ちなみに1週間いなくなると言っていましたがその予定が延期になったのでまたその時にいなくなります
反応、および変化のない心
いつも通りのサークル作業中の事だ。
「K.次の新曲の歌詞できたよ。」
「ありがとう雪。」
共有のファイルを見ると新曲の歌詞がアップロードされていた。
取り出して読みにかかる。
雪の自分を取り戻した後であっても生活はいつも通り続く。
いつも通り新しい曲への作成に取り掛かり、皆自分のモットーに従って作業を行っている。
「・・・うん。いいと思うよ。」
Kが先にそう評価する。
「前の曲とは全然違うね。新しい雪って感じがするよ。」
とAmiaが返す。
「新しい雪・・・?ごめん。よくわからない。」
「そういうところは前と変わらないのね・・・。」
はぁ~とえななんが大きくため息をつく。
「こういう表現はわかんないのになんでかけるわけ?」
「感覚で書いてる。とかなのかな。OWNの時も思ったけど凄い才能だよね。」
そんなえななんたちの会話を聞きながら読み終わる。
自分を取り戻した今であっても雪の言葉を書く才は健在である。
私はOWNの際の雪の曲はあまり聞いたことはないが、きっと彼女らしい詩を書いているのだろう。
「MOBはどう?」
そうAmiaから問いかけられる。
「そうだね。読んでいるだけでもかなり共感とか得られる。相変わらずすごいと思うよ。」
「だってさ雪!良かったね!」
「・・・うん。」
雪が照れ臭そうにそう返事をする。
一応もう既にニーゴ内では私と雪が交際関係にあるのは知れ渡っている。
いや人数の少ないコミュニティ故に必然的にバレるのは当たり前だろう。
それはそれとしてサークル内ではしっかりわきまえて活動するとニーゴの面前で約束しているため互いにそういう雰囲気は出す気はない。
今はダシにされたっぽいが。
「・・・。」
えななんが何か言いたげなため息をつく。怒られる可能性があるなと思い、とっさに話題を変えることとする。
「そういえば、私が入る前に作った歌の再生数が凄い伸びてたよ。」
「あーそうそう!そうなんだよ。なんでも有名なクリエイターさんが感想呟いてくれて話題になってるんだって!」
「えっ!すごいじゃん!」
そうえななんが反応示す。
「ホントだ。この前よりコメントも多い。」
そう言われて動画を開くと確かに以前出した物より明らかに増えていた。
彼女たちの活動が軌道に乗り始めているということだろう。
何もしていないけれどそれはそれでなんだかとても誇らしい。
「なんかニーゴも有名になってきたって感じするよね!・・・まぁKと雪はそういうの興味ないのかな。」
とAmiaが考えたことと似たようなことを言う。
確かに、こうやって有名になることに関して実際雪もKもどう考えているのだろう。
「今のところ私はよくわからないかな。」
関心が人に対して持てるようになった雪も今のところそういう場へは興味がないらしい。
「・・・沢山の人に聞いてもらえるのは嬉しいよ。その分誰かを救えてるかもしれないから。」
とKは返した。
「Kらしいね。」
と思わず返してしまう。
「確かに。・・・でも誰かを救いたいって自分の作品だと私は正直そこまで考えられないな。」
とえななんが同調し、そう返す。
「えななんは有名になっていいねがいっぱいつく方が大事でしょ?」
とAmiaがえななんをいつも通りに茶化す。
「ちょっと?人をただの目立ちたがり見たいに言わないでくれる?」
たぶんただの目立ちたがりというか、承認欲求モンスターとかの解釈の方が絶対正しいと思うが言ったら殺されかねないので伏せる。
「え~? 違うの?」
とさらにAmiaが煽るように茶化す。
「そりゃあたくさんの人に見てもらえたら嬉しいよ?でも私は単純に絵を描くのが好きだから描いてるの。」
そうえななんがAmiaに返す。
好きなことで評価してもらえるというのは確かにかっこいいよなぁと思いながらその話を聞きつつ作業をする。
「えななんいいこと言うねぇ!まぁ確かにボクもMV気合入れたしこの動画が伸びたのは納得だよ。えななんの絵もいつもよりいい感じだったし?」
最後の一言は絶対に余計だろうなと思う。
「いつもよりは余計なんだけど?」
「まぁでも皆の力が総結集されたという点でいい作品だと素人目だけど思うよ。」
と本心でコメントしておく。
「私もあれは心から書いてるから、あぁやってえななんが絵にしてくれるのは私にはできないことだからいいと思う。」
と雪もコメントする。
「わたしも、いいと思った。えななんの絵も曲と歌詞の世界観をうまく取り込んでた。」
「あ、ありがとう。雪、K。」
えななんが褒められて照れていた。
珍しいとは言わないが、普段ツンケンしているえななんが照れるのを見るとどうしてもツンデレという言葉が当てはまりやすいな、と思ってしまう。
「ちょっと?MOBとボクは?」
先ほどのメンツに自分が入っていないことを気にしたAmiaがえななんを責める。
「Amiaは褒めてないし、MOBは褒めてたけど私じゃなくて全体だったでしょ。」
「ぐ、ぐぬぅ・・・。MOBえもん~!えななんがいじめるんだ~。」
「作業に戻ろうAmi太くん。」
とくだらない茶番を茶番で返す。
「じゃあ、新曲を仕上げようか。もう少しでアップできそうだし、頑張ろう。」
そうKがまとめの言葉を言う。こうなれば休憩は終わりである。
「「うん」」
と作業が終わっていないえななんとAmiaが返事をした。
仕上げるまで、もう少し時間がかかりそうだった。
雪が寝るというので、セカイに一応顔を出しに行くと言って雪に連絡を取ってからセカイに赴く。
まふゆが感情も自分も取り戻し、全て新しく前に進んだのに対し、このセカイは一切変わらない。
灰色で構成されたセカイのままだ。
ここがまふゆの心を表しているのならもう少し情景が変わってもいいはずだった。
しかし今でもなおここは変わらない風景で存在し続ける。
それがさらにセカイをわからなくさせていた。
見渡すとミクがいる。
手を振ると手を振り返してくれた。
「こんばんは、ミク。」
「こんばんは文人。」
近づいてから挨拶をする。
「ミク。質問があるんだけどさ。」
「・・・?」
ミクが首を傾げる。続けていいだろう。
「以前ミクはこのセカイがまふゆの心を表してるって言ったよね?」
「うん。ここはまふゆの心を表してる。・・・はずだった。」
「はずだった?」
「うん。だんだん、まふゆの心の変化の影響を受けなくなってる気がする。」
「・・・つまり?」
「まふゆだけのセカイでは無くなってる・・・かもしれない。」
なんとなく理解も納得もできた。
ここに入って関わってきた人間はまふゆだけじゃない。
宵崎も、東雲も、暁山もがこのセカイやまふゆと強く関わった。
だからこのセカイと彼女たちは少なからず関わりを得て、まふゆに影響を与えたため、彼女だけのセカイでは無くなった。といった感じだろうか。
まふゆの心は救われていてもこのセカイに関わった人たちの心は決して晴れているわけではない、ということだろう。
これから、どんな問題が起こるかなんて予想はできなかった。
それほど私は、まふゆに構い過ぎて皆を知ろうとしなかったということもある。
「消えたいって心のどこかで思ってるんだよ。」
突然そう後ろから声が聞こえる。
声の主は振り返らなくてもわかる。
まふゆだ。
振り返って返事をする。
「・・・どういうこと?」
「奏も、瑞希も、絵名も。私がそうだったように今でも心の中では消えたいって思ってるんだよ。」
消えたいと考えている。
それがこのセカイの変化を与えない理由なのだろう。
「・・・なるほど。」
「ミクも元気そうだね。よかった。」
「・・・うん。」
ミクはまふゆにそう呼び掛けられると嬉しそうに微笑む。
「じゃあ文人、明日も早いし戻ろう?」
「あ、あぁ・・・うん。」
そういうと私とまふゆは各々自室に戻る。
ナイトコードのボイスチャンネルに入りなおし再度作業を開始させた。
嚥下した際に残る魚の骨のように「消えたい」という言葉が私の頭には残り続けていた。
記念枠もしくはイベント部分について
-
記念枠(内容は今のところ決めてないです)
-
えなイベ