昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
そしてネプギア達は目的地のバーチャフォレストに到着する。
ここからは徒歩になるので、各自乗り物から降りる。
「ふっ……不運【ハードラック】と踊【ダンス】っちまったぜ」
「何がハードラックよ! 完全無欠にアンタのせいよ! 危険運転で減点されたじゃないの!」
バイクから降りてカッコつけるネプテューヌに対して怒鳴り散らすようにツッコミを入れるアイエフ。
あんな危ない運転をしていたら捕まるのは当然ではある。
「わたしまた伝説作っちゃたよ。『疾風【かぜ】伝説、特攻【ぶっこみ】のねぷ』って感じ?」
更にカッコつけるネプテューヌに対して、アイエフは疲れたように肩を落とし、「まったく……。ネプギアとイストワール様が居なかったら今頃取り調べ室よ」とぼやいた。
二人ともあわや逮捕というところであったが、ネプギアとイストワールの説得により免れたのだ。
ネプテューヌが気楽そうに、「それもいいかも。ちょうどカツ丼食べたかったし」と言うと、「どれだけ前向きなのよアンタは……」とアイエフは呆れかえる。
「とりあえず、事故が無くて良かったです」
安堵の声を出すネプギア。
「ネプテューヌちゃん、おバカな珍走団みたいで面白かったよ」
子供ゆえに素直すぎるラム。
「ちんそーだん?」
プラエがラムの言葉に首を傾げると、「昔は暴走族と呼ばれて、奇妙なバイクに乗って人の迷惑を顧みずに大音と上げて走行する不審な輩のことです」とあんみつが説明をしてくれる。
プラエは納得したように柏手を打つと、「それならネプテューヌさんは珍走団だね。ラムさん賢い」とラムを褒める。
「でしょーでしょー! もっと褒めていいのよ」
プラエの褒め言葉に、ラムは両手を腰に当てて鼻高々に自慢気な声を上げる。
「ネプテューヌちゃんみたいなのを【きちのそと】って言うんだよね。お姉ちゃんが言ってた」
「基地の外? ……ああ、なるほどね」
ロムの言葉にユニは納得して頷く。
「わたし程の一流のエンターテイナーになると常に刺激を求めて体張ってるんだよ」
ネプテューヌは女神候補生達に向かってVサインを決めてドヤ顔をすると、「体張るって、被害に遭ったのは私でしょ」と、その後ろでアイエフが素早くツッコミをする。
「申し訳ありませんアイエフさん。後日私が交通課に出頭します。あと罰金分は経費で申請してかまいませんから」
イストワールは申し訳なさそうに頭を下げる。
「よしよし、あいちゃん、わたしが慰めてあげるです~」
コンパに頭を撫でられると、アイエフは赤面して「こ、子供扱いしないでよ」と言うが大人しく撫でれているその表情は嬉しそうだった。
「ネプテューヌ様はウワサ以上の方だね」
ファミ通はネプテューヌを観察しながら言う。
「えーと……少し騒がしいかもしれませんけど、悪いお姉ちゃんじゃないんですよ」
いつもの癖でネプテューヌをフォローするネプギア。
「いや、悪い意味じゃないよ? あそこまで人の注目を集められるスター性は流石だなって思ったんだ」
しかし、熟練の記者であるファミ通はネプテューヌのスター性に早々と気付いていた。
「やっぱりそう思いますか! お姉ちゃんって凄いですよね!」
今まで初対面の相手は、大抵ネプテューヌの型破り過ぎる性格に付いて行けないが、理解を示したファミ通に嬉しそうに話すネプギア。
「ネタの宝庫。記者にとっては黄金の珠だね」
ネプテューヌに興味津々のファミ通だが、即座に、「でも、私はネプギア様達女神候補生の方が取材のし甲斐があるよ」と言う。
彼女は取材の対象をネプギアから変える気はないようだ。
「……どうしてですか?」
ネプギアはファミ通の意見が心底不思議であった。
確かに自分は周りに【良い子】と言われ第一印象は良い。
しかし、ネプテューヌは第一印象こそは悪いことはあるが、その魅力に気づいたものを夢中にさせる力があった。
その魅力に気付いたファミ通がネプテューヌより自分を優先するのが理解できないのだ。
「ネプテューヌ様が黄金の珠なら、ネプギア様はダイヤモンド原石だからだよ」
「ダイヤモンド原石ですか?」
ファミ通の言葉に首を傾げるネプギア。
「原石の時点では黄金の珠に見劣りするけど、たくさんの人に磨かれて最高の輝きを放つ宝石ってことだよ。私もネプギア様を磨く一人になれたらいいなって思うんだ」
ファミ通は石を磨くような仕草をしながらそう言う。
「……私にそんな素質があるかどうかはわかりませんけど、ファミ通さんの期待に応えられるよう頑張ります」
ネプギアは素直に頷く。
以前からファミ通が自分を高く評価してくれるのは嬉しいけど自信はない、それでも精一杯頑張ろうという意思の現れであった。