これからも自分なりに書いていこうと思います。
精進します。
改めて感謝します。
時刻は変わって2時半を回ろうとしているところだった。
「じゃあとりあえず今日はここまでにしようか。」
Kの一言で通話間で張られていた緊張の糸のようなものが切られる。
「はぁ~!疲れた~!」
とAmiaが荷を下ろすような発言をする。
「私もちょっと疲れたかも。」
そんなえななんの言葉を皮切りに雑談が始まる。
途中で作業に戻るからとKが通話を離脱していった。
私はそれを聞いて席を立ちあがり、ミクに持っていく本を選ぶ。
適当に選んでPCの横に積んでおく。
そしてヘッドフォンを付けなおす。
「MOB~?聞こえてる~?」
どうやら呼ばれていたようだ。
「あぁ、ごめん。どうしたの。」
「今日はなんだか調子悪そうだねMOB。なんかあったの?」
確かに遅刻した挙句こうも反応が悪ければそうもなるかと自分でも思う。
「・・・特に何もないかな。まぁ考え事の一つや二つくらい誰にだってあるでしょう?」
「へぇ~?気になるなぁ~?」
「Amiaが気にするような事じゃないよ。」
まるで尋問のような聞かれ方をするものだ。
「ふぅん?それってミクと関係あったりする?」
「・・・はい?」
まるで・・・とかではなく普通に尋問だった。
「ここ最近MOBってセカイに行くじゃん。」
「いや、あれはミクが暇だろうから本を渡しているだけで。」
「たまにその様子見るけどそれにしては距離が近くな~い?」
見られていたらしい。かといって本当にやましいことなど何一つない。
痛くない腹を探られるのは正直困る。なにもないからだ。
「そうかな。次から一応気を付けるよ。」
「・・・へぇ?それで?」
「あ、Amia?ちょっと言い方きついんじゃない?」
えななんが窘めているが正直どうにもならないだろう。
私はきっとこのそれで?の先の質問に正確に答えるまで逃げられない。
それはおそらく、ミクに対し何かあるのかどうか答えろという意味だろう。
ここまで尋問されれば嫌でもわかる。
それでも、今日の午前1時前の流れと言い、どこか今日のニーゴは変だった。
恋愛側に押し流されているというか、なんというか。
「どうとも思ってないよ。強いて例えていうならば世代の近い姪が出来た、という感触が一番強いかな。」
少し沈黙がながれる。ドン引きされたかと思い積んだ本に手を伸ばす。しばらく読んで誰もいなくなればそういうことだろう。
「ア、アハハハハ。何よ姪って、表現の捉え方が独特過ぎよアンタ。」
そうえななんが笑ってくれるだけでもなんだか救われた気がする。
今この時だけはえななんに助かったと少しだけ思う。
「はぁ・・・どうも。」
「じゃ、MOBの意思も確認できたし、ボクは今日はもう寝るとするよ。お休み~。」
そのままAmiaが離脱し微妙な雰囲気になってしまったので雑談はこれまでと解散した。
Amiaは何がしたかったのかイマイチわからない。
そう思いながら考えに耽ろうとするとピコンとメッセージ通知が鳴る。
『片方だけ知ってるのはフェアじゃないと思ったから強引な手段を取っちゃった。ごめんね。』
聞かれていること自体バレていたらしい。なら仕方ない、のだろうか。
まぁ聞かれてしまったものはしょうがないし、それでフェアならそれでいい。
心に無理やり落としどころをそうやってつけてみる。
気を取り直して雪に本を届けに行く旨をメッセージに送る。
が、いつもなら帰ってくる短文の返事すら一切返ってこない。
まぁ一言言ったからいい・・・のだろうか。
後10分ほどしてかえってこなかったら行こう。
結局返ってこなかったのでセカイにきた。
ミクが歌っている声を頼りに歩く。
そこまで遠い位置にはいなかった。
「やぁミクさん。いつも通り本だよ。」
「・・・!文人。」
ミクはこちらを見ると歌うのをやめてこちらによって来た。
「明日の欲しいジャンルとかあるかな?」
「・・・このままがいいな。」
「わかった。じゃあまた適当に選んでくるね。」
と会話を交わし、帰る準備をする。
「・・・帰るの?」
「うん。まぁ、夜も遅いしね。また明日だ。」
「・・・わかった。バイバイ。」
「うん。バイバイ。」
そう言いながらスマホの再生を止めようとしたらスマホを持っている腕を誰かにつかまれる。
手を出したのが誰か見ると朝比奈まふゆだった。
「・・・まふゆ?」
思わずなれないハンドルネームでの呼び方をずれてしまうくらいにはどうやら私は吃驚しているらしい。
彼女は虚ろな眼で私を捉えていた。
表情が一切読めそうにない。
「文人。・・・聞きたいことがあるの。」
「・・・何か悩み事?」
「文人は・・・誰かを好きになったことはある?」
どうやら今日は恋愛に関する厄日らしい。
ラブコメじゃない別の何かだ。
「・・・突然だね。何かあったの?」
「・・・どうでもいいでしょそんなこと。」
「どうでもよくはないかな。唐突に普段まふゆの口から出ないような単語が出たら気になるよ。」
「・・・何にもないよ。」
きっとこれ以上しつこく聞いても同じだろう。
「わかった。でも何かおかしいなって思ったら何でも相談してくれ。まふゆの力になりたいからさ。」
「・・・わかった。」
「・・・で、好きになったことがあるか、だっけ。・・・まぁあるよ。」
「・・・どんな感じなの?」
彼女がずずい、と一歩前に出る。
距離が縮まった。
「どんな感じ…う~ん。好きな人の事ばかり考えるようになったり・・・気が付いたら目で追ってたり。積極的になるときには直接関わりに行って相手と交友を持つ・・・とか?いるべき場所にいないと大丈夫かなって思う・・・みたいな。」
「・・・。」
朝比奈まふゆは俯いた。
何の反応もない。いつもならよくわからないと言うだろうしそれを期待していたが。
「どうかな?」
「・・・ありがとう。」
私に礼を言うと彼女はミクの方向へ歩いていく。
何をするつもりなのだろう。
「・・・ミク。」
「まふゆ?」
「ミクは文人の事好き?」
やはり厄日だと思う。
何故爆弾をこうも悠々と朝比奈まふゆはぶち込めるのだろうか。
「ま、まふゆさん・・・?」
思わず彼女をさん付けでよんだ。
しかし朝比奈まふゆはこちらをちらりと見た後ミクに向き直った。
とりあえず無視らしい。
「・・・好き。」
「・・・は?」
起こると思わなかった回答に掠れた声が出る。
か細すぎて誰にも届かないような声。
「文人も、まふゆも奏も絵名も瑞希も。皆が好き。」
・・・どうやら勘違いしていたらしい。
いや勘違いで良かった。
これで恋愛的な好きと言われたら気まずくて二度とこの場へ行けなくなりそうだった。
「・・・そう。」
返事をする朝比奈まふゆは少し微笑んだ。
微笑ましく思ったのだろうか。
これ以上彼女にペースを乱されてはいけないと思い彼女に声をかける。
「用事は済んだかいまふゆ。」
「・・・うん。大丈夫。」
「じゃあ、寝ようか。」
「…うん。」
そう会話すると再度スマホを取り出しロックを解除する。
そのまま停止ボタンを押そうと思いタスクを探していると朝比奈まふゆから視線を感じた。
「・・・まふゆ?」
彼女は私と目を合わせるとこちらに歩きだしてきた。
そして私の目の前に立つ。
「・・・まふゆ・・・さん?」
何も言わずに行われた少しその行動に恐怖を感じつつ恐る恐る彼女の名を再度呼ぶ。
瞬間、彼女は素早く手を伸ばすと私のもう片方の手を握った。
・・・しばらく思考がフリーズしていた。
彼女は変わらずにぎにぎと私の手を強弱をつけて握っている。
温かいな、なんて感じていると突如手の甲に痛覚を感じた。
そしてその痛覚を最後に彼女の手は離れていった。
訳も分からず朝比奈まふゆを見ている私に彼女は口を開く。
「・・・また明日、おやすみ。」
そして彼女も帰っていった。
まるで状況の理解が出来ない。
ただ後に残るのは取り残された私と彼女の手の感触と、彼女につけられた手の甲の痕だけだった。
記念枠もしくはイベント部分について
-
記念枠(内容は今のところ決めてないです)
-
えなイベ