昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#21 ネプテューヌの女神論

「それに、わたしは国の象徴として君臨してればいいんだよー」

 

 

 ネプテューヌが自信満々に言い放つ。

 

しかし、イストワールが冷ややかな視線を向け、「ネプテューヌさん、まさかとは思いますが、世の中の国の象徴と言われる王室や皇室の人々が一日中寝て食べて遊んでいると思っているのですか?」と言う。

 

 

「え? 違うの? 【パンがなければプリンを食べればいいじゃない】とか言ってればいいんだよね?」

 

 

 ネプテューヌが不思議そうに問い返すと、「……それはあんまり良い王妃様の言葉じゃないんだよ」とネプギアが眉毛をハの字にして困った顔でツッコミをする。

 

 

「冗談だよ冗談。国の象徴って言うのは、たまーにお祭りとかに出て、国民に手を振れば良い簡単なお仕事だよね」

 

 

 ネプテューヌが両手を後頭部に置きながら気楽そうに言うと、「はぁ~~……、そんなことだろうと思いました……」とイストワールが盛大なため息を吐く。

 

 

「え? 違うの?」

 

 

 ネプテューヌが心底不思議そうに問いかけると、「えっとね、書類の決裁とか、偉い人の任命とか色々な仕事があるんだよ。朝早いし残業もあるみたいだよ」とネプギアが説明をする。

 

 

「えー? 労働条件が聞いてた話が違うー。労働基準法違反だよー! 訴訟も辞さない!」

 

 

 ネプテューヌが右手を振り上げて抗議するようにいうが、「お姉ちゃん……誰も手を振るだけなんて労働条件出してないと思うよ……」とネプギアが至極真っ当なツッコミをしてくる。

 

 

「でもさ、女神って、もっと華やかな仕事をするべきだと思うんだよね。書類決裁は地味だし、モンスター退治も害虫駆除みたいじゃん」

 

 

 ネプテューヌは腕組みをしながら、【うんうん】と自分を納得させるように何度も頷く。

 

ネプギアは少し困った顔で、「女神には国民のみんなから与えられたシェアエネルギーで、モンスターと戦う力と英知があるから……」と説得を試みる。

 

 

「いや! わたしにはスポットライトが似合う! わたしを光当たる場所へ! もっと光をーーー!」

 

しかし、途中でネプテューヌが訴えるように叫び説得は脆くも失敗してしまう。。

 

 

「はぁ……なんで、ネプテューヌさんは、ああ言えばこう言うんでしょうか……」

 

 

 イストワールはため息をつくと、心底困ったように右手で額を押さえる。

 

 

「それは、わたしの戦いが自由を求める崇高なものだからだー!」

 

 

 イストワールの愚痴に素早く訴えるネプテューヌ。

 

しかし、即座にイストワールに、「仕事をしたくないから、駄々をこねているだけじゃないですか!」と反論されてしまう。

 

ネプテューヌは負けじと、「そんなことないよー。わたしは、いーすんからの不等な圧力には断じて屈しない!」と右手で力強いガッツポーズを作る。

 

 

「お姉ちゃん、その情熱を少しでもお仕事に傾けられないかな? そうすれば全て解決すると思うんだけど……」

 

 

 二人を見ていたネプギアがそう提案をするが、「無理」と即座にネプテューヌに切り捨てられてしまう。

 

 

「即答なの!?」

 

 

 あまりの切り捨てぶりに驚きの声を上げてしまうネプギア。

 

 

「我が軍に降伏の二文字はない! さあ、働かざる者達よ、わたしに続け! もしも、わたしが倒れるような事があれば、わたしの屍を越えてゆくのだ!」

 

 

 ネプテューヌが演説をするように両手を広げながら言うが、「……屍になるくらいなら素直に働いた方が良いと思うんだけど……」とネプギアに呆れた声でツッコミを受けてしまう。

 

 

「わたしには自分の世界があるんだよ。例えるなら、空をかける一筋の流れプリンなんだよ!」

 

 

 そんなネプギアに対して、どこぞの怪盗の歌のような意味不明な主張をするネプテューヌ。

 

ネプギアは律義にも、「流れプリンって? プリンって空を流れるものなの?」と話しに乗ってくる。

 

ネプテューヌはネプギアの疑問に両手を腰に当てて自信満々に、「流れるよー。宇宙魔界には他にもハンバーガーやお寿司も流れてるんだから」と答える。

 

 

「宇宙魔界って、日本一さんやがすとさんが話してくれた、戦女神リーゼリアルと犬魔王カナタの話だよね」

 

 

 ネプギアはネプテューヌの話から、かっての仲間から聞いた話を思い出す。

 

するとネプテューヌは、さも当然かのようにドヤ顔で、「そう、その宇宙魔界にプリンが流れてるから、ゲイムギョウ界の空にもプリンは流れるんだよ」と宣言する。

 

ネプギアは右手の人差し指を唇に当てながら、「そういうものなのかな?」と半ば納得してしまったようだ。

 

こんな感じで少々流されやすいところのあるネプギアは、しょっちゅう姉の勢いに流されて、いろいろなデタラメを信じてしまう。

 

 

「うーん。ネプギアにはまだ早かったかな? とにかく、孤独な笑みをプリンにさらして、背中で泣いてる、わたしの美学なんだよ」

 

 

 イマイチ煮え切らないネプギアに対して更なる追い打ちをかけるネプテューヌ。

 

しかし、ネプギアは困った顔で、「そっちもよく分からないよ」と首を傾げてしまう。

 

 

「風をはらい、荒れ狂うプリンの世界で、都会の闇に体を溶かして、プリンを食べてる、わたしの美学の方がよかった?」

 

 

 そんなネプギアに再度追い打ちをするネプテューヌだが、「えっと、プリンは街の暗いところで食べない方がいいと思うよ」とネプギアからやや的の外れたツッコミを受けてしまう。

 

 

「ネプギアさんで遊ばないで下さい!」

 

 

 さすがのイストワールも堪忍袋の緒が切れ大声でネプテューヌを叱る。

 

そして、「はぁ……」とため息を吐いて、「まったく困ったものです……そもそもどこが不等なんですか? 私は国民から選ばれた教祖としての義務を果たしているだけです」と呆れた声を上げる。

 

 

「とか言いながら、本当はわたしに期待してるんでしょ。なんてったって、わたしは主人公だからね。わたしが居ないとゲイムギョウ界は始まらないよ」

 

 

 ネプテューヌはそう言いながら期待を込めた眼差しをイストワールに送る。

 

しかし、「いえ、国を治めてくれるなら、ネプテューヌさんでなくても構いませんよ」とイストワールは冷ややかな対応をする。

 

 

「もー、いーすんのツンデレ~」

 

 

 ネプテューヌはイストワールが照れ隠しにそんな冷たい態度を取っているのだと言った感じで言うが、「……」とイストワールは冷たい沈黙を返すだけだった。

 

ちなみにツンデレとは、特定の人間関係において敵対的な態度【ツンツン】と過度に好意的な態度【デレデレ】の二つの性質を持つ様子、またはそうした人物を指す。

 

 

「え……なに? その沈黙は?」

 

 

 さすがのネプテューヌもイストワールの沈黙に不安げな物言いをしてしまう。

 

そこに、「そう言えば、ゴールドサァドの人達がゲイムギョウ界を治めてた時、いーすんさん、お姉ちゃんのこと憶えてたのに、探さずに普通にビーシャさんと一緒にプラネテューヌ治めてたような……」とネプギアが無自覚の追い打ちをかけてくる。

 

 

「ネプギアーーー! それ今言う必要ある?」

 

 

 悲しさ全開の絶叫をするネプテューヌ。

 

ネプギアは今になって失言に気付いたらしく、「あっ、ごめんね。つい……」と胸の前に両手を出して、申し訳なさそうに【あわあわ】と左右に振る。

 

以前のユニの時もそうであったが、ネプギアは素直で真面目過ぎるゆえの無自覚な毒舌がたまに出る。

 

ちなみにビーシャとはゴールドサァドの一人で、以前に出たシーシャの友人でもある。

 

四年前ゴールドサァドは守護女神に代わり四つの国を治めていたことがある。

 

その際に人々の記憶から女神の記憶が無くなっており、素直にゴールドサァドの統治を受け入れていた。

 

しかし、イストワールはネプテューヌのことを憶えていたのだが、プラネテューヌの統治を優先し、特別なアクションを起こさずにゴールドサァドに従っていたのだ。

 


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