ニーゴ加入後初の昼である。
昨日の作業は長かった。いや、物理的時間は短かったが心が深いダメージを負っていた。
ひたすらに心を殺し、誰かが書いた文章として表現のダメ出しを自分にし続けた。
なおまだ終わっていなかったのでもう一度は心を殺さなければならない。
元は自分の蒔いた種なので致し方ない…のだろうか。
そんなことを机に突っ伏しながら考える。
そういえば宵崎奏が朝比奈まふゆの過去を知りたいと言っていた。
そのことをより考えるためには一度自分が誰にも介入されない状況であることを認識するために顔を上げる。
クラスでは文化祭についての話し合いが始まっている。天馬君の押しの強さで劇に決まりそうだ。
まぁきっと彼が全部引っ張って完成させるのだろう。
何かやるにしてもどこかで裏方に手を挙げておこう。
そう思いながら宵崎奏の情報をまとめ始める。
通信制高校に通う女子高生。外には出たくない人。体の線があまりにも細い。
メロディーの作成を行う。まふゆを救ったグループの中心的人物。それ以外には知らない。あって間もない人間の素性など、確かに知ったものではないが。
思えば彼女がどうしてそこまで朝比奈まふゆに傾倒するのかも知らない。
彼女にはそれを聞いてみるのもありかもしれない。
納得したのち、どういう質問をするかを頭の中で考える。
あぁでもない、こうでもないと唸りながら学校を過ごした。
そんなこんなで学校を過ごし、25時。心を殺しながら雪と歌詞へのリメイクを終えた私達はKのチェックを受けるべく、ナイトコードに浮上していた。
「お、お疲れ~雪とMOB。」
「・・・お疲れAmia。」
「あぁ・・・うん・・・お疲れ。」
「あれ、MOBだいぶ疲れた声してるね。そんなんでこれから大丈夫~?」
「普通に考えて自分の恋文にも等しいレベルの勢いで渡したもの推敲するって何週間か後に真面目に解析するの普通に心がつらいからね。」
「あ~なるほど。ドンマイ。」
「どうも・・・。」
「ってかそれをもう一度読むまふゆも中々精神削ったんじゃない?どうだった?」
「・・・別に。MOBが私に対してどういう風に考えていたか書いてあるだけだから・・・悪い感じじゃない。」
「『君に私は必要ないかもしれないが、私にとって君はかけがえのない幼馴染であり、大切な人だ。 消えないでくれ』なんてキザだよね~」
「Amia?」
雪による圧がAmiaにかかる。
言葉だけなのに末恐ろしさを感じるのは私だけだろうか。
「あぁうん・・・ごめん。」
「・・・MOB,雪。歌詞は大丈夫だと思う。ありがとう。」
Kによるチェックが完了した。これであの羞恥からも逃れられるだろう。
「そう。じゃあ私は明日も早いし先に寝るね。お休み。」
「お休み雪~。」
「お休み。」
「雪、お休み。」
「おやすみなさい雪さん。」
それぞれが思い思いに寝る者に対する挨拶をする。
「は~。ちょっと休憩。」
「えななん、お疲れ。進捗はどう?」
適度に雑談が始まる。
「ぼちぼちね。まぁもうすぐ終わるわよ。・・・雪の事なんだけどさ。」
「え~?えななんまた陰口~?」
とAmiaが茶化す。
「違うわよ。なんというか・・・昨日今日の雪。すごい角が取れてない?」
「多分ここ最近はあんまり話す時間がないからじゃない?」
とKが答える。
「・・・それもそうかもしれないけど。割と幼馴染効果出てるのかなって。」
「幼馴染効果ってなに・・・?」
と思わず聞きたくなるのは致し方ない。
「こう、馴染みの異性の前だから性格がよくなるみたいなのよく小説であるじゃない。あれよ。」
「うーん。えななん。多分それはないと思うな。MOBの様子を見たらわかると思うよ」
「・・・確かにそうかも。」
とAmiaとえななんで会話が続き、途切れる。
差し込むなら今だと思い、意を決する。
「そうだ、K。」
「なに?MOB。」
「この前雪さんの事を知りたいって言ってたな。あれ、今話す感じでもいいかな。」
「・・・!うん。いいよ。でもそれならセカイで話した方がいいかもしれない。」
「それ、ボクも聞いていいかな。」
「あ、それ私も聞きたい。」
とAmiaとえななんが提案してきた。一応理由を聞いてもバチは当たらないだろう。
「・・・理由を聞いてもいいかな。」
「少なくともKが雪を救うと決めた以上、こっちも生半可じゃいられないのよ。それに、何がどうなれば
「ボクも大体同じかな。雪を救うには別の視点からの情報もいるからね。」
「・・・わかった。いいかな?K。」
一応言い出したKに確認をとる。
「うん。いいと思う。」
じゃあすぐに、とみんなが通話を切る。「悔やむと書いて未来」を再生し、光に飲まれる。
光が止むとセカイだった。ここには変化があまり見られないなと思いつつミクを探す。
少し歩くと不揃いのツインテール、片足しか履いていない靴下の少女を見つけた。ミクだ。
「こんばんは、ミクさん。」
「ん・・・。本、ありがとう。」
「また借りたければ言ってくれ。適当に持ってくるよ。」
「・・・うん。」
「リクエストとかあったら言ってね。できるだけ期待に沿えるようにするから。」
「・・・ありがとう。」
なんだかとても癒されるなぁと思いながら本を読んでいるミクを見て皆を待つことにした。
数分後、雪以外の全員が集合した。
Kが口を開く。
「・・・じゃあMOB。教えて。雪がどんな風に生きてきたかを。そして、雪がどうしてああなってしまったのかを。」
「うん。・・・私の記憶に残ってるのは小学生くらいの頃からかな。」
そう切り出して、記憶をさかのぼり始めた。
次回過去編的なのにします。
記念枠もしくはイベント部分について
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記念枠(内容は今のところ決めてないです)
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えなイベ