番長の舎弟VS雷帝の弟   作:ゴールド@モーさん好き

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あらすじにも書きましたが、コチラは魔法少女リリカルなのはViVidにて登場くるハリー選手にもし弟or弟分が居たらどういうキャラか?という話題から派生した作品です。
作中にはハリー選手の弟分の他に、ヴィクトーリア選手の実弟も登場します。

これらをご了承の上お読み下さい。


第1話

 湧き上がる歓声、体を火照らせる熱気はこれから〝この会場で起こる出来事〟への期待を否応でも感じさせる。

 そんな会場にアナウンスが響き渡る。

 

『お待たせしました! コレより本戦第1試合を開始致します!』

 

 そのアナウンスと共に観客席より下‪──‬競技場の入口からスモークが噴き出し、〝選手〟が入場する。

 

『ブルーコーナー! 古代の魔導(ベルカ式)現代の魔導(ミッドチルダ式)を操るハイブリッド型、雷帝の血を受け継ぐ若き魔導騎士。カルト・ダールグリュン選手! 威風堂々とした面持ちで入場していきます』

 

 カルトの紹介を終えると反対の入場口からも選手が入場する。

 

『レッドコーナー! 彼の砲撃番長の弟分、背中に書かれている異世界文字は〝一蓮托生〟。数多のデバイスを操るマルチデバイサー、シドレ・フォレスター選手!』

 

「よォカルト、あいかっわらずしかめっ面だなぁ? 緊張してるんだったらトイレに行ってきたらどうだ、特別に待っといてやるぜ?」

「バカを抜かすなこの痴れ者が、貴様こそ今のうちにその虚勢をとっぱらったらどうだ? 試合になってからじゃ格好が悪くて見るに堪えないからな」

「んだと? 誰が虚勢だって?!」

「貴様以外誰が居る? 馬鹿が極まってとうとうそんな事すらも理解出来なくなったか……」

「お前こそ一体どこに虚勢を張ってる臆病者がいんだよ、お稽古のし過ぎでおねむなのかなお坊ちゃま?」

 

『両選手とも気合いは十分な模様です、ソレではまもなく試合が始まります』

 

「今日という今日こそ貴様に完膚なきまでの敗北を馳走してやる、泣いて喜ぶのだな‪──〝ブリッツ・シャイン〟セットアップ‬」

「抜かしやがれお上品な坊ちゃんが、粘って粘って最後の最後には〝俺ら〟が勝つんだよ‪──‬〝弾けろ根性〟!」

 

 両者はBJ(バリアジャケット)を身に包み、所定の位置に着いた。

 

【READY】

 

 開始のアナウンスによって今‪‪──‬

 

【START】

 

 戦いの火蓋が開かれた。

 

「先手必勝! 行くぜ〝フォルト〟!」

「〝ブリッツ〟、〝雷切〟、迎え撃つぞ」

 

 シドレはハルバード(フォルト・ラブリュス)を翻しながら跳び駆ける、対するカルトはレイピア(雷切)(ブリッツ・シャイン)それぞれに魔力付与と射撃魔法の指示を送る。

 

『サンダースフィア』

「撃て」

 

 カルトは青白い魔力弾を5発展開、その内3発をシドレに向かって放つが……

 

「ハンッシャラくせぇ!」

 

 ソレらをハルバードで全てなぎ落とし、カルトに肉迫する。

 

「やはりこの程度じゃかすりもしないか……」

 

 カルトは前に出す左手に鞘を持ち、迎撃兼追撃の手(スフィア)を体の周りに滞空させながらレイピアによるカウンターの構えをする。

 

「はァァァ!」

「ナメるな!」

 

 カルトは鞘から展開させたプロテクションでハルバードを受け止める。

 

(このまま怯んだ所を串刺しに‪‪──‬ッ!)

「一歩おせぇ!」

 

 カルトがレイピアを突き刺すそれよりも更に先にシドレは一歩前に進んで居た。そこは既にハルバードでも、レイピアの距離ではなく‪──‬〝拳〟の距離だった

 

「ブリッツ!」

「ヴックソがァ!」

 

 2人は互いに己の武器を相手に突き刺した。

 

「うぅぅ、ォらァァァァ!」

「ベタベタと鬱陶しい!」

「ガァッ!」

 

 シドレは怯まず追撃を放とうとするも、カルトのプロテクションにより強制的に体を飛ばせれてしまう。

 

(クソ、射撃に反射盾……こっちの〝攻撃が尽く阻まれる〟、ソレでさっきも相打ちになった。全く厄介な野郎だ)

(此奴が才能無いとか絶対嘘だろ、さっきだってハルバードを反射されたと判断したら足を軸にしてそのまま回転、ハルバードは手放して勢いそのままに踏み込んできやがった。マルチデバイサーという武器の多さをよく理解してる立ち回りだ、じゃなきゃ咄嗟に武器をスイッチ出来ない)

 

 シドレは両腕のガンドレットを先端が音叉になっているひし形の盾に変形させ、カルトとの距離を測る。対しカルトは先程と同様にスフィアを展開し、今度は攻撃に打って出る。

 ソレを察知したシドレは左の盾から射撃を行いながら、右の盾先から魔力刃を出す。

 

「撃て!」

「散弾、セット! ファイア!」

「無駄だ」

 

 カルトの誘導弾は散弾の間を縫うように動き、そのままシドレを狙う。

 

「チッふざけんじゃねぇよこんちくしょう」

 

 シドレは左の盾からも魔力刃を展開し誘導弾を迎撃、そのまま接近戦の構えをとる。しかし‪──‬

 

「分かってる筈だろう、〝今は〟ソレが悪手であると」

 

 シドレのさっきとは違う点は勿論手に持つ得物の違いだ。先程は重さと鋭さに優れたハルバードだったが、今は盾から魔力刃を出して二刀流となっている。確かにコレなら先程のハルバードよりも接近戦での小回りが効く、けれども最初にシドレがハルバードを選んでいたのは‪──‬

 

「そらそら、さっきまでの威勢はどこに行った。踏ん張らないとこのまま削りきってしまうぞ」

「クソ、このままじゃ……」

 

 〝速さ〟で勝負しない為である。自身の速さが遅いとは思わない、しかし相手の速さには負けるのを理解している。故に多少のダメージ覚悟で〝重さ〟勝負にしようとした。

 

(さっきフォルト手放したのは愚策だったか? ……いや、どっちにしろあの時手放さなきゃ結局コンボ決められて大ダメージだ。ソレにだ……)

 

 シドレはカルトの向こう側に落ちているフォルト、そして〝もう1つのデバイス〟に信号を送る。

 

(この位置関係なら結果オーライだ!)

「はァァァ!」

「何?!」

「ラッキー、とりあえず鬱陶しいだよ!」

 

 シドレは盾から魔力鞭を出してレイピアに巻き付け、引き寄せてそのままパンチをカルトの顔面にブッパなす。その衝撃で後ずさり体をよろけさせる。

 

「今だ! 〝ペガサス〟!」

『瞬風モード』

 

 シドレはコレを勝機と見なし、ブーツ型デバイス:ペガサスを起動。くるぶしの辺から魔力の羽を出し、体を加速させる。

 

「この! 48式(あらため)、雷龍牙!」

 

 カルトも負けじと鈍くなった頭を無理やり動かし、地面にブリッツを突き立てる。するとカルトの前方に円形の魔法陣が展開し、そこから人を丸呑み出来てしまうのでは無いかと思う位大きな雷の龍がシドレに向かって牙をむく。

 

「気張れよてめぇら、コレが彼奴に打ち込める最後のチャンスだ! 防御、加速出力上昇! あのチンケな蛇ごとぶっ飛ばす!」

 

 シドレは右腕の盾を更に変形、音叉の形はそのままにフォルムを細くさせる。

 

「‪…………デバイス、同期完了」

 

 右手首に魔力の羽を生やし、右腕を引き絞り左腕を伸ばして狙いを定める。

 

「悠久の時を輝く宝剣よ、今この一時、この刹那の時のみ我に担う権利を」

 

 詠唱を完了させ、シドレは圧縮された魔力(最強の剣)を突き立てる。

 

「ぶちつらぬけ!」

 

 ‪──‬カリバーン! 

 

 

 光の如く振り抜かれた(つるぎ)は龍とぶつかり合い、せめぎ合う。周囲には音と閃光を撒き散らし、会場の全ての人間がこの魔法のぶつかり合いで勝敗が決まると思った。

 龍と剣ぶつかり合いは少々龍に分があるのかシドレは少しずつ押されている。

 

「グゥゥゥ、だあああ! ペガサス! モード、豪雷雨!」

 

 シドレはデバイスに命令すると今迄足首や手首にしか無かった魔力の羽が増え、背中や膝といった場所にすは生え始めた。

 

「しつこい! ブッとべ!」

 

 カルトも負けじと龍に更に魔力を送り真っ向からすり潰す構えである。

 

(そうだ、それでいい。もっと〝意識を俺だけに集中させろ〟、それだけ俺の勝ちは近づく)

 

 ぶつかり合いが始まって10数秒、甲高い音と共に龍が突然霧散した。

 剣が龍を倒したのか? 

 いいや、違う。

 

「ヴ、ガァッ!」

「ハッハーン! 大当たりだぜこの野郎!」

 

 倒したのは〝戦斧〟で、倒されたのは〝カルト本人〟だった。

 カルトはふらつく体をどうにかしようとするが、そこへシドレが畳み掛けてくる。

 

「明日からはもっと視野を広く持つようにするんだな! 頭上とかな!」

 

 シドレがやった事は酷くシンプルな事だった、カルトがハルバードを視界から外した時に浮かし会場のはるか上空にスタンバイさせ、そのまま魔法で加速を加えながらカルトの頭部にぶつけたのだ。

 

「この、クソが!」

「これで寝てろ坊ちゃん!」

 

 カルトはレイピアで反撃しようとしたがそんなのお構い無しにシドレが剣を顔面に突き刺して、〝爆発〟させた。

 両者は吹っ飛ぶものの、シドレは何とかステージに叩きつけられながらを転ぶだけに済む。対してカルトはモロにくらってしまってそのまま場外の壁に激突、そこでようやく意識を失う。

 

『か、勝ったのはシドレ選手! 怒涛の戦いを決したのはシドレ・フォレスター選手だぁ!』

 

 会場中が歓声に湧く中、シドレはフォルトの元へ行き拾って肩に担ぎ左腕を掲げ勝利の雄叫びをあげる。

 

 

「やってやったぜ! 〝一蓮托勝〟! 宣言通り粘って粘ってキメてやったぜ!」

 

 魔力がスッカラカンで、満身創痍の体だが、確かな勝利を噛み締めていた。

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