許されるはずがないと思っていた少女、アニ・レオンハート。彼女は心優しき少年、アルミン・アルレルトに許された。―ここから、彼女の進撃が始まる。
「……ゴメン、アルミン。迷惑かけた」
「い、いいよ別に。アニが立ち直れたのなら、それでいいし」
かなり時間がかかったもののアニは泣き止み、アルミンから離れる。アルミンはどうやら今になって女の子と抱き合っていた自覚が沸いてきたのか赤面して若干視線を逸らした。
「アルミン……私はやるよ。皆の力を借りて、世界を救う。例え裏切り者と罵られようとも、私は成し遂げてみせる」
「……そっか。僕も、手伝うよ」
アルミンがそう言って差し出した手を、アニはしっかりと掴んだ。
「それで、どうするの?」
「……やるべきことは主に三つある。一つ目は、王政府の打倒。今の偽の王政府を……潰す」
アニは両腕を組み、彼女の目標を語り出した。アルミンは唾を飲みこみ、アニの言葉に聞き入った。
「偽!?じゃあ今の王様は……」
「貴族に担ぎ上げられた偽物だ。本物の王位継承者は……私たちの同期の中に居る」
「誰なの!?」
「クリスタ・レンズ―本名、ヒストリア・レイス」
「クリスタが……」
驚くアルミンに対し、アニは緩く首を振った。
「けど、王政を復活させるつもりはない。過去のエルディアは巨人の力を使って諸国を虐げ、今はマーレがそれにとって代わっている。……巨人の恐怖の象徴は、全て破壊する」
そうアルミンに告げるアニの瞳は、怒りで燃え滾っていた。アニは日本人の価値観も持っているため、上に立って下の人々を虐げ、他民族を差別することが許せないのだ。
「……後の二つは?」
「ウォール・マリアの奪還と、マーレの瓦解。そして……それら三つを成し遂げた後に巨人の力を消す。『ユミルの呪い』……継承は、私の代で終わらせる。……アルミン」
「何?」
「これから私は色々と動き回ることになる。私には優れた頭脳はない……アンタのを借りるよ」
「……勿論」
アルミンはそう言って珍しく自身に溢れた笑みを浮かべるのだった。
それからというもの、アニはまた変わった。アルミンと話し合った翌日、アニは同期たちに頭を下げてこう告げた。
「心配をかけてごめん。もう私は大丈夫。……いずれ、アンタたちにも話したいことがある。必ず話すから、それまで待っててほしい」
「僕らが予想してたよりも大分重い話だからね……僕からも頼むよ」
同期たちは少し不思議そうにしながらも二人に頷き返した。少し離れた所からそれを見ていたライナーとベルトルトの顔が、アニの顔を見て驚きに染まる。
アニの表情は、強い決意に満ちており、先週とは比べ物にならないほど芯が通っていた。
「おいベルトルト……」
「うん……アニはもうぶれないよ。……僕らは、どうすれば……」
こちらが立ち直るには、まだまだ時間がかかりそうだ。
―そして、その週の休息日。アニは同期の内二人を、誰も来なさそうな空き地に呼び出していた。灰色のパーカー姿のアニが突っ立って待ち人を待っていると、二人の内一人がぶつくさ言いながらも姿を現した。
「ったく、こんな所に呼び出しやがって。つまんねえことでクリスタを呼んだんだったらぶん殴ってやる……」
「ちょ、ちょっとユミル!落ち着きなよ、もう……」
その二人の人物は勿論、ユミル/『顎の巨人』と、クリスタ・レンズ/ヒストリア・レイスだ。アニは相変わらずの様子にクスリと笑い、それと同時にこの二人が悲しい別れをするかもしれないことに心を痛めた。……まあ、誰も死なせないつもりなのでその未来は来ないと思うが。
「来てくれたんだね、二人共」
「……まあな」
「うん、アニの頼みだもの!……えっと、今日の呼び出しってもしかして……」
流石に察しているらしい二人に、アニは彼らの根幹に触れる発言をすることを決めた。
「お察しの通り、アンタたち二人には他の皆より先に話させてもらう。二人は他の人よりも―この世界の真実について知っているはずだからね」
「「……!」」
二人の顔色がさっと変わり、ユミルはアニを睨みつけ、クリスタ―ヒストリアの表情が抜け落ちる。アニはそれに構わず、二人の真実を口に出した。
「ユミル……アンタ、
「てめえ……」
「クリスタ……アンタの本名は『ヒストリア・レイス』だよね?」
「……どうして、それを」
「私はアンタたちを脅そうなんて微塵も思ってない。ただ……頼みがある」
アニは二人に勢いよく頭を下げ、彼女のお願いを告げた。
「世界を滅亡の危機から救うために……二人の力を貸してほしい」
アニの成し遂げたいことはまだまだ不明瞭ではありますが、原作ファンの方たちに分かるヒントを一つ。
―アニの目的は、ジークの目的に非常に似ているが方向性が違う。
これからどんどんアニは壁内の中心へと足を踏み入れることとなります。まず手始めとして、『顎』の力を持つユミルと真の王位継承者であるクリスタ/ヒストリアに接触。
次回もお楽しみに!