昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
ネプギアはお盆を右手に持って左手でそーっと自室のドアを開ける。
部屋は先程出た時と変わらず、二段ベッドの下の段にプラエが横になってる。
ネプギアは丸型の机にお盆を置くと、ゆっくりとベットに近づき、「プラエちゃん?」とプラエの顔を覗き込む。
「……ネプギアお姉さん……」
プラエは力なく返事をするが、先程よりは顔色は良いようだ。
ネプギアは【ホッ】と胸をなでおろし、「気が付いたんだね。よかった」と安心した声を出す。
「……ここは、ネプギアお姉さんのお部屋?」
プラエが尋ねると、「そうだけど、よくわかったね?」とネプギアが不思議そうに質問する。
プラエは鼻を【ひくひく】と小さく動かすと、「このお布団、ネプギアお姉さんの匂いがする……」と呟く。
「あっ、嫌だったかな? ごめんね。他に寝かせられる場所が思いつかなくて」
ネプギアが少し恥ずかしそうに言うと、「ううん、凄くいい匂いがして安心する」とプラエが微笑むと掛け布団に顔をうずめる。
ここまで会話できるまで回復したプラエにネプギアは少し安心をすると、「お水とおかゆ持ってきたけど、食べられそう?」とプラエに尋ねる。
「……うん、食べたい。おいしそうな匂いがする」
プラエがそう言うと、ネプギアは机に乗せたお盆を持って来て、ベットの前にしゃがみ込み、その隣にお盆を置く。
「まずはお水飲もうか」
ネプギアが水の入った吸い飲みを両手で持って寝ているプラエの口元に当てると、プラエは少し恥ずかしそうにするが素直に口を開けると吸い飲みを咥えてゆっくりと水を飲む。
水を飲んだプラエが吸い飲みから口を離すと、ネプギアも吸い飲みをお盆に戻す。
次にネプギアが土鍋の蓋を開けると、アツアツの湯気が立つお粥が現れ、その匂いがより一層漂ってくる。
「おいしそう」
プラエが素直な感想を言うと、「ちょっと熱いかな?」とネプギアがれんげで、土鍋からおかゆをすくう。
そして自分の口元に持って来て、「ふぅーふぅー……」と息をかけておかゆを冷ます。
「はい、あーん」
プラエは嬉し恥ずかしといった感じで顔を赤くするが、「あーーん」と素直に大きく口を開く。
ネプギアはゆっくりと丁寧にプラエの口の中にれんげを入れると、プラエは【ぱくっ】と口を閉じて、おかゆを食べる。
プラエの咀嚼が終わっておかゆを飲み込むと、「おいしい?」とネプギアたずねる。
「おいしーー」
プラエは元気よく言うと、おかゆを要求するように、また口を開く。
ネプギアは元気になって来たプラエに安堵と喜びを感じつつ、次のおかゆをすくうと、「ふぅーふぅー……」と先程のように息をかけておかゆを冷ます。
そんなやり取りを繰り返して、プラエは土鍋に入ったおかゆを完食する。
「ごちそうさまでした」
プラエが横になりながらも丁寧に両手を合わせて言うと、「お粗末さまでした」とネプギア微笑みながら、お盆を机の上に置きに行く。
お盆を机の上に置いたネプギアは再びプラエの側によると、「食べた後だけど、少しプラエちゃんのこと聞いていいかな?」とプラエに向かって質問する。
プラエは小さく頷くと、「いいよ」と答えベットから上半身だけ起こす。
「プラエちゃんは時間とお友達で時間に干渉できる力があるって言ったけど、それって時間の流れる早さとかを変えられるってこと?」
ネプギアはプラエが正直答えてくれるのを祈るかのように両手を合わせて真剣な声で尋ねる。
彼女はプラエと出会ってから何度か感じた時間の流れの遅さはプラエの力ではないかと思っていた。
「……やっぱり気づかれちゃった……ネプギアお姉さん頭いいね」
プラエがうなずきながら素直に認めると、「プラエちゃんから時間のこと言われなければ、気づいてたかどうかわからないけど」とネプギアが答える。
「それで、その力を使うともの凄く疲れちゃうんだよね。それが倒れた原因?」
ネプギアは続けて質問すると、「うん……あんみつには時間操作は一日二回までって言われてるけど、今日四回もしちゃった」
プラエが少し反省しているかのように、声のトーンを落としながら答える。
「ひよこ虫の戦いの時に一回、私との話で二回、そして風船の時に一回で合計四回?」
ネプギアが確認するように尋ねると、「うん、ネプギアお姉さん、やっぱり頭がいい」とプラエが頷く。
「最初以外は、プラエちゃんの具合が悪くなったタイミングと時間の流れが変だった時を合わせてみただけだよ」
ネプギアは落ち着て答えると、「どうしてそんなに無茶したの? 一日二回って言われていたんだよね」とネプギアが尋ねる。
その声は優しく穏やかであったが、真剣に心配している気持ちがプラエには十二分に伝わってきた。
「……ネプギアお姉さんのこと好きになっちゃったから……」
プラエは恥ずかしそうに掛け布団で顔の下半分を隠しながら言う。
「優しくて綺麗で一緒にいると凄く安心する……だから、好きになっちゃって、お手伝いしたくてモンスターや風船の時間を遅くしたり、お話いっぱい聞きたくて、プラエとネプギアお姉さんだけ時間を速くしたり……」
プラエの告白を真剣な顔で聞くネプギア。
見てのとおり、ネプギアは男女関わらずモテる。
彼女が本格的な女神の活動を始めるG.C.2009より前ですら、その存在を知る一部の人に告白を受けたりラブレターをたくさん貰ったりして、姉のネプテューヌを驚かせた程だ。
プラエのような子供に関しても、ロムとラムに好かれるだけではなく神次元で三人の赤ん坊の面倒を見た時にも様々な告白の経験を受けている。
面倒を見た三人の子供は残念ながらネプギアには懐かなかったが、彼女達の友人からは男女問わず何度も告白を受けている。
とは言え、出会ったその日にこんな熱烈なアプローチを受けるのは初めてのことであった。
「ありがとう。プラエちゃんの気持ち、もの凄く伝わってくるよ」
ネプギアはそう言いながら目を閉じて両手を胸の中心に重ねるように置く。
その姿はプラエの想いを真正面から受け止めているように見えた。
「私は女神だから、一人の女の子としてはプラエちゃんの気持ちに応えることはできないけど、女神としてプラエちゃんのことを愛し護り続けることを誓うよ」
ネプギアは優しく穏やかかつ真剣な声でそう言うと、プラエの頭を優しく撫でる。
「ありがとう、ネプギアお姉さん。出会ったばかりのプラエにそこまで言ってくれて嬉しい」
プラエはその答えに満足したように、嬉しそうに目を細めて、ネプギアに頭を撫でられ続ける。
「……でも、少し慣れた感じがする。やっぱり、ネプギアお姉さんモテるの?」
プラエは頬を膨らませて少し不満そうに言う。
「あはは……。お姉ちゃんから言わせればモテるみたい」
ネプギア右手の人差し指で頬をかきながら言う。
先述したように何度も告白を受けてラブレターをもらってはいるが、自己評価が低めな彼女は自分自身をモテモテな子とは認めにくいらしい。
「でも、テンプレじゃないよ? プラエちゃんの言葉を受け取った上で出てきた気持ちと言葉だから」
ネプギアが真剣な続けて言うと、「うん、わかってる。プラエにもネプギアお姉さんの本当の気持ち伝わってくるから」とプラエが目を閉じて右手を胸に当てながら言う。
【テンプレ】とは【テンプレート】の略語で定型文やひな形という意味がある。
普段からよく告白されるので、その時の為に用意してある共通の言葉ではないとネプギアが主張し、プラエもそれを理解してくれたのだ。
「ネプギアお姉さんは今まで何人ぐらいの人から告白されたの?」
プラエが不思議そうに尋ねると、「聞きたい?」とネプギアが言う。
プラエは素直に頷いて、「うん」と答える。
「昨日までの時点で、99,822人だよ」
ネプギアはそう言って急にドヤ顔を決める。
「へ?」
プラエが目を丸くすると、ネプギアが悲しそうに目頭を押さえ、「私を好きだと言ってくれた人は全員記憶してるよ。ノペンタ、セプデム、へンティ、トーリアン、ワッカー、オウトー、ブンド……みんな、忘れられぬ人達」としみじみと答える。
「……ネプギアお姉さん?」
プラエは訝し気にネプギアを眺める。
「私は死者に対し、哀悼の意を表することしかできない。けど、プラエちゃんもこれだけは知っていてほしいの。彼等は決して無駄死になどしていない。そして……」
ネプギアが続けて言うと、「……何で死んじゃったことになるの!」とプラエがツッコミするように、【ぺちん】とネプギアの頭を軽く叩く。
「あはは、私の冗談もまだまだかな」
プラエに叩かれたネプギアが苦笑いすると、「よくわからないけど、ネプギアお姉さんおもしろーい」とプラエがニコニコと笑う。
ネプギアが、「私の好きなアニメのパロディなんだ」と言うと同時に右太もものNギアのケースから【ピピピピピピ……】と電子音が鳴る。