命に嫌われた少年   作:まっちゃんのポテトMサイズ

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どうも皆さん。
この小説のお気に入りが100件超えてて喜びまわったまっちゃんです。
後、一瞬だけですけど、ランキングにも乗ってました。
これもこの小説を見てくださっている皆様のお陰です。
ありがとうございます!!
…あと、Roselia 11th Single 発売おめでとうございます!!
では、本編どうぞ。


第6話 親友

…平日というのは、殆どの学生や社会人が外に出て勉学や仕事に励む日だろう。

だが、行く学校も無い俺はただリサの部屋に篭りながら何をする訳でもなく、ただただ無駄な時間を過ごしていた。

家事の手伝いをしようにも、前世では何もしてこなかったので全く覚えていないので、足を引っ張るだけだろうと思い、手伝わずにいた。

 

「ふぅ…」

 

首に貼ってある絆創膏を指で触りながら溜息を吐く。

あの夜、もし紗夜が起きてこなかったら、俺はちゃんと死ねていただろうか。

あの時包丁を持った瞬間に感じた恐れは、一体、何に対する恐れだったのだろうか…

その時は気のせいだろうと、心の隅に追いやったが、今なら分かる。あれは気のせいなどでは無かったと。

その恐れが、もし、自分の死に対するものであれば、何故、今更それに恐怖を抱いた?

そう思っていると、一階からお義母さんの俺を呼ぶ声が聞こえた。

俺は直ぐに一階に降り、お義母さんに用件を尋ねる。

 

「リサがお弁当を忘れて行っちゃったのよね。悪いけど、持って行ってくれる?」

 

俺は頷き、お義母さんからお弁当と入校証、そして電車代を貰い、家を出た。

数分間電車に揺られ、リサ達の通っている羽丘女子学園の最寄り駅で降りる。

そして、数分歩くと、羽丘女子学園に到着した。

校門の近くに立っている警官に入校証を見せ、中に入る。

…そこまでは良かった。

入ってから気づいたが、肝心のリサの教室が分からなければ意味がないではないか。

取り敢えず、校舎の中に入り、高校三年生の教室を探す。

高校三年生の教室は見つけたが、どのクラスにいるのか分からず、この階を歩き回っていると、紗夜と同じ髪色をした少女に声をかけられた。

 

「ねぇねぇ、君、どうしたの?」

「…その、俺の姉にお弁当を届けに来たんですけど、肝心のクラスが分からなくて…」

「そうなの?名前は何て言うの?」

「今井リサと言います」

 

俺がそう言うと、その人は訝しむ様な眼で見つめて言った。

 

「でも、リサちーに弟がいたって聞いた事無いよ?…本当に、弟?」

「…血が繋がっている訳ではありませんから」

 

眼を逸らし、手に持っているお弁当をその人に押し付けるように渡し、その場から立ち去る。

 

「ちょ、ちょっと!」

 

背後から声を掛けられるが、それを無視して階段を駆け下りる。

これ以上ここに居たところで何もすることは無いだろう。

それに、生徒からの視線も集めてしまっているためさっさと立ち去りたい。

そう思いながら早歩きで校舎を出ると、校門ではお義母さんが俺に手を振りながら立っていた。

その光景に母さんの面影が重なり、俺は思わず頭を押さえた。

すると、お義母さんは俺の事を心配して駆け寄ってきた。

嫌だ。来ないでくれ、それ以上は。

その瞬間、頭に激しい痛みが走り、俺は意識を手放した。

 

 

瞼を開けると、そこは前世で俺が通っていた小学校だった。

校門前では母さんが俺に手を振りながら立っていた。

すると、幼いころの俺は俺の脇を通り抜け、母さんの所へ駆けて行った。

母さんはその時の俺と手を繋ぎ、帰路を辿った。

俺はそれに釣られるように歩を進め、母さんの後ろについて行った。

 

「ねぇねぇ、お母さん」

 

幼い俺が母さんを見上げながらそう言った。

母さんは微笑みながらその俺に視線を向けた。

 

「どうしたの?」

「あのね、響君の事なんだけどね」

 

幼い俺がそう言うと、母さんは顔から笑みを無くし、暗い声音で言った。

 

「…あの子の事ね。それが、どうしたの?」

「体育の時間に見たらね、身体が痣だらけ、だったんだ」

 

俺がそう言うと、母さんは目を見開き、怒りを露わにした声音でたった一言だけ発した。

 

「…そう」

 

幼い俺はその怒りに気づいたのか、母さんを心配そうに見上げた。

 

「お母さん…?」

「ううん、何でもない」

 

母さんは先程の優しい顔に戻り、何事も無かったかのように明るい声に戻してそう言った。

…御霊はやっぱり恨んでいるのか?

虐待されていると知り得ながら救おうともしなかった俺に対して。

確かにそう考えれば辻褄が合う。

死に間際に放った『あんたが悪いんだぜ。…ざまぁみろ』。

あれは明らかに俺に対しては放った言葉だ。

…そしたら、アイツが死んだのは、俺の所為だって事か。

 

『そんな事は無い。俺はお前を恨んでなんかいないさ』

 

背後から御霊の声が聞こえるが、それはただの幻聴だろうと無視をして母さんたちについて行こうとした。

だが、その時、肩を掴まれ、俺は歩を進めるのを止め、振り返ると、そこには御霊がいた。

 

「御霊…?」

「おう。お前の親友の御霊響だぜ」

 

俺は後ろに飛び退き、御霊と名乗る者の全身を見まわした。

 

「何だよ、信用してくれないのか?」

「…そりゃそうだろ。だって、お前は…」

 

俯きながらそう呟くと、御霊は歩いて来て俺の頭にチョップを入れた。

 

「バーカ」

 

御霊は吐き捨てるようにそう言った。

 

「んなっ…!?」

「何勝手に死んでやがんだ。この大馬鹿野郎」

「なっ…。馬鹿はお前の方だろ!?リサ達が誘拐された時に俺を止めなければ俺を犯罪者に出来たんだから!」

 

俺は顔を上げ、大声で怒鳴りつける。

だが、それでも御霊は表情を一切変えずに俺にこう言った。

 

「誰がそんなこと望んでんだ?あ?俺はな、お前に生きてほしかったからこの世界に転生させてやったんだぜ?」

 

俺は驚きのあまり、腑抜けた声を上げてしまった。

何故恨んでいるのに二つ目の生を与えたのか。

それが理解できなかった。

脳の中で疑問が渦巻き、俺は混乱した。

しかし、御霊はそんな俺をよそに話を続けた。

 

「…俺はさ、お前に、ちょっとだけ、仲間意識みたいなの感じてたんだ。だから、お前にはもっと生きてほしかったし、それに、俺がなれなかった分、もっと幸せになってほしかったんだ」

 

御霊は悲しそうに微笑んで話を続けた。

 

「そう思ってた矢先にお前が勝手に死んじまった。俺は悲しんださ。何せ、唯一の親友が死んじまったんだからよ」

「…ごめん」

 

俺は微笑む御霊に目を合わせられず、俯いてそう言った。

 

「何謝ってんだよ。…だから、俺はお前にはもう一度人生をやり直してほしいと思った。…もう一度赤ん坊の頃から始めるのは神は受け入れなかった。だから、転生させた」

「…そうだったのか。でも、どうして…」

「まぁまぁ、話を聞けって。それで、今お前はこの世界にいる訳だ。…それで、どうだ?今、お前は幸せか?人生をもっと生きたいと思うか?」

 

俺は御霊にそう問われ、頭の中で考え続けた。

どうなんだ?幸せなのか?普通の人に囲まれて、親もいて、特に不自由なことも無い。…この普通が一番の幸せだった。…でも、それでも、何か足りない。

すると、御霊は少しだけ笑い声を出してから言った。

 

「…そうか。…あのさ、命に嫌われている、だったか。俺はさ、そうは思わないぜ」

「えっ…?」

「お前は、命に嫌われてなんかいない。ただ、偶然が重なってそうなっただけだ。だから、それを理由にして死ぬのはやめろ。…生きて、生きて生きて生きて生きて、それで、幸せになるんだ。俺がそうなれなかった分まで。たとえ、周りの人が死のうとも、たとえ嫌われようとも、生きろ。…それが、俺の願いだ」

 

声がだんだん震えてきてるのを感じて、俺は顔を上げ、御霊を見つめた。

御霊は涙を流していたが、それでもなおその微笑みだけは崩さなかった。

俺はその願いを受け入れずにはいられなかった。

それに、ここで断ってしまうのも、親友としてどうかと思う。

 

「分かった。その願い、叶えられる様に俺も、ここから頑張っていくよ」

「…ああ。頼んだぜ。楓」

 

俺は頷き、この夢から目を覚まそうとした。

すると、御霊が口を開き、何かを言っているのに気が付いた。

俺の意識は覚めかけていたので声は聞こえなかったが、口パクでこう言っているのが分かった。

 

『俺が死に際に言った言葉は、お前に言ったんじゃねぇ。あのクソッたれた世界、あのクソ親父に言った言葉だ。だから、お前は俺の事を負い目に感じる必要は無い』

 

俺はそれに気づき、なんて馬鹿だったんだろう、と思い、満面の笑みを顔に出して御霊にサムズアップをした。

御霊はそれに驚いていたが、直ぐにサムズアップをし返した。

そうして、俺の意識は夢から遠ざかっていった。

 

 

目を覚ますと、白い天井が目に映る。

上体を起こし、辺りを見回す。

一瞬、病院かと思ったが、窓の外を見てみると、そこは羽丘女子学園の敷地内であることが分かった。

つまり、ここは保健室なのだ。

俺はベッドから降りようとしたが、そのタイミングで誰かが保健室の扉を開け、中に入ってきた。

急いでベッドに戻り、あたかも何も無かったかのように寝転がり、瞼を閉じる。

少しだけ瞼を開け、その隙間からその人を見つめる。

少しして、それがリサであることに気づき、瞼を開け、上体を起こす。

 

「おはよう。リサ」

 

俺が微笑みながらそう言うと、リサはいきなり抱き着いてきた。

 

「もー!心配したんだからね!」

 

そう言いながら俺の背中をぽこすかと叩いてくる。

俺は苦笑いを浮かべながら「悪い悪い」と言った。

少しして、リサは俺の背中を叩くのを止め、俺から離れた。

 

「でも、何事も無くて良かった~。今日は別に体調も悪く無かったよね?どうしたの?」

「…ううん。何でもない。ただ、ちょっとした頭痛ってだけだよ」

 

俺がそう言うと、リサは頬を膨らませながら言った。

 

「ちょっとしただけだったら、気絶なんかしない!…お願い。教えて。アタシ、もう楓にばっかり無茶してほしくないから…」

 

リサは頬を膨らませたのとは打って変わって涙を目に浮かべた。

俺は、それに観念して、自らの事について話す決心をして、リサに目を合わせた。

 

「…分かった。でも、これは他の人には絶対に言わない事。良いか?」

「うん!勿論」

 

俺はリサのその言葉を聞き、激しい頭痛に耐えながら自らの過去を口から紡いだ。だが、俺が一回死んだことだけは絶対に言えなかった。

話が終わると、リサは俺を自らの胸に押し付け、俺の頭を撫でた。

俺は直ぐに離れようとしたが、リサは俺を放すまいと更に力を強くして抱きしめた。

 

「リサ…?」

「今まで、辛かったよね。気づいてあげられなくてごめんね」

「…辛かった。辛かったよ…」

 

俺はリサの背中に手を回し、その胸の中で涙を流した。

少しして、俺の涙は止まり、俺はリサから離れた。

 

「…ありがとう。リサ」

「ううん。そんなこと無いよ。…それじゃあ、授業に戻るね。そろそろ保健室の先生も戻ってくる頃だろうし」

「分かった」

 

俺がそう言うと、リサはベッドから降り、保健室から出ていった。

そして、入れ替わるように直ぐに保健室の先生が入ってきた。

そうして、その先生から「問題無し」と言われ、俺は校舎を出た。

そのまま帰ってもよかったのだが、外はもう夕日が出ており、もう直ぐで授業が終わりそうな頃だったのでどうせなら一緒に帰ろうと思い、校門前で待つ事にした。

少しして、校舎から出るリサの姿が見えると、そこからリサに手を振った。

辺りの女子たちは、その先に視線を向け、リサがいる事に気が付くと、黄色い声を上げ、リサを取り囲んだ。

そして、俺をちらちらと見ながら、リサに何かを質問していた。

リサは顔を赤らめながらその集団の中から出てきて俺の腕を引っ張ってそこから離れた。

少しして、女子生徒の黄色い声が聞こえなくなると、リサは俺を見つめながら頬を膨らませて言った。

 

「もー!校門前に居たら皆に「あれってもしかして彼氏?」って聞かれたんだけど!」

「えぇ…。そうは言われてもなぁ…。俺なんかじゃリサみたいな美人とは釣り合わないし、彼氏になんかなれないな」

 

頭を掻きながらそう言うと、リサは更に顔を赤らめ、俯きながら小声で何かを言っていた。

 

楓は自分の事をもっと認めた方が良いよ…

「…何か言った?」

 

リサは慌てたように首を振り、その質問を否定した。

俺はその仕草に少しだけ疑問を覚えたが、リサが否定するのだったら何も無いだろうと思い、それを払拭した。

 

「…それじゃ、帰ろうか」

 

俺はリサの脇を通り、帰路を辿った。

 

「ちょっ、待ってよ~!」

「早くしないと置いて行くよ」

 

俺はズボンのポケットに手を突っ込みながら首だけリサの方を向けて冗談交じりにそう言った。

 

「ちょっと待ってよ~!」

 

リサはそう言いながら慌てて俺に駆け寄ってきた。

俺はその様子に少しだけ笑みをこぼしてしまった。

そして、その俺達の後ろ姿をひたすらに見つめる御霊に視線を移し、目で『心配するな』とだけ伝え、前を向いた。

御霊はそれを見て、頷いてから光を放ち、空へと戻って行った。




はい、直ぐに宿題を終えようと思うのに執筆をおえました。
作業用BGMを聞きながらやるとめっちゃ捗りますね…。
そりゃそうですね。
では、話すことも無いのでまた次回。
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