信長との謁見が終わった後、俺の部屋として使うと良いと案内されて荷物を置き一休みすることとなった。
「これからどうしよう……」
まずは情報収集しないと始まらない。しかし部屋から勝手に出てそこらを歩いて良いのだろうか?
そうこう悩んでいるうちに扉からノックする音が聞こえた。
「すみません、新しい転移者の部屋で良いですか?」
「あ、はい。どうぞ」
扉を開けて入って来たのは俺と同じくこの時代に存在しない制服に身を包んだ男子学生だった。
「転移者が同年代の同性で良かった! 君何年生?」
その男は俺の制服姿を見るとテンションが上がったようで急に詰め寄って来る。少しうろたえながらも答えることにした。
「高校2年生だ、お前は?」
「僕も高校2年生。この時代で同級生に会えるとは思わなかったよ。ちなみに君の名前と何年から来たの?」
「俺は大久保蓮、転移前は2020年から、お前は? なんかやたら制服が高そうに見えるが」
「僕の名前は土山実弥、転移前は2040年。20年かぁ、僕が生まれる前の時代からなんだね」
驚いた、確かに信長の発言から俺より未来の人間はいると思ったがまさか20年未来の人間に会えるとは。
「40年ってどんな未来か想像出来ないな」
「僕からしても20年がどんなだったのか知りたいな。鬼滅とコロナの年だっけ?」
「ああ、そうだな。てか未来でもそんなイメージなんだな」
「そりゃそうだよ、だって鬼滅の最初の映画の興行収入の記録は20年経っても誰も抜け出ない記録だもん」
「やっぱ千と千尋抜いたのか。最初は100億超えると言う人すら殆どいなかったのに」
「えっ、鬼滅の映画一作目ってそんな扱いだったの? 僕からするとそっちのが想像出来ないや」
「一作目ってことはやっぱ最後までアニメになったのか?」
「うん、一作目程ではないけどどれも大ヒットしたよ。僕の名前も鬼滅由来だし、クラスメイトに義勇や蜜璃とかいるし。あとコロナの話も聞きたいな、当時はワクチンも予防接種も無かったんでしょ?」
「あ、ワクチンとか出来たんだな。そりゃ大変だったぜ、なんせ一時期学校行けなかったからな。それにどこ行くにもマスクで店の前に消毒液置いてあるし、マスク付けてないと入店拒否の店もあったぞ」
「話でしか聞いたこと無かったけど実際に聞くと大変そうだね。マスク無しだと入店拒否は初めて聞いたよ」
実弥に見せたい画像を思い付いたのでスマホを取り出す。
「確かスマホに……あった。ほら、店前の消毒液の写真。足で踏むとプッシュ出来るの初めて見たから写真撮ったんだ」
「へー、本当に店前にあったんだ。てかそのスマホ、デカいし一面だしかなりレトロだね」
「いやいや、これ一応今年の最新モデルだぞ。まぁ40年のスマホからしたら骨董品なんだろうが。未来のスマホってどんなだ?」
実弥がポケットを探る。取り出したのはスマホと言うより昔の折り畳み式携帯電話に似た形をしていた。
「こんな感じ、一度開いた後伸ばして使えるんだ」
見た目からして開いて中の画面を使うまでは予想できたが、なんとその携帯を横に引っ張ると巻物の如く横に伸びてタブレットサイズになった。
「すげぇ! しかも画面に凹凸ないし」
「教科書としても使うからね。確か20年前はまだ教科書紙だったっけ?」
「ああ、下校中に転移したから鞄の中にあるぜ」
鞄から現代文や数学の教科書を取り出して実弥に渡す。
「へー、数学は教育課程とか変わってるし同じ所と違う所があるね。現代文は……と、この頃からこゝろあったんだ。でもこれ半分も載ってないじゃん」
「そりゃデータなら気にしなくても良いが、全部載せたら分厚くなるからな。夏休みにこゝろ読んで来い、ってのが俺等より前の世代から続く伝統だったぜ。で、当然図書室のが争奪戦になる」
「ちょっと面白そうに思えるよ」
「当事者からすると面倒な宿題だったんだぜ。てか教科書とかのデータが個人のスマホに入ってるんだな」
「うん、別に教科書とかのデータくらい入れても何ともないからね」
「そっか、そら容量もスペックも進化するか。ちなみにそのスマホのスペックってどれくらいなんだ?」
「RAM2TB、ROM24TBだよ」
「なんだその化け物スペック、3Dアニメでも作るのか?」
「そうかな? 僕の時代だと特段高スペックじゃないけど、このくらい無いとオフラインで使えないし」
「オフラインで使う? どういうことだ?」
「事前に地図とかよく検索されるデータを入れておくことでオフラインでも支障無くする為の機能だよ」
「物凄い多機能な電子辞書みたいなもんか。なら電波無い今でも色んな情報調べられるってことか?」
「うん、既に何回か信長さんに歴史とか技術とか一通り見せたよ」
「だから信長が三密とか知ってたのか……なら俺のスマホ完全に役立たずだな、電波も無ければ充電も出来ないし」
「充電……? あっ、そっか。昔は自動充電無いんだ」
「は? コンセント挿さなくても充電出来んのか?」
「うん、君のもワイヤレス充電が出来るなら分けれると思うよ。試しにやってみようか?」
実弥はスマホのサイズを携帯大に戻すと操作してバッテリーシェアモードにする。
「おっ、出来た! ありがとう! これで充電は気にしなくても大丈夫か。でも実弥のスマホと違って検索出来ないし無駄に高性能な電卓だよな」
「でも紙の教科書があるし大丈夫じゃない? それに義務教育を終えてる時点でこの時代だと凄い賢いし。そこが分かってるから信長様も僕達を引き抜かれないように保護してくれたんだし」
「それもそっか。ちなみに俺達以外にも転移者っているのか?」
すると実弥は少し気不味い表情になった。
「実はもう一人同級生がいるんだけど……」
「どうした?」
「その……2030年から来た女の子なんだけど、会った時に『僕より10歳年上だね』って言ったら怒られて……」
「ああ……、そりゃ同学年なのにおばさん扱いはなぁ……」
「それで一人寂しくしてた時に君が来たんだ」
「だがこんな状況で喧嘩してる場合じゃないだろ、俺も一緒に行ってやるから謝りに行こうぜ」
「ありがとう! 案内するね」
俺と実弥は立ち上がりその30年から来た女子高生の所に向かう事となった。
キャラ紹介
土山実弥
生年 2024年
転移前 2040年、16歳、高校2年生
転移時の所持品 スマホ、財布
名前の由来は不死川実弥から。今年付けられた名前に義勇や凪、蜜璃が多かったとのことなので4年後なら不死川さんの活躍も映像化してるだろうと思いこの名前にしました。
20年後のスマホのスペックですが00年と20年のパソコンのスペック差がだいたい200倍だったので200倍にしました。