さて、どうしたものか。いきなり有名グループのマネージャーをしないかと言われても返答に困る。
まぁまぁ奇妙な話をするものだ。本来完結している均衡を崩そうとしているのだからこれほどおかしなことはない。
何より、私には音楽の才も経験も、知識もない。そんな人間に務まることだろうか。
「そもそも4人で回してきたサークルだろう?それがしっかり回ってるなら別にマネなんていらないんじゃないかな?」
「いやぁ、それがさぁ・・・。」
「端的に言って
そう言いながら東雲絵名は説明を始める。
内容としてはこうだった。
まずニーゴ自体の空気感がそんなによろしくない。
曰く、朝比奈まふゆが物事をここ最近いろいろとあって素直に言うようになったが、その棘があまりにも酷い。心を殺してくる。
それをどうにかできそうなのは昔からいた私ならできると信じている、らしい。
普通に考えて朝比奈まふゆがこのようになったのはつい最近のことだからよくわからない。というのが率直な感想である。
曰く、私が朝比奈まふゆに思いを吐露した時に渡した手紙の中身が全員に広まっているがそれを元手に歌詞をリメイクして曲を出すらしい。
ちなみに私はその手紙の中身なぞとうのむかしに忘れたために覚えていない。そんなやばいこと書いたかな。とつぶやくと周りから苦笑された。
曰く、そのこともありニーゴはよくリアリズムのあるダークでポップな曲(瑞希談)を出しているがたまには違うテイストの味も出したい。という奏の要望から歌詞担当の朝比奈まふゆの傍で歌詞の改良を行ってほしい、らしい。
よく小説を読む、と言ったときにジャンルを聞かれたのはそのためのようだ。
ちなみに絶対まふゆさんより語彙低いぞって反論したら東雲さんにまふゆより感情はあるでしょ、と言われた。絶対それとこれとは違うと思う。
その他メンバーの集合時の日程合わせなどという業務内容などを言われる。そこまで仕事は多くないらしい。
・・・ラブコメの波動と同時に嫌な予感はじりじりと登っている。割と胃が痛くなりそうだな。絶対口には出せないが。
「・・・という訳なんだけど。どうかな。できそう?」
と宵崎奏がこちらに聞いてくる。
「・・・まぁやれというならこんな機会はないだろうからぜひやらせてもらうけれど。まふゆさんはそれでいいの?」
そうまふゆさんに聞く。これは正直朝比奈まふゆが肯定しなければそれ以前の問題だろう。
「・・・どっちでもいい。文人君なら、いても嫌な感じはしないから。」
どうやら否定はされないらしい。何故か少しほっとした。
「・・・ってことはやってくれるんだね?やったー!」
小声で正直ボクの胃が持つ気がしないんだ。助かったよ。と耳打ちしてくる。一体どれだけ酷いのだろう。
「さて!新たなメンバーも加わったことだし!これからも頑張っていこー!」
「はいはい。」
「・・・。」
「うん。」
「あぁ。よろしく頼む。」
・・・確かにこれはきついかもしれない。
その後さまざまな会話を交わし、皆それぞれの家路につく。
朝比奈まふゆと帰りながら、ぽつりぽつりと会話を始める。
「まふゆさん。楽しそうだったね。」
「・・・別に。そんなことないと思うけど。」
「いいや、自分ではわからないかもしれないけど今日の朝比奈さんの無表情は少し柔らかい表情だったよ。いい仲間をもてたね。よかったよ。」
自分の意見を言わない朝比奈まふゆからあぁやってしっかり意見を聞き、尊重するのも彼女たちの絆が成せる行為だろう。
「・・・文人くんは。」
「ん?」
「文人くんはまだ仲間じゃないの?」
・・・随分と答えにくい質問をするものだ、と思ってしまう。
あくまで今の私の立ち位置は「朝比奈まふゆの幼馴染」だ。それ以上でもそれ以下でもないだろう。
いや、以下だとコミュニティに入り込んだ排除対象がもしかしたらあるかもしれない。
「・・・僕はまだ新参だからね。何も皆と成せていないから。本当に仲間と認められるのはこれから、じゃないかなぁ。」
おそらくこれが一番無難な答えだ。
「・・・よくわからない。」
「今はまだ、わからなくていいさ。少しづつ、少しづつやっていこう。時間はまだあるから。」
「・・・わかった。」
そんな会話をしていれば時間というものは割と早く過ぎるもので、お互いの家に着いた。
「じゃあ、また。」
「・・・うん。ナイトコードで。」
そう言ってお互いに家の中へ入っていった。
時は過ぎて夜中の1時である。
ナイトコードをインストールし、アカウントを作成。
名前を適当に付け、朝比奈まふゆから送られていたコードを打つ。
ピコンという機械音と共に自らのユーザーネームの入室を知らせるログが表示された。
とりあえず皆ボイスチャットにいるようなのでヘッドフォンを付けて聞こえるかのチェックをする。
「あー。あー。聞こえるかな。」
「先輩・・・であってる?」
最初に話したのは暁山瑞希だった。
「あぁ、間違いないよ。あー・・・えっと。Amiaさんって呼べばいいのかな?」
「固いわね。Amiaでいいのよ。年下でしょ?」
「そうか。ありがとう。えななん。」
「・・・なんかこそばゆいわね。」
「うわ~っ!えななん照れてる~?」
「うるっさいわねAmia!っていうか、あんたの名前も凄いわね・・・。」
名前はMOB。モブである。よく中学生の頃にそう言われていた。
だからってなんだ、というわけではないが。
「あぁ。よくこう言われてたから慣れているんだよ。」
「・・・うちのえななんが失礼で申し訳ない・・・。」
「あんたも人のこと言えないでしょAmia!作業戻りなさいよ!」
「はぁ~い。」
なんだろう。こういった離れた場所で作業しながら電話する、というような事を自分がするとは思わなくて少し苦笑してしまった。
「・・・えっと。こんばんは。
今度は宵崎奏だ。表示上ではKだった。
「あぁ合ってるよK。こんばんは。それで私はどうすれば?」
「とりあえず試してみてほしいことがあるんだ。共有フォルダの何も名前がついてないフォルダに音楽ファイルがあるでしょ。それを再生してみて。」
「あぁ。わかった。」
直ぐに確認する。音楽の題名は「悔やむと書いて未来」。迷わずクリックし再生する。
するとPCからまばゆい光があふれ、目を開けていられなくなる。
以前「Untitled」で経験したそれと同じだった。
次に目を開けると、やはり前来た白と灰色で構成されているセカイに来ていた。
実はハンドルネームをモブにしたかったがために主人公の名前はこれにしたところがあります。
記念枠もしくはイベント部分について
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記念枠(内容は今のところ決めてないです)
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えなイベ