ったよね? 色目を使うのはやめろって。何度言っても言うことを聞かない悪い子のいりのくん。いったいどうしようね?」
いのりが居心地悪そうに目を背けて、私の方に助けを求めてきているのが分かる。
でも……申し訳ないが私じゃあ今のろたんからは助けられない!
「いりのくん、どこを見てるのかな? ハティちゃんの方ばかり見てないで、こっちを見て? ろたおはこっちだよ?」
じりじりと距離を詰めて、とうとうソファの角に追い詰められたいのりに向かって、ずいっと身を近づけるろたん。怪しく輝く金色の瞳から、いつものろたんからは感じられない色気が感じられて、私までドキドキしてきた……
「ろ、ろたおくん……」
「いりのくん、もう……いいよね?」
そう言ったろたんは、ニヤリと笑うといのりに顔を近づけていく……
待てっ! ろたん!
「ろたん、ストップ! そろそろやめておけよ」
私は思わず声がこぼれた。どういうつもりなのか分からないけど、こんなのろたんじゃないだろ。
ろたんは思わずといった風にこちらを見ている。いつもの色にもどった金色の瞳が私を射抜く。私は決して目をそらさないように、そして、私の気持ちが伝わるように言葉を紡ぐ。
「ろたん、何を考えているのか分からないけどさ、いのりとろたんはさ、そんな無理矢理な関係じゃなかっただろ」
私がろたんを見つめてそう言うと、いのりとろたんは目を合わせてニッコリ笑った。
『ハティちゃん、A Happy April Fool's Day!!』
「……え?」
え?
「ハティちゃん、今日はエイプリルフールだよー」
「ろたんちゃんと一緒にずっと待ってたのに、ハティちゃんまた遅刻するんだもん。二人でちょっと驚かしてみせようかなってお話してたんだー」
おいおいおい、どういうことだよ?
私はドッキリを仕掛けられたってことか?
「……なんだよ、もう。焦ったじゃん」
私がイタズラされたのは、まぁ、遅刻したし仕方がない。
「でも、こんな形でイタズラすることはないだろー」
二ヒヒって笑うろたんと、アハハって笑ういのりを見て、私は仕方がないなぁって笑うのだった。
はい、というわけで、いろはらべるのよしなしごと、第二弾。
エイプリルフールってことで何かネタやりたかったけど、特に思い付くものもなかったから、短めだし、こんな感じになってしまった。
いのりちゃんとろたんちゃんが何かをやってて、ハティちゃんがやれやれってしてるのを見たかった。
……普段はハティちゃんがやれやれされる側だし(小声
また、気が向いたら第三弾も書く、かもしれない。