4分33秒のソナタ   作:かしうり

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招待、および思いやり

何事もなく本日の授業をすませ、意気揚々と家へ帰る。

人を遊びに誘うのはこんなに意気揚々とすることだったかと考える。

 

いつも通りかえってシャワーを浴びて、夕飯を食べる。

食べ終わって食器を片付けて洗濯物を干して自室へと戻る。

1時なってPCをつけてナイトコードを立ち上げる。

既にみんな揃っていた。

 

「あらMOB。今日は遅いのね。」

 

そうえななんが気付く。

 

「そう毎日早いわけじゃないよ。」

 

「昨日良いことがあっただけだもんねぇMOB?」

 

えななんに言葉を返すと隣からめんどくさいやつ(Amia)が横やりを入れる。

絶対顔ニヤニヤしてる。

 

「やっぱりいいことあったんだ。なんだったのAmia。」

 

「ふふーん。それはね―」

 

「前々から手に入らなかった本が手に入ったらしいよ」

 

説明しようとしたAmiaに横から割り込んだのは雪だった。

喋り方と声のトーンからヴェールを被ったときの声をしている。

 

・・・いや、これはただのにこやかじゃない。選択を間違えると睨まれる直前の微笑みだ。

 

「え?いや違―」

 

「そうだったよね?Amia。」

 

賛同しろと言わんばかりの威圧が声から放たれる。

 

「あっ―。うん。そ、そうなんだよね。そう。それだけでさぁ。あまりにもくだらなくてボク笑っちゃったんだぁ・・・。」

 

「いや、騙されないけど!?今明らかに雪の脅しに屈したわねAmia!というか雪も雪で威圧しないでよ!!」

 

「えななん。」

 

えななんが自ら地雷を踏み抜く。

あぁ可哀想に。

次はトーンが低い。

完全に威圧している時の声だ。

 

「な、なによ。」

 

「うるさい。」

 

「すいませんでした・・・。」

 

完全敗北である。

これこそが上下関係とでも言えるのだろうか。

 

「まぁそのくらいにしてそろそろ始めようか。」

 

というKの声と共にみんなそれぞれの作業に取り掛かる。

 

 

2時間ほど作業と休憩を繰り返した。

 

「明日も学校だからもう寝るね。お休みなさい。」

 

「うん、おやすみ~・・・んん?」

 

Amiaが怪訝な反応を示す。

 

「どうしたのよAmiaそんな声出して。」

 

「いや今雪がお休みなさいって言ってた気がして。」

 

「・・・そういえば言ってた。」

 

「うん。言ってたね。今まで言ってなかったけど。」

 

「ようやく目に見える進展があったってとこかしら。」

 

こうした些細なことかもしれないが雪の行動の節々に今までと違う進展が起きるのはとても嬉しい。

同時に寂しい気もするがそれはただのエゴである。

 

だからこそ、彼女の心をもう一度白紙になんてさせはならない。

 

そう思いながらそれはそれとして本を持ってセカイへと入る。

 

 

セカイに入るとすでにまふゆはいた。

ミクと談笑している。

 

正確には笑っているのはミクだけだが。

 

ミクが即座にこちらに気づいて手を挙げる。

 

「文人。こんばんは。」

 

・・・!?

今までミクはこちらの名前を呼ぶだけだったが挨拶をしてきた。

まぁなんとも失礼な話だが、少し驚いた。

 

「・・・こんばんは、ミクさん。」

 

「文人。」

 

「まふゆもこんばんは。」

 

そう言いながら本を置く。そろそろ本の種類がなくなってしまう。

何を置くべきだろうかなどと考える。

 

「何考えてるの」

 

とまふゆに聞かれる。

 

「そろそろ本がなくなるからこれからどうするか考えないとなって。」

 

「・・・そう。」

 

そう答えると彼女は興味なさそうに返した。

 

本が置き終えて、ミクにある程度の説明をなす。

ついでに聞いてしまおう。

 

「そういえばさっきも言ったけどそろそろ本がなくなるんだ。これから何か欲しいものとかある?」

 

「・・・ううん。その代わり、なるべく遊びに来てくれると・・・嬉しい。」

 

そう彼女は返した。彼女なりの気遣いなのだろう。

いや、もともと彼女に対する自己満足で開始したことなのでこちらに付き合ってくれているという方が正しいかもしれない。

 

健気だななんて考える。

 

「・・・じゃあ、私はそろそろ帰る。」

 

そうまふゆが言い始めた。

そういえば天馬にもらったチケットの話を全くしていなかった。

 

「まふゆ。」

 

「・・・なに?」

 

「今週末暇かな。」

 

「・・・空いてるよ。」

 

「友達からフェニックスワンダーランドの招待券を貰ったんだ。友達がショーでバイトしてる繋がりらしくてね。」

 

「・・・それで?」

 

「一緒に行かない?」

 

「文人が行くなら行く。」

 

即答だった。彼女なりに自我が安定してきた証だろうか。

 

「良かった。断られたらどうしようかと。」

 

思わず言葉に出てしまうほど安堵する。

 

「・・・。じゃあ、また明日。」

 

「うん。また明日。」

 

特にまふゆからの反応はない。まぁその方が嬉しい。

そう挨拶をするとまふゆは去っていった。

 

「は~~。緊張した。」

 

「キンチョウ?」

 

ミクがそう聞いてくる。

 

「なんというか、普段全くしないようなことをしたことで気が張る・・・みたいなことかな。」

 

「・・・覚えた。」

 

「また一つ賢くなったね。」

 

そう少し笑う。

 

少し座ってぼーっとする。

 

「ねぇ、文人。」

 

「どうしたのミクさん。」

 

「文人は・・・歌わないの?」

 

歌。ここは歌のサークルである。

かといって私は曲関係に携わっているわけではない。

 

時折ミク含めニーゴの彼女たちはここに来ては歌っていることがある。

その時には私はたいていそこにはいないし、いたとしても傍らで見守るだけである。

決して歌うことに対して拒否があるわけではないがかといって歌うことに抵抗がないとは言えない。

 

後は単純に彼女たちとは声が合わない。

 

以上を考慮して歌わない。

 

「・・・歌えないわけじゃあないけど。」

 

「・・・今の文人は、なにかすごい思い詰めてる。

 

だけど、歌えば少しは楽になるかなって。」

 

彼女にとても気を遣われていたらしい。

しかし、確かに状況的には追い詰められているし思い詰めた顔をしていてもおかしくはない

 

「気を遣わせてしまったみたいだね。ごめんね。ありがとう。」

 

「・・・ううん。いい。」

 

今は一人だ。ミクも歌ったことを口外する人間じゃないし少しなら歌ってもいいかもしれない。

 

「簡単なものしか歌えないけど。歌ってみるよ。」

 

「・・・うん。」

 

そういうと彼女はとても嬉しそうに笑う。

 

ミクについて調べた際に帰結した答えのうち一つが彼女はヴァーチャルシンガーである「初音ミク」なのではないかという答えに至ったものがあった。

直ぐに否定したが、この様子を考えると実はそれが正解なのかもしれない。

 

結局、数曲思い付いた歌を歌い、ミクと交互に歌った。

どちらも静かに聞いて、歌い終わった後には必ず拍手をした。

 

少し心が晴れた気がする。

 

 

たまには歌うこともいいかななんて思いながら、セカイを去った。

何故か次の日にはそのことがバレていたが、犯人はわかっていない。

 

記念枠もしくはイベント部分について

  • 記念枠(内容は今のところ決めてないです)
  • えなイベ
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