東方澪咲禄   作:見知らぬ誰か

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第02話

 咲夜が居なくなった後の食堂。

 

「あの顔が見たかったのよね」

「俺もだよ。なんせあいつは完全で瀟洒だからな」

「あら、珍しいわね。意見が一致するなんて」

 

 酷いな……気が合うから親友だと思ってたんだが。

 

「さて……あの頃からあいつが俺の事から好きだってのは知ってるけどね」

「なら告白でもすれば良いんじゃない?」

 

 おいおい…………

 

「いや、それも考えたけどさ?つまんねーじゃん?俺的にはわざとあいつに告白させたら面白くね?って思ってさ」

「あら、私と同じ意見ね」

 

 なんだかんだ言ってもレミリアと俺は気が合うらしい。考える事もほぼ同じだ。

 え?何で男の俺が告白をしないのかって?そりゃ勿論、咲夜が真っ赤な顔で告白する顔が見たいからに決まってるじゃん。あいつが羞恥の顔に染まる事なんて殆ど無いからな。楽しめるときに楽しんでおかなきゃ人生楽しくないしな。

 

「さてと……どうするかな…………懐中時計の調整もしてやりたかったんだけどなぁ……」

 

 ばっさり言えば今は何となく会いたくない。あくまでも何となくだ、他意は一切無いと言い切れる。だからこそ、俺は逃げの選択肢を選ぶ。女性の心を知っておきながら刺激しようとは俺は思わないのだ、むしろ『どっか行っちゃったんだから探して来い』なんて言われたって絶対に探さない、流れに任せるだけだ。

 それに俺としては咲夜に恋愛感情を持った事は無い。だからこそ、無用に刺激をしないようにしているのだ。

 

「パチェ、フラン、美鈴、こあ……おいで?」

 

 その一声だけで4人はこっちに来る。

 

「それぞれに渡した魔導石……あるよね?」

 

 それぞれが魔導石を取り出す。パチェは紫、フランは紅、美鈴はオレンジ、こあは黒だ。それぞれ色を変えているのは俺のイメージカラーにしているから。

 

「それぞれが欲しいアクセサリーにこの魔導石を加工して作ってあげよう」

「本当?」「ほんとうっ!?」「ほんとですか!?」「本当に?」

 

 三者三様……もとい四者四様のほぼ同じ答えが帰ってくる。

 

「ああ、本当だ。先ずは……そうだな、パチェにしよう」

「私……?」

「何が良い?」

 

 パチェは少し悩んでから言った。

 

「イヤリングで、両方とも」

 

 パチェが俺に魔導石を渡す。

 

「あいよ」

 

 俺は銀色の塊から少し切り出して、浮かべて立体魔法陣を展開しアクセサリーに加工していく。最後の一瞬に紫色の光を放つと宙には紫の魔導石を組み込んだイヤリングが出来上がった。

 これには魔力増強の効果を付与させた。

 

「ほい」

「ありがとう……」

「んー次は美鈴」

「あ、はい」

 

 美鈴は渡しながら言った。

 

「ブレスレットでお願いします」

「ん……少し石が足りないな……仕方ない、作るか……」

 

 俺はバッグから無色透明な大きな結晶を取り出してそこそこの大きさの物を切り出して魔力を込める。

 輝きを放ちながら無色透明な切り出した結晶がオレンジ色に染まっていく光景が俺は好きだ。

 

「よしっと……ま、話をする事が出来るのは同調させているこの少し大きい奴だけだが……問題は無いだろう」

 

 俺は銀色の塊を切り出して球形のに幾つか整形していく。これをオレンジの物にもやって行く。必要数が集まった所でその球に穴を作り、その穴に魔力で編んだ『魔糸』を通して輪にする最後に両端を繋げて完成。

 特に何も掛けなかったとだけ言っておこう。

 

「ありがとうございます。澪羅さん、こんな技術あったんですねぇ……」

「まぁな……次、フラン」

 

 フランも魔導石を渡しながら言ってくる。

 

「ネックレスが良いな!!私の羽みたいなのが良い!!」

「ああ、分かった。良いよ」

 

 俺は6つの透明な結晶とフランに渡した魔導石を縦長の8面体を切り出すと透明な結晶をそれぞれ透明感のあるオレンジ色、黄色、黄緑色、緑色、蒼、紫色にして、それから追加で2つ透明な結晶を切り出しそれを両方とも銀色に染めると紅を中心にして2番目に蒼と紫、3番目にオレンジと黄、4番目に緑と黄緑、最後の5番目に銀色2つを配置してその両端に銀色の鎖を繋いで輪にした。

 掛けたのは妖力を吸うというものだ。フランの妖力は多すぎる、幾ら制御できるようになったとはいえ、危なすぎるのだ。

 

「はい」

「わーい!!……ん?でも、この色……」

「そう、紅魔館の主要メンバー揃えてみたよ。ちょうど色的にもぴったりだったし」

「ありがとう澪羅!!お姉さま!こんなの貰ったよ!!」

 

 フランがレミリアの所に見せに行く。

 

「良かったわね、フラン」

「うん!」

「大事にするのよ?」

「絶対、大事にする!!」

 

 そんな会話を聞いた後、ここに居る最後の人物の番だ。

 

「さて、最後だよ。こあ」

「あ、はい。そうですね」

「何が良い?」

「あ、あの……私、い、要らないです」

 

 …………少し納得がいかない。あの頃はこあによく相手になって貰ってたからそのお返しなんだが……。

 

「……理由、聞いても良いかな?」

「あくまでも私はパチュリー様に仕える小悪魔ですから。貰えません」

「なら、仕方が無い。パチェ」

 

 意地でも貰ってもらう事にしよう。

 

「パチェのよく居る大図書館に居る小悪魔……何体居る?」

「ま、まさか小悪魔全員分作る気ですか!?」

「当たり前。で、パチェ、何人居る?」

 

 パチェは少し考えて言った。

 

「2、30人は居るんじゃないかしら?」

「ん……中規模立体魔法で事足りるな。レミリア、紅魔館のホール使わせて貰うぞ」

 

 材料の問題があるが……何とかなるだろう。

 俺は立ち上がって食堂から出ようとするがこあに止められる。

 

「なんだい?こあ。これは俺の恩返しに過ぎないんだよ。小さい俺があの大図書館で本を読めたのはお前のおかげなんだから」

「…………要らないです」

「よし分かった。ここの妖精メイドの分も作ろう。レミリア、何人ぐらい?」

「えーと……4、50人ぐらいね」

「ん……何とか中規模で足りるな。」

 

 魔術の規模は良いにしても材料足りるか怪しいが……何とかなるだろう。

 

「どうだ?これなら受け取るか?」

「……い…………す……」

「何だって?聞こえない。俺に聞こえるギリギリの声で言いから言ってみな?」

「私のだけで良いです……作って下さい……」

「合点承知」

 

 俺は席に戻り、こあもこっちに来る。

 

「こあ、何が良い?」

 

 こあは少し考えてから言った。

 

「……ネックレスをお願いします」

「良いだろう。デザインはこっちで決めて良い?」

「はい」

 

 俺はこあから黒い魔導石を受け取ると切り取った銀色の塊を加工した物と組み合わせてネックレストップを作り、作っておいた紐通しに銀色の塊を加工して作った細かい鎖を通して完成。

 何一つ一切掛けなかった、掛けたのは感謝の気持ちだけ。

 

「出来たよ。simple is the bestってね。シンプルなのが一番だ」

「ありがとうございます」

 

 コアは受け取って早速首に掛けた。

 さて、あとは姫のみだな。まったく、さっさと出てくれば良いものを……

 

「さてと…………咲夜、居るのは分かってるよ。出て来な?」

 

 咲夜が姿を現す。相変わらず顔は真っ赤で、沸騰しているようだ。乙女なんだねぇ……咲夜も……分かってた事だけど。

 

「咲夜、懐中時計と魔導石を出しな。懐中時計を綺麗にして調整してやるから」

「……分かったわ」

 

 咲夜が懐中時計と魔導石を俺に差し出す。やはり、銀色の懐中時計は輝きを失っていた。

 

「ふぅ…………あの頃は面倒くさい複雑な魔法で解くのにも時間が掛かる奴を掛けたからな……」

 

 俺は魔法破壊の立体魔法陣と調整の立体魔法陣を同時に展開し懐中時計に掛かっている魔法を解いて調整した。

 

「あっ…………」

 

 そこにはただの銀色ではなく月のように優しく輝く懐中時計があった。少し青色が混ざったような白色の懐中時計がそこにはあった。

 そこに俺は1つの魔法を掛けた。それは『その状態を維持する』魔法である。

 

「はい、咲夜。これからはその輝きが消える事は無い」

「ありがとう……」

「じゃ、咲夜。この魔導石で作るアクセサリーは何が良い?」

 

 咲夜は少し固まってから、

 

「アクセサリー?」

 

 と聞き返した。

 

「そ、アクセサリー。何が良い?」

「そうね……指輪が良いわ」

「あいよ。デザインはこっちでやらせてもらうぞ」

 

 俺は魔法陣を展開して銀色の塊を切り出すと咲夜から受け取った銀色(実際に俺が染めた色は月の色)の魔導石を宙に浮かべて1つの立体魔法陣で括って、形状を変えていく。最後の一瞬に光が強く瞬くとそこには月の色をした石の嵌った指輪が出来ていた。

 

「ほら、出来たぞ」

「あ、ありがとう……」

 

 咲夜はおずおずと手を出して指輪を受け取って右手の人差し指に嵌めた。

 

「やっぱり、お前にゃ月が似合うな」

「つき?」

「そう、十六夜の如くな」

 

 咲夜の名前は紅魔館の主、レミリアとその親友の俺が付けた名前だ。

 十六夜はレミリアが考えて、咲夜は俺が付けた名前だ。

 十六夜は満月の後の月……これは咲夜が十六夜の夜に拾われたからと言うのが理由で、咲夜は『月』は『夜』に『咲く』というあの頃の俺の不思議な連想によって付けられた。おそらくではあるが『月』と言うのは咲夜の銀色の髪を指していたはずだ。昼には映えない華(髪)も月夜の夜には映える、そんな考えだったのだろう。昔の俺は随分とロマンティストだったんだな……驚きだ。

 

「さてと……レミリア、夕食を再開しようじゃないか」

「そうねぇ……それよりも“あれ”を見せなさい」

 

 ああ、あれね……俺が平面の魔法陣の巨大化を解消するために縮小化しつつも効果と性能が高く、制御しやすい魔法陣を開発する途中で出来上がった宝石のような立体魔法陣ね……そこそこお気に入りの魔法で最近は薄い青の他に紅に緑も使えるようになった。

 

「え…………あれ?“あれ”を見せるの?今ここで?」

「良いじゃない。久しぶりに見せなさい」

「……ま、親友の頼みだ。受けるとしよう」

 

 俺は両腕を広げてある一点を中心に立体魔法陣を展開していく。立体魔法陣がどんどん組み合わさっていき徐々に宝石のような形状になる。そして最後……その魔法を発動させる。

 一瞬だけ強く輝き、そこには魔力で形成された薔薇の形を模した魔石があった。これが俺の十八番『魔法の石(マジック・ストーン)』だ。

 

「以上にございます」

 

 俺が指をパチンと鳴らすと薔薇の形を模した魔石は魔力に戻って、様々な色を放ちながら散っていった。実はこの魔力が散る過程に一手間加えると弾幕が張れたりする。

 

「澪羅、腕を上げたわね」

 

 パチェに誉められる。

 

「何、戦闘に使えないお遊びの魔法さ。俺の7石関係が4割、趣味の魔法付加(エンチャント)に3割、戦闘2割、その他1割だし」

「その他の1割は?」

「教えられない」

「どうして?」

「秘密、これだけは教えられない」

「まさか、禁忌に手を出したなんて言わないわよね?」

「出したよ。禁忌なんてどうでも良かったからね」

「で、結果は?」

「一番最初は超絶火力の弾幕が出来上がった」

「どれくらい?」

 

 はて、あれはどれくらいの威力だったろうか……レーザーに弾幕、爆発もあるから…………

 

「紅魔館ぐらいは普通に塵に出来るレベル?」

『………………』

 

 その言葉に全員が言葉を失っていた。

 多分出来たはず。一番最初に一発ぶちかましたらあのやろうが止めんかーって飛び蹴り食らわせて中断させられた。痛かったな、あれ……。

 

「ま、それは良いとして」

『何も良くない!!』

 

 何がさ……何が悪いって言うのさ?

 

「…………てかさ、いい加減飯を再開しようぜ」

『あ…………』

 

 俺の一言で全員が席に戻った。

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