昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#137 ギャザリング城

 四女神会議から三日が経った。

 

G.C.2019年6月23日 日曜日。

 

女神候補生達とルートビルド計画のメンバーはプラネテューヌの北東にあるギャザリング城に集合する。

 

 

 ギャザリング城は湖に囲まれた洋風の古城である。

 

以前は荒れ放題だったが、ウラヌスの意識が住む城ということでキチンと清掃されるようになっている。

 

 

「「「わーい!」」」

 

 

 城のテラスにロムとラムとプラエが元気よく飛び込む。

 

 

「今日から、ここが私達の拠点なのね」

 

 

 ユニがそう言いながらテラスに向かって歩いていくと、ネプギアが、「うん、プラネタワーは少し遠いからね」と言ってユニの後をついて行く

 

 

「うわー! 湖綺麗だよー!」

 

 

 ラムが城を囲む湖を指差すと「うん、キラキラしてる(ぴかぴか)」とロムも嬉しそうに湖を眺める。

 

プラエも、「綺麗ー!」とウットリした顔で湖を眺める。

 

 

「みなさんにこの城を気に入って頂けて嬉しいです」

 

 

 イストワールがテラスの入口から女神候補生達に向かって声を掛ける。

 

 

「ちょっと古いけど、掃除したら綺麗になったわね」

 

 

 その後ろに居たアイエフがテラスにいる女神候補生達と景色を眺めながら言う。

 

 

「厨房も広くって腕の振るいがいがあるです~」

 

 

 その隣に当然のようにコンパも居た。

 

彼女は料理が得意であり、その友人達はしっかり胃袋を捕まれている。

 

 

「その絵いいね! 一枚撮っていいかな?」

 

 

 ファミ通がカメラを構えて、ネプギア達女神候補生を撮影すると、ラムは、「いえーい!」とロムは、「ぶいっ!」と言ってファミ通にVサインで応えるロムとラム。

 

プラエもややぎこちなくではあるが、「ぴ、ぴーす」と言いながらダブルピースをしている。

 

 

「こうかしら?」

 

 

 ユニが髪をかき上げポーズを取と、ネプギアは、「ふふっ……ユニちゃん、それノワールさんに似てる」とその姿があまりにも姉のノワールに似ていたので笑ってしまう。

 

 

「はい、チーズ!」

 

 

 シャッターをおろすファミ通。

 

ルートビルド計画が始まり女神候補生四人を中心に、イストワールが補佐、アイエフは護衛、コンパが医療と料理、ファミ通が広報と言う形でチームが形成された。

 

プラエとあんみつは民間からの協力者と言うことで同行をしている。

 

 

「ところでこの城以外目立った建物が無いんだけど、この辺りってなにがあるの?」

 

 

 ユニがネプギアに尋ねると、「この辺りは自然豊かで野菜や果物が美味しいんだよ」とネプギアがにこやかに答える。

 

 

「……つまり見ての通り、ド田舎ってことね」

 

 

 ユニがネプギアの答えを自分なり解釈するが、「amazoo.nepさんがあるから大丈夫」とネプギアがNギアを出しながら言う。

 

ネプギアがNギアを操作すると画面には動物のキャラクターが描かれたインターネットサイトが映っていた。

 

【amazoo.nep】とはインターネットショップでありNギアなどの携帯端末でも購入したものが即携帯ゲーム機のアイテム倉庫に転送される便利な店である。

 

 

「そういうのもあるけど、面白い場所とか見どころとかないの?」

 

 

 ユニが右人差し指を立ててそう言うと、ラムも左手を上げて、「あ、それわたしも気になる」と言いロムも右手を上げて、「わたしも」と続くと、「プラエも気になる」とプラエも右手を上げる。

 

 

「うーん……見どころって訳じゃないけど、この辺りにはデミヒューマンの人達が住んでるって言われてるよ」

 

 

 ネプギアは少し考えた後で、思い出したかのよう両手を合わせるとそう言う。

 

 

「「「でみひゅーまん?」」」

 

 

 ロムとラムとプラエが揃って首を傾げると、「デミヒューマンって言うのは人間に似てるけど違う種族のことだよ。エルフとか人魚とか」ネプギアがロムとラムとプラエに向けて説明する。

 

 

「本当にいるの?」

 

 

 ユニが半信半疑で聞くと、「実在しますよ。みなさんは人間の作った都市に住んでいるから分からないかもしれませんが、ゲイムギョウ界には古くからデミヒューマンが住んでいます」とイストワールが話に加わってくる。

 

 

「「「へー」」」

 

 

ロムとラムとプラエが声を合わせて関心を示す。

 

 

「過去にプラネテューヌで、【ライジングフォース】と呼ばれる多数の種族で構成された軍隊が、ダークドラゴンの脅威と戦ったこともあります。これはプラネテューヌでゲームにもなりましたね」

 

 

 イストワールが説明を続ける。

 

ライジングフォースとはプラネテューヌで発売されたSRPGで、今も【ライジングシリーズ】として続編が出されている。

 

ちなみにネプギアが使う攻撃力アップの補助魔法に同名の名前が付けられている。

 

 

「ルウィーにも似たお話がある……」

 

 

 ロムがそう言うと、「ルウィーを襲った暗黒竜を倒した、【ファイターエンブレム】の軍ですね」とイストワールが答えると「うんうん、それそれ。ゲームにもなってるよ」とラムが嬉しそうに頷く。

 

ファイターエンブレムはルウィーのSRPGで、ライジングシリーズと同じく今でも続編が出ている人気シリーズだ。

 

 

「ダークドラゴンと暗黒竜か……意味は同じよね」

 

 

 ユニがあごに手を当ててそう言うと、「関係性は色々と調査されましたが、今のところは不明です。当時はドラゴンによる脅威が多かったので」とイストワールが答える。

 

 

「ところで、デミヒューマンさん達は何でわたし達と一緒に住まないの?」

 

 

 ロムがイストワールに質問すると、「彼等には彼等なりの生態と文化があります」と言いながらイストワールがテラスから見える景色に指を差す。

 

 

「エルフは自然の精霊達と共に暮らし、ドワーフなら地中を好み岩穴で暮らします。人魚に至っては水辺でしか暮らすことが出来ません」

 

 

 イストワールが森や山や湖を指差しながら説明すると、プラエが、「そっか、人魚さんは街に住めないもんね」と納得したように頷く。

 

 

「人間は利便性を求め続け、デミヒューマンは昔の生活を守り続けてきました」

 

 

 イストワールがそう言うと、ネプギアが、「人間とデミヒューマンさん達の考え方が合わなくなってきたんですね」と言う。

 

 

「はい、その結果大きな争いは起きませんでしたが、人間とデミヒューマンは次第に別々に暮らすことになり、今はデミヒューマンはプラネテューヌとルウィーの辺境でひっそりと暮らしているのです」

 

 

 イストワールはネプギアの言葉に頷いて説明を続けると、ユニが、「ラステイションには居ないんですか?」とユニが質問する。

 

 

「いない訳ではありませんが、ラステイションが建国した頃には各国の都市化が進んでおりゲイムギョウ界の文化もファンタジー主流ではなくなっていました」

 

 

 イストワールの言う通り、昔のゲイムギョウ界は剣と魔法のファンタジーが主流だったが、時代が経つにつれ銃などの近代的な機械が混じって来ている。

 

 

「その為、ラステイションはデミヒューマンとの関わりが浅いのです」

 

 

 イストワールがユニの質問に答えると、「ここでお仕事していれば会えるでしょうか?」と今度はネプギアが質問する。

 

 

「会うこともあるでしょう。その時は女神様の立場を忘れずに寛大なお心で接して下さい。見た目は違いますが彼等もゲイムギョウ界を共に支えてきた仲間なのですから」

 

 

 イストワールが答えると、「はい、わかりました」とネプギアは素直に頷く。

 

 

 ネプギア達はテラスを後にして室内に入る。

 

 

「それでは早速ですがお仕事のお話です」

 

 

 イストワールが話を切り出すと、手元に呼び出したキーボードを操作し始める。

 

 

「本格的な女神の仕事するなんて緊張するなー」

 

 

 ネプギアがそう言うと、ユニも、「そうね。アタシも緊張してるわ」と言いお互いルードビルド計画やそれに関するクエストに対して緊張を隠せない。

 

 

「そんなの簡単よ」

 

 

 そんな二人に対してラムが明るい声で割って入ると、「「え?」」と言ってネプギアとユニが首を傾げる。

 

 

「いい事して悪い奴をやっつければいいんだから」

 

 

 腰に手を当ててドヤ顔で宣言するラム。

 

彼女のこういう自信満々で単純なところはネプテューヌに似ている。

 

 

「ラムちゃんすごい(ぱちぱち)」

 

 

 ロムは嬉しそうにラムに拍手を送る。

 

 

「そんなに緊張しないで下さい。まずは基本中の基本モンスター討伐です」

 

 

 イストワールがキーボードを操作し終わると、ギャザリング城周辺の地図をホログラムで出す。

 

 

「まぁ、やっぱりそう来るわよね」

 

 

 ユニはそれを予想していたかのように腕組みして頷く。

 

 

「恥ずかしながら、ネプテューヌさんがお仕事をしない所為でモンスター討伐は山盛りです」

 

 

 地図に沢山の赤い点が映る。

 

 

「うわー、これ全部クエストなのー?」

 

 

 ラムは驚きの声を上げると、「大変そう……(おろおろ)」とロムも困り顔である。

 

 

「予想以上に多いわね」

 

 

 ある程度の数を予想していたユニも難しい顔をしている。

 

 

「ごめんね。私も頑張ったんだけど、捌き切れなくて」

 

 

 ネプギアは少し申し訳なさそうに驚く三人に声を掛ける。

 

ネプギアも頑張ってはいるのだが、どうしてもプラネテューヌ首都中心のクエストが優先になってしまう。

 

しかも、ネプテューヌは遠出を嫌がる上に最近はゲームと漫画とプリンに明け暮れて、まったくクエストをしていない。

 

 

「ネプギアの所為じゃないわよ。イストワール様、これはプラネテューヌ国内の問題、ネプ子にやらせるべきじゃないですか?」

 

 

 アイエフはネプギアをフォローしつつ、自分の意見をイストワールに伝える。

 

彼女の言う通り、ルートビルド計画に必要なクエストだけ女神候補生達で処理して他はネプテューヌにやらせるべきであろう。

 

 

「アイエフさんの言う事はごもっともですが、女神様の活躍は働く国民に力を与えます」

 

 

 イストワールがキーボードを操作すると、ディフォルメされた女神候補生達がモンスターを倒す姿がホログラムで表示される。

 

すると、つるはしを持った国民が喜ぶ姿が映し出される。

 

 

「アタシ達が国民の士気を高めるってことですね」

 

 

 ユニはイストワールの説明に納得したようで深く頷く。

 

 

「どういうこと? シキってなに? ロムちゃん、プラエ分かる?」

 

「ううん……わからない(ふるふる)」

 

 

 ロムとラムには少し難しかったようである。

 

プラエも首を左右に振って分からないと言った顔をしていた。

 

 

「私達がお仕事を頑張れば、一緒に道を作ってくれる国民のみんなも頑張ってくれるんだよ。士気って言うのは、みんなのやる気のことだよ」

 

 

 ネプギアがロムとラムとプラエに優しく説明をすると「……みんなで一緒に頑張ろうってこと?」と言ってプラエが首を傾げる。

 

 

「うん、私達が率先してお仕事することで、国民のみんなもお仕事してくれるの」

 

 

 ネプギアはプラエの言うことが当たっていると頷くと説明を続ける。

 

 

「ソッセン?」

 

 

 ロムがネプギアの説明に知らない文字が出たので首を傾げながら質問する。

 

 

「先頭に立つことだよ」

 

 

 ネプギアが質問に答えると、ラムは元気よく左手でガッツポーズを作り、「わかったわ! わたし達が先陣切ってガンガン行くのね!」と嬉しそうに言う。

 

 

「その通りです。これもルートビルド計画の一端です」

 

 

 イストワールはそう言いながら嬉しそうに頷く。

 

女神候補生達の理解が早く、自分の考えに好意的で、仕事に対しても積極的なのが嬉しいようだ。

 

すれているネプテューヌの相手で苦労しているイストワールには、ネプギア達のすれていない純粋さが癒しのようだ。

 

 

「それに、今ねぷねぷはプラネタワーでゲームしたりお菓子食べたりお昼寝してるですー」

 

 

 コンパの言う通り、ネプテューヌは以前の会議でイストワールのお許しを得たので、相変わらず仕事をせずにまったり過ごしている。

 

 

「上手いところ他国の女神に自国のお仕事させるなんて、イストワール様は案外策士だねー」

 

 

 ファミ通は素直な感想を言うと、「そうね、ああ見えてもプラネテューヌ今の今まで引っ張って来た手腕は伊達じゃないわね」とアイエフも感嘆の声を上げる。

 

 

「じゃあ、みんな頑張ろう!」

 

 

ネプギアはそう言って以前のように右手を出すと、いつものように他の女神候補生とプラエが手を重ねる。

 

 

「「「「「えいえいおー!」」」」」

 

 

女神候補生とプラエの声が綺麗に重なる。

 

 

「私の力じゃありません。これはネプギアさんを中心とした女神候補生達の信頼関係から成り立つことです」

 

 

 イストワールは女神候補生達を嬉しそうに眺めながら、アイエフとファミ通にそう言う。

 

 

「なるほど」

 

 

 ファミ通はイストワールの発言を素早くメモに取る。

 

 

「それじゃ、クエストに行こっか」

 

 

 ネプギアがそう言うとテラスを後にする。

 

ユニも、「そうねそうしましょう」と言いネプギアの後に着いて行く、ラムは飛び跳ねながら「率先してガンガン行くわよ~」とネプギアを抜いて先頭を走り、ロムは「いっぱい士気をあげようね(ぐんぐん)」と両手で小さくガッツポーズする。

 

やる気十分でギャザリング城の出入り口まで行く女神候補生達。

 

 

 

 門に着くと、あんみつとフィナンシェが待っていた。

 

二人は丁寧に一礼をすると「「みなさま行ってらっしゃいませ」」と言う。

 

どうやら見送りに来てくれたようだ。

 

あんみつはメイドとして働きつつ、城の警護も受け持つことになっている。

 

 

「行ってくるねー! フィナンシェ、あんみつー」

 

 

 ラムは二人に大きく手を振る。

 

 

「フィナンシェさんも来てたんだね」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「……お姉ちゃんがつけてくれたの」とロムが答えてくれる。

 

フィナンシェはルウィーに住むブランのメイドだが今回の計画でロムとラムの世話を頼まれたのである。

 

 

「私個人もフィナンシェさんとお付き合いがありましたので、お願いしておきました」

 

 

 イストワールとフィナンシェは以前からの知り合いでメル友でもある。

 

 

「そういえば、コンパってお料理上手なのよね?」

 

 

 ラムがコンパに確認するように言うと、「はいですぅ、みんな美味しいって言ってくれます」コンパはそう言って嬉しそうに頷く。

 

前述したようにコンパは料理が得意でネプギアやネプテューヌにアイエフ等に料理を振るうことがよくある。

 

家庭的で美味しいと皆に評判である。

 

 

「フィナンシェもお料理は上手なのよ」

 

 

 ラムは得意そうに言うと「それは楽しみですー、お料理友達になれたらいいです」とコンパはウキウキ顔で嬉しそうに言う。

 

それを聞いたプラエは、「お料理なら、あんみつも上手だよ」と言った。

 

 

「……今日のご飯楽しみ(うきうき)」

 

 

 ロムも嬉しそうに言うと、ネプギアが、「それじゃあ、しっかりお仕事してお腹減らさないとね」と言い、「そうね、空腹は最大のスパイスって言うし」とユニもそれに続く。

 


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