昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
「それではご案内しますので付いてきて下さい」
ユリィはそう言うと先頭に立ってネプギア達を先導する。
その後ろにネプギアを護衛するようにエレノアが隣に立ち、少し離れてユニ、ロム、ラムの三人がついてくる。
更にその後ろでは、ネプテューヌのおふざけにアイエフがツッコミを入れながら、コンパ、イストワールがついて来ていて、神次元が初めてなプラエとあんみつとファミ通は神次元の景色をしげしげと観察しながら歩き、その最後尾をレイが護衛していた。
「そうだ、エレノアちゃんにプレゼント」
その最中、ネプギアはエレノアに小さな小箱を差し出す。
「え? 私にですか」
エレノアは疑問を浮かべながらも素直に小箱を受け取る。
「エレノアちゃんに似合いそうなヘアアクセ見つけたんだ。良かったら使ってね」
ネプギアは嬉しそうに答える。
イストワールの説明したとおり、ネプギアはエレノアが幼い頃から面倒を見てきた為、彼女を教え子のように可愛がっている。
たまたま見つけたアクセサリーが彼女に似合いそうだからとプレゼントしたのだ。
「あ、ありがとう! 先生!」
エレノアは笑顔でお礼を言うが即座に右手で口を覆うと、「………じゃなくて、ありがとうございます。ネプギア様」と顔を真っ赤にしながら言いなおす。
エレノアは幼いころからネプギアと接して育った為に昔の癖でネプギアを先生と呼ぶことがある。
「くすくす……よかったわね、エレノア。ありがとうございますネプギア様」
母のユリィがエレノアの態度に微笑みを浮かべながらネプギアにお礼を言う。
ユリィはエレノアが年齢の割に落ち着いた性格をしているが、恩師のネプギアの前では子供に戻ってしまうのが微笑ましいようだ。
そして、ユリィにとってネプギアは女神であると同時に、娘の恩師でもあり、また同じ時期に子供を育てたママ友でもあるので、娘がネプギアを慕っていることが、とても嬉しいのだ。
「……」
ユニは腕組みしながら黙ってネプギアとエレノアのやり取りを見ていた。
「あれ? ユニちゃんどうしたの?」
「なんかムスッとしてる(ぷんぷん)」
ロムとラムはそのユニの様子を不機嫌と捉えたようでユニに問いかけてくる。
「別になんでもないわよ」
ユニはぶっきらぼうにそう答えると足を速める。
しかし、ネプテューヌが速足でユニの前に立つ。
「ふっふーん、わたしには分かるよ。ユニちゃんはズバリ、ヤキモチを焼いている!」
ネプテューヌの発言に、「なっ!?」と顔を赤くして慌てるユニ。
「やきもち? ユニちゃんおもちなんて焼いてないわよ」
ラムはヤキモチの意味を知らないので食べる餅と勘違いしているようだ。
「英語で言うとジェラシー!」
ネプテューヌは更にユニへの指摘を続ける。
「ほうせき(きらきら)」
「それはジュエリー」
ロムの勘違いを訂正するユニ。
「簡単に言うと、ネプギアとエレノアが仲良くしてることに怒ってるんだよ」
ネプテューヌがロムとラムに向かって簡単な説明をするが、「勝手な想像は止めて下さい」とユニはぴしゃりと否定をする。
「え~? そんなこと言って不安なんじゃないの~? エレノアはネプギアと十年以上のお付き合いなんだよ~? 同じ女神候補生って言ってもやっぱり付き合い長い方を優先しちゃうよね~」
ネプテューヌはニヤニヤ笑ってからかうようにユニに詰め寄る。
「……ネプギアはちょっと八方美人なところがあるだけですよ」
ユニはそんなネプテューヌの挑発に乗らないよう、落ち着いてネプテューヌに答える。
彼女はネプテューヌのことが嫌いではないし尊敬もしているいが、かなり気分を害したようだ。
「少し黙っていて下さい。ネプテューヌさんには関係ありません」
ユニがネプテューヌを睨みつけながら言うと、「わお~、ユニちゃん怖ーい」ネプテューヌは茶化すように怖がるフリをする。
彼女の不機嫌はネプテューヌの言動のせいでもあるが、ユニはネプテューヌに対して嫉妬に近い感情を持っている。
ユニは努力家で努力を至上としているが、それに対してネプテューヌは努力とは無縁の天才肌で直感や才能で物事を成してしまう。
そんなネプテューヌを見ていると、努力を否定されているような気分になって不愉快な時がある。
そのネプテューヌが自分を認めて貰いたい姉のノワールに一目置かれている上に、友人としてもっと仲良くなりたいネプギアと最も近しい関係にいるのが羨ましいのだ。
普段は落ち着いて礼儀正しく接しているが、こうやって煽られると普段抑えている感情が表に出てしまう。
「なーんだ。ユニちゃんってばそんなことで怒ってるの?」
ラムは呆れたようにユニに言う。
「そんなことって……」
ユニはラムの言葉にたじろいてしまう。
「だったら、一緒に仲良くすればいいんだよ。行こうロムちゃん」
「うん」
ロムとラムは前を歩くネプギアとエレノアに近づく。
「ねーねー! ネプギアー! なに話してるのー」
「わたし達も混ぜてほしい」
ロムとラムはネプギアの両脇に立ち、それぞれ服の袖を引っ張って話しかける。
「今、エレノアちゃんにヘアアクセをプレゼントしたんだよ」
ネプギアは左右の袖を引っ張っられていることは気にせず、落ち着いた声で答える。
「へー! どんなの? 見せて見せて!」
「わたしも見たい(わくわく)」
ネプギアの説明にロムとラムはエレノアに対して興味を示す。
「そうだね。私も付けたエレノアちゃん見たいな」
ネプギアはそう言うと、「そうだ! 私が付けてあげてもいい?」と続けて提案をする。
「えっ!? は、はい……」
エレノアは驚きながらも素直に頷き、ネプギアにアクセサリーの入った小箱を渡す。
「ふんふん……こうやってエレノアちゃんの髪いじってると昔を思い出すな~」
ネプギアは鼻歌を歌いながら、エレノアの髪の毛にイルカ型のヘアアクセを付けてあげる。
「先生……くすぐったい……」
エレノアはそう言うと、また慌てて右手で口を覆い、「ね、ネプギア様くすぐったいです」と言い直して俯いて顔を真っ赤にする。
「……」
ユニはその光景を憮然とした姿で眺めていた。
「おっと! ユニちゃんのジェラシーゲージがうなぎ登りだー!」
ネプテューヌはその横で面白そうにユニを煽る。
しかし、ユニにはネプテューヌの声は耳に入らない様子だった。
「よしなさい」
「ねぷっ!?」
アイエフはネプテューヌの耳を引っ張ってユニから引き剥がす。
「できたよ。エレノアちゃん凄く似合って可愛いよ」
ネプギアはエレノアを素直に褒める。
青い髪のエレノアに付いたイルカのアクセサリーは、大海を泳いでいるかのようだった。
「うん、わたしも可愛いと思うわ」
「きれい(ほれぼれ)」
ロムとラムも声を揃えてエレノアを褒める。
「ありがとうございます」
エレノアは丁寧にお辞儀をして、ロムとラムにもお礼を言う。
「あれ? 何か忘れているような……」
ラムは首を傾げる。
「ユニちゃんがヤキイモ焼いてる話だったかな?」
ロムが首を傾げてそう言うと、「そうそう! ネプギア、ユニちゃんが焼き栗焼いてるのよ」とラムが元気よくネプギアに向けて言う。
「えーと、ヤキイモか焼き栗かは分からないけど、栗を焼くのは危ないから止めた方がいいよ。さるかに合戦でも栗さんが飛んで行ったでしょ?」
ロムとラムの発言からは話が見えないネプギアはとりあえず、栗を焼くのは危ないと言うことを説明する。
ユニの方を見ても火の気はないのであまり気にしないことにした。