ありがとうございます。
精進します。
結局、あの日も大した情報は得られず明日が学校だという理由でKが寝た後に私もギブアップをした。
まふゆはセカイで、確かに皆が消えたがっていると言っていた。
かといってそれを直接聞く勇気は私にはないし、遠回しに言って吐かせる手立てを私は思い付いているわけではない。
そういう風にうだうだ考えているうちに気が付いたらニーゴの新曲アップ記念オフ会まで話す機会がなかった。
というのも、その日以降は新曲の作成が終わったため、次のオフ会まではサークルは一端の休みとなったことにより、話す術がなかった、という方が正しい。
そして、その新曲アップ記念オフ会の待ち合わせ場所に早めに一人で着く。
いつもならまふゆと一緒に来るところだが、まふゆはまふゆで部活があるらしい。
時間通りには集まると言っていたのできっと大丈夫だろう。
そうこうしているうちにほとんどが集まってくる。
まふゆもそのうちの一人として集まっていた。
「・・・あとは絵名だけ?」
と宵崎が呟く。
「そうだね。」
とまふゆが宵崎に対して答える。
東雲はいつも遅刻気味に来るが遅れては来ない。
時間管理に対してはニーゴはしっかりとしている方だと思う。
数分して東雲がこちらへ向かって走って合流した。
「ごめん!おまたせ。」
「おっそいぞ~絵名。」
と暁山が茶化す。
ぜーぜーと東雲は肩で息をして暁山に対して手で追い払うような動作をする。
言葉も交わ出ない程度に走ったのだろう。
思わず暁山も苦笑いをしていた。
「じゃあ、行こうか。」
宵崎の声と共に皆でいつものファミレスへと歩き出した。
「みんな、新曲アップお疲れ~!」
ファミレスに着いた私たちは各々好きな飲み物と食べ物を頼んで暁山の号令で乾杯をする。
「今回もいい感じだね!」
「昨日アップした動画も20万再生を超えてるね。」
良い感じといった瑞希の言葉を継いで喋る。
「うん。コメントもいっぱい・・・ふふっ・・・」
東雲がスマホでアップした動画のコメントを見ながら微笑む。
「絵名ってばなにニヤニヤしてるの?嬉しいコメントでもあったな~?」
そう暁山が東雲に突っかかる。
「まぁね。」
そう得意げに彼女は返す。
確かに今回は絵に関する好評もかなり多かった。
彼女なりに誇らしいのだろう。
それから一拍おいて宵崎が口を開く。
「そういえば、絵名。コンクールの準備はできたの?」
「コンクール?」
そうまふゆが不思議そうに東雲に問う。
「そ、絵のコンクール。結構本格的な奴でね。」
そういう彼女の顔を見る。
彼女の目もとにはうっすらとだが隈が伺えた。
余程寝ずに書き続けたのだろう。
「・・・なによ人の顔をまじまじと見て。」
そう東雲に注意される。
「・・・あぁいや。悪気はないんだ。結構本気なんだなって思っただけで。」
「あんたにはあたしが本気じゃない時でもあるっていうの?」
どうやら墓穴を掘ったらしい。
「いや、そういう風に受け取ったのなら謝る。」
「でも意外。絵名ってコンクールとか興味あったんだね。」
と瑞希が話を戻す。
「まぁ、絵描きとしては勿論?そういうところに認められてこそって感じ?」
と彼女は何でもないことのように話す。
そして1週間前に作品を出したから結果はもうちょっと待つけどね。とさらにつづけた。
「いい結果が出るといいね。」
「うん、ありがとう奏。」
そんな会話をした後は東雲の絵のコンクールの話題が終わって別の話題に移っていく。
「そういえばセンパイって知ってましたっけ?」
「・・・暁山。今更なんだがその先輩っていうのやめない?」
なんだか暁山以外が同級生なのに先輩と呼ばれるのはどうにも微妙な気分だった。
「えー。でも先輩ボクの事暁山っていうじゃん。」
「・・・それとは関係なくないかい?」
「そういえばMOBってまふゆ以外名字で呼んでるね。」
と宵崎が思ったことを口に出したように言う。
「そういえばそうだね。なんで?」
とまふゆが単刀直入に切り込んでくる。
「えーと・・・。適正距離?」
「何よ適正距離って。むしろ遠くない?普段私の名前呼ぶ癖に」
「それはハンドルネームだからだよね?」
思わず東雲の発言には突っ込みを入れざるを得なかった。
「まぁとにかく。それで暁山。どうしたの。」
「あ、無理やり話し戻した。」
「それで暁山。どうしたんだ。」
こうなったら意地でも話題を貫き通す。それ以外に逃げる道はない。
「・・・善処してよ? んでそうそう。先輩は絵名の弟君が同じ学校ってこと知ってる?」
「瑞希?」
話題に絵名が反応する。どうやら本当らしい。
「そうなのか。確かに言われてみると人の面倒見がいいところとかは姉らしいな。」
「MOB?」
「そうなんだよ。まぁ今度学校来たら紹介するね。」
「その今度ははたしていつかしらね。」
「アハハ・・・。」
東雲に痛いところを突かれて暁山から乾いた笑いが出る。
こんな人たちが心の奥底では消えたいなんて考えているとは到底思えない。
そう考えるしかなかった。
オフ会は平和に過ぎ、平和に幕を閉じた。
帰り道はまふゆと一緒だ。
まぁ家が同じなのだからほぼほぼ当たり前ではあるが。
「・・・そういえば文人。」
「ん?」
ここ最近はまふゆから話題が提供されることが多い。
彼女なりに意識してやっているのだろうか。
「魚。いつ買いに行く?」
あぁそういえばまだ行ってなかったなと思い出す。
約束して以降、いつにするかを全く決めていなかった。
「・・・再来週の日曜日とかどう?」
と返事をすると彼女は嬉しそうな顔で頷く。
「わかった。楽しみにしておくね。」
と彼女は返す。
「そういえば、あれからお母さまたちの様子はどうだ?」
とふと思い出したことを聞く。
あれ以降、まふゆのご両親と鉢合わせていない。
顔すら見ていないのだ。避けられているのかよくわからないが。
「悪くないよ。でも、どうにも文人のことは怖がってるみたいだね。」
とまふゆが答える。
「そっか。・・・ありがとう。」
「ううん。お礼を言うのはこっちだよ。多少粗くても文人が居なければきっと私は・・・。」
そこで言葉が止まった。
きっと空気が重くなるのを自覚したのだろう。
「・・・まぁ、どうにかなったんだし結果オーライだよ。」
「・・・そうだね。」
というまふゆの返事を最後に家の前に立ち別れの言葉を言うまで特にいうことはなかった。
赤い夕陽が私たちの平穏というものを照らしている。気がした。
記念枠もしくはイベント部分について
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記念枠(内容は今のところ決めてないです)
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えなイベ