東方澪咲禄   作:見知らぬ誰か

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第03話

 ようやく色々な出来事が一応収まり、全員が席に着いて朝食が再開される。

 にしても、俺の設定した魔法は効いていたようだな。記憶を消すのではなくその記憶に繋がる回路を認識しないようにする魔法。人間の記憶の制限ってかなり難しいとはパチェの受け売りだ。なお、なぜこの魔法掛けたのかと言えば咲夜の仕事に支障をきたすと思ったからだ。でも、実際この魔法は記憶を消すのではないので認識出来ていない記憶は認識出来ないだけで成長と共に成熟されていく……いや、そうなるように人間の脳は出来ている。

 これの実験台になって貰った咲夜には後で謝っておかないとな……。何か怒られそうで怖いんだけどさ……でも、あいつの為だし俺は悪くないぞ。あいつの心の中の考えはすぐに表に出るんだ、そんなんじゃ仕事なんかしてられないし……うん、やっぱり俺は悪くないな。

 

「にしても、魔法の腕なんかあげて、あんな事出来るようになって……澪羅は何がしたいのかしら?」

 

 レミリアがそんな事を聞いて来る。

 はて…………何がしたいんだったかな……ああ、確か…………

 

「確かパチェに魔石の事を教えて貰って興味を持ったんだと思った」

「えー……」

「実際、作った魔法なんて使えないようなの多いよ?

 ま、出た先でも紅魔館でやるような家事全般はやってきたけどな」

「……無駄にならなかったんなら良いんだけどね」

 

 レミリアはそう言って食事に戻る。

 

「れいらー!!私も少しだけど魔法使えるようになったよ!!」

 

 フランが右の手のひらの上に紅の立体魔法陣が浮いている。パチェ辺りが教えたんだろうか?

 

「凄いね、フラン。それはどうやって憶えたんだい?」

「パチェに教えてもらった!!」

「そうか~良かったなぁ」

 

 やはり出所はパチェだったらしい。何故教えたのかは不明だが……聞けば良いや……今ここで。

 

「パチェ、フランに教えた理由は?」

「あなたの立体魔法陣による魔法陣の簡略化による魔法陣サイズの縮小を考えたのだけれど上手くいかなかったからフランに試させたのだけど……」

「……けど?」

 

 何でそんな『けど』なんて接続詞が入るんだよ?

 

「縮小は出来たのだけれどその簡略化した部分をフランの場合は妖術でカバーしてて役に立たなかったのよ」

 

 そりゃあ、そうだ。

 

「パチェ、立体魔法陣は多角的に魔法陣を掛けていく形で立体にするんだぞ?俺は立体魔法陣で魔法陣の簡略化をした覚えは無い」

「え…………そうなの?」

「そうなのじゃないよ。俺の立体魔法陣の目指した形は効果の効率化と制御のしやすさを求めた形だよ。俺の魔法陣は元の形のまま縮小化しただけなんだからさ」

「魔法陣の多方向からの多重掛け……」

「そう言う事」

 

 俺は食事に戻る。

 

「澪羅」

 

 咲夜が俺に話し掛けてくる。顔が赤いのは少し収まって来たようだ。もう少しあの恥ずかしさに染まった顔がもうちょっと見たかったんだけどな……仕方ないか。

 

「何?咲夜」

「今日、ちょっと出掛けない?」

 

 …………外は……あ、ここからは見えないんだった。

 

「咲夜、今日の外の天気は?」

「雪だったわ。出掛けるにはいい天気よ。季節はずれの冬だけどね」

「なら良いんじゃない?」

 

 ま、晴れじゃなければ何でも良いさ。季節はずれってのが少し気になるけどね。

 

「じゃ、レミリア。咲夜のお休みを貰うよ」

「ま、今日ぐらいはあげるわ」

 

 さて、もうそろそろ良いかな?

 

「さて、全員食べ終わりましたでしょうか?」

 

 すぐに全員が返し方は違うが意味的には同じ返答を返してきた。

 

「では、デザートをお持ちいたします」

 

 俺は各人の食器を回収してカートに乗せて厨房に行く。厨房に着くと回収して来た食器を水に浸し、汚れが落ちやすいようにしてからデザートのケーキと紅茶をカートに乗せて食堂に戻る。

 

「お待たせいたしました。朝食のデザートは苺のタルトとなっております」

 

 俺はその場で7つのカップに紅茶を注ぎ、その隣に置くと平面魔法陣で各々の前に置いていく。

 

「こんな事も出来るのね」

「パチェは精霊魔法にだけ興味持ちすぎだよ。他の事にも興味を示さなきゃ」

「そうね」

 

 俺は席に座りデザートを食べていく。うん、自分で作ってなんだけど美味しいな、予想以上に美味しい。菓子屋でも始めようかな……嘘だけど。

 

「澪羅、美味しいわね」

「私もビックリよ。澪羅がこんなに菓子作るの上手だなんて」

「美味しい!!」

「「美味しいです」」

「美味しいわね……」

 

 順はレミリア、咲夜、フラン、こあ/美鈴、パチェだ。

 その後は全員一言もしゃべらずに食べる。ものの10分で全員が食べ終わった。

 

「では……」

 

 俺は立ち上がって全員の食器を回収して厨房に持って行き、すぐに朝食の食器も一緒に洗い始める。

 水は刺さるように冷たいが特に問題は無い。

 

「あー……冷てーなぁ…………」

「冬だもの、仕方ないでしょう」

 

 咲夜、遅いな……従者なんだからすぐに来いよ。

 

「悪いわね、遅くなって」

「別に良いよ」

「冷たそうね。私が洗いましょうか?」

「良いよ、女のお前にやらせる事じゃない」

「そう?」

「そ、食器を拭いてくれりゃ良いよ」

「分かったわ」

 

 俺が食器を洗い、咲夜が俺から渡された食器を拭く。

 さて、咲夜に聞いてみますか。

 

「ところで、季節はずれってどういう事?」

「ああ、それね……今は何時だか知ってる?」

「たしか5月だったような……」

「そう、5月になっても雪が降りつづける今年のおかしな季節」

「なるほどね……」

「暖房の燃料が切れそうで怖いのよね……」

 

 ……そうなのか……一体何が起こっているのやら…………。

 

「それであなたは何処に行っていたのかしら?」

「ま、顕界と幻想郷にね」

「……え?」

「幻想郷と顕界」

 

 咲夜が驚いたような顔をしております。

 因みに俺は知っておりました。『紅霧異変』でたいがい分かりました。博霊の巫女に返り打ちに遭った挙句、宴会費用を前額持たされたとか……実はその宴会に参加したりもしてました。

 

「もしかして紅霧異変とか……」

「それで開催された宴会に行ったりしたよ?」

「…………」

 

 咲夜の顔が熟れたトマトみたいに真っ赤になりました。気付かなかった自分が恥ずかしいんだろうな、原因は俺だけどね。

 

「あ、そうそう。俺、お前に謝る事があったんだった」

「え……?」

「実は俺が出て行った6歳の時に俺の魔法の実験台になってもらってたんだわ」

「じ、実験台?」

「そ、記憶の制限な」

「な、な、な、な…………」

 

 その瞬間、咲夜の瞳が真っ赤に染まって……気付けばナイフに囲まれていた。

 

「メイド秘技『殺人ドール』!!」

「ウワォ!」

 

 こりゃあ、洒落になってないや。俺は飛んできたナイフを能力で全て床に落とした。

 

「え……?」

「さて、終わりだ。準備して門の前に集合な」

 

 俺はタオルで手を拭いて自分の部屋に向かう。紅魔館の間取りは変わっていないはずだからそのまま行く。

 自分の部屋の前に着くとズボンの右ポケットの中から部屋の鍵を取り出し、鍵を開けて部屋に入る。俺の出て行ったときから変わっていない、魔法によって埃の積もっていない綺麗な部屋。

 

「着替え着替えっと……」

 

 俺は執事服の上から黒いコートを着て、いつもの魔法道具を仕舞っているバックを持って部屋を出て鍵を閉めてから門の前に行く。

 

「よう、美鈴」

「Zzz……」

「キュッとしてドカーン!!」

 

 一瞬で右手に魔法陣を展開してそれを握り潰して眠っていた美鈴の足許を爆発させる。

 

「ぎゃー!!」

「起きろ。キュッとしてドカーン!!」

 

 二度美鈴の足許を魔法によって爆発させる。前回は空気が吹き飛ぶだけの爆発だがダメージ無しバージョン、今回は爆風ありのダメージありバージョンだ。

 

「次から寝てたら2回目の奴やるから」

「は、はい……まだ咲夜さんのナイフの方が良かった……」

 

 次の瞬間、紅魔館の方から青色のナイフが3本飛んできて、美鈴の顔のすぐ横を通り過ぎてその先にある木の幹に刺さった。

 

「これでも?」

「さ、最近寝ながらでもナイフを避ける技能を手に入れたんですよ!!」

「じゃ、咲夜に今さっきやった魔法のインスタント版渡しておく」

「ノォウゥゥ~~~……」

 

 さて、美鈴がOTL状態になって咲夜も来た所だし行くとしますか。

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