4分33秒のソナタ   作:かしうり

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回想、及び彼女への違和感

私から見て二回目のオフ会以降、朝比奈まふゆが変だ。

 

感情を会得したせいで情緒が不安定なのだろうか。

 

とにかく彼女が変なのだ。

 

何が変かと聞かれれば答えにくいのだがおそらく若干()()()()()

おそらく気のせいだろうけれど。

 

ともかく、あくまで気のせいであっても何かしら朝比奈まふゆに変化があったのは確実である。

なにより、それを無視してはならないと前学習した。

 

ということで、まずは()()()()のはいつなのか、を考えてみる。

 

違和感を感じたのはナイトコードでニーゴの活動をしている最中である。

 

あれは少し手の空いた人間で話している時だった。

 

「そういえばMOB。」

 

Amiaが呼んできた。

 

「どうしたAmia。」

 

「なんでミクに本を渡してるの?」

 

セカイに行くたびにミクが本を読んでいたら時折本を補充している。

 

朝比奈まふゆが感情を表さないように、ミクも感情が表れない。

 

しかし彼女の場合、言語が発達している赤子のような印象が強い。

なんというか、生きていくための常識は一切ないのにコミュニケーション言語とその為の体のみが発達しているのだ。

 

そこに知識を与えれば割と普通になるんじゃないか、という言い訳を途中正当化する方法として思い付いた。

 

本当は暇そうだったからだ。

 

「暇そうだったからだよ。一人で暇なら本かゲームでもあげれば少しは気がまぎれるかなと思って。」

 

別に偽る必要はないから正直に答える。

 

「へぇ~?ホントはそれを口実にミクに会いたいだけなんじゃないの~?」

 

「なんでそんな恋愛脳になるかな。普通に善意だよ。」

 

そもそも、あのように閉じられたコミュニティで恋愛をするのはなかなか周りの目もありきついだろう。

 

「ホントかなぁ~?」

 

くだらない茶々を入れられ続け、痛くない懐を探られるような今日の活動が終わり、いつも通りミクに本を届けにセカイへ入る。

 

セカイには先客がいた。朝比奈まふゆだ。

 

「こんばんは雪さん。夜遅くなのにここにいるなんて珍しいね。」

 

「・・・眠れなくて。」

 

「・・・そっか。まぁ誰しもそういう時はあるよね。」

 

この時点で少し彼女の様子は変だった。

こんな夜更けにセカイへ来ること自体が割と違和感でしかない。

 

会話をしながらミクがどこにいるか探す。

 

台座に座り、あやとりをしていた。

 

「こんばんは、ミクさん。」

 

「こんばんは、文人。本、面白かった。」

 

そういうと彼女の足元を指さす。

 

だいたい適当に選んだ絵本と小説のセレクションだが楽しく読んでいただけたようだ。

なんだかうれしかった。

 

「次の本持ってくるけど要望とかあるかな。」

 

「・・・恋愛ものがいい。」

 

タイムリーな爆弾な気がする。思わず朝比奈まふゆの方向を見る。

朝比奈まふゆがこちらをじっと見ている。

気まずいので目を逸らした。

 

 

「わかった。次はそういうの重点的に持ってくるね。」

 

そう言いながら帰ろうと思い、再生を止めるためにスマホを弄る。

 

「ねぇ、MOB。」

 

途中で朝比奈まふゆから声がかかった。

顔を見ると無表情だが少し声色に不機嫌さが見える。

 

「どうしたの雪さん。」

 

「なんでAmiaのことは呼び捨てなのに私たちはさん付けするの?」

 

言われてみればそうかもしれない。

Amiaは後輩だから、だとかどうでもいい理由をある程度考える。

 

「Amiaから呼び捨てでいいって許可もらったからかな。失礼があったら嫌だからね。」

 

「Kとえななんはともかくとしても私にその必要ってあるのかな。」

 

彼女とは確かに古くからの付き合いである。

遠慮こそすれどその程度のラインはとうに越えているのではと言いたいのだろうか。

 

「・・・でも急に呼び捨てにしたら親御さんに心配されない?」

 

以前朝比奈まふゆの親と揉めてから朝比奈まふゆのことは朝比奈さんと呼んでいる。

その方が面倒にならなかったからだ。

 

「・・・大丈夫だと思うし見られなければ多分お母さんたち関係ないと思うんだけど。」

 

バッサリときられた。どうやら逃げ場はそんなにないらしい。

 

「・・・それもそうかもしれないね。じゃあ・・・えっと・・・雪。」

 

「なに?」

 

「いや、一応呼んでみただけ。」

 

「・・・そう。」

 

「MOB。」

 

「ど、どうしたの?」

 

「今度から夜ミクに本を渡すとき私も来るから連絡して。」

 

何故連絡がいるのだろうか。やはり何も知らない少女と二人の空間はやましいと朝比奈まふゆに感じ取られたのだろうか。

 

「あぁ、うん。わかったよ。」

 

「・・・じゃあ、寝るね。お休み」

 

そういうと朝比奈まふゆはセカイから去っていった。

 

なんだったんだこのやり取りは。ラブコメだろうか。

波動どころかここが爆心地となりつつある。

 

考えても仕方がないことが一気に起きた気がした。

 

というのが問題の出来事である。

まぁまるでラブコメだなと思うかもしれないし実際そうなのだが彼女が呼び方に言及したのはこれが初めてだった。

小学生の頃に急にさんづけにしても言うほど気にしなかったのに、彼女はそこに言及してきた。

これは大きな変化であり、こちらにとっては違和感を感じざるをえなかった。

彼女の中の思惑としてはいったいなにがあったのか皆目見当はつかない。

 

これだけを下に彼女への変化の考察を考えるには些か情報が少ない。

もう少し早急になにか違和感を集める必要がある。

 

 

私はミクに別れを告げ自室に戻り、メモ機能をPCで起動しこれから考えるべきことを書き出しては消す。

どんな情報が必要かもわからないのに劇的に周りが変化していく。

 

それがいつもより歯がゆかった。

 

 

結局リストもできず、夜の3時まで思考を働かせ続けた。

 




次回は多分24:30くらいに次回出します

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