4分33秒のソナタ   作:かしうり

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すいません。
色々と時間を食ってました。


悲壮、および才能への嫉妬

それから数日後の話である。

いつも通り次の曲作成の為にニーゴでサークル活動をしていた時のことだ。

 

「ねぇねぇ、この前凄い伸びてるって話したじゃん?」

 

とAmiaが話を切り出す。

 

「あぁ、マリオネットの。」

 

そういえばこの前のオフ会で言っていた話だろう。

 

「そうそれ!もう70万いってるんだって!すごくない!?」

 

Amiaが興奮気味に報告する。

 

「そうなんだ・・・。いつもは伸びても30万くらいだったのに、すごいね。」

 

「・・・それもきっとみんなが雪の事を見つけてくれたおかげだと思う。本当にすごいよ。」

 

純粋にすごいと思う。

私には音楽を作ることも詩を書くことも、絵を描くことも動画を作るセンスも才能もない。

そんな彼女たちの才能と思いが純粋に尊敬していて、純粋にうらやましいところはあった。

 

「びっくりしちゃった!・・・ってさぁ。」

 

「・・・。」

「・・・。」

 

他喋っていない二人・・・とくにえななんの方には重くずーんとした雰囲気が広がっていた。

 

「まぁ雪はいいとして・・・。えななん、テンションめっちゃ低くない・・・?」

 

「別に。」

 

彼女の言い方はかなりそっけない。

というより心より気が落ち込んでいるようだ。

 

「別にって・・・嬉しくないの?再生数が多いってことはそれだけたくさんの人がボクらの作品を見てくれてるってことじゃん。」

 

と普段のえななんなら喜びそうな言葉をちりばめてAmiaがえななんに聞きなおす。

 

「・・・私の絵なんて曲のおまけなんだから。」

 

「え?」

 

「えななん?」

 

「・・・。」

 

「言っている意味がよくわからない。」

 

皆が口々に各々の反応をする。

書くいう私としては黙っていることしかできない。

 

「あっそ。そりゃわかんないよね、特にあんたには。」

 

えななんの攻撃は終わらない。

 

「何も考えなくてもいいものが作れて、評価されて。期待されて・・・!そんなアンタにわかるはずない!」

 

「ちょ、ちょっとえななん。なんか変だよ?」

 

それは、才能への嫉妬だった。

自分の才能がないことに恨みを抱いていた。

 

間違いなく、彼女の才能という呪いへの吐露だ。

 

「・・でもそれは違うんじゃないかな。」

 

思わず、声に出ていた。

 

「・・・なによ?」

 

「才能がある方にも、才能を持つ責任がある。評価という責務と、功績という義務を負う。それは才能を持たない人よりも苛烈で、認められなかった時のダメージは酷いと思うよ。」

 

「そんなことアンタにも言われたくなんてっ・・・!ごめん。今日はもう落ちる。」

 

そう言って彼女はナイトコードから去っていく。

 

「あっ!えななん!」

 

そうAmiaが言った際にはもうえななんはおちていた。

 

「えななん、どうしたんだろう。」

 

だいたい想像はつく。

大方、この前のコンクールの結果がよくなかったのだろう。

そういうときは全てが嫌になるものだ。

 

「でもMOB。さっきの言い方はないんじゃないかな」

 

と雪に苦言を呈される。

 

「・・・まぁ確かにそうかもしれない。少し私もあやまりにいってくるよ。」

 

あまりにも頭ごなしに雪を批判されたものだからつい口がきつくなったところはきっとある。

 

・・・こういうときはさっさと謝るに限る。後腐れがその方がない。

 

「・・・どこに?」

 

とKに聞かれる。

 

「落ち込んだら一人になれるところに行くでしょ?」

 

「・・・わからない。」

 

と雪に返される。

 

「じゃ、行ってくる。」

 

今回ばかりは見逃してくれと雪にメッセージを送ってから再生ボタンを押す。

 

セカイへと。

 

 

灰色のセカイへとやってきた。

 

周りを見渡してもミクはいない。

 

少し歩くとミクと東雲が話していた。

 

もう少し近づくと何か話しているのが聞こえてくる。

 

「・・・ミクは・・・聞かないの?」

 

「・・・うん。」

 

「・・・ありがと。」

 

そういうと東雲は少し黙りこくる。

 

そしてこちらを見た。

 

目が合ったので左腕を上げて振る。

 

「なっ・・・なんであんた。」

 

「・・・いてもおかしくはないと思うんだけど。」

 

「・・・サークルは?」

 

「抜けてきた。すぐに戻るよ。」

 

「・・・じゃあさっさと戻りなさいよ。」

 

そう東雲は至極嫌そうな顔をする。

 

「いや、まぁ・・・なんだ。」

 

「・・・。」

 

「言い方がきつかった。すまない。」

 

誠実に頭を下げる。

しかし追い詰める気もなかったのは事実だ。

 

「・・・いいわよ。私も悪いんだし。」

 

と彼女はすんなりと許してくれた。

 

「ありがとう。東雲。」

 

「・・・でもあんたがあんなに言うなんて。やっぱりまふゆの事言ったから?」

 

「・・・それもなくはないかな。」

 

「ホント、大好きね。」

 

二人でクスクスと笑う。

 

しばらくして彼女は真顔に戻った。

 

「ほら、待ってるわよ。さっさと戻って。」

 

「あぁ・・・・でも。」

 

「お願い。今は一人になりたいの。」

 

「・・・そうだよね。わかった。皆には大丈夫そうって言っておくよ。」

 

「・・・うん。」

 

その会話を最後に私は部屋に戻る。

 

 

その後皆に大丈夫そうだと報告し、その日のサークル活動は終わりとなった。

 

 

しかし、彼女は次の日も、その次の日もナイトコードに顔を出すことはなかった。

 

記念枠もしくはイベント部分について

  • 記念枠(内容は今のところ決めてないです)
  • えなイベ
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