4分33秒のソナタ   作:かしうり

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誤字報告ありがとうございます。感謝します。


片破、および「なにもないセカイ」

次に目を開けると、やはり前来た白と灰色で構成されているセカイに来ていた。

 

とりあえず周りを見渡してみる。

むき出しの鉄骨が地面に刺さっている。

 

少し歩くと、歪なツインテールをした白髪の少女を見かけた。あやとりをしている。

 

「・・・あの。少しいいかな。」

 

少女に話しかけると少女はゆっくりとこちらに顔を向ける。

目の色が両方で不揃いだった。オッドアイといったような。

というか全体を見ると完全に左右対称になるものはふぞろいになっていた。

靴下、目の色、ツインテールの位置、果てにはリボンの長さ。もはや意思を感じる。

靴下を履いている側を基準としているのか。はたまた逆か。それともこれで正しいのか。

まぁ何とも揃わないというコンセプトに沿ったファッションである。

 

「・・・なに?」

 

彼女はどこかで聞いたことのある声でそう言った。人の声にしては機械的すぎる。あまりにも抑揚がなかった。

 

どこか朝比奈まふゆと似ている雰囲気だった。

 

「君は確か以前会ったよね。・・・ミクさんだっけ。」

 

「・・・うん。」

 

「それでここに君は住んでいるのかい?」

 

「・・・そう。」

 

「・・・ちなみにここどこかわかる?」

 

「・・・ここは、()()()()()()()()()()()()。まふゆの心を表してる。」

 

()()()()()()()()()。それがここに表れている、という。

思わずぐるりと見渡してみる。

何もなかった(からっぽだった)。灰色の空に灰色の地面。そして刺さる鉄骨と謎の破片。そしてミク。

だが、この前見なかったものが追加されていた。

台座に人形が置いてある。よく見るとその人形の背面には穴があった。どうやらマリオネットのようだった。

どうやらミクが切ってあやとりにしたらしい。

・・・彼女がこの世界を表しているのならこのマリオネットは彼女なりの自分の状況への理解の証なのだろうか。

 

しばらく人形を観察していると足音が聞こえた。

足音の先は、宵崎奏だった。

 

「・・・あぁいたMOB。」

 

「こんばんはK。それでここは?」

 

「ここがどんな場所なのかは私たちにもよくわからない。でもミクはここがまふゆの心を表してるって言ってる。」

 

「・・・奏。」

 

そうミクと呼ばれる少女は宵崎奏の方を見て言う。結構な期間を過ごしてきたらしい。

 

「・・・そういえば紹介してなかった。ミク。この人は森文人さん。私たちのサポートをしてくれるようになった人だよ。」

 

「よろしく、ミクさん。」

 

「・・・よろしく?」

 

ぎこちなくも握手を交わす。

その手はとても冷たかった。

 

「・・・まるで()()だな。」

 

言うつもりはなかったが声が出ていた。

 

「・・・?」

 

ミクに首を傾げられる。そりゃあそうだろう。いきなり機械みたいだなんて言われて困惑しない奴はなかなかいない。

 

「あぁ、すまない。なんでもないよ。」

 

そう言いながら手を放す。それから宵崎奏に向き直る。

 

「それで?ここに来たのは紹介のためかな?」

 

「うん。それもあるんだけど・・・。一つ聞きたいことがあるんだ。」

 

躊躇っていたが意を決したかのように彼女はこちらの目を見た。

 

「・・・答えられる範囲ならば。」

 

なるべく目を逸らさずに答える。

 

「まふゆのことなんだけど。・・・過去に何があったのか知りたいんだ。」

 

「それまたどうして。」

 

「まふゆのことを救うために・・・まふゆのことをもっと知るために、教えてほしい。」

 

こうして彼女を救うために積極的に行動してくれるのはうれしい。

 

だがそうはいっても彼女の内心の変化に大きくかかわるような大した出来事を私は知らないしその時期を知らない。

 

「あー・・・えっとね。まず言えるのはまふゆさんの過去について言えることは私からは決して多くない。違和感に気が付いただけで何があって彼女があぁなったのかは全くと言っていいほどわからないと思う。それでも聞くかい?」

 

「…うん。少しでもいいからまふゆについて」

「私について・・・()()()()()()()。」

 

二人で思わず声の方を向く。

 

もちろん朝比奈まふゆだった。

相変わらずの無表情具合である。

心なしか後ろに修羅が見える気がする。さすがに気のせいだろうか。

もしそうだとして血のシャワーになるのはきっと私だろう。

 

「ゆ、雪…?なんでここに?」

 

「・・・ナイトコードに二人とも反応がなかったからここかなって。

・・・それで二人で何をしてたの?」

 

痛くない腹を探られても辛いだけだ。正直に話そう。

 

「・・・ここの案内を頼んでたんだ。それでまふゆさんの昔の話になってね。昔どんな感じだったのかって話そうとしていたんだ。嫌だったかな。」

 

「・・・別に。」

 

そう彼女はそっけなく返した。

 

「そうだ。雪。MOBの手紙のリメイクの話なんだけど。」

 

そう宵崎奏が話題の提供を始める。

 

どうやら朝比奈まふゆの過去話はまた今度でもいいらしい。

 

「MOBと歌詞のリメイクをする話?」

 

「うん。会ってやった方がわかりやすいしここでやったらどうかなって思うんだけど。どうかな。」

 

ミクの迷惑にならないかなと思いミクの方を見る。

ミクは相変わらずあやとりをしていた。6段梯子の作成に成功している。余程暇なのだろうか。

今度絵本でも持って行ってあげよう、とくだらないことを考え始める思考を視線を宵崎奏の方に戻し切り替える。

 

「・・・そうしようか。」

 

「じゃあ、頼んだ。」

 

どうやらこれからここで歌詞への変更を加える作業を行うらしい。

 

しかし全員手ぶらで来たので一度戻る必要がある。

 

「とりあえず一回戻ろうか。」

 

「そうだね。じゃあ一度解散で。」

 

「じゃあMOB。5分後に共有フォルダに打ち出したデータはいってるからそれノートパソコンかスマホに入れて持ってきて。」

 

そのタイミングでミクにも何かしらの暇つぶしを場所代とここに前招いてくれた礼として本でも持ってきてあげよう。

 

「了解。あ、そうだ。雪さん。」

 

「・・・なに?」

 

「ここってどれくらいのものなら持ってこれる?」

 

「・・・どうして?」

 

「ミクさんに何か暇つぶしの道具を上げようと思って。」

 

「・・・多分手に持てる程度なら持ってこれると思うよ。」

 

「そっか。ありがとう。」

 

そう言葉を交わした後、宵崎奏にここからの脱出方法を教わり、部屋に戻り再度入るための準備を始める。

 

 

 

 

その後遅くまで、作業は続いた。

 

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