獅子の娘は心臓を捧げる   作:ASNE

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獅子の娘は語り始める(Part3)

アニが続いて語り始めたのは、巨人の始まりから現状にまで至る血塗られた歴史である。

「私たちの祖に当たるユミル・フリッツは……元は初代フリッツ王の奴隷でした。家畜であった豚を逃がしたことでそれを罪に問われ、追放されて重傷を負った先で巨人の力を手に入れました。それから彼女は王に言われるがまま巨人の力を行使し、マーレなどの敵国と戦いました。その果てに降伏の使者が放った槍から王を庇いました。……ですが」

そこで一旦区切った後アニはお茶を飲み、両手でコップを持ってその中を見つめながら、再び語り出す。

「王にとって彼女は奴隷でしかありませんでした。そのまま死亡したユミル・フリッツですが……死してもなおエルディアの奴隷のままだったのです。その遺体は切り刻まれて娘三人に捕食され、今もなお巨人を生み出すことを強制されているのです。彼女は王家の血を引く継承者の命令には逆らえず、他の九つの巨人の継承者も彼女の影響を受けています。彼女が巨人の力を得てから十三年で死亡したため、継承者は継承後十三年しか生きられません。……私も、例外ではないでしょう」

「そんな、じゃあアニは……!」

ヒストリアはアニの言わんとすることを悟り、口元に手を当てて体を震わせた。

「そう、私の寿命も後七年ぐらいしか保たない。だから……その前に決着を着ける」

アニは深く息を吐いた後、話を続けた。

「さて、話を戻しましょう。エルディアが世界中を九つの巨人の力で席巻し、敵が居なくなった後。今度はエルディア内部で、始祖以外の継承者を有した勢力同士が争い始めました。そこに付け込んだのが、エルディアの悪行を憂いた初代レイス王と、現在マーレを実効支配するタイバー家です。彼らは手を組んでエルディア帝国を崩壊させ、マーレは始祖・進撃以外の巨人の力を奪取。初代レイス王は、可能な限り民を引き連れてここパラディ島に逃げ込みました。そして、外敵が滅ぼしに来る前までの楽園を築くことにし、幾千万の超大型巨人を用いて三重の壁を築いたのです。民衆には偽の記憶を植え付け、自身は『不戦の契り』を始祖ユミルと結んで始祖の力を封印し、その思想は代々洗脳じみた形で受け継がれてきました。……フリーダ・レイスも例外ではありませんでした」

ヒストリアの脳内に再びフラッシュバックする過去の記憶と、アニを通じて覗いたフリーダの記憶。ヒストリアは、全てを悟った。

「クリスタ?」

「思い……出した」

(なんで忘れてしまっていたんだろう……。確かにフリーダ姉さんは苦しんでいたけど、それはこのことだったのね。……でも、姉さんも他の継承者も継承しても初代レイス王の思想を受け入れていた。……彼らも逃げ続けていたんだ。かつての私の様に……)

その時ヒストリアの脳内に浮かび上がったのは、二人と共に見た『道』。

(そうか……それが私の運命か。……私にしか、出来ないこと)

「アニ……あの道の分化って()()()()()()?」

「……!」

アニはヒストリアがあのイメージの意味を知ったことを悟り、さっと顔色を変えた。ヒストリアはその瞳に、強い決意の炎を燃やす。

「ヒストリア、それは……」

「アニ、私は大丈夫。それで多分、アニの望みが叶う。―私が、始祖の力のみを継承する。……エレンの血を飲めば、それが出来るはず」

「おいヒストリア……」

「ユミル、アニも止めないで。私も、戦う。私はもう逃げない。世界を救おう」

「……それでいいんだね?」

ヒストリアは強くアニに頷き返した。

「うん、もう決めたから。ユミル・フリッツも他の継承者も……エルディア人の運命は、私が変える」

「……そうだね、それが今まで犠牲になった人たちを弔うことになる……無垢の巨人になってしまった同胞たちの無念も」

『!?』

ここからが、残酷な本題である。

「エルディア帝国が滅んだ後のエルディア人の運命は、悲惨なものでした。『悪魔の末裔』と呼ばれて迫害され、収容所に叩き込まれました。……現状マーレでの扱いは比較的マシですが、それでも扱いはほとんど人間以下です。……反逆を企てた者や戦争で選ばれた者は『無垢の巨人』に変えられてしまうのです。『無垢の巨人』は継承者や他の無垢の巨人の脊髄液を体内に入れられることによって生まれます。人間に戻る方法はただ一つ……九つの巨人の継承者を捕食すること。歴代の継承はこの方法で行われ、ユミルもマルセルを喰らって人間に戻りました」

「ああ……そうだったな」

「では、我々は同胞と殺しあわされていたというのか……?」

エルヴィンが衝撃を受けたという表情でアニに尋ねた。リヴァイとハンジの表情も若干硬い。

「はい……ですが間違いではないと思います。うなじを切られることが彼らにとっての介錯になりますから……。それから、『無垢の巨人』の中に居る奇行種は、生前強い思いを持っていた者だと思われます。なので、巨人になっても微かにその思いが残り、行動に影響を与えたのでしょう」

『……』

 

 

さて、ここからは交渉の時間だ。エルディア人の、そして世界の運命は、ここから変わってゆく。

 

 

 

 




と、言うことで近い内にエレンからヒストリアが始祖の力のみを受け継ぐことになります。これが私なりに考えた、地鳴らし阻止の物理的な手段となります。
賛否があると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
始祖の巨人/ヒストリア・レイス
女型の巨人/アニ・レオンハート
顎の巨人/ユミル
進撃の巨人/エレン・イェーガー
鎧の巨人/ライナー・ブラウン
超大型巨人/ベルトルト・フーバー
獣の巨人/ジーク・イェーガー
車力の巨人/ピーク・フィンガー
戦槌の巨人/ラーラ・タイバー
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