昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#15 スタミナ

 プラエを抱きかかえたネプギアはプラネタワーの自室に戻ると、彼女を自分の寝る場所である二段ベッドの下の段にプラエを寝かせる。

 

ネプギアは目視でプラエに外傷が無いことを確認すると、「何が原因なの?」とやや焦りながら、Nギアを取り出して操作をする。

 

画面の中の【アナライザー】のアプリを選択しNギアをプラエに向ける。

 

画面に【解析中】と表示されると、次々と数値が表示される。

 

これはネプギア自作のアプリケーションでゲイムギョウ界の生き物の能力をある程度解析することが出来る。

 

ネプギアはその表示を目で追って行く。

 

 

NAME:プラエ

 

ELEMENTAL:ICE

 

CLASS:???

 

LV:1

 

HP:150/150

 

 

 ここまで見てネプギアは【ホッ】と胸をなでおろす。

 

HPがゼロではないので、とりあえず命にかかわる状態ではないようだからである。

 

彼女の適正である、CLASS【クラス】が不明なのは気にはなったが、後回しにして引き続き表示を追う。

 

 

MP:200/200

 

ST:0/50

 

CONDITION:FATIGUE【LV2】

 

 

「スタミナが0のまま回復してない? どうして……」

 

 

 ネプギアが不安げに画面を眺める。

 

新作期を迎えたゲイムギョウ界には、スタミナという概念が追加された。画面にSTと表示されているのがそれである。

 

これは、走る、攻撃、防御、回避などの身体を使う激しい運動をすることで減少していき、休んだり、攻撃などの激しいアクションを止めることで自然に回復していく。

 

現実世界の人間のスタミナとほぼ同じ意味となり、最前線で動き回る近接攻撃をする者にとっては攻守において重要な能力。

 

以前はSPという数値を消耗した必殺技も、今回はこのスタミナを消費するようになり、スタミナ管理は近接職の必須項目と言われている。

 

 

 昔のゲームはこのようなシステムは取り入れることは少なく、近年の高難易度ゲームに取り入れられている。

 

スタミナが取り入れられている代表的な作品は、【モンンスターハングリー】と【デビルソウル】で、どちらも高難易度ゲームとして有名だ。

 

これらの作品は、今までは敵と戦う時に攻撃と防御と回避を使い分けるだけなのに対して、スタミナの管理が加わってくる。

 

スタミナが少ないと思うように行動できず、更にスタミナが無くなると一定時間行動不能になって大きな隙を晒してしまう。

 

大きな隙を晒すとは言え、プラエが倒れてからかなりの時間が経っている。

 

これだけの時間がかかってもスタミナが回復しないというのは普通ではありえない現象だった。

 

 

「ファティーグ?」

 

 

 ネプギアは【CONDITION】の項目に示された、【FATIGUE】の項目に首を傾げる。

 

CONDITIONはそのままコンディションで現在の体調であり、毒や麻痺などの状態異常が表示される。

 

 

「これは、スタミナ関係の新しいバッドステータスかな?」

 

 

 ネプギアはNギアを操作して、先日イストワールから渡された新作期についてのマニュアル、名付けて【おしえて、いーすん】でファティーグについて調べ始める。

 

ファティーグについての項目を見つけたネプギアはその項目を読み始める。

 

 

「えーと……。スタミナを消費する行動を限界以上に使用した際に起こる現象。極度に疲労した状態で長時間の休憩が必要になる。特効薬や治療する魔法も無く、食事がとれるようになったら、水分補給と柔らかい食事を与え休息を取ること……」

 

 

 ファティーグについて調べ終わったネプギアは、「ファティーグって名前の通り疲労してるから栄養と休息が必要なんだ……」と呟く。

 

スタミナ関係にもバッドステータスがあり、ファイティーグの他にも空腹で力が出ないことを示すHUNGRY【ハングリー】がある。

 

 

 ネプギアはぐったりとベットに横たわるプラエの顔を覗き込み、「プラエちゃん、お食事とお水用意するから待っててね」と優しく小声で言うと、それを用意する為に厨房に向かう。

 

 

****

 

 

 ネプギアが厨房に入るとコック姿の男性が、「おかえりなさいませ。お食事の準備はできております」と深々と頭を下げる。

 

 

「ごめんなさい。食事はもう少し待って下さい」

 

 

 ネプギアは申し訳なさそうにコックの男性に言うと、「おかゆを作りたいんですけど、ご飯は余っていますか? あと卵もあったらください」と質問をする。

 

それを聞いたコックの男性は、「ありますが、それなら私達がご用意します」と申し出るが、「いえ、私にやらせて下さい」とネプギアがやや強い口調で言う。

ネプギアはプラエの不調は自分が彼女をよく見ていなかったせいだと責任を感じており、自分が診てあげるべきだと思っていた。

 

ネプギアにしては強い口調にコックの男性は、「わかりました」と大人しく引き下がる。

 

そして、小さめの土鍋を持つと炊飯器からご飯をよそり、「これぐらいでいいですか?」とネプギアに確認をする。

 

ネプギアが、「はい」と答えるとコックの男性はネプギアに土鍋を渡すと、次に冷蔵庫から取り出した卵も渡す。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 ネプギアはそれを受け取るとコンロに火を点けて、卵おかゆを作りはじめる。

 

何でもそつなくこなすネプギアだが、料理はあまり得意ではない。

 

しかし、壊滅的に下手と言う訳ではないしネプギアはマニュアルには忠実に従う性格なので、マニュアルさえあれば普通に作ることができる。

 

ユニ達とお菓子作りをすることもあり、得意ではないが嫌いという訳でもない。

 

 

「お姉ちゃんといーすんさんはもう食べましたか?」

 

 

 ネプギアはおかゆを作りながら、少し心配そうにネプギアを見守るコックの男性に質問する。

 

ネプギアは基本的には姉のネプテューヌと教祖のイストワールと一緒に食事を取るのだが、先程の親子を手助けしプラエの容態を調べたことで、二人が待てずに先に食べたかもと思ったようだ、

 

コックの男性は少し困った顔で、「それがまだでして……担当部署の者によりますと、二時間ほど前にイストワール様がネプテューヌ様を呼びに行ってから戻っていないそうで……」と男性が答える。

 

 

「いつもすみません……」

 

 

 ネプギアがせっかく料理を用意してくれたコックに対して少し申し訳なさそうに謝ると、「いえ、いつものことですし……」とコックの男性は諦めたふうに言う。

 

ギルドの男性に対してもそうであったが、ネプギアは女神という身分でありながらもそれに奢ることはなく、一般人に対しても悪いと思ったことには素直に謝るし、何かを頼むときは頭も下げる。

 

悪く言えば威厳がないとも言えるが、清楚で穏やかそうな見た目どおりの性格は多くの人に好意的に受け入れられている。

 

 

「ところで、なぜおかゆを?」

 

 

 今度はコックの男性が質問すると、「衰弱した子供がいるので、その子に食べさせようと」とネプギアが素直に答える。

 

ネプギアのことをよく知る男性はそれで大体の事情を察したようで、「そうですか」と心優しいネプギアの行動に感心したように頷くと、「差し出がましいようですが、イストワール様にはキチンと報告した方がいいですよ」と忠告をする。

 

 

「はい、落ち着いたらそうします」

 

 

 ネプギアがそう言ってコンロの火を止める。

 

それを見たコックの男性は病人でも水を飲めるように吸い飲みと水の入ったポットを用意すると、それをお盆に乗せてネプギアに、「どうぞ」と差し出した。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 ネプギアはそう言うと両手にミトンをはめて、土鍋をお盆に乗せると、それを持ってプラエの待つ自室に向かう。

 


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