ちなみにイベントは次話で終わりです。
えななんが戻ってくるのを皆で待っていた。
時刻はもうすぐ日が昇ろうとしている時間を示す直前といったところだろうか。
「・・・こないね。」
「・・・もう少し待ってみよう。」
という会話を幾度か続け流石に今日は来ないかと思った矢先。
「皆、遅くなってごめん。まだ起きてる?」
渦中の本人がようやく登場した。
「あっ!えななん!全然顔出さないから心配したんだよ?」
Amiaが皆の気持ちを代弁したような発言をする。
「ちょっと集中したかったのよ。・・・でもおかげで絵が出来た。」
「・・・見せてくれる?」
「うん。今データ送るね。」
そう言って送られてきたのは晴れ間を見る傘を差した少女だった。
傘が濡れていることから雨が上がったすぐあとであることが伺える。
彼女の心の心象を映し出したとでも言えるような作品だろうか。
とにかく、かなりの力作だということは伝わってくる。
陳腐な言葉ではそれしか語れなかった。
「これ、雨上がりの空を見上げる女の子?」
「そう。Kの曲を聞いてモヤモヤした何かが晴れた感じがしたの。それを表現してみた。」
とえななんから絵の作成経緯を聞く。
「すっごくいいよえななん!空から差し込む光がキラキラしててすごくきれいだよ。」
とAmiaから大絶賛される。
「ふふん。そここだわりポイントだから。一番時間かけて書いたんだよね。」
とえななんは自慢げに答える。
「それで・・・K。どうかな。」
「うん・・・すごくいいよ。私の曲はえななんにこういう風に届いたんだね。嬉しいよ。」
「そ、そんな大げさなものでもないけど・・・。」
「雪とMOBはどう思う?」
最近セットで声を掛けられることが多い気がする。
「MOBはまだしも、雪は聞いてもどうせケチ付けてくるから無駄よ。」
「いいと思う。」
「はっ?」
「いいと思う。」
素っ頓狂な声をえななんがあげたのが聞き返しているのかと思ったのか同じ言葉を二回言う。
「・・・からかってる?」
「・・・お好みならケチもつけるけど。えななんの良さがこの絵に出てると思うよ。」
「・・・っ!あんたに私の絵が理解出来るなんてねぇ。MOBの働きも無駄じゃなかったってことかしら。」
「それで、文句は」
「いーらーなーい!!」
とケチを付けようとした雪の声をより大きな声でえななんはさえぎった。
「・・・それでMOBは?」
とKに聞かれる。
「・・・とてもいい、と思うよ。」
「それだけ?」
「えななんの気持ちとか絵にかける情熱が伝わってくる。そういういい作品だと思うよ。・・・やっぱりえななんには才能があると思うよ。」
「・・・そ、そう?まぁお世辞にしては上手いわね。」
と照れ臭そうにえななんは反応した。
「じゃあ、もう夜も遅いし、ここまでにしようか。」
「うん。じゃあお休み。」
「お休み。」
「お疲れ様。」
「お疲れ~。」
とKの合図とともに皆散り散りにナイトコードを出る。
今日はこのまま寝てしまおうと少しスマホを弄りながらぼーっとしているとメッセージが届く。えななんからだった。
『今少しいい?』
彼女からこのようなメッセージが来るのは珍しかった。
『どうしたの?』
『あんたに言いたいことができたのよ。』
『どやされそうだね』
『いいからセカイね。』
校舎裏かなと思いながらセカイへと潜る。
まふゆに許可は取っていないがまぁいいだろう。
「来たわね。」
「・・・どうしたの話なんて。」
彼女に呼ばれること自体まふゆの話位でしかなかった。
何か問題でも起きたのだろうか。
「あんたは・・・なんで私がまふゆの才能のことをいってるってわかったの?」
多分、東雲がニーゴの活動を途中で抜けた際に言ったことの話だろう。
思い返してみれば確かに変かもしれない。
でも簡単な話だった。
「・・・簡単だよ。同じような経験があるからね。」
「えっ?」
「まふゆのお母さまと話した時とかかな。貴方とは違ってまふゆは優等生だ。そうあり続けるべきだって言われてね。それでたまに思うよ。なんで私には才能がないんだろうって。」
「・・・。」
東雲が黙り込む。
問題がなさそうなので続ける。
「平凡な私に誇るものなんてイマイチない。だからこそって躍起になろうとしたけど。それがどこか東雲と被って見えたんだ。だから君が才能に嫉妬しているのがわかったんだよ。」
東雲は俯いたままだ。
「まぁそんな感じなんだけど・・・。納得してくれた?」
このことについては自己嫌悪にひた走るから考えたくない。
なんなら今私がニーゴにいる意味すら感じなくなる時もあるのだ。
まふゆが自分を取り戻している以上必要ないと思ってしまうから。
それこそ全てが「どうでもよく」なってしまう。
「あんたは・・・。私と似てたってわけ?」
東雲がうつむいたままそう聞いてくる。
「・・・かなり平たく言うとそんな感じ?」
「・・・そう。なるほど。」
「・・・聞きたいことはほかにないかな。」
急に彼女はバッと顔を上げた。
「散々ほめてもらって申し訳ないけど私に絵の才能はない。それは一番私がよくわかってる。」
「・・・。」
「才能がないのはあんたも私も同じよ。それでも私に才能がないっていうならあんたにもれっきとした才能があるわ。まふゆをあそこまで回復させたのは私達だけじゃきっとできなかった。それって才能よね。だから・・・逃げるな・・・!」
彼女は意思を持った目をこちらに向けてそう答える。
ここまで言われるとぐうの音も出ない。
「・・・わかったよ。東雲。」
「絵名でいいわ。同じ年で似たような境遇をもってんだから。」
「・・・絵名さん。これでいい?」
「それでいいわ。よろしくね。
彼女とそう会話した後セカイを抜け。ベッドに倒れこむ。
元気づけようとした彼女に元気づけられてしまうのも本末転倒みたいな話だなと思いつつも、心はあの絵のように晴れ渡っていた。
記念枠もしくはイベント部分について
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記念枠(内容は今のところ決めてないです)
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えなイベ