4分33秒のソナタ   作:かしうり

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好き、およびタイミングと逃亡の重要性

わかっていた。いくら勘違いとして先延ばしにして、自分の中で押しとどめようとし続けていても、時や状況というのは一切止まってくれやしない。

そんなことは前々からわかっていた。隠したいことを永遠に隠すことが自分の為にならないことも。ましてや相手の為にもならないことを。

だが時期というものを見極めるはずだったのに。

どうにもそれ自体はなかなか高校生という身では難しいもので。

 

まぁ、つまりなんて言うか。

 

「で?雪ってぶっちゃけMOBのこと好きなの?」

 

 

とても嫌なタイミングでボイスチャンネルに入ってしまったわけだけれどこれからどうすればいいのだろう。

 

 

少し思案した結果、少し黙っていることにした。

理由としてはまぁ素直に言えば気になるから、である。

なにより、この状態で会話に入ろうものなら議題は崩れるだろう。そしてえも言いわれぬ微妙な空気感が漂うだろう。

なのである程度話が流れてから会話に入る、という建前の下、普通に気になるので聞くのである。

 

「好き・・・?」

 

「うん、好き。友達~とかじゃなくて恋の方のね。」

 

とAmiaが少し笑いながら答える。

絶対画面の奥ではニヤニヤしているのだろう。

 

「恋・・・?」

 

「あぁ・・・う~んそうだよね・・・。わかんないよね・・・・。」

 

雪に恋という感情はわからないから質問自体が前提から破綻しているようだった。

 

「うん。」

 

「じゃあ、雪はMOBとずっと一緒にいたいとか思ったりしないわけ?」

 

次はえななんによる質問らしい。

 

「ずっと一緒に・・・?」

 

「そう。あいつならずっと一緒にいてもいいかなとか思ったりしないの?」

 

「・・・よくわからない。」

 

「あーもうまどろっこしいわね!MOBが彼女を作ったらどう思うのよ!」

 

「文人が・・・彼女を?」

 

思ったより雪は狼狽えていた。

 

「そう、あいつがあんたの知りもしない所で彼女を作るの。それに対してあんたはどう思うのよ。」

 

えななんが畳みかけている。

言いたくないのはおそらくあちら側だが、なぜだかこちらも聞きたくなかった。

 

「私は・・・」

 

しかし、体が凍ったように動くことを拒否していた。

恐怖や色んな感情が入り混じって声を出すこともままならない。

 

「私は、嫌だ。」

 

彼女は、はっきりと自分の口で拒絶した。

 

それを期待していた反面、何かに縛り付けられる感触がした。

どれにしろ、いくら成長しても雪が救われていない限り私はその場から逃げることが完全にできなくなったのだ。

もう、逃げることは許されない。

 

少し何も考えたくないな。

そう思いながらセカイへ少しの間逃亡することにした。

 

 

はてさてやってきたのはセカイである。

 

来るなり仰向けで大の字になって倒れこむ。

地面の感触は固いだけでそれ以外何もなかった。冷たくも、温かくもない。

 

頭の中で先ほどの言葉が繰り返される。

朝比奈まふゆは確かに私は嫌だといった。

 

よく考えてみればそれだけでは確定できないのではないか、などと簡単な考えをぽつぽつと考える。

・・・結局彼女を裏切らないためには自分の恋人が作れないのは事実だな、と思いつつでも彼女が私を好きである保証は一切ないことを思い出し少し落ち込んでみる。

 

自分でもなかなか面倒な人間だなと自覚しながら起き上がり、どれくらいで戻ろうかなんて考えてみる。

 

・・・5分くらいで帰ろうと思い気分転換に変わらない景色をぶらつく。

ミクを見かけたが読書していたので放っておく。私と話すよりかは読書していた方がいいだろう。

 

なんて思いながら少し離れた後ろを通り過ぎる。

彼女は本を閉じるとこちらを向いた。

 

「文人。」

 

バレていたらしい。

 

「やぁミクさん。読書はいいのかい?」

 

「・・・うん。本より文人と話したかった。」

 

「そっかぁ。」

 

割と意外で気の抜けた返事しかできなかった。

 

「・・・嫌だった?」

 

少し心配そうに彼女の目が私に訴える。

嗜虐趣味のケはないが中々かわいかった。

 

「いや、そんなことはないよ。」

 

「そう、よかった。」

 

少し安心そうに彼女はしていた。

 

「・・・それで?どんなことを話すんだい?」

 

「・・・文人に聞きたいことがあって。」

 

「なんだい?ある程度までなら答えるよ。」

 

「・・・文人は、まふゆの事、好き?」

 

「・・・は?」

 

思わずすっぽ抜けた声が出てしまう。

彼女からそんな質問が飛んでくるとは思ってなかったのと、同じような質問を聞かれるとは思ってなかったからだ。

 

「・・・答えられない?」

 

答えられないというべきだろうか。それはそれでいいのだ。

別に答えられる範囲を定めていないからここを境界とすることはできる。

だがまぁミクに予防線を張ったところでなんになるのだろう。

 

「・・・だいぶ答えにくい質問をするね。」

 

「・・・ごめん。」

 

「いいんだ。怒ってないよ。・・・まぁ好き・・・かな。」

 

どれにしろ意味としては逃げられる。友達としてや幼馴染としてという意味でも好きは扱われる。

 

「・・・そう。」

 

少し安堵したように彼女は返事をした。

 

「・・・なんだったの?」

 

「文人。」

 

改めてミクに呼ばれる。

 

「なんだい?」

 

「まふゆが好きなら、まふゆから目を離さないで。」

 

 

割と真剣な話らしい。

 

 

「・・・それはどういう意味でかな。今でもまふゆのことはなるべく気にかけているつもりだけれど。」

 

「ううん。そうじゃない。それじゃダメ。 ・・・まふゆは今」

「文人。」

 

後ろから話を遮るように突然聞いたことのある声がした。

振り返ればまふゆだった。

 

「・・・まふゆ?」

 

「・・・来るとき私にも連絡してって言ったよね?」

 

後ろにうっすらと修羅が見えるのは気のせいだろうか。

 

「そういえばそう・・・だったね。」

 

「あと、もう1時過ぎてるよ。」

 

「あぁ、ごめん。時間を見てなかった。」

 

「・・・じゃあミク。」

 

「うん。バイバイ、まふゆ、文人。」

 

「また後で本持ってくるよ。」

 

そう言いながら自室に戻り、ニーゴの面々に謝る。

そうして作業が開始された。

 

 

そういえば、あの時ミクは何を言いかけたのだろう。

まふゆとか今とか言いかけていた。

現状彼女の身に何かが起きているならそれを見過ごすわけにはいかなさそうである。

 

後でもう1度戻って聞くべきだろうか。

 

いや、雪も一緒にいるだろうから聞きにくいだろう。

 

そうだとしても、もう一度ミクに物事を聞く価値はありそうだった。

 

 

もう少し、夜は長く続きそうである。

 




明日の更新についてはまだわからないのでわかり次第ここに書きます

これからしばらく二日に一回とかの更新になりそうです

記念枠もしくはイベント部分について

  • 記念枠(内容は今のところ決めてないです)
  • えなイベ
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