私がまふゆさんとかかわり始めたのは小学生のころからだった。
その頃から今みたいに何でもできる優等生だったよ。
最初は同じクラスなだけだったんだけどたまたま帰る方向が全く同じっていうことに気が付いてそれから一緒に帰ったりするようになったんだ。
彼女は当時なぜこんなにも勉強を頑張っているのか聞いたら答えてくれたことを今でも覚えているよ。
「お父さんとお母さんが褒めてくれるから!もっと褒められたいから頑張るの!」
って言っていたよ。
それからも彼女はすごかった。中学受験に見事合格し、今の女子高の中学に当たるところに入っていた。
それからかな、まず彼女の親に違和感が出たんだ。
小学生の頃はすごいわね、頑張ったわねって純粋にほめていた親が少しずつまふゆさんの私生活に介入を始めたんだ。
色々な習い事を受けさせてた。まぁそれくらいはまだいいかもしれない。
まふゆさんとは中学生になった時からそんなこともあって登校でしか一緒に行かなくなったけれどご両親が進めてくれているのだから頑張るって言っていたよ。
あぁ、あとそれからなぜかこっちに介入してくるようになったね。
やれ朝比奈まふゆとかかわるならそれ相応の学力をもて、やら。それができないなら関わってくるな、だとか。
それが我慢ならなくて一度揉めてね。
大事には至らなかったけれどあの親、特に母親の方は少し異常だと思ったよ。
自分がこう思うんだから相手もそうだろうとか思っちゃうタイプだね。
そんな感じだから娘に対しては人一倍それを求めてたかもしれない。
私がそれから彼女についてわかるのは私と彼女が中学二年生の後半くらいかな。
朝いつもまふゆさんと登校しようとしたらいつもより変に演技クサかったんだ。
いつも通りの演技をしているっていう感じかな。
その時から彼女の心境の変化として何があったのか探したんだ。
好きなもの、嫌いなもの、将来の夢とか。変なところがないか探したんだ。
まぁ完全に変だと気が付いたのはついこのあいだったけど。
まぁそれからちょっとしたひと悶着を起こして今に至るってわけかな。
「・・・とまぁ私から話せるのはこのくらいかな。何の参考にもならなかったかもしれないけど。」
「・・・ううん。ありがとう。少し参考になった。」
そう宵崎奏から礼を言われる。
「・・・まぁ参考になったのならよかったよ。」
それから一息つき、こちらも聞くことにする。
「なぁK。よければ教えてくれないかな。なぜそこまで雪さんを救おうとしてるのか。」
「・・・約束したんだ。雪の自分が見つかるまで、私が救い続けるって。救うような歌を作るって。だから私は雪を・・・人を救い続けるような音楽を作らなきゃいけない。」
それは、どちらにも呪いを分けるようなものだろう。
Kは雪が救われるまでは少なくとも彼女が救われるような歌を作り続けなければならない。雪はKが救い続ける間、自分を見つけなければならない。
最早悪魔の契約並みにやばい契約だと思う。
でも、Kの言葉からはそれ相応の覚悟を感じた。
「・・・すごいな。Kは。」
彼女ならきっと雪を救えるだろう。きっと私には救う資格も能力もない。
「ううん。私ひとりじゃきっと何もできない。だけどえななんも、Amiaも雪もそしてMOBもいる。・・・だから私は人を救える歌を作れる。」
「・・・そうよ!あの構ってちゃんは私たちで救うの。一人で背負わせたりなんてしないんだから!」
「まぁ、えななんも構ってちゃんの部類だと思うんだけどねぇ。」
「Amia!そんなわけないでしょ!あんなのと一緒にしないで!」
「・・・えななんはツンデレなのか?」
「あんたもツンデレっていうの・・・!?」
とそんな感じの茶々にKが少し笑う。
「・・・ありがとう。こんな見ず知らずのやつをサークルに入れてくれて。」
「意外とそうでもないかもよ?」
とAmiaが答える。どういうことだろうか。
「前々から雪からMOBの話は聞いてたんだ。幼馴染がいるって。」
とKが代わりにこたえる。
「・・・なるほど。まぁそれである程度人となりはわかっていたと。」
「・・・まぁそういうことかな。」
・・・と一段落したところでAmiaが何か言いたげにそわそわしている。
何かすごい嫌な予感がする。
「Amia。何か言いたそうだけどどうしたの?」
あぁ、えななんが追及してしまった。
「ぶっちゃけMOBって雪の事好き?」
話がラブコメ展開である。
「あ、それ気になる。小学生から一緒に過ごしてきた女の子って恋愛対象に入るの?」
えななんものってしまった。あとはKにすがるしかない。
「K、助けて。」
と言いながらKがいた所を見るとすでにKはいなかった。
「・・・Kはさっき帰ったよ。」
とミクが教えてくれる。逃げたらしい。
逃げれそうにはなかった。
「さぁ逃げ場はないよ。MOB。」
「吐いちゃいなさいよ、雪には言わないであげるから。」
正直、好きか、と問われれば好きだろう。
あんな魅力的な女性を間近で見てきて、惚れない男性も中々いない。
それは今の彼女になってもおんなじである。
しかし、この恋は諦めるべきなのだ。今の彼女には感情がわからない。
そんな彼女に恋愛感情をぶつけても確実に理解されない。
叶うわけがないのだ。
「・・・まぁ好きだよ。告白はしないけど。」
「・・・なんで?」
とAmiaが頭にはてなを浮かべるくらいに首をかしげている。
「今の彼女じゃ恋愛になんて持ち込まれたら厄介事でしかないだろ。感情が理解できないのに、さ。」
そんな状態で恋愛をするなんて到底彼女の頭がどうにかなりかねない。と、付け加える。
「うーん・・・一理あるね。幼馴染で遊びにとかは出かけないの?」
思い出してみればそんなことは小学生以降していない。
「小学生以降してないな。」
「・・・割と重症ね。」
散々な言われようである。そもそも雪とは趣味は合わない。あっちに趣味がないからというのもあるが。
「・・・引きこもりには言われたくないと思うよ・・・えななん。」
「それはAmiaもでしょ。」
二人はどうでもいいような喧嘩を始める。
それを見てそろそろ寝ようかなんて考えているとミクが裾を引っ張ってきた。
「・・・どうしたんだい?」
「まふゆと・・・・遊びに行ってあげて。」
この子がそんなことを言うなんて意外だと思った。
「それはまたどうして?」
思わず疑問をぶつける。
「まふゆは、自分に囚われないことが必要だから。」
そういえば彼女がカラオケに行っているところを見たことがない。彼女が家族以外とアクテビティに出かけるところを見たことがない。
今なら趣味がないからだと納得していたがそうでもないらしい。
彼女が『朝比奈まふゆ』であるから。この一言で彼女は優等生の檻から出られていない、ということなのだろう。
「・・・わかった。じゃあどこか遊びに誘ってみよう。」
「お、言ったねMOB。」
・・・もしかして嵌められたのだろうか。
「いやぁ~これで安心して作業に戻れるね!えななん。」
「いやなんで私に振るの?」
なんて漫才を始めた彼女たちを尻目に、どう誘おうか考え始める。
今日もまた、遅くに寝るのだろうと考えながら。
記念枠もしくはイベント部分について
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記念枠(内容は今のところ決めてないです)
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えなイベ