獅子の娘は心臓を捧げる   作:ASNE

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獅子の娘は語り始める(Part4)

「……なるほど。確かにこれは我々を大いに揺るがす真実だ」

黙って聞いていたエルヴィンが口を開き、アニを見据えた。

「……それで、我々に何をしろと?ここまで機密性の高い情報を明かしたからには、我々にそれなりの働きを求めているのだろう?」

アニは一瞬俯いた後、顔を上げてエルヴィンと目線を合わせた。

「……図々しいことを言っているのは承知しています。ですが、時間があまり残されていないためなりふり構っていられません。外の世界のエルディア人にほとんど居場所が残されておらず、マーレに暮らす我々も家族を半ば人質に取られているので戦うしかなく……この島も含めて絶滅させられるのは時間の問題です。このまま突き進めば世界中を滅ぼす『地鳴らし』しか選択肢がありません。―無理を承知でお願いします。世界と、エルディア人の同胞たちを救うためにどうか力をお貸しください!」

アニは両ひざを折ってカーペットに着け、両手を地面について頭を下げた。……所謂土下座である。

「……エルヴィン、判断はお前に任せる」

「右に同じ。エルヴィン、決めていいよ」

リヴァイはぼそりと言って再び口を閉じ、腕を組んで目を閉じた。ハンジもまた、おどけたように両手を広げ、エルヴィンに判断を委ねる。

「……ならば、答えを出そう。―アニ・レオンハート、ヒストリア・レイス、ユミル。以下三名を本日付けで調査兵団にも籍を置くことを特例で許可する」

「!それは、つまり……」

「これから存分に働いてくれ。期待している」

「「「はッ!」」」

三人は嬉しさで頬を赤らめながら、直立不動の姿勢で心臓を捧げる敬礼をした。

……ひとまず、第一段階突破である。

 

 

 

一通り話し終えたアニ。いつの間にか、外は真っ暗になっていた。

「さて、アニ。出来る所まで計画を詰めてしまいたい所だが、君たち三人はまだ訓練兵団を修了していなかったな。……確か、君たちの教官は……」

「キース・シャーディス教官です。……無断で抜け出している上に訓練をサボるとなると、唯ではすまないかと」

アニは若干顔色を悪くしながら返答した。他二人もそのことに思い至ったのか、さっと青ざめた。エルヴィンは立ち上がり、自ら纏めていた書類を机に置いた。

「私が直接会って君たちを借りる旨を伝えて来よう。あの人は調査兵団の前団長だ。あの人のことはよく知っている」

「……あの、それなら三人ほど連れてきてもらえますか?まだ細部を話していない所があるのですが、彼らに深く関わりがあるので……」

「分かった。名前を上げてくれ」

「一人目はエレン・イェーガー、先程上げた進撃・始祖の継承者です。……未来では、彼がパラディ島を守るために地鳴らしを起こしました。彼に真実を伝えて、そうならないよう説得する必要があります」

「二人目はミカサ・アッカーマン。エレンの幼馴染の女の子です。ちなみに、リヴァイ兵長と貴方の伯父ケニーとミカサは、親戚関係にあります。『アッカーマン一族』と呼ばれる特別な血を引く一族で、生身で巨人の力を引き出せます。始祖の能力が効かないので、迫害されており、生き残りは兵長、ケニー・アッカーマン、ミカサの三名のみです」

「……あいつが、伯父?」

「はい。……一度レイス家を探るため接触しましたが、芯の通った人物でした」

「……そうか」

アニから流れるように明かされたケニーと自分の血縁関係に考え込む素振りを見せるリヴァイ。

「そして三人目は、アルミン・アルレルト。エレンとミカサの幼馴染で、特別な力はありませんが頭が非常に切れます。彼には一番早くに真実を告げました。……呼んでおいて損はない者です」

「……分かった。リヴァイ、朝一番で南駐屯地に行くぞ」

「……了解した、エルヴィン」

リヴァイは頭を振って切り替えると、いつもの太々しい兵長に戻る。そんな彼に頷いたエルヴィンに、ヒストリアが遠慮がちに手を上げて声を掛けた。

「あ、あの、私も同行させていただいてもよろしいでしょうか?エレンたちには、私から伝えたいです」

「……じゃあ、アタシも」

ユミルも手を上げ、同行したい旨を伝えた。エルヴィンはふむ……といった感じで顎に手を当てた後、頷いた。

「許可しよう。ハンジ、悪いが留守を頼む」

「了解、エルヴィン団長。……アニ、悪いけど巨人化能力や外の技術について詳しく聞かせてもらえるかな」

「勿論です、ハンジ分隊長。私からそう申し出るつもりだったので」

「おッ、そうかい。……じゃあ、善は急げだ。行くよ、アニ!」

「ちょ、ハンジさん!く、首が~!」

「じゃ、また後で!」

ハンジは勢いよくアニの首根っこを掴むと、ドアを吹き飛ばす勢いで執務室を飛び出して行った。……おそらく、ハンジの研究室に連行されていったのであろう。ヒストリアとユミルはポカーンとした表情で固まり、エルヴィンとリヴァイはアニの運命を悟って心の中で合掌した。

 

 

 

 

 

 




次回からエレンたち三人組が本格的に登場します。
ここから徐々に仲間を増やす予定です。
後、次回からメイン視点を二人に増やします。
マーレ側の主人公をアニ、パラディ島側の主人公をヒストリアにするつもりです。
よろしくお願いいたします。
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