獅子の娘は心臓を捧げる   作:ASNE

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お待たせしました!約一か月半ぶりの投稿となります。
……お疲れ様、エレン。


『同胞たち』

調査兵団本部から六人が訓練兵団の学舎に帰り着いた時は、既に辺りは真っ暗だった。

「すっかり暗くなっちまったな」

「結構距離あったからね」

「私、お腹すいちゃった……」

「あたしもだ。何か残ってるかねえ……」

「……料理長に聞いてみる?」

「ダメもとになるけどね」

色々あって疲労している六人が食堂に入ると、中でだべっていた同期たちが一斉に視線を向けた。

「皆、た、ただいま……」

「おいエレン!何でてめえらまで調査兵団の服を着てんだ!?」

エレン、ミカサ、アルミンの三人も調査兵団のジャケットを羽織っていたため、思わず突っかかるジャン。アニは片手を前に突き出し、彼を制止した。

「はい、ストップ」

「アニ……」

「これは必要なことだったんだ。……また今度、改めて話すよ」

ジャンや、何か言いたげだった同期たちは言葉を詰まらせた。アニは微笑むと、夕食の残りを貰ってきたアルミンから自分の分を手に取り、自分の部屋に戻っていった。

 

 

 

 

アニはその夜、夢を見た。

気が付くとアニは、海上を進む船の上に居た。

「……ここは、アズマビトの?」

「―来たか」

ばっと振り向くと、そこに居たのはエレン・イェーガーだった。―ただし、地鳴らしを起こしたエレンだが。

「エレン……どうして、あなたが?」

「悪いな、アニ。お前に伝えなきゃいけないことがある」

「……?」

「お前、俺たちの物語の記憶を持っているな?」

「……!」

アニは己の秘密をあっさり言い当てられたことに動揺したが、すぐに納得した。……始祖の力を持つ彼ならば、自分の記憶を覗くぐらい朝飯前だろう。

「……それが何?」

「ただ、最後の記憶はない。だろ?」

……確かにそうだ。自分には135話までの記憶しかない。残り四話分の記憶はないのだ。知らないのだから。

「……ああ、そうだよ」

「それを、お前に伝える」

「……どうして、私に」

「この世界の運命を変えられるのが、お前しかいないからだ」

「……」

エレンはそれから完結に、残り四話で起きた事象を簡潔に伝えた。アニは驚いた後、涙を浮かべながら苦笑した。

「……ほんと、馬鹿じゃないの……死に急ぎすぎだよ」

「……俺は、間違ったとは思ってない。ただ……」

そこで言葉を切ったエレンは、涙を流した。

「叶うなら、ミカサと一緒に居たかった。皆と、一緒に生きたかった……」

アニはそれを見て苦笑し、エレンの手を取った。

「……分かったよ、エレン。その想い、私が受け取った。この世界のアンタは、私が守る。茨の道だとしても関係ない……巨人なき平和な世界は、私が、私たちが作る」

エレンははっと固まった後、嬉しそうにしてアニの手を握り返した。

「……頼んだぞ、アニ・レオンハート」

「……頼まれたよ」

エレンの姿は段々と薄らいでいき、消滅した。……彼は最後まで、笑っていた。

「……さようなら、エレン・イェーガー。あなたのことは忘れない」

 

 

 

ヒストリアもまた、夢を見ていた。

ヒストリアは気が付くと、牧場に居た。

「牧場……?」

戸惑う彼女の前に、エレン・イェーガーが現れた。

「……よう」

「あなた……もしかしてエレン?」

「そうだ。……一つ、聞きたい」

エレンの口調から重要なことだと察したヒストリアは、表情を引き締めた。

「お前に、背負う覚悟はあるのか?始祖の巨人を受け継ぎ、巨人の恐怖から世界を解放するために立つ覚悟が」

「……正直に言えば、怖い。私も、フリーダ姉さんみたいになってしまうんじゃないかって」

「……」

「でも……私は一人じゃない。皆一緒に居るんだから……それに、始祖ユミルも解放してあげたいの。彼女も、私たちも巨人の呪いに囚われてしまっているから」

「……そうか」

「だったら何も言わねえ。……俺に見せてくれ、巨人なき平和な世界を」

「……分かった。約束する」

エレンはヒストリアの顔を見て満足げに笑うと、ヒストリアに背を向けて立ち去っていく。ヒストリアはエレンの姿が見えなくなるまで、彼を見送った。

「バイバイ……エレン。元気でね」

 

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