昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
タワー内便を配り終えたネプギア達は昼食を食べていた。
「おいしー」
プラエが口と右手を一生懸命に動かしてカレーライスを頬張る。
「プラエ様、もう少しゆっくり食べて下さい。お行儀がよくないですし、消化にもよくないです」
右隣のあんみつが軽く注意をするが、「だって、美味しいんだもーん」と満身の笑顔を返すプラエ。
「たくさん動いた後のご飯って美味しいよね」
左隣に座ったネプギアが一生懸命にご飯を食べるプラエを見ながら微笑む。
プラエはネプギアの方を向くと、「うん、プラエこんなの初めて」と笑顔で頷く。
「午後もいっぱいお手伝いするよ」
プラエが元気よく言うと、「ごめんね。午後からは外でクエストだから」とネプギアが申し訳なさそうに答える。
「プラエ、一緒に行けないの?」
プラエが残念そうに言うと、「あんみつさんには身分証明書を提示していただきましたが、フィナンシェさんにあんみつさんのことを確認していただくまでは、外でクエストと言うのは許可できません」と向かいに座ったイストワールがキッパリと答える。
あんみつが身分証明書を提示して、彼女がプラネテューヌの国境際の村の外れに在住しておりプラエはその養子になっていることの確認が取れたが、女神と共に外で行動するには信用が不足している。
現に今も二人には監視の兵と監視カメラの二重で監視をされている。
「大丈夫だよ。すぐに帰ってくるから」
ネプギアがにこやかに言うと、「だって、今日はお姉ちゃんが一緒なんだもん」と続けて言う。
「がんばってねー」
ネプテューヌがカレーを食べながら、左手をひらひらと振っておざなりな応援をすると、「うん、頑張るね」とネプギアが笑顔で小さくガッツポーズをしながら言う。
「って! お姉ちゃんも一緒に行くんだよ!」
すかさずツッコミを入れるネプギアに、「なんで?」と心底不思議そうに答えるネプテューヌ。
「なんでって……元々はお姉ちゃんのクエストで、私はそのお手伝いなんだけど……」
ネプテューヌのあっけらかんとした態度に腹も立てずに丁寧に説明するネプギアだが、ネプテューヌは、「あー、パスパス。今日は無理無理」と言いながら右手を左右に振り拒否のジェスチャーをする。
「どうして? またお腹痛いの?」
心配そうに尋ねるネプギアに、「や、違うよ。今日って木曜日でしょ」とネプテューヌがカレーを食べながら言う。
「うん……木曜日だけど」
ネプギアがそう言って頷くと、「木曜日と言えば新作ゲームの発売日。こんな日に仕事とかありえないでしょ」とネプテューヌが答える。
「そもそも、ゲイムギョウ界なのに木曜日が休みじゃないって間違ってると思うんだ。ゲイムギョウ界を名乗るなら、木曜日から日曜日まで休みであるべきじゃない」
ネプテューヌが高説を言っていると言わんがばかりのドヤ顔で言うと、「そっか、それならしょうがないね……」と残念ながらも納得してしまうネプギア。
「そんなことをしたら、経済が止まってしまいます! ネプギアさんもあっさりと納得しないで下さい!!」
当然のようにイストワールが怒りの漫符を浮かべながら叫ぶ。
「ネプテューヌさんって、本当にネプギアお姉さんと同じ女神様なの? ニートの人みたい」
プラエがジト目でネプテューヌを見ると、「これでもやる時はやる人なんだよ」とネプギアがフォローを入れる。
ネプギアはフォローを入れつつも、「ほら、お口の周りにソースが付いてるよ」とティッシュペーパーでプラエの口元を拭いてあげる。
「なんかもうラブラブだねー」
その光景を見ながらネプテューヌが呆れながら言うと、「ロムさんとラムさんがヤキモチを焼いてしまいますよ」とイストワールが続いて言う。
「そうだねー。ネプギアがプラエちゃんおんぶしてる画像なんて、みんつぶのトレンド入りしてたし」
ネプテューヌがそう言うと、「ロムちゃんもラムちゃんも、もう大人だから、ヤキモチなんて焼かないよ」とネプギアが苦笑いしながら、カレーを食べる。
「うん、今日のカレーは一段と美味しいですね」
ネプギアがそう言って頷くと、「神次元の初代コンパさんから良い材料が届いたと、シェフが言っていましたね」とイストワールが答える。
【初代コンパ】とは、以前に話したふらぷらと同じく、超次元で命を落としたが神次元でネプギアに保護されて生き延びることができた人物。
カレーが好きで、その材料をたまに分けてくれたりする。
「それなら、ユニちゃんにも教えてあげないとですね」
ネプギアがイストワールに答える。
ユニもカレー好きで、食べるだけじゃなく作ることもする。
「その必要はないわよ」
突然、ネプギアの耳に聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「ユニちゃん!」
ネプギアが驚いてその人物の名前を呼ぶ。
今はラステイションに居る筈のユニが目の前にいるのだ。
「どうしたの? もしかして、カレーの匂いに誘われて?」
ネプギアが真剣な声で尋ねるが、「そんなわけないでしょ……。アタシは戦隊モノのイエローじゃないんだから」と心底呆れた声で返すユニ。
「じゃあ、なんで?」
ネプギアが不思議そうに小首を傾げると、「それはこの二人に聞いてちょうだい」とユニが後ろを指差すと、そこにはロムとラム、それにセミロングの金髪でメイド服を着た女性が立っていた
「ロムちゃん、ラムちゃん。それにフィナンシェさんまで!」
ネプギアが驚きの声を上げる。
しかし、ラムは不機嫌そうに腕を組むと、「気安く呼ばないでよ。この浮気者ーーー!」とネプギアに向かって叫ぶ。
ロムも悲しそうな顔で、「ネプギアちゃんが、わたしの知らない子をおんぶしてた……(しくしく)」とネプギアを見つめる。
「え? え? え?」
ネプギアはロムとラムの態度に困惑してしまう。
「ネプギアお姉さん。この人達誰?」
そこにプラエが不安そうにネプギアの袖を握ると、「あーーー! またネプギアと仲良くしてるーーー! このネットリのドロボウネコーーーー!!」とラムが怒りの叫びを上げる。
「ねっとり?」
ネプギアが不思議そうに首を傾げると、「寝取りって言いたいんじゃないの」とネプテューヌが気楽そうに言う。
「ネトリ? なにそれ? 家具屋さんの親戚」
ネプギアは更に不思議そうな顔で質問する。
「うわ……さすがはネプギア、そっち方面の知識ゼロだね」
ネプテューヌが呆れたように言う。
知識豊富なネプギアだが、その方面には関心がなく小学生以下の知識しかなかったりする。
「え……ね、ネプギアも知らないの? ど、どうしようロムちゃん、台本と違うよ」
ラムは急にあわあわしながらロムにそう言うと、「待って、今台本出すから……(あろおろ)」とロムがポーチからメモ帳を取り出す。
「ええと……」
ラムはロムに手渡されたメモ帳を見ながら、ネプギアを指差して、「わたしたちのことはあそびだったのね。うったえてやるわ。うったえてほしくなかったら、いますぐそのおんなとわかれて」と棒読みする。
「……ラム、それって昼ドラの台詞写してきたの」
ユニは呆れた声で言うと、ラムの持っていたメモ帳を取り上げる。
「ああっ! 返してよー!」
ラムは両手を伸ばすが、身長差で届かない。
「なになに……認知して、私達の子よ。あなたを殺して私も死ぬわ……コテコテの昼ドラの台詞ねー」
ユニがそう言って呆れると、「ロム様、ラム様、お二人の勘違いですよ。こんなこと止めましょうよ」と後ろのフィナンシェと呼ばれたメイドの女性が二人を説得しようとする。
「勘違いなんかじゃないもん。今のわたしとロムちゃんはネプギアと修練場なの!」
ラムがそう言うと、「えっと、よくわからないんだけど、一緒に練習すれば許してくれるのかな?」とネプギアが言い、「それを言うなら修羅場よ」とユニがツッコミを入れる。
「うわーーーーーん! これで勝ったと思わないでよねーーーー! この天然ジンゴロウの女ったらしのネプギアめーーー!」
ラムは泣きながら捨て台詞を言って去って行ってしまう。
「ジンゴロウ? 私、ヤドカリなの?」
ネプギアがラムの言うことに思わず首を傾げると、「多分、ジゴロの間違いよ」とユニが冷静にツッコミを入れてくる。
「ら、ラムちゃん、待ってー!(あわあわ)」
その間にロムもラムの後を追って去ってしまう。
「あっ、待って!」
ネプギアは慌てて二人の後を追おうと席を立つが、「止めときなさい。今は二人とも頭を冷やした方がいいわ」とユニがネプギアの肩に手を置いて止める。
「どうして……ピーシェちゃんの時はヤキモチなんて焼かなかったのに……むしろお姉さんになってくれて……」
ネプギアが困ったように言うと、「ピーシェはネプテューヌさんに懐いてて、アンタを取ろうって訳じゃなかったからね」とユニが答える。
ロムとラムは以前に自分より幼いピーシェという子に出会った時には、一緒に遊んだりもしたが、時には年上らしく振舞って精神的な成長を見せてくれた。
ネプギアはプラエもピーシェと同じように受け入れてくれると思ったのだが、そうも行かなかったようだ。
「そんな……どうしよう、ユニちゃん」
ネプギアは困った顔でユニを上目づかいで見上げると、「今はそっとしときましょ」とユニが言う。
「でも!」
ネプギアは反論するが、「アタシが付いてるわ。大丈夫よ」とユニが言うと、「……ありがとうユニちゃん。うん、私も少し頭を冷やした方がいいよね」と納得する。
「……ユニちゃん、もしかしてこの為にここまで来てくれたの?」
ネプギアがおずおずと尋ねると、「ま、まあね……」とユニが少し恥ずかしそうに右手の人差し指で頬をかく。
続いて、「ロムとラムが、【ネプギアが浮気した】ってすごい剣幕だったし、アタシたちはチームだから……」とユニがそこまで言いかけると、「ユニちゃーーーん、ありがとう! やっぱりこういう時に一番頼りになるのはユニちゃんだよー!」とネプギアはユニに抱き着く。
「こ、こら! 離れなさい!」
ユニは鬱陶しそうに言うが、その表情は少し嬉しそうだった。
「ネプギアお姉さん、どういうことなの?」
プラエが少し悲しそうな顔で説明を求めると、「そうだね。プラエちゃんにもちゃんと説明しないとね」と落ち着きを取り戻したネプギアが答える。
「あんみつ……本当にあんみつなの?」
フィナンシェがふるふると震えながらあんみつを見つめると、「久しぶりですねフィナンシェ」とあんみつが言う。
「最強の甘味は!」
突然、フィナンシェが叫ぶと、「和菓子」と涼しい顔であんみつが答える。
「本当にあんみつなんですね!」
フィナンシェはそう言いながら、あんみつに抱き着く。
「今のでOKなんだ……」
少し呆れ気味にユニが言うと、「二人だけに通じる何かがあるんだよきっと」とネプギアが答えた。