昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
「女神候補生達? と言うことは!」
ファミ通は素早くペンとメモを取りだす。
「はい、彼女達四人がこのゲイムギョウ界のおられる女神候補生様です」
イストワールがファミ通の言葉に答えると、ユニの方に右手を向け、「まずは黒い服の方がラステイションの女神候補生ユニさんです」と紹介する。
次にロムラムの方に右手を向け、「そして、水色のコートの方がルウィーの女神候補生ロムさん、ピンクの色のコートの方が同じくルウィーの女神候補生ラムさんです」と続けて紹介する。
「これは特ダネですよ~」
ファミ通の記者魂に火が付いたようだ。
「ラステイションの女神候補生達のユニよ。ファミ通のことはネプギアから聞いてるわ、アタシ達も取材よろしくね」
ユニがファミ通に自己紹介すると、「ルウィーの女神候補生ラムよ!」とラムが元気よく自己紹介し、ロムはラムの後ろに隠れて「ロムです……よろしくお願いします」と控えめに自己紹介する。
「はい! よろしくお願いします!」
ファミ通はテンション高めで返事をすると頭を下げて一礼する。
「とりあえず、移動しましょう。今回の目的地は神次元です」
イストワールがそう言うと、「そうですね」とファミ通も同意する。
ネプギアはユニ達と一緒に黒塗りの車に同乗し、ファミ通とイストワール、そしてプラエとあんみつはコンパの車。ネプテューヌはアイエフのバイクの後ろに乗ることになった。
プラエはネプギアと一緒に乗りたがったが、ネプギアが優しく頭を撫でて、「また今度ね」と言うと、大人しくコンパの車に乗るのだった。
「いえ~い、あいちゃんの後ろ乗るの久しぶり~」
ネプテューヌはアイエフのバイクに飛び乗る。
「こら! 暴れるな!」
はしゃぐネプテューヌを注意するアイエフ。
「ねー! あいちゃん、風になろうよ!」
ネプテューヌはアイエフの腰に手を回すとねだるようにアイエフの体を揺する。
「街中でそんなスピード出せるわけないでしょ。信号だってあるんだから」
アイエフはそんなネプテューヌをたしなめるように言う。
「逆に考えるんだ! 信号なんて無視しちゃえってさ」
「それ、ただの交通違反だから…」
ネプテューヌの前向き過ぎる意見に頭を抱えるアイエフ。
「ねーねー! みんなで一緒に座ろう」
黒塗りの車の方ではラムが両手でネプギアの右手を引き後部座席に行こうとする。
「私もそうしたいんだけど、車の後部座席は三人乗りなんだよ」
はやるラムに対してネプギアはやんわりと説明する。
「ええ~、そうなの~」
「がっかり……(しゅん)」
肩を落とすロムとラム。
「事故が起こったら大変だからキチンと守ろうね」
ネプギアはロムとラムに優しく言い聞かせる。
「「はーい」」
素直に声を揃えて返事をするロムとラム。
「じゃ、アタシが助手席に乗るわ」
ユニはそう言うと助手席側の車のドアを開く。
「ありがとうユニちゃん、じゃ、ロムちゃんラムちゃん一緒に乗ろう」
ネプギアがそう言って後部座席のドアを開けると、「「わーーい」」と言ってネプギアを挟むように後部座席に座るロムとラム。
「なんと言うか、ここまで対照的な姉妹も珍しいですね」
ネプギアとネプテューヌの様子を見比べてメモを取っていたファミ通が言う。
「プラエは未だにネプテューヌさんがネプギアお姉さんのお姉さんだって信じられないよ」
プラエがはっきりと言うと、「それは私も同じです」とあんみつも同意する。
「でも、二人とも仲良しなんですよー。ねぷねぷに無いものをギアちゃんは持ってますし、ギアちゃんに無いものをねぷねぷは持っています」
コンパの言う通りネプギアとネプテューヌは仲良し姉妹である。
互いに無いものを補い合う姉妹である。
はたからみるとネプギアが世話をしているだけに見えるが、ネプギアにとってネプテューヌは心の支えなのだ。
「なるほど……」
コンパの意見にファミ通は納得し深く頷いた。
「ほら、ちゃんとシートベルトしてね」
ネプギアは後部座席に座るとロムとラムのシートベルトを着けてあげる。
世話好きのネプギアは年下のロムとラムにとても優しい。
「「はーい」」
自分でも出来るけど素直に従うロムとラム。
二人とも世話好きで優しいネプギアには甘え放題なので大好きなのだ。
「ユニちゃんもシートベルトした?」
ネプギアの心配そうな声に、「アタシは大丈夫に決まってるでしょ」とユニは不満気な声を上げるが、内心は心配してくれるのが嬉しいようだ。
「見なさい。ネプギア達はちゃんと交通ルール守ってるでしょ」
アイエフがネプギア達を指差しながらネプテューヌを注意する。
「ルールってのは破る為にあるんだよー。あいちゃんも身も心解放して全開バリバリのブッチギリのヒャッハーでスピードの向こう側行こうよ」
しかし自由奔放なネプテューヌには馬の耳に念仏のようだ。
「意味わからないわ。それ以前に守護女神がルール破ってどうするのよ」
アイエフは諦めずにネプテューヌを注意するが、「でも、このまま乗るなんて普通でつまらないじゃん」とネプテューヌはお気楽に答える。
彼女としては安全よりスリルを求めたいらしい。
「普通でいいのよ。事故なんて起こしたらたまらないわ」
アイエフはネプテューヌに付き合っていられないと言わんがばかりにそう言い捨てる。
注意するのも諦めたようでバイクのキーを回しエンジンをかける。
「大丈夫だよ。いざって時にはわたしの轢き逃げアタックがあるから」
「事故ってるじゃない!」
しかし、ネプテューヌのボケにはしっかり反応してしまうアイエフ。
「テヘペロ」
ネプテューヌはアイエフに対して何の悪びれもなくウインクして舌を出す。
「まったく……そんなに普通じゃないのをお望みなら、簀巻きにして載せてくわよ」
ネプテューヌのおふざけに対して嫌気が差したアイエフが低い声でネプテューヌを脅す。
「いや~ん。亀甲縛りなんて、あいちゃんのエッチ~」
「誰がそんなこと言ったのよ!」
「あいちゃん」
「言ってない!」
しかし、完全にネプテューヌのペースでアイエフの脅しは通用しないようだ。
「あいちゃん楽しそうです~」
コンパはニコニコしながらその光景を眺めている。
「もう! さっさと行くわよ」
アイエフはバイクを急発進させる。
「ヒャッホー! 緊急発進スクランブルだー!」
ネプテューヌは急発進に驚くことなく、むしろ楽しんでいるようだった。
「待ってたぜこの瞬間【とき】をよおーーー」
ギャリギャリギャリ!!
ネプテューヌの右手には何故かツルハシが握られており、地面を擦り道路を削る音が響く。
「ちょ、ネプ子! そのツルハシどうしたの……きやっ! 振り回すな! バランスが崩れる」
ネプテューヌがツルハシを振り回すたびに、フラフラと蛇行するアイエフのバイク。
「相変わらず賑やかな人ね……」
ユニはその光景を醒めた目で見つめていた。
ユニはネプテューヌの女神としての戦闘力は認めてはいるし、自分よりも上の存在だとも認識している。
しかし、少しませていて冷静な彼女はネプテューヌのハイテンションなノリには付いて行けないようだ。
「あはは……」
ネプギアは返す言葉もなく苦笑いを浮かべる。
彼女も姉のことは好きだが、一般的に見て騒々しいのは否めないと理解している。
「ネプテューヌちゃん面白いー」
「楽しそう(わくわく)」
ネプテューヌとアイエフの賑やかな光景を面白そうに眺めるロムとラム。
ロムとラムは子供らしく、テンションが高くオーバーリアクションをするネプテューヌは見ていて面白いのだ。
「ロムちゃんとラムちゃんは真似しちゃ駄目だよ」
ネプギアはそんな二人に優しく注意をする。
「「はーい」」
素直に従うロムとラム。
ネプテューヌのことを面白いとは思うが、彼女達はネプギアのことを信頼している上に、姉のブランからネプギアとユニの言うことをよく聞くことと言われているので、ネプギアの言うことの方に素直に従うのだ。
「そろそろアタシ達も行きましょう。出してちょうだい」
ユニは隣の運転手に声を掛ける。
運転手は、「はい」と頷くと丁寧に車を発進させる。
この黒塗りの車はラステイションのもので運転手も女神専属の者で運転も丁寧である。
「本当に対照的だねー」
ファミ通は蛇行するアイエフのバイクと静かに発進するラステイションの車を見比べて深々と頷く。
「アイエフお姉さん大変そう……」
プラエがアイエフに同情するように呟くと、「あれはあれで、あいちゃんは楽しんでると思うですよ」とコンパが言うが、「とてもそうは見えませんが……」とあんみつにツッコミをされてしまう。
イストワールが、「コンパさん、私達も安全運転でお願いします」と言うと、コンパは、「はいですー」と頷いてから、車をゆっくりと発進させる。