訳アリのチート君   作:シン レイス

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三話

俺の個性のデメリット事件から月日が経ち、俺は小学三年生になった。入学式では俺の顔を見た子供がほとんど泣いたり、学年が変わるたびにクラスメイトに一回は怯えられたり、隣の席の女子に声をかけただけで泣きながら謝り倒されたり、小三になっても一人も友達ができなかったりなど、いろいろあったがこれと言って大きい事件は何もなかった。何もなかった...(泣)

 

父さんと母さんも普通に過ごしており、俺たち三人は静かに、けれども幸せに過ごしていた。あ、そういえば二人の呼び方についてだが、小三になったからもういいだろうと思って変えたのだ。最初にそう呼ばれた二人は、子供の成長を感じて嬉しいような悲しいようなという顔をしていた。え?俺は今なにしてんだって?

 

 

 

 

曲作ってますけど、何か?

 

いや、正しくは頭の中にある曲の情報をパソコンの音楽制作ソフトに打ち込んでるって言った方が正しいのだろう。流石に幼稚園児がパソコンを使いこなしてるのは違和感がありすぎるので、小二辺りでパソコンを使い始め、たどたどしく見せながら音楽制作ソフトをいじりだしたのだ。中学生になったら動画投稿を始めようかとを思っている。一回打ち込んだ曲を両親が聞かせてくれと言ってきたので聴かせたところ、

 

 

「すごいじゃないか!流石俺の子だな!」

 

「将来有望ね!」

 

 

など、普通の子供を褒めるように言っていたが、夜中にトイレに行くために起きたところ、二人がどこかの評論家のように俺が打ち込んだ曲について語り合っていたのを目撃した。しかも聞こえてきた言葉の大半が曲を褒めるものだった。俺が作った曲ではないので正直罪悪感はあるが、自分が好きな曲を褒められるのは嬉しいものだ。

 

こっちの世界には俺が生きてた世界の曲やアニメが全然なかった。ベートーベンやドヴォルザークなどは同じだが、アニソンやアーティストなどは知らないものばかりである。アニソンじゃなくても好きな曲は多くあったので、神様に頼めばよかったなとすごく後悔した。そして俺以外が俺の知っているアニメを知らないと思うと軽く凹んだ。

 

アニメの情報も頭に入っているので、俺が直接ディスクに入れることも可能だろうが、それは今じゃなくてもいいだろう。

 

...あれ?...いけるかなあ..

 

(上書き)

 

..っ...はは...マジかよ...本当にチートだな、この個性...

 

今ダメ元で上書きしたところ、”俺が少しでも覚えていたらその曲の情報を得られる”という能力を得ることができたのである。つまり...

 

 

ギュオオオオオオ!!

 

ああああああ!すごい量の情報が頭の中にいいいいい!!

 

この後俺は、思い付きで得た膨大な量の情報を、床の上をのたうち回りながら頭の中で整理することに三十分費やした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

情報の整理を終えた俺は、入力を中止して、糖分の補給のためにリビングに向かう。疲れた頭には糖分やからねえ~♪

 

お菓子を食べながら時間を確認する。両親は買い物に行っているが、先ほど帰るという連絡があったので、もうすぐ家に着くだろう。それまでは曲を打ち込んでようかね。

 

 

 

曲を打ち込んでいるときに、あれ?ディスクに直接入れられるなら、わざわざパソコンに打ち込まなくてもいいのでは?と思い、個性を使って試してみたところパソコンを打たなくても一瞬で入力できてしまい、今までの時間は何だったんだろうと悲しみに打ちひしがれながら時間を確認すると、あれから一時間も経っていた。...二人とも遅いな...?

 

こちらから連絡しようか考えながらテレビをつけて、面白い番組はないかとチャンネルを変えていると、あるニュース番組で手が止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、ヴィランに人質として利用され、事件に巻き込まれている多くの人の中に紛れている父さんと母さんの姿が映っていた。

 

 

 

 

理解が追い付かなかった。なんであの二人が人質になってるんだ。ただ買い物に行っていただけなのに、なんで二人が巻き込まれなきゃいけないんだ。なんで、なんで。頭の中でそれだけが繰り返される。そうだ、いつだったかはわからないが自分で言ってたじゃないか、

 

 

この世に絶対はないんだ

 

だから二人が買い物に行っただけだとしても、巻き込まれる可能性がないわけじゃない。そして、二人が攻撃されて命を落とす可能性も....

 

 

「.....行かなきゃ...」

 

気づいた時には鍵も閉めずに家を飛び出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人質を解放しろ!」

 

「ヒーローはまだなのか!?」

 

「うるっせえなあ!お前らはとっとと失せろよ!」

 

「剛田さん、あいつらもうやっちゃっていいっすか?うるさくてしょうがないっすよ」

 

「いや、こっちには人質がいるから下手に手は出せない。ほおっておけ。」

 

「ウーっス。おら!早く金入れろよ!」

 

 

義昭の両親は買い物の帰りに、お金を引き出すために銀行に寄っていた。しかし不運なことに、そこへ三人の銀行強盗がやってきてしまったのである。二人はほかの人と一緒に警察の助けを待っていた。

 

「うう、怖いよ、ママ」

 

「大丈夫よ。大丈夫だから」

 

「うるせえよ。黙ってろ」

 

ダァン!

 

鼠根田(そねだ)は女の子を連れた母親に向けて、自分の前歯を弾丸のように撃ち出す。

 

「ぐっ....!」

 

「ママ!」

 

「...大丈夫..だから...ね?」

 

「.....」スッ

 

「!てめえ!何してんだ!」ダァン!

 

「があ....!」

 

「どうした」

 

「こいつ携帯で外と連絡とろうとしてました!」

 

「...一応取っとくか。鼠根田、人質の携帯全部取り上げとけ。」

 

「分かりました。全員携帯出せ!」

 

鼠根田が携帯を回収している後ろで、剛田が時間を確認する。

 

「....時間か。毒山、一人選べ」

 

「やっとですか。それじゃあそうですねえ~....。この女ですね。まだ希望を失ってない目が気に入らない」

 

毒山が選んだのは五十嵐筆子、義昭の母親だった。

 

「筆子!!」

 

「......」

 

五十嵐典人は悲痛な声を上げるが、筆子は俯いて答えない。

 

「頼む!俺が代わりになるから、筆子は助t「てめえは黙ってろ!」ぐあぁ...!」

 

「あなた!」

 

毒山は手のひらから毒を出し、典人の腕を掴む。そのせいで典人の体に毒が回っていく。剛田が筆子の腕を掴んで立たせ、カメラの前に連れていく。

 

「見えてるか?警察共。最初に死ぬ犠牲者だ。恨むんなら判断と行動が遅い自分たちを恨むんだな」

 

剛田が自分の腕を岩のようにがちがちにして膨らませ、筆子の上に掲げ、頭を一発で潰せるように勢いよく振り下ろした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と同時に銀行の入り口が吹き飛び、剛田も一緒に吹き飛ばされた。

 

 

 

何が起こったのか誰も理解できていない中、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーおい」

 

 

 

 

ゾクッ

 

『!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....誰の親に手ェ出してんだ...?」

 

 

 

一人の声がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は個性で現場の状況を見られるようにしながら、重力操作で俺の重力をなくし、風操作で自分を浮かして空を飛んでいる。ワープゲートや瞬間移動は、移動する場所をしっかり把握していないと使いずらいため、こうして空から探しているのだ。といっても、現場についてすぐに何かをするわけじゃない。個性の使用はヒーローしか認められておらず、普通の人は外で使ってはいけないのだ。俺なら使ってもばれないだろうが、最悪な場合以外は進んでルールを破る気はない。

 

ダァン!

 

『ぐっ....!』

 

『ママ!』

 

.....どうやら備えておいたほうがよさそうだな。そう思い、使える能力を個性で増やしながら現場へ急いで飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛んできたことがバレないように、隠蔽を使いながら現場に降り立った。ヒーローはまだ来ていないようだ。もう二人も撃たれているのに何をしているのだろうか。

 

「おい、警察とヒーローはなにやってるんだ!」

 

「もうすぐ時間になっっちゃうわよ!?」

 

時間が経つにつれて周りの人がさらに騒ぎ出すが......時間?もしかして、

 

「.....あの、すみません」

 

「ん?っえ!?子供!?....あ、ごめんなさい、何かしら?」

 

「.....時間になっちゃうってどういうことですか?」

 

「...犯人が指定した時間までにお金と逃走用の車が用意されてないと、一人ずつ殺していくって....」

 

やっぱりそういうことか。

 

「.....犯人は何時を指定したんですか?」

 

「ええ、6時15、ふ、ん....」

 

女の人が時計を確認しながら言うと、顔から血の気が引いていった。これはもしかしなくてもそういうことか...?

 

俺も女の人の時計を確認すると、6時15分ぴったりの秒針があった。

 

 

『...時間か。毒山、一人選べ』

 

 

!まずい!犯人が動いた!ヒーローは一体何をしてr

 

 

 

 

 

『やっとですか。それじゃあそうですねえ~....。この女ですね。まだ希望を失ってない目が気に入らない』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

........あ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾクッ

 

 

『!?』

 

 

.....もう、ヒーローは待ってられないな....

 

俺は黙って銀行の入り口に向かって歩き出す。

 

「.....」スタスタ

 

「!おい、君!中は今、危ないから...!」

 

 

 

「--なにか?」

 

 

「!?....い、いや、何も....」ゾッ

 

「?.....そうですか」

 

男の人に声をかけられたが、何でもないようなのでそのまま銀行に向かう。そして入り口を破壊し、そのまま剛田というやつを斥力を使って吹き飛ばす。さて、

 

 

 

「ーーおい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お仕置きの時間だ

 

 

 

 

「.....誰の親に手ェ出してんだ...?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀行にいる人々が予想だにしないことが起きて動揺している中、一番動揺しているのは、

 

 

 

 

 

(...なんだ、なんなんだ!....こいつは...!!)

 

 

吹き飛ばされた剛田だった。全部順調だったのに、突然イレギュラーが発生したのだから、動揺するのは当然だろう。そして剛田と同じくらい、

 

 

 

 

 

 

(やっべ、思ったより強かった。斥力ってこんな飛ぶのか。というか周りの人驚きすぎだし怯えすぎじゃない?そりゃあ急に入り口が吹き飛んだら驚くけど、そんなに?さっきの男の人も怯えてたように見えたけど....え、俺そんなに顔怖い?..ショック...)

 

義昭も動揺していた。

 

...まあ、顔怖いのは知ってるけど...あ、もしかして、

 

(ステータスオープン)

 

....やっぱりか。

 

威圧(発動中)

 

どうやら俺の感情に反応して勝手に発動されるらしい。まあ、自分の意志でも発動できるから便利っちゃ便利だな。っと、こんなこと考えてる場合じゃなかった。

 

周りを見ると、犯人も固まってたので今のうちに、

 

(鑑定)

 

ここに来る間に増やした能力の一つ、鑑定で人質全員を見る。...怪我をしているのは撃たれた二人だけのようだ。俺は怪我人の二人に意識を向けながら

 

パチン!

 

指パッチンをする。すると、

 

スゥー

 

「え?....なにこれ...」

 

「すごい..!怪我が治って...!」

 

二人の怪我があっという間に治っていく。俺は復元と、新しく増やした能力の(消滅)を同時に使い、弾を消して怪我がなかった状態に復元するということを一緒に行ったのだ。消滅は人に使うとヤバいが、こういう時は便利である。そして、毒を喰らった父さんを治すためにこの場で上書きして能力をゲットし、使う。

 

パチン!

 

パアー

 

「..毒が消えてく...!」

 

新能力(浄化)の誕生である。よし、これで全員大丈夫だな。

 

「おい!てめえ誰だ!」

 

「いきなり出てきて勝手なことしてんじゃねーよ!」

 

お、犯人二人起動。ここで一個質問してみよう。

 

「.....1~5の中から好きな数を選べ」

 

あ、これ質問じゃない。命令じゃん。

 

「はあ?ふざけてんじゃねえぞガキが!これでも喰らえ!」ダァン!

 

鼠根田が自分の前歯を俺に向かって撃つが、俺は一方通行を常時展開しているので、

 

 

キイイン  ドスッ

 

「...え?....あ、ああぁぁああ!ぐっあぁ!痛えええ!」

 

「!?鼠根田!」

 

必然的に攻撃は跳ね返り、鼠根田自身が攻撃を食らうことになる。所謂自滅ってやつだ。

 

「お前!何しやがった!」

 

「.....選べ」

 

「っ、チッ!3だよ!ホラ答えたぞ、この数字はなんなんだよ!?」

 

真面目かこいつ。普通得体の知れない奴の言うこととか聞かないだろう?まあ、答えないと攻撃されると思ったんだろうけど。んじゃ、答え合わせと行こうか。

 

「.....答えは」スッ

 

「!」

 

パチン!  グキ グキ グキ

 

「!があ、ああ痛え!...俺の、腕が...!」

 

「.....お前の右腕の外れる関節の数だ」

 

俺はそう答えながら、自滅した鼠根田と右腕を抑える毒山自身の影を操り、動けないように地面に縫い付けた。

 

「.....大人しくしてろよ」

 

そう言いながら、俺は剛田のほうに歩いて行った。

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