あのセカイに来た時のようにまばゆい光に包まれてその光が止むとそこは朝比奈まふゆの部屋だった。
やはり、ここに彼女はいなかった。
あの「Untitled」をもう一度再生すればもう一度会えるかと思いスマホの音楽欄から探し再生するも「ファイルは破損しています」とダイアログが出てくる。
手詰まりだった。あとは彼女があの場から無事に戻ってきてくれることを祈り続けるほかなかった。
おおよそ30分たったころだっただろうか。
PCがが突如光り始める。
やがて部屋を満たすほどのまばゆい光に包まれる。
あぁ、彼女は戻ってきたんだな、と思いながら帰る支度をする。
彼女が戻ってきてくれるならこんなに喜ばしいことはない。
だが、同時に自分の言葉では彼女は戻ってこなかったことに悔しさと嫉妬があった。
まぁ全ては
なにより、この際だからとあれだけ啖呵切っておいて、彼女に合わせる顔がなかった。
君が必要だとか、まるで告白じゃないか。恥ずかしい。
PCから出た光が収まり、正しく部屋が見えるようになる。
部屋の真ん中に、朝比奈まふゆは立っていた。
「・・・やぁ朝比奈さん。お帰り。」
「・・・どうしてここにいるの・・・?」
彼女は無表情で聞いてくる。
しかし前の無表情とはわけが違った。その奥にちゃんとした疑問が見えたのだ。
あぁ彼女は少し前に進んだのだな、と安堵できた。
「あぁ、君のシンセサイザーを届けにね。あのまま捨てられてても胸糞悪いと思って。ただそれだけだよ。
・・・じゃあ私はお暇しようかな。できれば明日からは一緒に登校してくれると嬉しいよ。」
居心地が悪かった。とりあえず今日の気持ちはリセットして明日に回したい。
そんなはやる気持ちが帰る準備をもたつかせる。
「・・・ねぇ。」
「なんだい?」
「その・・・ありがとう。」
「・・・え?」
まさかお礼を言われるとは思っていなかった。
「・・・わからないけどこうすべきだって思ったから。」
彼女のこの状態で初めて激情以外の意思表示を受けて、ただ単純にうれしかった。
「いいや。礼を言うのはこちらの方だ。朝比奈さん。
「・・・よくわからない。」
とは言いつつも満更でもなさそうだ。
まぁ彼女の顔には感情はないけれど、
「さて、と。じゃあまた明日。」
「・・・うん。」
そう言い残して彼女の部屋を去る。
今日物事を整理するのはやめよう。頭が痛くなりそうなほど情報量が多い気がしたから。
何はともあれ、朝比奈まふゆがまだ生きてくれていることに感謝する。
しばらくはきっと
そう思いつつ私は家に帰り、風呂に入りベッドへと潜り込むと死んだように寝た。
目が覚めたころにはすでに朝だった。
いつも通りの時間に朝の準備をしていつも通りの時間に朝ご飯を食べていつも通り出ていく。
「・・・おはよう。文人くん。」
「おはよう。朝比奈さん。今日も行こうか。」
いつも通りに朝比奈まふゆと学校へ向かう。
これこそが求めていた平穏なのだ。私に改めて求めていた平穏が訪れた。
「・・・
「・・・?」
歩きながら急に朝比奈まふゆが自分の名前を呼び出した。
「・・・まふゆって呼んで。」
これは驚いた。ラブコメの波動を感じる。
いや、そうでもないか。
「なんでか理由を聞いても・・・?」
「よく、わからない。でも、そうして欲しい。気がする」
やはりラブコメの波動を感じる。
いや彼女はまだ恋とか絶対に理解できていないだろう。
だからその口はないと自分に暗示をかける。
決して嬉しくはない。美少女の下の名前を呼べる栄誉をかみしめてなんかいないのだ。
「なるほど。・・・じゃああらためて行こうか。まふゆさん。」
「・・・わかった。」
こうして少しまふゆさんはいい子を演じなくなったからこそ。
誰かが彼女を連れ戻してくれたからこそ。
彼女と関係性が一歩程近づいた中でまたこうして二人で歩く平穏が何よりも有り難く。
何よりも幸せだった。
こっからが独自路線になるので本番だったりはします
記念枠もしくはイベント部分について
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記念枠(内容は今のところ決めてないです)
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えなイベ