昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#58 神次元

 ハネダシティのクエストから一週間後。

 

G.C.2019年4月19日金曜日。

 

 

「ネプギアさん、今回もファミ通さんの記事は大好評です」

 

 

 今回もイストワールが嬉しそうに、週刊ファミ通を持ってネプギアの部屋にやって来る。

 

 

「本当ですか?」

 

 

 嬉しそうに返事をするネプギア。

 

ネプギアは、イストワールから週刊ファミ通を受け取ると黙々と読み始める。

 

そこには先週のハネダシティでのネプギアの活躍が事細かに書かれていた。

 

 

「わぁ、アイエフさんとコンパさんのことも書いてありますね」

 

 

 ネプギアは読みながら、アイエフとコンパの事も書いてあることに嬉しそうに目を輝かせる。

 

彼女達に対するインタビューの他にも、彼女達自身の活躍も書かれていることにネプギアはとても満足な気持ちになった。

 

ネプギアにとって、尊敬するアイエフとコンパが評価されることは自分が評価される以上に嬉しいことであった。

 

 

「どういうこと? なんで、あいちゃんとこんぱの事まで書いてあるの?」

 

 

 ベッドで寝っ転がってマンガを読んでたネプテューヌが不思議そうに質問すると、「えっと、アイエフさんとコンパさんがこの前のクエストに協力してくれたんだけど、そのついでにインタビューを受けたんだよ」と、ネプギアはこの前のハネダシティでの出来事を簡潔に説明する。

 

 

「聞いてないよー! どうして、わたしが居ない間にそんな一大イベントが起きてるの~! インタビューするならわたしでしょ。主人公オブ主人公、驚異の主人公補正、【うわっ、わたしの主人公補正高スギィ】なわたしをスルーなんてありえないよー!」

 

 

 ネプテューヌはそう言って地団駄を踏んで暴れる。

 

 

「ネプ子は散々仕事しないってゴネた後に居眠りしてたでしょ」

 

 

 イストワールに続いてアイエフとコンパも部屋に入ってくる。

 

 

「ねぷねぷの寝顔が可愛いので起こせませんでした~」

 

 

 コンパがやんわりとネプテューヌに起こさなかった理由を言うと、「ま、起こせって言うなら次からは起こしてあげるわ」とアイエフはそう言いながら指をポキポキ鳴らす。

 

 

「……何だか、記憶障害が起こりそうだから遠慮しとく」

 

 

 ネプテューヌは、そんなアイエフの態度に地団駄を踏むのを止めて大人しくなると同時に顔を青くしながらブルブルと恐怖で震える。

 

 

「ネプギアさん、ファミ通さんから次の取材の打診がありましたが、来週の土日などはいかがでしょうか?」

 

 

 イストワールがネプギアにホログラムでカレンダーを見せながら確認してくる。

 

 

「え? でも、来週の土日は神次元にお仕事に行くんじゃ?」

 

 

 ネプギアは不思議そうに首を傾げる。

 

 

「まさか、イストワール様」

 

 

 アイエフが何かを察したかのようにイストワールに問いかける。

 

 

「はい、ファミ通さんを神次元に招待しようと思います」

 

 

 ゲイムギョウ界には様々な次元が存在する。

 

現在ネプギア達がいる超次元からは、神次元と零次元という二つの次元に行き来が出来る。

 

その一つである神次元は超次元と非常によく似た構成をしている。

 

プラネテューヌ、ラステイション、ルウィー、リーンボックスの四つの国で成り立ち、プラネテューヌ以外は女神の名前も姿も同じである。

 

 

「でも、本当にいいんですか? 神次元は限られた人しか行き来できない場所なのに取材なんて……」

 

 

 ネプギアは確認するようにイストワールに問いかける。

 

 

「この数年で、二回も別次元が原因となる事件がありました」

 

 

 イストワールがそう言うと、「はい、そうですね」とネプギアが素直に頷く。

 

イストワールの言う通り、ここ最近超次元では別次元が原因となる事件が相次いでいた。

 

GC2012は神次元から始まる、【キセイジョウ・レイ】のプラネテューヌの襲撃事件。

 

GC2015は零次元から始まる、【暗黒星くろめ】の操る猛争モンスターとダークメガミの侵略事件。

 

 

「これにより、ゲイムギョウ界の国民は別次元に対してネガティブなイメージを持ってしまいました」

 

 

 イストワールが話を続ける。

 

どちらも個人的な感情による攻撃であったが、超次元の国民の中には別次元と関わると争いになるという不安を持つ者が少なくない。

 

 

「それはありますね。諜報部でも、たまに、【また別次元から攻撃がくるんじゃないか?】って話題になりますし」

 

 

 アイエフがイストワールの言葉を肯定するように話に加わる。

 

 

「そこでネプギアさんが神次元でお仕事をして、神次元の人々に慕われていることを記事にしてもらって、別次元とも友好的な関係を築けることを示して欲しいのです」

 

 

 イストワールは、ここ最近のネプギアの活躍と、何度かファミ通の記事を読んでみて、この計画を立案したのだ。

 

 

「既に他の三国からの同意は出ています」

 

 

 手回しの良いイストワールは、今回の件に関して、ラステイションとルウィーとリーンボックスの同意を貰っていた。

 

 

「わかりました。そういうことなら私頑張ります」

 

 

 ネプギアは真剣な顔で頷く。

 

彼女も神次元と零次元に沢山の知り合いがいるので、出来るだけ超次元の人達と仲良くして欲しいと思っている。

 

その為に出来ることがあるのなら、全力で頑張りたいと考えているのだ。

 

 

「ねぷねぷも、お仕事すれば取材してもらえるかもしれないですよ」

 

 

 コンパがネプテューヌにアドバイスするが、ネプテューヌは、「えー? むーりー。わたし、その日はぷるるんとピー子と遊ぶって決めてるんだから」と面倒くさそうに言う。

 

 

 さっきは地団駄を踏んだネプテューヌだが、どうやら仕事をするのは嫌らしい。

 

 

「……本来なら、そのプル子とピーシェがする仕事を、何故かネプギアがやってるんだけどね」

 

 

 アイエフのツッコミに、「私はお姉ちゃんが幸せならそれでいいですから。プルルートさんやピーシェちゃんと遊んでいるときのお姉ちゃん凄く幸せそうだし」と、すかさずフォローを入れるネプギア。

 

プルルートとピーシェとは神次元のプラネテューヌの女神。

 

なぜネプギアが彼女達の仕事をするのかと言うと、事の発端はネプテューヌが神次元に迷い込んだことから始まる。

 

 

 別次元に迷い込んだが、幸いにもイストワールとの連絡が取れ、神次元と超次元を結ぶ道を作り超次元へ帰る予定だったネプテューヌ。

 

しかし、その作業の途中で、ネプギアが姉に会いたい一心で暴走してミスをしてしまった。

 

その結果、神次元と超次元を結ぶ道はネプギアが神次元へ移動するのに使ってしまう。

 

その後、ネプギアとネプテューヌ二人分が神次元から超次元へ戻る道を作るには、膨大なシェアが必要とのことで、暫く神次元に滞在することになってしまったネプギアとネプテューヌ。

 

 

 その間であるが、ネプギアが神次元の女神の仕事をするようになる。

 

理由は神次元のプラネテューヌの女神プルルートは元々仕事が好きではなく、更にネプテューヌと意気投合して毎日遊んでいた為である。

 

そこで困っている人を放っておけないネプギアは、仕事をしない女神達に困り果てている信者達を見かねて、不慣れながらもプルルートの代わりに女神の仕事を始めたのである。

 

プルルート達がまったく仕事をしない所為もあってか、神次元のプラネテューヌ内では国民の60%が女神はネプギアだけだと思われていた。

 

そうしている内に、ネプギア達は神次元で戦いを繰り広げていた七賢人を退けた。

 

だが、その間に超次元では強力な古のタリの女神の力を得たキセイジョウ・レイが暴れていたので、それを止める為にネプギアとネプテューヌは超次元に戻ることになる。

 

その際に、ネプギアは自分が超次元に戻っても大丈夫なように、プルルートや教団の職員に全て引継ぎをし、国民の皆にも説明をした。

 

 

 しかし、新しく出来た神次元と超次元を結ぶ道は、使用しても消えることの無く何度も使えるものであった。

 

イストワールの見解では、神次元で膨大なプラネテューヌのシェアを得た為とのことらしい。

 

不慣れながらもネプギアの一生懸命な仕事ぶりが、プラネテューヌの国民の心に届いたのだと思われる。

 

それとも、ネプギアと離れたくないという神次元のプラネテューヌ国民の願いが形になったのかもしれない。

 

キセイジョウ・レイの事件の解決後もプルルートは仕事をする気配を見せず、プラネテューヌの国民からの嘆願もあり、ネプギアは月に一度ではあるが定期的に神次元に訪れて女神の仕事をするようになっていた。

 

 

「それに次元が違うとは言え、私を信じてくれている人達を見捨ててはおけません」

 

 

 ネプギアは迷いのない瞳で自分の主張を伝える。

 

 

「……ふぅ……ネプギアらしい答えね」

 

 

 アイエフは肩をすくめてお手上げのポーズで言う。

 

真面目過ぎるネプギアに呆れているように見えるが、彼女の真面目さと優しい心が嬉しいようで顔は微笑んでいた。

 

 

「ギアちゃん、偉いですー」

 

 

 コンパがネプギアの頭を撫でながら褒める。

 

こちらは素直にネプギアの考えに感心をしているようだ。

 

 

「それではアイエフさん、コンパさん、今回も同行をお願いします」

 

 

 イストワールがアイエフとコンパに神次元への同行を依頼する。

 

アイエフは護衛、コンパは医療班として毎回神次元に同行していた。

 

 

「了解です」

 

「わかりました~」

 

 

 素直に了承する、アイエフとコンパ。

 

 

「プラエちゃんとあんみつさんはどうしますか?」

 

 

 ネプギアがイストワールに尋ねる。

 

 

「お二人にも神次元に来ていただきましょう。人手は多いに越したことはありませんし、二人とも信用できる人だと分かっていますから」

 

 

 イストワールがそう答えると、「よかった。プラエちゃんが寂しい思いするんじゃないかって少し心配だったんです」とネプギアが安心したかのように言う。

 

 

「さーて、今回は何して遊ぼうかなー」

 

 

 ネプテューヌはゲームソフトをバックの中に入れて荷造りしていた。

 

ネプギアが神次元に仕事に行く際はネプテューヌも同行していた。

 

仕事をするのではなく遊ぶ為であるが……。


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