はい、おはようございます。まさかのデメリットにびっくりしてあまり眠れなかった五十嵐義昭です。いや、なにさ。【寿命が縮む】って。むしろその文字見て寿命縮んだよ?どうしてくれんのよ?
.....いや、ふざけてる場合じゃないな。結構やばいぞ、これ。説明読んだらそこまで大きくない上書きでも一週間とか普通に消えていくんだけど。ヤバイよ。これじゃあ俺めっちゃ早く死んじゃうよ。....こうなったら.....
(上書き)
...ピッ....ピッ.........チラ...
ダメかあぁぁぁ......。デメリットが消えてない.....。
今”俺の個性にデメリットは無い”という上書きを試してみたが特に変化はなかった。消えたらデメリットの意味がないし、当然っちゃ当然なんだけどね。それじゃあ今度は、
(上書き)
...........チラ....!
嘘!消えてる!やった、嬉しい誤算だ。絶対消えないと思ったのに4秒位だけど減っtーー
「ゴフッ.....!」
え?
「ッッガアッアァァアアア!!!」
ブチッブチッ ダラダラ
痛い痛い痛い!なんだこれ!この血の量!体の内側と外側を一緒にズタズタにされてるような...!いや違う、マジでされてるんだ!とにかく回復を....!
「..か...ぁ..う、わが、き....」
スゥー
「かはっ、はぁー、はぁー....」
自分の体を怪我がなかった5分前の状態に上書きし、何とか危機を脱したが.....
「危ねぇ〜.....」ドサッ
倒れるように床に体を預ける。咄嗟に上書き出来たから良かったが、もし出来なかったら意識を失ってそのまま死んでただろう。それほど4歳児にはキツイ怪我だった。たった4秒縮めただけでこれかよ...
するとドタドタとこちらに走ってくる音が聞こえてくる。...ヤバいな。結構でかい呻き声あげちゃったし、聞こえちゃったか。
「大丈夫!?すごい声が聞こえたけど!」ダダダッ
母さんに。
「ッ!?どうしたの義昭!!それにそのすごい量の血は......!?」
そう。俺は体をどうにかすることだけしか考えていなかったので、血は溜まったままなのだ。
「.....ママ」
「な、何!?」
「.....リビング行こうか」
「え?...う、うん....?」
「.....」
「.....」
気、気まづい.....!空気が重い....!
「...怪我は、ないの?」
「.....個性で治した」
「...そう」
会話、終!了!
まぁ、そりゃあ息子のあんなシーン見たら、いや、息子じゃなくてもそうなるか。
「...あれは、何?」
「.....」
「どうして、あんな事になったの?」
「.....僕の個性のデメリットを克服しようとした反動で」
「....デメリットって...?」
「.....言えない」
自分の息子の個性で息子自身の寿命が縮むと伝えるのは酷だろう。
「.....ママ。僕はこれからしばらく部屋に篭もる。絶対に入ってこないでね」
「?どうしtッ!?あなたまさか、そのデメリットを克服しようと...!?」
母さん鋭いな。まぁ嘘をついてもしょうがないので黙って頷く。
「どうして!?あなたはまだ4歳なのよ!?あんな血だらけになるようなこと今やらなくても「今だからだよ」ッ!」
「.....今だからこそ、早くやらなきゃいけないんだ」
この先どのくらい個性を使うかが分からないからこそ、早いうちに縮む寿命を少しでも多く縮まないようにしなければならないのである。
「よ、義あ「いいね」っ.......分かったわ....」
俺の気迫にたじろいだのか、一歩後退りながら答えた。
「.....ありがとう、パパにも言っておいてね。どのぐらいかかるか分からないから。」
「...えぇ...」
母さんからの返事を聞いた俺は、ゆっくりと自室に向かって歩き出す。背中に感じる心配そうな視線を無視しながら.....
「.....フゥー、よし」
部屋に戻ってきた俺は、あの症状の対策としていくつか上書きを行う。
(上書き、上書き、上書き)
一つ目は”自動回復(再生)”、二つ目は”痛覚無効”、そして三つ目は”俺が解除しない限り上書きは消えない”という上書きをする。こうすることで体がボロボロになっても痛みはなく、傷つくのを自動回復で食い止めている間に、体の怪我がない状態に上書きするという作業ゲーになるのだ。上手くいくかはまだわからないが....。まあとりあえず、
義昭、行きまーす!
(上書き)
ブチブチ ダラダラ
体は傷つき血はあふれてくるが、痛みはなく苦しさもない。どうやら成功したようだ。よかったぁ~...。あ、早く治さなきゃ。
(上書き)
スゥー
よし、ちゃんと治って...あれ?
体の確認をしていると一か所治っているが傷跡になっている場所があった。もしかして、デメリットをなくそうとする上書きでできた傷は完全には消えない....?よく探すと、一回目のものも同じようになっていた。
(....上書き)
....うん、変化なし。どうやら消えないようだ。....まあいっか。どんどん行こう!
(上書き、上書き、上書き、上書き、上書き上書き上書き上書き上書き上書き)
「....あなた、あの子大丈夫かしら?もうだいぶ長い間部屋にこもったままだけど...」
「...俺も不安だよ。ドア越しに会話してる感じは、全然おかしくはないんだがな...」
「....不思議な子ね。4歳とは思えないわ」
「うん、あの年であの落ち着きようははっきり言っておかしい。周りの子供と比べても妙に達観してるし」
「そうね、あの気迫は4歳が子供が出せるようなものじゃなかったわ」
「...とりあえず、今は待つしかないか...」
「...それしかないわね...」
あれから二か月が経った。俺は飯や風呂の時以外の時間は全てデメリットを少なくすることに費やした。親には結構声を掛けられたが、上書きしながら会話をして大丈夫なことを伝えた。その結果.......
めっちゃ縮んだ!!なんと!上書きして縮む最大の寿命を一週間にまで抑えられたのだ!!!WRYYYYYYYYYY!!!最っ高にハ↑イ↓ってやつだぁぁぁぁ!!!
こほん、頑張って個性を使っていたが一週間が限界なようだ。それ以上は個性を使っても一秒も縮まらず、怪我だけをするという結果になった。そして、デメリットを少なくするための上書きで寿命が縮むかが心配だったが、一回した上書きの内容は何回でもできることが分かった。つまり、寿命が縮むのは最初の一回だけで、二回目以降の上書きや上書きで使えるようになった能力は寿命を気にせずに使うことができるのだ。だからめっちゃ上書きした。それはもう大量に上書きした。なんかもう「上書き」がゲシュタルト崩壊するほど上書きした。つまり俺の使える能力は......
(ステータスオープン)
物質変化、炎操作、一方通行(常時発動)、寿命縮小、自動回復(再生)、痛覚無効、水操作、風操作、雷操作、土操作、影操作、重力操作、時間操作、想像具現化、復元、隠蔽、索敵(常時発動)、肉体強化、頭脳強化、威圧、咆哮、瞬間移動、ワープゲート、個性干渉無効
めっちゃ増えた。もうヤバイ。何がヤバイってもう、もう!(語彙力低下中)
しかも全部上限なしの制限なしで、上書きで増やした能力のデメリットは消せるようだから全部強い。エグい。ていうか想像具現化だけでもうやってける気がする。しかし、この世に絶対はないので体もちゃんときたえよう。上書きも寿命が縮んじゃうのでやたらと使わずに考えて使おう。それにしても、俺がした行動も能力になるとは思わなかった。何、寿命縮小って。縮める寿命がなくなったら相手死んじゃうじゃん。...もしかして...
(....進化)
「寿命消滅」パッ
あああああああ!軽い気持ちでやったらとんでもないもんできちゃった!!!しかも進化は寿命縮まないんかい!!
....なんか、もういいや、疲れた、リビング行こう.....
ガチャッ
「!義あっ.......!?」
「...義昭..あなた..」
「.....おはよう」
二か月ぶりに二人の顔を見たが、少しやつれている。どうしたんだろう?
「.....どうしたの?」
「どうしたのじゃないだろ!?二か月も部屋にこもって、顔も見せないで!」
「そうよ!それに、やっと出てきたと思ったらそんなに傷だらけになって....」
....そうか、心配されるっていうのはこういう感じなのか。前世じゃ心配されることがなかったからよくわからん。それにこの二人は優しいから、傷だらけの息子を見たら余計に心配するか...
「.....ごめん」
「まったく。それに、その傷はどうしたんだ?全身にあるじゃないか」
「.....デメリットを小さくしたときの反動で付いた」
「義昭の個性で消せないの?」
「.....この反動で付いた傷は完全には消せなかった」
「...そう..」
三人とも黙り暗い雰囲気になる。なんか罪悪感が....
「そのデメリットって何なんだ?」
「.....言えない」
「そんなにひどいものなの?」
「.....それも言えない」
これだけは親にも言う気はない。本当は能力を増やす個性の使い方も誰にも教えないつもりだったのだ。
『そう(か)....』
これ以上問い詰めても俺が答えないことを悟り、空気がさらに重くなる。なんか罪悪感が....(二回目)
「...義昭、部屋から出てきたってことはもう大丈夫なんだな?」
「え?....まあ、大丈夫じゃないけど、デメリットはだいぶ抑えられたけど...」
急にどうしたんだろう?
「...よし!飯食いに行こう!」
『え?』
父さん壊れた?
「義昭が部屋から出てきたことと、義昭が個性のデメリットを克服したことを祝って外食だ!な!」
「...ええ、そうね。でも、部屋から出てきたら最初に私の料理を食べさせようと思ってたんだけど?」
「え、あ、その、えーっと...」ダラダラ
「フフフ、冗談よ。行きましょうか」
「お、おう!....よかった...」ボソ
「聞こえてるわよ?」
「何でもないです!」ピシィ!
......この二人は...
『ほら、義昭』
「....うん!」
俺の親がこの二人でよかったと、心の底から思えた瞬間だった。