4分33秒のソナタ   作:かしうり

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遅れてすみません。




名称、及び彼女の胸中

目覚めて朝である。

どれだけ遅く寝ても朝起きなきゃいけない時間はやってくるものである。

 

眠いと思いながら体を起こし、いつも通りに外へ出る。

 

外を出ると朝比奈まふゆの方が早く待っていた。

 

「おはよう、まふゆさん。」

「・・・」

 

挨拶に対する返事がなかった。

いつもならどんな関係性であろうと返してくれるであろう挨拶がなかった。

 

ついに愛想をつかされたのだろうか。

 

「・・・あの、まふゆさん?」

 

「・・・昨日の事、覚えてないの?」

 

あぁ、なるほど。理解できないけど理解した。

 

「・・・まふゆ。おはよう。」

 

「おはよう。文人。」

 

正解らしい。なんだかくすぐったかった。

 

「じゃあ行こうか。」

「・・・うん。」

 

そう言いながら二人で歩き始める。

 

いつもより明らかに距離が近い。気のせいなんかじゃなかった。

少し歩きながら距離をとったとしても完璧に合わせてくる。

まるで心を読まれているかのように彼女は離れた分の距離を詰めてくる。

 

「・・・文人。なんで離れるの?」

 

冷たい声が隣から投げかけられる。

背筋が凍る。バレるのはわかっていたが聞かれるとは覚悟していなかった。

恐る恐る隣を見やるとそこにはいつもの無表情で首をかしげている朝比奈まふゆがいた。

怒っているわけではなさそうだ。

 

「いや、なんか今日距離近いから離れたほうがいいかなって思って・・・。嫌だった?」

 

「・・・よくわからない。でも、いい気持ちはしない。」

 

絶対わかってるだろ、という返答をぐっと抑え、別にかける言葉を探す。

 

「そっか。ごめんね?でもあんまり近いと周りに誤解されちゃうから。」

 

「・・・嫌なの?」

 

火の玉ドストレートである。

答えはもちろんNOではある。だがここで素直にNOを振りかざしても適正距離に戻ってくれることはないだろう。

しかし朝比奈まふゆに弱い私がそれ以外に術がないのもわかっていた。

 

「あー・・・うん。嫌ではないかな。」

 

自分の発言ながらヘタレラブコメはやめろと思わず心の中で突っ込みを入れる。

 

「・・・ならいい。」

 

結局、その状態のまま駅まで向かう羽目になった。

嬉しくはあった。

 

 

時変わって夜である。

いつも通り、ナイトコードへ入り、自分の業務を遂げる。

 

今日の業務が終わり、みんなで雑談し始める。

「MOB」

 

「どうしたの雪。」

 

「え?」

「え!?」

 

Kとえななんに大いに驚かれた。

 

「なんか驚く要素あった?」

 

と、問い返す。

 

「え、だって今雪の事呼び捨てで・・・。」

 

「あぁ、昨日余所余所しいから変えろって言われて。」

 

「へ、へぇ~?そうなんだ~?」

 

「・・・まふゆ?本当?」

 

Kは疑っていた。まぁそうもなるよなと思いながらその様子を聞いていることにした。

 

「うん。そうだよ。」

 

「・・・そっか。」

 

と会話を交わしたのち今日はミクのところに行くかと聞かれたので行くと答えた。

 

いつも通りにボイスチャンネルを退室し、セカイへと向かう。

 

 

セカイに行くとすでに朝比奈まふゆはいた。

 

いつも通りミクと会話を交わし、朝比奈まふゆに向き合う。

 

「ありがとうね、まふゆ。」

 

「・・・大したことじゃないから。」

 

そんな会話をしながら朝比奈まふゆに前から聞いてみようと思ったことを口に出す。

 

 

「まふゆ。」

 

「・・・なに?文人」

 

「どうして、私がセカイに来るときにはまふゆも呼んでって言うようになったの?」

 

数刻の沈黙後、彼女は口を開いた。

 

「・・・よくわからない。でも、ミクと文人が二人であっているところを考えたらとても嫌だった。どう嫌かもわからない。でも、とにかく嫌だった。」

 

この感情はなんだろうか。・・・嫉妬?

 

「だから、文人にはここに一人で来てほしくなかった。」

 

 

まとめると、ここに一人で来てほしくなかった。その理由はミクと私が二人きりになるのが彼女にとってとても嫌だった。だが嫌だった理由はわからない。

 

まるで嫉妬、いや独占欲だろうか。

 

ミクとの距離が近いように見えたから彼女はこのような行動をとったのだろうか。

 

それはまるで・・・

いや、やめよう。変な勘違いをするものではない。

 

「なるほど、じゃあ今度からまふゆに一声かけてから入るね。」

 

そう声をかけると彼女にはうなづかれた。

 

その後、ミクに本を渡し、セカイで解散した。

 

PCの前に戻ってくるとナイトコードにはまだボイスチャンネルに人がいた。

何か話すのもいいなと思い、ボイスチャンネルにつなげる。

 

「あ、MOBだ。やっほー。ちょうどMOBたちの話をしてたんだよ。」

 

「やぁAmia、なんでかな?」

 

「ここ最近、あんたと雪の距離がだいぶ縮まったでしょ?それが何故かって話よ。」

 

とえななんが回答してくれる。

 

「・・・MOBは何か心当たりはある?」

 

とKが聞いてくる。

 

「ここ最近の雪はなぜかすごい距離が近いんだ。呼び方も強要されたし」

 

というと全員が一度フリーズした。

 

Amiaが復帰すると口を開く。

 

「それって・・・。」

 

「・・・よくわかんないでしょう?」

 

と最後の一言を言うや否や、ミクとまふゆとで起きた問題をひたすら語らされ続けた。

 

それでどうやらあちらの問題は多少解けたらしい。

 

その時に一応ヒントももらったが、Amia曰く自分で気が付かないとだめらしい。

 

 

その言葉を気にしながら私は明日どうすべきかを考え始めた。

 

 

まぁ、何一つわかるわけがないが。

 




多分元旦の投稿はないです

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