昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
「ところで、お主が今見えている女神として成すべきこととはなんじゃ。よければ聞かせてもらえるか?」
ウラヌスの言葉に、「はい」とネプギアは答えると、「私はゲイムギョウ界に生まれた全ての人、いえ全ての命に意味があると思ってます。だから、モンスターも今は悪いことをしている人達も心を入れ替えて一緒に平和に暮らすことが出来たらいいなって」と続ける。
「その為には、悪い人やモンスターを倒すだけではなくて、悪い人をつくらないようにする世界、そしてモンスターが人を襲わなくなる世界を目指したいんです」
ネプギアの言葉をウラヌスとイストワールは黙って聞いている。
「調和と協調を大事にして、人と動物、科学と自然、秩序と自由、それらを固定概念に囚われず柔軟に変化させ、常にバランスよく保ち続ける。それが女神の役目だと信じています」
ネプギアが言い終わると、イストワールは拍手をしながら、「ご立派です。この十年の間で本当に成長されましたね」と言いながらニッコリと微笑む。
ウラヌスも、「若いのに立派な心掛けじゃ」と嬉しそうな声を出す。
「わしも何か手助けしてやりたいところじゃが……この姿ではな」
ウラヌスが残念そうに言うと、「えっと……じゃあ、相談に乗ってもらえますか」とネプギアがウラヌスに言う。
ネプギア自身聞きたいことがあったし、気落ちしたウラヌスへの気遣いもある。
「なんじゃ? わしに答えられることなら何でも言うがよい」
ネプギアの言葉にウラヌスは少し嬉しそうな声をする。
彼女は犯罪神との戦い以降、定期的に墓参りに来てくれる真面目なネプギアに少なからず好意を抱いていた、その彼女に頼られるのが嬉しいようだ。
「私、成長しているふうには言われるんですけど、女神化した時に変化が少ないのが気になっているんです」
ネプギアの質問にウラヌスは、「なんじゃ、そんなことを気にしているのか?」と意外そうな声を出す。
「そんなことって言われても……お姉ちゃん達は変身すると姿も性格もガラッて変わるし。個性的でいいな~……って思ったりして」
ネプギアの言葉に、「ふむ、隣の芝生は青く見えると言うのはこういうことかの」とウラヌスが少し呆れたように言う。
「そういうものなんですか?」
ネプギアが不思議そうに首を傾げると、「性格と姿の変化が少ないのは安定している証拠。むしろ長所じゃ」とウラヌスが答える。
「長所なんですか? まだ未熟だからだとばっかり……」
ネプギアが意外そうに言うと、「お主は機械に詳しいようじゃが、機械も過剰な変化が起こると大きな負担になるであろう」とウラヌスが答える。
「そうですね。負担を掛けると機械が熱を持ってしまいますね」
ネプギアの言葉にウラヌスは、「うむ、その通りじゃ。ネプテューヌが変身すると疲れると言うのは本人の性格の他にも、20センチ近い身長と10キロの体重の増加という大きな体の変化よる負担が関係しておる」と答える。
「改めて言われると、確かに疲れそうですね。骨格とか体脂肪とか変わり過ぎて痛くないのかな? お姉ちゃんのこと少し心配になってきちゃった……」
ネプギアが心配そうに呟くと、「そして性格の変化は、主に戦闘に適した性格の変化であり仕事モードとも言える。その為、気疲れも多いのじゃ」とウラヌスが話を続ける。
「確かに、ノワールさんやブランさんはテンションが上がり過ぎて疲れるような気がします。お姉ちゃんも真面目になるの疲れそう……」
ネプギアはまたネプテューヌの心配をするが、ウラヌスはそれを気には留めず、「確かに変化が激しいのは派手で人目を引き、そのパフォーマンスは信者を喜ばせるが、姿や性格を変えるのはそれなりに疲れるのじゃ」と続ける。
「そして変化が少ないと言うのは、消耗が少なく安定しており、長期戦にも向いておるんじゃ」
ウラヌスが更に話を続けると、「ありがとうございます。少し安心しました」とネプギアが一礼してお礼を言う。
「お主の変化が少ないのは、裏表の無い純粋な性格と一途な想いの現れじゃ、気にすることではない。真面目かつ努力家で礼儀正しい上に謙虚で優しく正義感の強いお主が無理に性格を変えることなどないぞ。そのままでいた方が良い」
ウラヌスの立て続けの褒め言葉にネプギアは顔を赤くして、「そんなに褒めないで下さい……」と恥ずかしそうに俯く。
「お主たち女神候補生達のように、戦いの為にやや強気になって女神としての責任感が強くなる程度が丁度いいのじゃ。ギャップ萌えなどと、もてはやされておるが激しい二面性は危険でもある。本人にとってもその周りの人にとってもな」
ウラヌスはそう言うと、「ましてや、女神になって強くなった力と性格を利用して横暴を振るうのは暴君と変わらぬ。いずれは破滅するだろう」と付け加える。
その言葉を聞いたネプギアは俯いて黙ってしまう。
ネプギアの脳裏に二人の女性が浮かび上がる。
一人はキセイジョウ・レイ。
神次元の古の国であるタリの女神で自らの横暴で国と国民を滅ぼしてしまう。
そしてもう一人は……。
ネプギアはそこで考えるのを止めた。
そんなふうに考えてしまうことが誤りなのだと、ネプギアは考えを振り払うようにかぶりを振った。
「どうした?」
ウラヌスが心配そうにネプギアに声を掛けると、「いいえ、何でもないです。色々ありがとうございます。おかげで自信がつきました」とネプギアが微笑む。
「そうか、ならば良かった。何故かお主のことは娘のように思えてしまう。そのお主の力になれたのなら嬉しい」
ウラヌスが嬉しそうに言うと、「ありがとうございます。ウラヌスさん」と二人の話を聞いていたイストワールが丁寧に頭を下げる。
「あっ、そうだ! もう一つ聞いて貰えますか?」
ネプギアが思いついたかのように言うと、「なんじゃ?」とウラヌスが不思議そうな声で答える。
ネプギアはわざと明後日の方向を向くと、「ウラヌスさんは何処に住んでますか~?」と問いかけると、自分自身の質問に答えるように向き直る。
そして、「この裏ぬ住んでいます!」とドヤ顔で答える。
「あー……えー……と……だ、だじゃれと言うやつかの?」
ウラヌスが困った声で何とか答えると、「はい! どうでしたか?」とネプギアが嬉しそうな顔で問いかける。
「……うむ……悪くはないな、悪くは」
ウラヌスは差し障りの無い回答をするが、「そうですか! よかった。ありがとうございます」とネプギアは嬉しそうに微笑む。
「……イストワール、余計なことを教えるでない」
ウラヌスが小声でイストワールを注意すると、「……ネプテューヌさんのせいですよ……」とイストワールが肩を落とす。
その後、ネプギアとイストワールはプラネテューヌの近況をウラヌスに話してギャザリング城を後にした。