4分33秒のソナタ   作:かしうり

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えななんのイベントについては正直かくか迷っています。

なんなら記念の方もかいてないのでって感じです。

なのでアンケートを置いておきます。

あとちょくちょく日間に載せていただきありがとうございます。
精進します。



結論、および相互理解と再検討

目が覚めてベッドから出る。

 

昨日のサークル活動では数日空けていたということもあり、こちらが激務だった。

その為、雑談することもなく、活動が終わって気が付いたら寝ていた。

 

制服に着替えてリビングに出て、朝ご飯を食べる。

 

「おはよう。文人。」

 

普段は掛けられない声に思わず口に物を入れながら振り向く。

 

母だった。母は何かと多忙でイマイチ何の仕事をしているかはよく知らない。

朝早く出て、夜は早く帰ってくる。

その点を考えると少なくとも医療関係者ではないようだった。

 

「珍しいね。こんな時間にいるなんて。」

 

「そりゃうちの息子が怪我したってんならしばらくは多少の心配もするよ。それが普通の親ってものだ。そうだろ?」

 

「・・・知らない。」

 

正直どうでもいい。心配させてしまった申し訳なさもあるが、完治とまではいかないが、十分動けるようにはなった。

勿論体育とかは不可能ではあるが。

 

なにより言っている意味がよくわからない。

 

「まぁとにかく、お前あの朝比奈家で怪我を負ってきたんだろう?追ってそれに対する朝比奈家からのコンタクトが来たならそれには森家からも保護者が出る。うちの唯一の森家跡取りを殺されちゃ困るからね。お前の事だ。なにかしらもうコンタクトを取ってるんだろう?」

 

言えよ。と言わずに聞いてくる。実に嫌だ。

 

別にうちは由緒正しい良家でもなければヤクザ一家でもない。・・・多分。

まぁ確かにあっちで怪我をしているのにさらにコンタクトを取るのも警戒するのも仕方ないとは思う。ましてや息子が大層な怪我をしたとなればまぁそうもなるか、と白米を嚥下しながら納得する。

 

「朝比奈まふゆについての話し合いを今日の夜にする予定だよ。」

 

「内容は?」

 

「言わない。なんならこれは私と彼女のケジメなんだ。できれば手は出さないでほしい。場が白ける。」

 

大人の話は大人でその後にやってくれ、と自分勝手に話を放り投げ食器を食器洗浄機にセットし、鞄を取る。

 

「・・・お前がそこまで本気になるなら普通じゃないことなんだろうね。わかった。約束しよう。」

 

・・・うちは普通という言葉に囚われている。凡庸、平凡、穏便。波風立てないことが良しとされているのだ。

 

例えどれだけ面倒なことがあっても何を差し置いても重要ではないのなら波風を立てないように対処しろ、騒ぎを起こさずに事を片付けろ。

これが我が家の家訓である。

・・・改めて思い返すとやはりヤクザの系統なのかもしれない。

 

そんなことはどうでもよく、行ってきますと声を掛けて扉を開ける。

 

「文人。おはよう。」

 

「おはよう。まふゆ。」

 

何事も言わずに歩き出すのは例えまふゆが変わっても変わらないことらしい。

 

「なんだか久しぶりな気もする。」

 

「・・・そうかな。確かにここ最近は一緒にいたから登校するっていう方が薄れているのかもしれない。」

 

「・・・そうかもね。」

 

そんな他愛のない話をしながら登校をした。

 

 

放課後、急いで家に帰り適当な私服に着替える。

とは言っても時間は余裕があった。

 

しかし、今回は前回のような小細工は必要ない。

相手はすべて理解している。

この戦いに私は正直言ってそんなに必要ない。

 

これは他ならぬまふゆが他者と向き合うための一歩だ。

 

これに私が口を挟む必要はきっとあまりない。

 

 

少しでも緊張を和らげるために寝っ転がるなどをして時間をつぶした。

 

親に行くと伝え、隣の家のインターホンの前に立つ。

 

「・・・文人?」

 

そんな声が聞こえて後ろを振り返るとまふゆがいた。

どうやら予備校帰りらしい。

 

「こんばんはまふゆ。塾だったの?」

 

「・・・うん。」

 

「ほーほー、これがお前が気にかけている彼女かい。」

 

「・・・文人のお母さん?」

 

「・・・うん。そうだね。」

 

「よろしく。」

 

「はい。よろしくお願いします。」

 

母はまふゆに握手を求め、まふゆは握手に応じる。

 

握った際に母は顔をしかめたが、すぐに笑顔に変えた。

 

「ちょっと、待ってて。お母さんを呼んでくる。」

 

そう彼女は言い残すと家の中へと入っていった。

 

その姿を確認するやいなや、母は私と並ぶと口を開く。

 

「・・・なかなか凄い子を好きになったね。」

 

・・・どこか変だっただろうか。

 

「・・・何か変なところでもあった?」

 

一応とぼけると少し怒った顔で母は答える。

 

「馬鹿言うんじゃないよ。あの子はあまりにも歪だ。握手だけでも形を作っているのにその型から別の何かが出てきているってわかる。何があったんだい?」

 

「・・・色々と。詳しくは言えない。」

 

そう答えて会話をシャットアウトする。

母がまふゆのお母さまが玄関先に来るまで、そのことについて言及はしてこなかった。

 

 

所変わって再度朝比奈家のリビングである。

母は関わるなと言われたから、と椅子を後ろに引き、机を囲む気はないと意思表示をしている。

 

前と席順などは同じだが、雰囲気は大きく違う。

あれだけ大きい態度を取っていたご両親は完全に委縮して見る影もない。

その代わり、まふゆの圧が増していた。

 

「さて、私が怪我をする際にしていた話の続きでも・・・と思っていましたが、状況は大きく変わりました。・・・さて、じゃあまふゆ。言いたいことをまずどうぞ。」

 

彼女は頷くと口を開く。

 

「お父さんお母さん。私は褒められたかったの。どうやってお母さんたちが褒めてくれるかを考え続けた。それで、自分がわからなくなった。誰かに褒められることを求めすぎて、それがいつか誰かの理想(優等生)であり続けることになって、自分が余計にわからなくなった。なんで、私の理想を強いたの?」

 

それに対し、ご両親は黙っていた。

 

数分の沈黙が続く。

ようやく、お母様の口が開く。

 

「貴方には、なるべく苦しくないような生き方をしてほしかったの。やりたかったことが苦しいより、大変でもある程度余裕を持った生き方が出来たほうがいいでしょう?だから、全て苦しみはこちらで避けさせることであなたの人生をより良くしようと思った・・・ただそれだけなの。」

 

そしてそれがまふゆの態度により助長された、といったところだろうか。

 

「・・・お父さまは?」

 

「わ、私は・・・。」

 

「この人は同調していただけなの。医者を目指すなら自分も道を知っているしまぁいいだろって言ってただけなの。」

 

「・・・。」

 

「じゃあ、なんで。なんであんなことをしたの?」

 

まふゆから食い気味に質問が出る。

しかもまふゆの圧が増した。

正直怖い。

 

「ヒッ。そ、それは・・・。」

 

「早く答えて。」

 

「ま、まふゆが男を連れていると聞いて、それが隣の家の軟弱な男だって母さんから聞いたんだ!だから血が上ってしまって。こいつさえいなければこんなことにはって・・・!」

 

一種の強迫観念のようなものだろうか。

あまりにも、一人娘への情が強すぎる、といったところだろうか。

 

「・・・そう。わかった。」

 

そうまふゆが答えると沈黙が訪れる。

 

数分してまふゆは口を開いた。

 

「お母さんたちの言いたいことはよくわかったし、私のことを思ってしてくれたのは感謝してる。だけど、私は私なりに失敗して、自分を失わない生き方をしたい。そうさせて?」

 

彼女は圧がなく、真剣にそう発言する。

まふゆが自分の生き方を相手の考えを受け止めたうえで発信する姿を始めてみた。

 

「・・・本当にごめんなさい、まふゆ。謝って許されることじゃないのはわかってる。でも・・・私は本当にあなたのことを大事に・・・!」

 

「うん。わかってるよお母さん。だから、これからやり直そう?」

 

「・・・文人くん。本当に申し訳なかった。もしかしたら君に一生直らない傷を残してしまったかもしれない。これは私の責任だ。」

 

そう、まふゆのお父さまはおもむろに土下座をしながらそう言いだした。

 

「・・・貴方の為ではありませんが名誉の傷として受け取っておきます。それと、謝るならまふゆにも謝ってください。私の傷は残る程度で生活に問題はないですが、彼女の傷はその程度ではないですから。」

 

「あぁ・・・!もちろんだとも。まふゆ、本当に済まなかった・・・!」

 

「・・・文人が許したことに免じて。」

 

それだけまふゆは答えるとそっぽを向いた。

 

 

「さて、じゃあもういいかい?」

 

そう後ろから母が答える。

 

「どうしたの母さん。」

 

「どうしたもこうしたもないよ。ここからは大人な話さね。さ、子供は散った散った。」

 

といい加減なことを言い出すと私とまふゆをリビングからお菓子を乗せたボウルと共に追い出す。

 

「・・・なんだろう。」

 

「・・・考えても仕方ないと思う。私の部屋でお菓子でも食べて待つ?」

 

「・・・お言葉に甘えさせてもらおうかな。」

 

そう答えるとまふゆの自室へとお邪魔し、お菓子をもぐもぐと食べる。

 

「・・・これ、甘くておいしい。」

 

「・・・確かに。・・・え?」

 

確かにこのお菓子は見た目がまるで苦そうなお菓子をしているが見た目に反して甘いお菓子だった。それを感じて舌鼓をうっていた。

 

なによりも驚くべきは彼女が感心するようにこのお菓子を甘いと感じ、おいしいと評価したことだ。

彼女の味覚が戻りつつあるのだろうか。

 

 

他の味が見当たらないので仕方ないが、この疑念は母の呼び声がかかっても謎になり続けた。

 

記念枠もしくはイベント部分について

  • 記念枠(内容は今のところ決めてないです)
  • えなイベ
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