妖刀×精霊=...?   作:月見ノ猫

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妖霧ハンティング
一振り目:


ある事件をきっかけに私―雷雲妖霧の性格が豹変したのだけは自認してる。

優等生のような容姿と穏やかな顔つきから一変、すっかり変わり果てたイラつく様なジト目気味の目に、粗暴な性格と態度。

 

でも、一体どのような過程を経て、残虐性の塊の様な正確になったのかは全く理解できてない。

…いや、理解してないどころか全く過程自体を覚えていない。

故にそもそも理解すること自体が不可能なのだ。

いったいなぜ自分はこんな性格になってしまったのだろうか。

仮に、今から努力すれば昔の様に戻れることはできるのだろうか。

妹とも、今より多少はましに接することが出来るのだろうか

そこまで考えが進んだ時だった

 

―何っつー、不毛な考え事をしてんだ。私は

 

自身に唾をぶちまける様に考えを捨てる。

折角好物の鯛寿司をたらふく食ったというばかりなのに、不毛と言わざるを得ない自問自答を繰り広げていれば気分が悪くなる。

ニコチンが切れたヘビースモーカーのように頭がイラつく。とにかくムカついて仕方ない。誰かにこのストレスをブチ撒けたい。

だがそんな都合よく、そんな相手もいないのも現状だ。誰彼構わず斬ってしまっても構わないけど、ストレスの発散相手なら少しばかり骨がある奴のほうがいい。すぐ壊れるような脆いサンドバックの様な相手なんか私は望んでいない。

血肉沸き立つような。そんな相手を…。

 

学生服の姿のまま夜道をまるで浮遊病患者の様に彷徨う。

フラフラと、虚無に浸たる人間の様に。

気が付けば、私の通う高校までやってきていた。

 

―都立来禅高校。そう書かれた門札の塀を飛び越えて中へと侵入する。

深夜誰もいない学校。本来窓も扉もすべて施錠されているはずだが、この日は管理がずさんだったのか、幾つかの一回の窓は鍵が一切としてかかっていなかった。

それを理解したのは、開け放たれたままで放置されていた窓を見かけたから。

それが何を示すのか、それが頭の中に思いつくのは容易だった。

―侵入者が私の他にもう一人いるという事。

 

丁度いい、都合がいい。

もし仮に変質者が潜り込んでいたならサンドバック代わりに丁寧に成敗することが出来る。

多少なりともそれで私のフラストレーションは収まるはずだ。

背中にかけていた刀袋を揺らしながら勢いよく助走をつける。やがて空いた窓の格子に手をかけると狭いダクト口に滑り込むような姿勢に変えながら跳躍して校内へと侵入する。

 

侵入者の行き先はすぐに割れた。盲点だったのだろうか、うっすらとだが靴跡が廊下からやがて階段へと伸びているのがわかった。

そこで気が付いたのだが、恐らく侵入者は私よりも小柄であると判断で来た。身長160㎝、の私の26cmの靴と残された足跡を比べてみると、私の靴で十二分に覆いかぶせるほど残った足跡は小さかった。

 

小さいなら体格差で私の方が優位に戦闘では立てるはずだろう。…もっともこの時点でそんな小柄な変質者がいるのだろうか、むしろ興味本位で入ってきたガキと考えたほうが現実的なのかもしれない。

…とりあえず、足跡をたどってみると、辿り着いたのは意外な場所だった。

2-4と書かれた札が掛けられた教室、私が在籍しているクラスの教室だった。

 

周りを見渡しながらゆっくりと開けっ放しの教室の扉をくぐる。月の光によってある程度は目が効くものの普段と比べれば圧倒的に視覚は聞かない状態だったが。

ふと、教卓の奥からのぞき込むような二つの兎の耳の様なものを見つけた。

それと同時に…

 

【おやおやぁ?なーんだか、やばーい感じの子が来たねぇ?何?不良少女って奴ぅ?もしかしてぇ、よしのん達を傷つけに来たのかなぁ?】

 

という剽軽な声と、

 

「【よ、よしのん】…!」

 

と、言う少々幼げが残る気弱な少女の声が聞こえた。

 

兎耳をじっと見ると、それはパペットだった。

そしてその奥から、藍色の宝石の様な目と髪色を持ったガキが教卓の裏から現れた。身長も私が考えていた通り小柄で、年齢も年相応かそれより少しだけ幼いくらい、恐らく12,3歳くらいが妥当だろうか。

身を可愛らしい緑の意匠で施された外套に、兎耳のついたフードを被っている。

そして左手には目に眼帯のような黒いボタンの意匠を施されたパペットが身に付けられていた。

 

「ヤバい奴って、私はココの生徒なんだけどなァ?それに、傷つける気があるならもう既に、今頃襲い掛かってるけど?」

 

イライラしてたのもあって何時もなら無視するようなあおりにさえこの時はドスを少し効かせて返す。

パペットの方はケラケラ笑うように動くのに対してガキはパペットとはまるで真反対に怖いものでも見たかのように怯え気味に顔が緊張している。

 

まるでパペットとこの少女は完全に分離しているようにも見えてきた。

…というよりもそう捉えたほうが楽なのかもしれない。

 

「…で、何でこんな真夜中に忍び込んでんのよ?泥棒するなら職員室の金庫にでも行けば良いのに」

 

【やだなぁ!まるでよしのん達が強盗しに来たみたいな言い方しないでよぉ。心外だなぁ】

 

「強盗も何も不法侵入してる時点でアウトでしょうが…ったく」

 

このパペット、よしのんとやらは、はっきり言えば嫌いじゃない。が、コミュニケーションには癖がある。が、その癖も嫌いじゃない。イラっと来るようなお調子者のようなペースの持ち主だが。

 

とりあえず、こんな時間に年端いかない子供が高校にいるという時点でポリの世話になりそうなので…つまり、面倒事は御免なので。

 

「ほら、さっさとここから帰った。面倒な役所の人間の世話になるのは嫌だろ、お互いに?」

 

そう言いながら一歩近づくと。ガキは怯えるように腰を引きながら私から距離を取った。

まるで、害をなすものから身を守る防衛本能が働いたかのように。もしや後ろの刀袋を見て切られると思ったのだろうか。

 

普段から身につけておきたいものだが、渋々今の間だけは手近にあった机の上に置き、両手を小さく上げて、攻撃の意思がないようなポーズをとり。

 

「斬りやしないわよ、アンタの事なんか。傷つけたりなんかしない」

 

と一言だけ告げる。そして刀が手から届かない所まで、少女の近くに歩みを進める。

…ガキの方も私が手を出さないことに気が付いたのか。多少の警戒心は残りながらもゆっくりと教卓から出てきた。

 

…その時だった。

 

制服のポケットにしまっていた携帯が一際激しく震え、けたたましい音を上げる。

 

【な、何事―!?まさか、曲者!?であえー!であえー!】

 

―曲者は私たちの方だろ…

そう思いながらも携帯の画面を立ち上げて内容を見る。

 

「空間震警報、か」

 

空間震、それは空間の地震と称される広域震動現象。発生原因、時期ともに不明にして不定期、その上被害規模も不確定な爆発、震動、消失、その他諸々の現象の総称。地球上の全体陸、北極、海上、小さな島々までも発生が確認され、無論日本も被害にあい、東京都南部から神奈川県北部にかけての一帯が、まるで消しゴムでもかけたかのように円上に焦土と化された厄災。30年前に発生及び初観測され、ユーラシア大陸に甚大な被害を引き起こした。

要するに厄介な災害。

 

「避難、か」

 

そう呆れながら呟く。というのもここ最近この来禅高校のある天宮市全体で小規模なり大規模なり空間震が頻発しているから。まぁ、まるで魔法の様に数日たてば自衛隊の復旧部隊などがインフラ諸々何事もなかったかのように元あった姿に壊滅した町や地域でさえ戻してしまうため特に問題は無いが、頻発するとまたか…と呆れ気味になる。早く落ち着いてほしい。

 

「学校の地下にシェルターがある。私はそこに行くけどお前はどうする」

 

そう少女に聞くが、何も言うことなく唯々緊張した面持ちで教卓の奥に引っ込んでいた。どうやら空間震警報に気が付いていない、いや、恐らく空間震と今まで無縁だった故に何が起こっているのか全く理解できていない。そんな様子に私は見えた。

けどそれは誤りだった、このガキにとっての天敵、そして私にとって丁度求めていたような都合のいい相手がこの時すぐ傍まで近づいていた事に、この時の私はまだ気が付いていなかった。

 

住民の避難が終わったと判断されたのか街中にまで喧しく鳴り響いていた警報の類は全ていつの間にか、鳴りを静めて静寂だけが街を制していた。

その静寂を貫く様に、まるで一瞬の油断を突くように。小さな光の球体の様なものが高速で私たちの方向に向かって迫っている。最初はそう思い込んでいるだけだと思ったがその光がやがてしっかりと視認できるくらいにまで近づいた時、ようやく気が付いた。

いや、【気が付かされた】

 

「危ないっ!」

 




此処で切ったのはわざとです。後、メインで投稿している方の小説がスランプ気味になったら書くという感じなので登校頻度はでたらめです
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