昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#01 少女たち

薄紫色の壁と天井、薄橙色の床とパステルカラーで彩られた二十畳程の大きな部屋。

 

ところどころに可愛らしい動物のぬいぐるみが置いてあり、明るく少女趣味な部屋だ。

 

部屋の中にはクッキーと紅茶の甘い香りが漂っている。

 

 

 そんな甘くて可愛らしい部屋には、雰囲気に通りの可愛らしい四人の少女が居る。

 

 

 部屋の中央には丸い机と一人掛のソファーが二つあり、そのソファーの一つに一人の少女が椅子に座って本を読んでいた。

 

年のころは十四歳ほどで身長は150センチちょっと、体形は年相応でバランスのよい健康的な女の子の体。

 

髪は薄紫色の絹のように綺麗なストレートロングヘアーに、頭の左側にゲームのコントローラーの方向キーのような十字型の白いアクセサリーを付けている。

 

瞳は紫色で肌の色はやや白めの薄橙色と、黄色人種のアニメキャラクターのような美少女だ。

 

 

 服は白い生地に襟などの一部が紫色セーラー服を模したワンピースに黄色いスカーフを付けており、靴下は白とピンクのストライプのニーソックスをはいている。

 

顔も体の作りも美しく、傷やシミしわなど一つもない綺麗な肌をしている。

 

身なりもキチンと整えられており、誰からも好感が持たれる【清楚な美少女】といった感じの女の子である。

 

 

 彼女が読んでいた本を閉じると、少し後ろにいた二人の少女がその時を待っていたかのように手を上げて声を出す。

 

 

「ネプギア、これ読んでー!」

 

「……読んでほしい……(もじもじ)」

 

 

 片方の少女はとても元気よく大きな声で、もう片方の少女は少し恥ずかしそうにもじもじしながら小さな声で、なぜか擬音まで口にしていた。

 

声は対照的だが二人の容姿はとてもよく似ていた。

 

二人とも身長130センチぐらい、年齢は七歳程度で小柄な体。

 

薄い茶色のストレートの髪に青い瞳に、肌の色は先程の少女よりも更に白めの薄橙色。

 

服もお揃いで、白いブラウスとグレーの吊りスカートに白いタイツをはいていた。

 

 

 二人の違いは髪型とブラウスの襟とネクタイの色ぐらいだった。

 

元気な少女がロングヘアーでピンクの襟とネクタイ。

 

大人しい少女がミデアムヘアーで水色の襟とネクタイ。

 

二人とも年相応の体つきをしており、最初の少女とは少し違う意味で愛らしい美少女だ。

 

 

 顔はそっくりでも仕草や表情で、元気な方は活発で健康的な印象を。

 

大人しい方は保護欲をかきたてる少女で、その正反対な様子が彼女達の魅力を互いに引き立てているようだった。

 

二人とも仲がよいようで、室内にも関わらず元気な少女の右手が大人しい少女の左手をしっかり握っており、大人しい少女もそれを握り返している。

 

 

「いいよ。二人ともこっちにおいで」

 

 

 ネプギアと呼ばれた薄紫色の髪の少女は振り向き手招きをする。

 

見た目通りの柔らかく優しい声だ。

 

 

「「わーい」」

 

 

 二人の少女は声を揃えて嬉しそうに喜びを表現するようにバンザイをする。

 

元気なロングヘアーの少女が左手にA4サイズの絵本をもってネプギアに近づく。

 

 

「ラムちゃんの持ってる絵本を読めばいいのかな?」

 

 

 ネプギアが言うと、「うん、わたしもロムちゃんも読めない字があるの」と言ってラムと呼ばれた元気な少女がネプギアに絵本を手渡す。

 

 

「それにネプギアちゃんに読んでもらうと心があったかくなる(ほかほか)」

 

 

 ロムと呼ばれた大人しい少女はネプギア座っているソファーの右隣に座り込んで、甘えるように彼女に抱きつくと頬ずりをする。

 

ネプギアの鼻にロムの甘いミルクのような香りがした。

 

ネプギアはその匂いを心地よく感じながらロムの頭に右の手のひらを置く。

 

 

「そう? ありがとう」

 

 

 ネプギアはロムの褒め言葉にお礼を言うと、その手でロムの頭を優しくなでる。サラサラの髪が心地よい。

 

 

「えへへ……(てれてれ)」

 

 

 ロムが嬉しそうに目を細める。

 

彼女はいつも穏やかで優しいネプギアが大好きであった。

 

ロムのしゃべる擬音は心の声と呼ばれており、その時の気分を表しているらしい。

 

正確なところは本人も忘れてしまい、癖となっているのでよくわらなかったりする。

 

 

 気持ちよさそうなでられているロムを見たラムも、「わたしも」と言ってロムとは逆側から同じようにネプギアに抱きついた。

 

ラムもロムと同じような甘いミルクの香りがする。

 

ネプギアは二人の匂いを心地よく感じながら、左手でラムの頭も撫でてあげる。

 

ラムの髪もサラサラで気持ちよかった。

 

 

 ラムは元気いっぱいの少女で強気で子供扱いを嫌うが、ネプギアの前では甘えん坊さんになる。

 

大半の生き物は誰かに甘えたいもので、プライドの高くかっこつけて赤いロボットに乗ってる人も、ある少女に甘えていたものである。

 

ラムにとってそれがネプギアであり、それを隠しもせず【ネプギアが甘えてほしそうだから甘えてあげている】との言いようである。

 

 

 ロムとラムは双子の仲良し姉妹。ネプギアは彼女達のお姉さんといった関係である。

 

清楚な見た目どおり心優しいネプギアに、この双子の姉妹はとてもよくなついていた。

 

 

「ふたりともいい匂いがするね。それに髪もサラサラで触り心地が凄くいいよ」

 

 

 ネプギアは二人の頭を撫で続けながら素直な感想を言うと、「そう? シャンプーもセッケンも変えてないわよ」ラムが小首を傾げながら言う。

 

ラムは更にネプギアのロングヘアーの後ろ髪に手を入れると、「それに髪の毛なら、ネプギアの方がサラサラよ」と楽しそうにネプギアの髪の毛を上下に撫でる。

 

ロムも、「うん、ネプギアちゃんの髪すごく綺麗(さらさら)」と気持ちよさそうにネプギアの後ろ髪に頬ずりする。

 

 

 ロムは髪に頬ずりしながら鼻をひくひくさせて、「ネプギアちゃんもいい匂いがする……お花の匂い……(くんくん)」と言う。

 

ネプギアは右手の人差し指をあごにあてて少し考えるそぶりをしながら、「セッケンの匂いかな? ライラックの花の匂いなんだよ」とロムとラムに説明をしてあげる。

 

ラムもロムと同じく鼻をひくひく動かして、「ふーん、これがライラックって花の匂いなんだー」と ネプギアの匂いを嗅いでいる。

 

ロムが、「いい匂い(ほわほわ)」とうっとりした顔で言うと、「わたしもこの匂い好き。ネプギアの匂いー」とラムも嬉しそうに言う。

 

 

「ありがとう」

 

 

 ネプギアはそう言って嬉しそうに微笑み、「それじゃあ、読むね」と手渡された絵本の表紙に目を向けた。

 

ラムは急かすように両腕を振り、「はやくはやくー!」と言う。

 

ロムは、「楽しみ……(どきどき)」と祈るように両手を組んで期待に目を輝かせていた。

 

 

 ネプギアが膝の上に絵本を乗せると、ロムとラムはソファーのひざ掛け部分に両手とあごを乗せて絵本をじっと見る。

 

ロムとラムに挟まれたネプギアの様子は【愛らしい双子に本を読み聞かせる美少女】といった感じでとても絵になっていた。

 

 

「ゲイムギョウ界の歴史」

 

 

 ネプギアは優しく落ち着いた声で絵本のタイトルを読み上げると表紙をめくる。

 

するとネプギアの向かいのソファーに座っていた四人目の少女が読んでいた本から目を離して、ネプギアに声をかける。

 

 

「なにそれ、歴史の絵本?」

 

 

 その少女はネプギアと同じ年ごろだが、身長は5センチほど低かった。

 

赤い瞳にウエーブのかかった黒いロングヘアーを、黒い生地に白いラインの入ったリボンでツーサイドアップに結わえいる。

 

肌の色はネプギアと同じくらいの薄橙色。

 

 

 服はリボンと同じ、黒い生地に白いラインの入ったオフショルダーのワンピースを着て、同じデザインのハイソックスをはいていた。

 

ネプギアに負けず劣らずの美少女で少し身長が低いこともあり、ネプギアに比べてやや線が細い。

 

 

 清楚で穏やかな天使のようなネプギアに対して、強気な印象を受ける赤い瞳に黒くて肩を露出した少し大胆な衣装の彼女はネプギアとは反対の悪魔的なかわいさがあった。

 

白とパステルカラーの美少女ネプギアとこの黒の美少女が向き合っている姿は、異なる魅力がお互いを引き立て合っていて、とても絵になっていた。

 

題名は【天使と小悪魔】といった感じだ。

 

 

 明るめの色でコーディネートされたネプギアとロムとラムの三人に対して、黒でコーディネートされた彼女はやや浮いているようには見えなくもない。

 

しかし、彼女はそれが気にならないほどの美少女であり、そのギャップが美しくもあった。

 

 

「そうみたいだよ。ユニちゃんも興味ある?」

 

 

 ネプギアは顔を上げてユニと呼んだ黒髪の少女の質問に答えながら目を向ける。

 

ユニと呼ばれた黒髪の少女は、「ちょっと興味あるわね、一緒に聞かせてくれる」と読んでいた本に栞をはさむと本を閉じる。

 

【ゲイムギョウ界】とは今彼女達が住んでいる世界の名前である。

 

国の名前ではなく世界の名前。神が住む天界や妖精などが住む妖精界のように我々が住む世界とはまったく別の場所にある世界だ。

 

その為、ゲイムギョウ界の歴史と書かれたこの絵本は歴史を題材にしたものなのだ。

 

 

 ユニは栞を挟んだ本を机の上に置くと、右手で軽く髪をかき上げる。

 

するとネプギアに清涼感のあるミントの香りが漂ってくる。ユニのシャンプーの匂いだろう。

 

彼女は小悪魔的な見た目に反して努力家で自己鍛錬を欠かさないので、運動後のシャワーで爽快感のあるもの使っているのだろう。

 

ネプギアはユニのミントの香りに心地良い清涼感を感じている間に、彼女が聞く態勢になったのを確認すると再び本に目を向けて読みはじめる。


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